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【深夜バス朝3時下車】町唯一の長距離バスが過酷すぎ! イーグルライナーで佐呂間若佐アクセス[2309北海道廃線(4)]

2023年9月17日

 

オホーツク海に面する町、佐呂間町。

サロマ湖によりある程度の知名度を有していますが、町外から公共交通機関でのアクセスが非常にしづらいです。

 

町へ行く唯一の都市間バスが、札幌〜知床(ウトロ)斜里を結ぶイーグルライナー。

なんだ、札幌からのバスがあるなら楽じゃ〜んと思うなかれ…

 

佐呂間町に着くのはなんと早朝3:30。しかもバス停があるのは佐呂間町でも若佐という集落で、町の中心部まで徒歩1時間かかります。

果たしてここで降りる利用者は居るのか、実際にこれを利用して佐呂間町へ行ってみることにしました。



こちら夜のJR札幌駅、隣接してエスタ札幌があります。

ビックカメラやロフトが入居する大型商業施設だったのですが、2023年8月末をもって閉店。北海道新幹線札幌延伸工事に伴うもので、新幹線開業に向けて再開発が進んでいます。

 

その1階部分にはバスターミナルがあって、こちらからも多くの長距離バスが発着しています。しかし、今回乗車するイーグルライナーが発車するのは、ここからではありません。

 

まずは札幌駅からまっすぐ進み、時計台の交差点で左へ。

 

歩いて15分ほど、北海道中央バス札幌ターミナルへ来ました。



近くを流れているのは創成川、向こうには大通公園に位置する、さっぽろテレビ塔が見えています。

札幌市街の条丁目制は創成川と大通が中心になっており、まさにここが基準です。

 

昔ながらの非常にレトロな雰囲気であり、この位置に移転した1966年からの建物です。隣接する北海道電力本店ビルと共に老朽化が進行しており、2029年度に高層ビルの再開発計画があります。

 

窓口や看板、照明からも昭和感を得られるものです。

 

北海道各地へ長距離バス網を張り巡らせており、今回乗車するのは一番端っこの知床ウトロ斜里便。佐呂間若佐の文字はありませんが、そこへ向かいます。

 

これが最後に発車するバスみたいで、発車標には一本だけ表示が残っていました。



扉の向こう側、バス乗り場へやってきました。

乗車場所へ頭から突っ込む、最近では無くなりつつあるバスターミナルの形です。

 

23時ちょうど、知床(ウトロ)斜里行きのイーグルライナーがやってきました。イラスト付きのご当地ナンバープレートを掲げています。

知床とは連想しにくい、真っピンクの車体です。

 

発車するのは5番乗り場から、行灯式の大きな看板が吊られています。

 

イーグルとは英語で鷲、知床ではオオワシとオジロワシの姿を見られるため、こう名付けられたのでしょう。



運転手さんに名前をお伝えして、バス車内へ。

3列独立シートとなっており、夜行バスとして十分快適な部類です。

 

フットレストが備わっており、スリッパもありました。

 

座席機能としてはこちら、レッグレストやリクライニングにより、快適に過ごすことができます。

 

現在ヘッドフォンの貸出を行なっていないのですが、オーディオサービスもあるみたい。

一方でUSBやコンセント共に電源はありませんでした。

 

簡単ではありますが、インアームテーブルも取り出せます。



23:15 札幌ターミナル 発

スキーブーム時代へタイムスリップし、都会から出発するかのようなカット。深夜に到着する「ガチ深夜バス」の旅が始まります。

 

札幌駅など他の停留所に寄ることは無く、苗穂あたりを走っているところです。

案内放送が流れており、斜里バスターミナルは5:45着、終点のホテル知床も6:45着で、時間を有効活用できる早い時間となっています。

 

ちょうど太平洋セメントの工場手前を、函館本線の列車が通過していきました。



札幌ICまでやってきまして、料金所をくぐります。

ここからは道央自動車道を東へ走ることに。

 

ここで完全消灯しまして、前面のカーテンも閉じられました。

 

日付が変わった頃、岩見沢ICを通過。函館本線と室蘭本線の関係と同様、栗山・由仁方面への国道234号に接続します。

 

日本最北端のサービスエリア、砂川SAを通過しました。道北方面を結ぶ高速バスでは、こちらで休憩することも多いです。

 

深川JCTで深川留萌自動車道が分かれます。かつての留萌本線と完全に並行する高規格道路で、深川西ICより北は無料です。

 

これまで石狩平野の縁を走ってきましたが、旭川へ向けてトンネルに入ります。

 

旭川駅の北側、鷹栖町の旭川鷹栖ICを通過しました。旭川市内ではなくギリギリ隣の町にインターチェンジがあります。

 

1:20、比布大雪PAに立ち寄りまして、ここで運転士さんが交代です。



この夜行バスでは途中休憩が無いのですが、車内にお手洗いが備わっています。

中央部右側に階段があって、これを下った先です。

 

鉄道よりちょっと狭めですが、室内には洋式で備えられています。

 

黄色が流す用、緑色が手洗い用という風に並んでいます。字体からもちょっと古さを感じるものです。

 

使用中鍵をかけている間は、前方にお手洗いマークが点灯しています。



比布大雪PAを出発しまして、すぐに比布JCTへ。

ここで道央自動車道から旭川紋別自動車道に入ります。

 

旭川を経由しないことでショートカットするように、石北本線沿線へ。愛別ICを通過しているところです。

 

1:50、既に上川層雲峡ICを過ぎていました。道内紅葉の名所としても知られる層雲峡へ南下でき、三国峠を越えれば帯広まで至ります。



そして眠っていたらいつの間にか、国道333号を走っていました。

まだ旭川紋別自動車道は続いていますが、おそらく白滝ICから一般道へ降りてきたものと思われます。石北本線と並行しており、こちらは瀬戸瀬駅周辺の町です。

 

旭川紋別自動車道の終点、遠軽ICを通過してセブンイレブン前を走っていきました。久しぶりに見慣れた灯りです。

 

遠軽駅で進行方向を変えた石北本線、安国駅周辺を通ってすぐに線路から離れていきます。



そして遂に遠軽町から佐呂間町へ入りました。

中々辿り着くことが難しい自治体、遂にその領域へと足を踏み入れます。

 

栄という集落の交差点で左へ曲がり、引き続き国道333号へ。右へ曲がると留辺蘂浜佐呂間線となり、南下して石北本線の留辺蘂駅まで行けます。

 

そして次に現れる集落が、バスの停留所がある「若佐」です。

 

深夜3:20でありながら車内の電気が点いて、通常通り放送も流れます。どう考えても知床へ向かう方まで、この放送で起こされそうです。



周辺は完全に真っ暗ですが、バスの光だけが眩いばかり。

驚くことに他に2人降りられていました。車でお迎えがいらっしゃって、そのまま中心部へ向かって走り出していきます。

 

札幌からここへ放置していった、いや、連れてきてくれた長距離バスは、そのまま国道を走って闇に消えてしまいました。

当然ながらここからの交通手段は無く、完全にひとりぼっちです。



佐呂間若佐の停留所周辺を見てみましょう。

ここから知床ウトロ斜里方面へ乗車することはできないので、時刻表などは貼っておらず、バス停の存在だけが示されています。

 

少し歩いたところ反対側に札幌行きのバス停があり、こちらにはプレハブの待合所も備わっていました。

 

札幌方面は12:25発なので、常識的な時間。こちらなら利用する方もいらっしゃるのでしょうか。

札幌から佐呂間若佐の料金はこちらに示されている通り、大人4750円、学生4400円でした。

 

バス停周辺にはそれなりに民家が見られますが、かなり暗いです。それでも街灯があるので非常にありがたいところ。

 

駐在所や郵便局があって人の営みも感じられるので、十分大きな集落です。真っ暗闇ではないだけで安心できます。

 

近くには佐呂間町営ふれあいバスのバス停があって、毎日運行ではないものの、町外を行き来することも可能です。こちらに関しては後ほどご紹介することにします。

 

一番大きかった建物が、遠軽信用金庫の出張所。ちゃんと郵便局以外の銀行もあるんですね。



国道333号はこの交差点で右へ曲がります。

乗ってきたイーグルライナーもそうですが、多くのトラックや車も知床方面へ向かっているはずです。

一方で佐呂間町の中心部へはこのまままっすぐ。若佐にバス停が設けられているのは、中心部が知床へ向かうルートの国道から大きく外れてしまうためでしょう。

佐呂間市街まではここから7km歩く必要があります。

 

この先は街灯が無くて危ないので、しばらく若佐コミュニティセンターの駐車場で過ごさせていただきました。



4:20になると東の空が明るくなってきました。

これなら街灯が無くても、ある程度視界に不自由ありません。そろそろ歩き始めましょう。

 

それにしても何もない山の中、ヒグマや鹿だけは特に注意を払います。

普通にガサガサ音がしてきて、かなりのドキドキです。ラジオと鈴を鳴らしつつ東へ歩き続けます。

 

25分経ちまして、牧場が現れました。発電機の音が聞こえてきて、朝早くからお仕事なさっているみたいです。



そして若佐から歩くこと40分、遂に佐呂間町中心部に入り始めました。

その一番端っこにあるのが、佐呂間町立体育館。テニスコートや野球場なども見られる総合公園です。

 

さらに進むと森永乳業佐呂間工場。酪農が盛んな北海道では、かなりの地方でも大きな工場が見られます。

 

市街地が始まりまるのは自動車屋さんから、そしてあの交差点には見慣れた看板が…。



それがこちら、セイコーマート。

このコンビニさえあればもう安心、冗談抜きで北海道のオアシスです。

 

セイコーマートサロマ店は以前も訪れたことがあるのですが、なぜかオープン!!ののぼりが立っていました。

 

ここで朝ごはんを調達。朝5時から開いているのがありがたすぎます。

 

まるで時が止まっているかのような、佐呂間の市街地を歩き続けます。

 

その中で目につくのが、かぼちゃの置物。まだ10月にもなっていないのに、気が早い気もします。

 

佐呂間町はかぼちゃが名産で、さらに9月第1土日にシンデレラ夢まつりが開催されるのです。このお祭りでは仮装や花火大会もあって、ハロウィンさながらの盛り上がり。そのためこの時季、町中でもかぼちゃを目にするのでしょう。

 

そして佐呂間町役場までやってきました。

近くには佐呂間小学校、佐呂間中学校、佐呂間高校もあって、完全に中心部と言って良いでしょう。かなり大変な道のりでしたが、ちゃんと札幌から深夜バスで来られました。



かつて佐呂間町には、国鉄湧網線という鉄道が走っていました。

中心部には佐呂間駅があって、その跡地は鉄道記念館になっています。

 

屋外ではD51蒸気機関車を先頭に静態保存されています。

 

佐呂間駅のホーロー駅名標も残されていて、現役さながらです。

 

連ねているのは郵便車スユニ50です。かつては鉄道による郵便輸送が行われていました。

 

そしてDE10ディーゼル機関車。主に貨物列車の牽引で活躍したとのことです。



そもそも営業時間外ですが、鉄道記念館は予約制とのこと。

外から覗き見させていただくと、駅で使われていた備品等が中心みたいです。

 

中でも目を引くのが、当時の佐呂間駅発車時刻表。1日6.5往復も町外へ出る列車があったのは信じられません。

 

腕木式信号機や転轍てこも設置されており、国鉄時代の鉄道を今に残してくれていました。



佐呂間駅跡に隣接した廃線跡には、佐呂間バスターミナルがあります。

佐呂間町の公共交通機関はここへ集まっているようです。今回乗ってきたイーグルライナーは除いて。

 

室内はかなり広々しており、疲れた身体を癒やしてくれました。

 

このバスターミナルにやってくるのは、佐呂間町営ふれあいバス。その多くが町内で完結するスクールバスです。

 

6路線設定されていまして、町内を網羅。出発時点のお客さんはほぼゼロでしたが、これから各集落を回って児童・生徒さんを乗せ、学校へ送り届けるのでしょう。

 

他に町外バスも運行されていまして、遠軽線、北見線、網走線の3路線があります。全て病院行きのバスでして、完全に通院する方向けです。

 

中でも以前ご紹介した網走線は、水曜日に1本しか走りません。鉄道代替バスが週1本だけという、かなり異常な状態です。

 

今日は金曜日なので、遠軽便の運行日。こちらで佐呂間町を脱出したいと思います。



8:20 佐呂間バスターミナル 発

この時点で利用者は10人を超えており、かなりお客さんが多いです。

 

市街地を走っていると途中からも2,3人乗車してきまして、補助席を出す寸前でした。

 

早朝1時間歩いてきた道ですが、バスならあっという間に通り過ぎてしまいます。

 

そして札幌へ向けてイーグルライナーが発車する、若佐まで戻ってきました。こちらからもお1人乗られます。



トンネルを抜けて遂に遠軽町まで来ました。

石北本線が見えてきて、特急が停まる街の威厳を知らしめられます。

 

特に地方では銀行が最も大きな企業であり、遠軽信金の立派さが際立ちます。スーパーなどもあって、これは大都会です。

 

バスは遠軽共立病院を経由して、終点の遠軽厚生病院に到着しました。

 

旅行者向けの公共交通機関が無縁の地と言っても良い佐呂間町中心部。一方で、通学と通院に特化したバスを町営で走らせており、今後このような町も増えてきそうです。

 

かなり到達難易度が高い場所ですが、交通オタクの方々には達成感を得られる面白い場所だと思います。是非一度試してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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