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【4方向の路線全部廃止】名寄本線代替バスで紋別→中湧別 1日2往復のみ運行支線も[史上最長片道切符の旅(88)]

2023年4月19日

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【日本唯一】本線なのに全線廃止!?名寄本線を代替バスで行く[史上最長片道切符の旅(87)]

前回ご紹介した、1989年に廃線となった天北線。稚内〜音威子府を結ぶ宗谷バス天北宗谷岬線がこれを代替しており、日本最長距離を走る路線バスになりました。 しかし、これほど長い路線でも宗谷本線から分岐する ...

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昨日の夜は国内で唯一全線廃線になった本線、名寄本線のバスで紋別に来ました。

その中でも中心的存在だったのが紋別駅。この地域にはオホーツク紋別空港がありますが、鉄道駅は無くなって全国的な鉄道空白地域です。

 

跡地に立った商業施設には、鉄道が来ていたことを示すモニュメントが飾られていました。

 

現在の石北本線が貫く北見峠を越えられなかった時代、この名寄本線は札幌から網走を結ぶメインルートの一つとして、名寄と紋別を経由して迂回していました。

 

駅跡の前を南北に通る廃線跡は道路に転用され、メモリアル通線と名付けられています。機関車を模ったポールや街頭など、かつて鉄道が走っていたことを今にに伝えているようです。

 

流氷を見に行ってから紋別ターミナルへ戻ってきまして、143kmに及ぶ鉄道をたどる路線バスの旅を再開です。



11:00 紋別ターミナル 発

北紋バス遠軽行きのバスに乗車。この便に関しては北見バスの車両で運行されます。

乗車率はほぼ全部の区画が埋まっている程度。本数は1日9本と限定されていますが、都市間を結んでいることもあり、北海道の路線バスの中では標準的かと思います。

 

本町7丁目は今日宿泊した、紋別プリンスホテルの近く。周辺にはサツドラやコンビニエンスストアが集まっており、賑やかな印象です。

 

紋別市街地において廃線跡は、大部分がメモリアル通線として道路に転用されています。このバスが走っているのはそれを海側へ並行移動させたような、紋別丸瀬布線です。

 

左手にはバイオマス発電所の白い煙が見えてきました。工場の煙というより、氷点下2桁の寒さで水蒸気が目に見える状態になっているのでしょう。

 

また別記事でご紹介しますが、流氷観光船ガリンコ号が発着する海洋交流館の、最寄りバス停がこちらオホーツクタワー入口です。

 

その先には紋別市のシンボルとも言える、カニの爪オブジェが見られました。



現在走っている国道239号は、東は網走、西はなんと留萌までを結ぶ、想像を超えた北海道横断国道です。

一時的に北紋バス本社・紋別営業所に寄るため脇道に外れましたが、基本的に国道239号を走ることになります。

 

あおぞら交流館に入り込みまして、流氷公園バス停に停車します。

天候に関係なく屋内で遊べる、市民の遊戯施設のようなものです。

 

その先には北海道立オホーツク流氷公園が広がっており、その向こうにはオホーツク海を望むことができました。

 

右手にはメモリアル通線にはならなかった、名寄本線が見え始めたところ。この向こう側にはオホーツク紋別空港があります。

 

入り口近くには北紋バスのオホーツク紋別空港バス停があり、1人降りて行かれました。このバスについてはターミナルへ乗り入れたりはしません。

フライトに合わせた事前予約制の無料バスが設定されているので、利用される方はこちらをどうぞ。

 

ここで一時的に国道から離れまして、内陸側の道道873号へ。

名寄本線の廃線跡と交差しましたが、当時は踏切などあったのでしょうか。そもそも今走っている道路が無かったかもしれません。

 

その先で交差したのが、紋別空港関連の航空保安施設です。どういったものかよく分かりませんが、滑走路の延長線上に位置しています。

 

トラックなど走っている辺りが国道239号、その手前に廃線跡が位置しています。

 

国道へ戻る時には再び廃線跡と交差しまして、この時は防雪林に挟まれており非常に分かりやすかったです。

奥の方に一本松駅跡があるはずですが、現在ではその構造物は分からない状態。



国道239号へ復帰しました。

小向駅跡には紋別市小向農業公園が整備され、駅名標や転轍機など鉄道らしく大掛かりな設備が残っています。

 

ここからは牧場や田畑などが広がる、ど真ん中を突っ切っていきます。

 

右手には防雪林の向こう側、少し高くなっている盛り土部分が廃線跡です。

 

突然なんてことない景色の中に現れた水準点、平均海面からの標高を計り続けています。その向こう側にはコムケ湖があり、秋には一面のサンゴ草群落を見られます。

 

こちらは沼の上駅跡の近く、プラットホームとその上に駅名標が残されているとのことです。



紋別市から湧別町に入りました。

2009年に上湧別町と旧湧別町が新設合併する形で誕生しています。2023年現在、これが北海道における最後の市町村合併です。

 

ここで名寄本線廃線跡は南へカーブを描き、そのまま直線を走る国道から離れていきます。

 

路線バスについても川西3線停留所で左へ曲がり、国道から離れて北上します。



ここからバスは名寄本線の支線、湧別支線沿いへ向かいます。

中湧別駅から分岐し、湧別駅まで4.9kmを結んでいたこの路線。1日2往復しか列車が設定されておらず、名寄本線の一部だったために残っていた面も大きいです。

 

バスは湧別川を渡りまして、この先オホーツク海へ注ぎます。この先が湧別町の中心地であり、湧別支線は港町のために本線から外れてしまった、湧別中心部までアクセスする役割を担っていました。バス路線になった現在なら、ルートにとらわれずそこへ立ち寄ってから中湧別・遠軽方面へ向かえます。

 

湧別町は2020年時点で人口8270人の町。かつての湧別町と上湧別町それぞれの市街地が、細長いヘチマのように形作っています。

 

湧別バス停に到着、鐘を鳴らせそうなファンシーな待合室となっています。紋別からここで下車される方が数名いらっしゃいました。

 

その少し先まで進みまして、湧別庁舎前に到着。おとぎ話に出てきそうな赤い屋根の大きな待合所、ここでも下車される方がいらっしゃって、路線バスとはいえ都市間移動の需要が大きいことが分かります。

 

支線の終着駅である湧別駅は、湧別町湧別庁舎や郷土館などの向こう側に位置していました。

跡地には湧別町文化センターさざ波が建てられています。

 

支線で唯一の途中駅が四号線駅です。廃線跡はオホーツク・リラ街道に転用されており、中湧別駅まで辿ることができます。

 

北海道のDCMホールディングス、ニコット湧別店など大手ホームセンターも。

この辺りからいったん離れていた、国道239号に復帰します。

 

特にトヨタレンタカーまであるのは、かなり驚きました。遠軽や紋別空港からバスで来られた方が、ここで借りるのでしょうか?

 

地方の本屋さんの撤退が続く中、昭和レトロ感あふれる街並みが広がっています。

 

名寄本線はこのバスの終点、遠軽駅まで続いていますが、史上最長片道切符ルートの中湧別で下車しました。



11:56 中湧別文化センター 着

紋別から湧別までの需要としては5人程度、この先遠軽まで抜けるであろう方が残り半分を占めている様子でした。紋別〜中湧別の料金は900円です。

 

駅跡地周辺には湧別町文化センターTOMが開設されており、バスセンターのような役割も担っています。



中湧別駅に関しては、一部が当時のまま残されています

名寄本線、湧網線、湧別支線の乗り換え駅であり、4方向に分岐していました。

ここまで多くの方向に国鉄路線が伸びていながら、廃止された駅は中々無いと思われます。

 

木製の駅名標にプラットホームの屋根、跨線橋など見るもの全てがレトロチックです。

真っ黒に塗られた緩急車とラッセル車が展示されており、本当にタイムスリップしたのではと勘違いしてしまいます。

 

雪が積もっていない時季であればホーム上に降り立つこともできるそうです。しかし、逆に雪に埋もれている姿もこれはこれで好みです。

保存の観点からはあまりよろしく無いのかもしれませんが、ブルーシートが掛けられていないので冬でも楽しめるのが魅力的でした。

 

踏切や腕木式信号機など、今とはちょっと違う鉄道関連設備の姿も。廃止から34年も経てばローカル線でもその様子は変わるものです。

 

ここで降りてみて本当に良かったと思いますし、かつてターミナル駅として機能した駅の現在を見に、ぜひいらっしゃってください。



先程の保存された駅構内含め、中湧別駅跡地は道の駅中湧別として整備されました。

現在では道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯として、リニューアルオープンしています。

 

日帰り温泉に入ることもできまして、とにかく寒かったのにじんわり温まれました。

 

ここからは湧別線の廃線跡をバスで辿るのですが、なんとそのバスすら途切れている区間があります。

一体どうやってその区間を越えるのか、お楽しみに…。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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