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【国内唯一】フェリーに乗る路線バスが凄い!鹿児島ー鹿屋間直行バス乗車記

 

薩摩半島と大隅半島で形作られる鹿児島県、右側大隅半島の中心都市である鹿屋市に来ました。

かつては国鉄大隅線が走っていましたが、国鉄分割民営化と共に1987年に廃止されています。

 

食パンのバッグクロージャーみたいな形をしているため、鹿児島から鹿屋は陸上交通によるアクセスが不便。

ここを短絡する海上では、鴨池垂水フェリーが運航されています。

 

そして遂に鹿屋〜鹿児島を結ぶ路線バスもこの恩恵を受けており、なんと路線の途中でフェリーに乗ってしまうのです。

 

かつては広島〜大分を結ぶ別府ゆけむり号が、徳山〜竹田津でスオーナダフェリーに乗っていました。しかし、これも2017年に廃止されています。

今では全国で唯一見られるこの光景、一体どんな運行を行っているのでしょうか?



鹿屋市は鹿児島県第三の都市。

駅跡から続く商店街はシャッター街になってしまっていますが、郊外のロードサイド店舗はかなりの発展度合いです。

人口は約10万人で、鉄道が無いまちでは最も人口が多い自治体として知られています。

 

交通の要衝となっているのが、リナシティかのや。マックスバリュや公共施設も集まった、バスターミナルです。

かつては百貨店があった場所ですが、車社会に対応したロードサイド店舗との競争に破れ、その跡地にオープンしました。



今回乗車する鹿児島ー鹿屋間直行バスが到着しました。

鹿児島交通による運行で、大型バスが使用されています。

 

車体には大隅半島直行バスと書かれており、完全にそれ専用で使われているみたいです。

コンセントこそありませんが、長距離バスさながらの車内になっています。

 

運行本数は1日4往復、鹿児島中央駅〜鹿屋(リナシティ前)では1400円です。

鹿屋からの場合は先払い、鹿児島からの場合は後払いとなります。

 

座席にはフェリー船舶の安全のしおりが入っていました。救命胴衣の着衣などについて案内されており、その密接な関わりが見られます。



15:25 鹿屋(リナシティ前) 発

帰省の時期が重なったこともありますが、利用者は窓側がほぼ埋まるくらいとかなり多めです。

 

ここの商店街は全体的にゴースト感が漂っており、ロードサイド店舗に吸い取られていることがひしひし伝わってきます。

 

鹿屋市立鹿屋女子高校横を通過しました。西日本では数校しか無い公立の高校、特に市立で女子高とは全国的にも珍しいです。



このバスは路線バスということで、鹿屋市内と鹿児島市内それぞれでいくつかの停留所に停まっていきます。

鹿屋市は自衛隊のまちとしても知られています。

海上自衛隊鹿屋航空基地があり、バス停周辺にはいくつか寮が立っていました。

 

戦前には特攻隊の出撃基地にもなっており、最も多くの特攻隊員が飛び立った地です。

史料館には復元された零戦が展示されており、戦前の海軍航空隊について学ぶことができます。



一つ山を越えまして、鹿屋体育大学に停車。

ここは全国唯一の国立体育大学です。オリンピック出場者も輩出しており、特にサッカー部では九州トップの座に君臨し続けています。

 

沿岸部へ向かって山を越えているところ、港のある垂水市街が見えてきました。

 

宮崎県から日南・鹿屋を経由して霧島市に至る国道220号線、2つの半島に囲まれた鹿児島湾沿いを走ります。

 

この国道と同じルートで、国分駅から志布志駅を結んでいたのが国鉄大隅線です。

部分的にその廃線跡も残っているはずですが、この周辺バス車内からでは見当たりませんでした。なんとなく路盤が分かる程度です。

 

こちらはホテルも併設された「道の駅たるみず はまびら」。

「たるたるぱあく」というめちゃのんびりできそうな愛称がつけられており、錦江湾と桜島、開聞岳を一望できるという素晴らしいロケーションです。



正面には鹿児島県のシンボル、桜島が見えてきました。

鹿屋から30分ほど、垂水港フェリーターミナルに到着です。他にも想像するような路線バスが停車しており、大隅半島への公共交通機関として機能しています。

 

垂水港のバス停から乗車することもできます。鹿児島各停留所までは700円です。

ここまで途中のバス停から計4,5人ほど乗られていました。最終的にギリギリ相席になるかどうかくらい。とは言っても土日でも通常であればそこまで混まなさそうです。



さて、バスはフェリーへ向かって動き出しました。

まるで高速道路に乗るかのように、料金所を抜けていきます。

 

ある程度乗用車が乗り込んだところで、バスが誘導されます。いよいよフェリーへ乗り込むという超貴重な体験です。

 

フェリーに乗り込むことについて案内放送が流れた後、車両甲板の真ん中あたりで停止。沢山の乗用車に囲まれます。

 

フェリー航行中はバスに乗ったままでもよく、8割位の方は乗車され続けていました。

 

折角なら車外へ出て、船旅を楽しむことにします。

運賃箱に置かれている乗車証明カードを受け取ります。車内へ戻る時、運転士さんへ返すので無くさないようにしましょう。

 

キッチキチに詰められた車両甲板、そのど真ん中に大きなバスが佇んでいるのは何ともシュールです。

多分全体のバランスの都合上、この場所が良いんでしょうね。



ここからは鴨池垂水フェリーの旅です。

30分に1本程度という高頻度運航、いかに大隅半島にとって重要な公共交通機関であるか分かります。

 

このフェリーを使って鹿児島市内へ通勤通学される方もいらっしゃるとのこと。錦江湾という巨大な溝によって隔てられている大隅半島ですが、これのおかげで生活が成り立っているはずです。

 

鹿児島市の端っこに位置する桜島を横目に、錦江湾の船旅へ向けて出港します。



離島行きのフェリーと同様に見え、一般的な船内空間です。

3列がけのシートがずらっと並んでいるほか、ソファ席もいくつかありました。

 

船体後部の一角に設けられているのが、うどんコーナーです。

南海うどんを屋号に、鴨池垂水フェリーの名物として知られています。

 

メニューも結構様々で、トッピング追加もできるそうです。

 

せっかくなので、きつねうどん(540円)をいただきました。さつま揚げも入っています。

 

ツルッと滑らかな口当たり、九州うどんならではの柔らかさです。

オリジナルスープは鰹節ほか4種素材からの出し汁に、いわさきホテルズオリジナルの醤油を合わせた、総料理長考案のレシピとのこと。

そんなの美味しいに決まってるんですよ…。



うどんを食べていたらこの船旅はあっという間。

山肌模様を観察できるほど、桜島に近づいてきました。火山の噴火によって大隅半島と繋がっています。

 

養殖漁業のいけすらしきものが、ちらほらとみられました。錦江湾における養殖としては、ブリとカンパチが有名です。

 

進行方向左手に目を移すと、うっすらと直角三角形の山が見えてきました。

本土最南端の路線、指宿枕崎線のシンボルとしても知られる開聞岳です。

 

後面の景色では左側が大隅半島、右側が薩摩半島です。

大隅半島がかなり奥まで出っ張っているため、まるで繋がっているみたいに見えます。

 

船内窓からでも錦江湾に桜島を眺められ、穏やかな波に揺られながらの旅も素晴らしいです。



いよいよ鹿児島市街が近づいてきました。

鹿児島市は九州4番目、人口58万人の大都市。政令指定都市ではない県庁所在地では最も人口が多いです。

 

大きな観覧車が見えてきたら、あちらが鹿児島中央駅。2004年にやってきた九州新幹線の終着駅です。

 

フェリーは県代表駅からだんだんと離れ、やや南側へカーブします。

海沿いには鹿児島県庁や県警本部、企業などが集まっているようです。

 

港近くには立派なホテルも立ち並んでおり、ロケーションの良さが伺えます。

 

所要時間は35分、鴨池フェリーターミナルに到着しました。



着岸したので車両甲板へ。

乗り遅れないように気をつけて、バスに乗り込みます。この時乗車証明カードを渡しましょう。

 

フェリーから降りますと、このまま普通の路線バスとして走り出します。鴨池港での乗降はできません。

 

鹿児島からは桜島、屋久島、奄美諸島など様々な離島へフェリーが就航しています。それらは中心部の鹿児島港から出港しており、ここ鴨池フェリーターミナルは垂水港との行き来に特化した形です。

 

港の近くには公的機関が中心ですが、企業も立地している様子。

 

先ほど錦江湾から見ていた県庁のすぐ横を通過します。高さは93.1m、2021年3月に鹿児島中央タワー(98.98m)が完成するまで、県内で一番高いビルでした。



バスは鹿児島市中心街へと入りました。

道路の真ん中には、緑化された路面電車の軌道が見えています。

 

鹿児島市には2系統の市電が走っており、ちょうど電停へ到着する様子を見られました。

 

新屋敷交差点で左へ曲がり、鹿児島中央駅方面へ。

複雑な5叉路交差点に加え、鹿児島市電の停留所があり歩行者の通行も多く、交通事故がかなり多く発生する地点となっています。

 

正面に観覧車が見えてきますと、まもなく鹿児島中央駅に到着です。



17:22 鹿児島中央駅 着

今回はここで下車しますが、元来中心部の天文館まで連れて行ってくれます。

 

鹿屋から鹿児島まで非常に便利であるとともに面白かったです。料金も1400円で、特別高いという訳でもありません。

 

鉄道がほぼ無くなってしまった大隅半島ですが、ぜひこのバスを利用してみてください!

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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