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【模範的自動車駅】国鉄バスを引き継いだJRバス 鉄道ルートから外れた園福線乗車記[2304ダイナスター(4)]

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鉄道だけではなく、バス事業も行っていた旧国鉄。国鉄バスは鉄道の補助や代替の役割を担い、国鉄線の一部として扱われていました。

途中には鉄道駅と同様の機能を持つ大きな停留所があり、これは自動車駅と呼ばれます。

地方のバスターミナルに似ていますが、まるでプラットホームのような場所にバスが停まり、乗車券を販売していたりと正に「駅」と呼ぶのが相応しい施設です。

 

国鉄バスの中には、JRグループに継承されたものも存在します。

今回ご紹介するのはその一つ、山陰本線の園部駅と福知山駅を結ぶ、園福えんぷく線です。

 

園福線は1939年に開業した路線バスで、鉄道省、運輸省、国鉄へと運行主体が移行して、民営化後も西日本ジェイアールバスが引き継ぎました。国鉄バスの多くはコミュニティバスや既存のバス会社へ組み込まれていますが、こちらは今でもJR西日本の子会社が運行を担います。

 

しかし2022年12月、西日本JRバスは京都府生活交通対策地域協議会に対して、園福線の維持が困難と申し出ています。

少なくともJRバスとしての路線廃止が濃厚、今でも自動車駅の姿と国鉄バスの雰囲気を色濃く残す、路線バスの旅に出ましょう。



やってきたのは京都府の北半分、兵庫県との県境に位置する福知山駅です。

高架駅のためちょっと分かりづらいですが、山陰本線、福知山線、京都丹後鉄道宮福線が分岐する重要な駅となっています。

 

これらの他にもう一つ分岐する西日本JRバス、それが園福線です。

 

時刻表を見てみると本数が非常に少なく、確かに廃止検討されてもおかしくないスカスカ具合。

 

福知山駅から園部駅まで結ぶとだけ聞いたら、山陰本線があるじゃないかと思ってしまいますが、重要なのは走行ルート。

山陰本線が通らない桧山ひのきやま地区や、京丹波町の中心部を走ります。

 

日中時間帯では唯一の運行となっている、12:15発の便がやってきました。到着は発車前の結構ギリギリです。

 

経由に記されている、菟原うばら桧山ひのきやまが自動車駅として設定されていた停留所です。

 

JR系列らしく、全国共通交通系ICカードを利用できます。

 

乗車率は平日日中にしては結構高め。

もちろん本数が少なくこれに集中していないとおかしいため、そう考えれば確かに十分ではないのですが、割と利用者はいらっしゃる方です。



12:15 福知山駅 発

切り身を並べたみたいな高架駅、近くにはガラス張りの交流施設が立つ福知山駅を出発です。

 

福知山市役所周辺の市街地を走り抜けます。

 

その近くでドンと構えるのが、福知山城の天守閣。

福知山市は城下町として発展してきたため、このあたりが中心部です。

 

山陰本線をくぐりまして、この線路から離れて南下します。



路線バスが走るとは思い難い、立派な高規格道路である国道9号へ。

いよいよ遠くへ向かうんだという意気込みです。

 

と思ったら一旦国道を降りまして、工業団地の中を縫って走ります。

近くに福知山ICがありトラック輸送の便が良いため、このような工場の立地が見られる訳です。

 

その先は道の入り組んだ住宅街へ。平日の日中だったので、この辺りでパラパラと降りる方が多かったです。

 

多保市とおのいちから国道9号に復帰します。

先程の区間は福知山ICで舞鶴若狭自動車道へ接続するため高規格でしたが、それを過ぎたのでよくある一般道の見た目に。

 

非常に長閑な景色へ変わり、まさにローカル路線バスへ。土師はぜ川沿いを走ります。

 

山を登ってきた先、下ノ段からは高校生3人が乗車。福知山高校三和分校があるためと思われます。

 

このあたりは2006年福知山市に合併された、三和町の中心部です。交差点周辺は整備が進められ、コンビニやスーパーマーケットもあります。

 

なんてことないバス停にも、駅のシンボルと言える時計があり、旧国鉄バスらしさを感じました。



福知山市から京丹波町に入りました。

この境界は細野峠とされており、カーブの続く山道です。

 

ローカル線の無人駅感ある停留所、小屋みたいなバス停の中にはベンチが作り付けられています。

 

とにかく田んぼが広がる春の風景、鉄道路線から少し外れたところでは、非日常がゆったりと流れていました。

 

ここで京都縦貫自動車道と交差、近くには京丹波みずほICがあります。



そして園福線で最大の停留所、桧山駅に到着です。

今回乗車した目的と言っても過言ではない、立派な自動車駅の姿を残しています。

 

ここに大きなバスの車庫も置かれており、運行上の拠点でもあります。

 

ここでは10分の停車時間があるので、桧山駅の様子をじっくり観察できました。

 

まずはこの立派な屋根に、バスが発着するプラットホーム。

まさに鉄道の島式1面2線ホームで、ホーム上には待合室や事務所が残されています。

 

かつてはこちら側にも乗り場があったのでしょうが、現在は歩道が整備されて埋まっています。

 

ここで町営バス質尾線がやってきました。おそらく西日本JRバスと接続しているのでしょう。

このバスは桧山駅から山陰本線下山駅までを結ぶ路線で、京丹波町中心部を通らずに鉄道駅へアクセスします。

 

ホーム上の待合室や事務所からは、やはり地方のバスターミナルらしさを感じます。

それでもバスターミナルの建物にのりばが接しているのではなく、のりばに囲まれた島にバス関連の機能が詰め込まれているのが、大きな特徴です。

 

待合室の上には園福線の路線図が描かれています。

まるで別路線の駅同士を短絡するみたいですが、山陰本線の駅同士を結んで鉄道とは異なるルートを取っているのが現状です。

 

カーテンで閉ざされていますが、町営バスの事務所があります。窓口については備えられておらず、併設の京丹波営業所で定期券を販売しているそうです。

 

町営バスも色々な路線があるようで、懐かしのボンネットバスが描かれています。

 

行き先を示す看板の中には、なんと「三ノ宮」の文字!

神戸まで連れて行ってくれるのかと思いきや、京丹波町の地域の名前だそうです。流石にそこまでは行きませんよね(笑)

 

分厚い看板は大きく桧山“駅”と堂々たる主張。

誰がなんと言おうとここは駅だと言っています。

 

ただ、西日本JRバスによる運行でなくなれば、少なくとも「西日本JRバス」の文字は消されてしまいます。

鉄道会社の一部の路線バスという意味合いが薄れ、そうなれば園福線における歴史の大きな転換期です。



再びバスに乗り込みまして、園部駅へ向かいます。

桧山駅の自動車駅独特の雰囲気は好みのものですし、ぜひ再び訪れてみたいですね。

 

先程の桧山駅は京丹波町の中心部では無く、少し走りまして中心市街地へ。

須知高校の前で停車しまして、こちらの生徒さんも園福線を利用されます。

 

続いて京丹波町役場に位置する、自然公園前バス停に到着。この役場が相当新しく驚きましたが、2021年8月に完成した新庁舎との事です。

 

京丹波町は人口13,000人の町、山陰街道の宿場町として栄えました。

この街の中心部から鉄道駅までアクセスするため、各バス停から数人ずつ乗ってこられるように。円福線は路線両端の利用が多く、途中峠越えのお客さんが少ないです。

 

京都縦貫自動車道と交差し、丹波ICがあります。出口近くの道の駅に、マクドナルドや不二家が入居しているのに驚かされました。

 

ICを過ぎると景色が一変。自動車道が完全に市街地の境界となっていました。バスで鉄道駅へは行くのは少数派で、車で自動車道へ向かう方がほとんどなのでしょう。



自動放送は、その先急カーブが連続すると宣告してきました。

京丹波町と南丹市の境界に当たるトンネルで峠越え。

 

その先は山を下っていくのですが、たしかにかなりの急カーブが続いていました。



下山すると、ここからは園部の市街地へ。

園部大橋架替えのため作られた、迂回する仮橋梁を渡ります。

 

その先が南丹市の中心部であり、園部大橋バス停です。

離島にある海沿いのバス停みたいな、細長いベンチを囲う待合所がレトロ過ぎます。

 

山陰本線の線路を越え、京都府園部総合庁舎を見渡しつつ、園部駅に到着です。



13:57 園部駅 着

福知山駅より所要時間1時間42分、同じく山陰本線の駅へ戻ってきました。

 

料金は2170円、鉄道なら990円で倍以上の金額です。

 

それでも鉄道より地形の変化や、町の深くまで染み入っており、路線バスならではの楽しみを見いだせました。

 

ぜひJRのバスとして走っているうちに、乗ってみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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