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五能線を代行バスで乗り継ぐ 線路被害と中村川橋梁損壊の状況を観察[史上最長片道切符の旅(76)]
訪問日:2022年8月19日 2022年夏の大雨で、ローカル線の代名詞とも言える五能線も被害を受けました。 観光列車のリゾートしらかみは運休中。 東能代〜岩館駅で運行を再開しましたが、列車の本数は非常 ...
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おはようございます。
現在、仮駅舎での営業が続けられている、こちらは大館駅です。
コンクリート造りの大きな駅舎に、ホーム上屋も無くなっています。
まだ影も形もありませんが、新駅舎は2022年度にオープン予定です。
2022年8月の豪雨で花輪線・奥羽本線が被害を受けており、大館〜鹿角花輪駅、大館〜鷹ノ巣駅で運転を取りやめています。
今回乗車したいのは花輪線。代行バスの運行は22日からなので、今日は秋北バスによる振替となります。
改札で大館〜盛岡の振替乗車票を受け取りました。
利用しますのは、大館〜盛岡駅を結ぶ高速バスみちのく号です。花輪線の競合相手ですが、その利便性は非常に高いもの。
バスは大館駅前、2番のりばから発車します。
コロナで運休している部分もありますが、早朝から夕方まで1時間に1本以上で計10本(運休含めて計16本)の運行です。
それに比べて花輪線、盛岡まで走るのは1日5本です。
一般的な長距離バスと同じ、大型のバスが到着しました。バス車内には既に7人程、大館駅からは5人乗車します。
長距離バスなので、もちろんリクライニングシート。
USB充電ポートも備えておりまして、Wi-Fiも完備。交通系ICカードも利用できて、花輪線の出る幕はもうありません。
9:45 大館駅 発
駅前には大館駅の駅弁、鶏めしの販売店があります。
渡っているのは小坂鉄道の廃線跡です。
1994年に旅客営業、2009年には貨物営業も廃止し、現在は廃線跡でトロッコを走らせたりと、観光に利用されています。
東大館駅周辺まではアーケードが続いています。この周辺、鍛治町からの乗車も可能です。
国道103号に上がっていきます。途中待避所でババヘラアイスを売っている屋台があって、驚きました。
比内地鶏で知られる比内地域を過ぎ、米代川の対岸に花輪線が走っているはずです。
花輪線の駅でもある、大滝温泉にて停車しています。近くには、古そうなドライブインがあるぐらいです。
花輪線では道床流出が発生しています。
国道はほとんどの区間で線路から遠いのですが、近づいたところでは明らかに浮いている線路を見られました。
現在でも田んぼへ崩れた土砂の中で、水の溜まっている様子が分かります。
JR東日本公式発表の写真では、もっと山中で道床流出が発生していました。一部分の田んぼの中でこれですから、かなりひどい状況なのでしょう。
十和田ICから東北自動車道へ入ることができますが、バスは鹿角市内中心部を経由することになります。
スイッチバック構造の十和田南駅、大湯川の手前で盛り土部分が途切れています。
柴平駅近くで線路を越えると、重機で何か作業をしているところでした。
大館駅から58分で鹿角花輪駅前に到着。
花輪線の場合は平均で55分、わずかに鉄道の方が早いという結果です。料金は花輪線が770円、バスが1200円となっており、ダイヤを無視すれば鉄道の方が良さそう。
ここから多くの方が乗車されまして、通路側も埋まり始めるほどに。
ちょうど花輪祭の時季ということで、駅前には椅子が並んでいます。花輪ばやしという屋台を担いで夜通し街を歩くという行事がメインです。
道の駅かづのからも乗車されまして、座席は通路側までほぼ満席です。
鹿角八幡平ICより東北自動車道に入ります。
湯瀬PAにてお手洗い休憩。
自動販売機しかないので、何か買うのは難しいです。
今日は10分ほど遅れていたため、休憩は最小限に。時間を読めるかどうかは、やはり鉄道に軍配が上がります。
湯瀬温泉駅周辺には、たくさんのホテルや旅館が集まっています。
秋田県から岩手県に入りました。
高速バスはスピードを上げたまま、東北自動車道を走ります。日本の背骨を成すとも言える高速道路、これにローカル線が勝つのは厳しいはずです。
安代ICを降りてすぐ、場外馬券売り場のテレトラック安代に隣接するバス停を経由します。
奥には岩手山が見えてきました。木のひしめき合っている様子が感じられる、深い色です。
安比高原を過ぎますと、東北自動車道は盛岡方面へ南下するため、花輪線と離れていきます。
滝沢ICまで下ってきました。東側には岩手県立大学があり、IGRいわて銀河鉄道の滝沢駅が位置します。
滝沢中央スマートIC近くには、スイカのガスホルダーを見られます。スイカは滝沢市の名産物です。
盛岡ICにて高速道路を降りまして、一般道へ。
駅の裏側に当たる盛岡駅西側、綺麗な建物が立ち並んでおり、新たに開発されて来たエリアだと分かります。
12:09 盛岡駅 着
最後に、JR花輪線と高速バスを比較しましょう。
大館〜鹿角花輪の区間に限っては、JRの方がバスより優位に立っています。そのためか、この区間は列車の本数が多いです。
一方でそれ以外の区間については、料金・所要時間・本数全てにおいてバスの方が優位。かなり厳しい状況であることが分かります。
こちらはJR東日本が公開した、花輪線区間別のの経営状況です。
好摩〜荒屋新町 営業係数1,725 輸送密度418
荒屋新町〜鹿角花輪 営業係数10,196 輸送密度78
鹿角花輪〜大館 営業係数1,687 輸送密度537
ご利用の少ない線区の経営情報を開示します[PDF/1900KB]より
現在、不通になっている鹿角花輪〜大館は、比較的利用されている区間です。しかし、そもそも花輪線自体の利用が少なく、安心できるものではありません。
広範囲での道床流出という大きな被害の中、復旧への道筋は立てられるのか。市民は花輪線という鉄道をどのように捉えているのか、明るみになる機会だと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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