のぞみの案内でお馴染み
東京から新大阪方面へのぞみに乗車していると、『三河安城駅を定刻通り通過しました。あと10分ほどで名古屋に到着します。』というようなアナウンスが流れます。
そのため、三河安城は名古屋駅で降りる準備をするよう放送するための駅だとか言われることもあります。
しかしこの放送のお陰で何だかんだ有名な三河安城駅。今回はそんな三河安城駅を安城市民として詳しくご紹介していきます。
なぜ三河安城駅が出来たのか
そもそも候補地はどこだった?
1974年に名古屋・豊橋間に新駅を作ることを目的に東海道新幹線駅新設期成同盟会が結成され、4つの候補が挙げられました。
その候補地がこちら。
安城市は現在の三河安城駅の他に名鉄西尾線と交差する碧海古井駅周辺、岡崎市は単独駅の新岡崎(仮称)、そして幸田町は幸田駅を候補地に挙げました。
当時は新岡崎がかなり有力で、期生同盟会の会長は岡崎市長でした。
しかし1984年1月、愛知県が安城市二本木(現・三河安城)に裁定。これはトヨタが安城市二本木に作って欲しいと要望したという話もされています。後程お話ししますが、結果的にトヨタ社員の方が多く利用する駅となった点はよかったですね。
メリットしかなかった三河安城駅
1984年12月には三河駅(仮称)の建設が決定しました。
ここまですぐに三河安城駅の建設が決定したのは国鉄と安城市の思惑が一致したからです。
当時東海道新幹線の最速達はひかりでしたが、国鉄はひかりの本数をもっと増やそうとしていました。しかしそのためにはこだまを追い抜くための待避線が必要です。
そんな時に名古屋・豊橋間に新駅を作って欲しいという要望が来たのです。しかも総事業費用を負担すると言います。
実際駅を建設するのに総事業費の137億円を安城市が約50%、愛知県が約30%、民間寄付等が約12%、周辺市町村が約8%負担しました。
国鉄はタダ同然で待避線を手に入れられるのですから話もスムーズに進むわけです。
なぜ『三河』安城駅なのか
1987年5月、新駅の名称が三河安城駅になることが決定しました。
新幹線の駅名では通常『新』をつけますが、名鉄に新安城駅があるため、違う駅名にすることに。
そこで決定されたのが三河安城駅でした。
通常旧国名+地名の駅名をつける場合、中野駅(東京都)と安芸中野駅(広島県)や、河内長野駅(大阪府)と中野駅(長野県)のように遠くに同じ地名の駅があり、同じ駅名になるから旧国名をつけることがほとんどです。
また、近くに同じ地名があって旧国名をつけている駅として武蔵浦和駅がありますが、こちらは東西南北を頭につけた浦和駅がすべて存在したためどうしようもなかったとも言えます。
一方で三河安城駅の場合はたとえば西安城のようにも出来たわけです。なぜ三河安城になったのでしょうか。
これは理由が見つからなかったのであくまで予想になりますが、
仮称が三河駅だったことや、三河安城駅は安城ではなく三河の玄関口であるからというのが理由だと考えられます。
当時安城市、刈谷市、碧南市、知立市、高浜市を合併して碧海市にしようという構想が持ち上がっていました。これは政令指定都市にもなりうる規模です(現在はほぼ収束しています)
恐らく一案に碧海駅か碧海安城かが上がっていたと考えられますが、一部自治体が反対したのではないでしょうか。
それで三河安城駅になったというのが予想です。
個人的には碧海というのはなんとなく韻が悪いのでこれで良かったなと思っています。
三河安城から新幹線を使うの?
三河安城駅の1日当たり乗車客数は約7600人で、開業当時から3200人ほど増加しています。
ただしこれは新幹線と在来線を合わせた数であり、新幹線を利用する人はあまりいないように感じます。
それでは三河安城駅を利用する人はどのような人なのでしょうか?
安城市周辺の修学旅行生
安城市民の多くは修学旅行で京都に行きますが、その時に利用するのが三河安城駅です。それ以外の場合は名古屋や豊橋を使うことがほとんどなので、修学旅行の時以来使っていないという人がかなりいます。
この現象は他の駅でも見られ、岐阜羽島駅は尾西や岐阜の辺りの修学旅行生が使っているようです。
安城周辺のトヨタ系社員
三河安城の新幹線の利用客の多くがこの方々です。
安城市や刈谷市にはトヨタの工場や会社が数多くあります。例えばマキタやアイシンAWは安城市に、デンソーや豊田自動織機は刈谷市に本社を構えています。
また、安城市は工業生産出荷額が1兆円を超えており、全国でも有数の工業都市です。
そのため、そのような職場で働いた人が三河安城駅まで車で来て、新幹線に乗るということがあります。いわゆるパークアンドライドです。
そのような利用客のために駅前には多くの駐車場があります。安城市としては駐車場以外の都市機能を増やしたいようですが、駐車場の契約が40台待ちになっているそう。
スマートEXや乗り継ぎ割引の利用者
JR東海ではEXこだまグリーン早特という商品があります。これはひかりやのぞみの自由席よりもこだまのグリーン者に乗った方が安くなるという商品です。
それだったらこだまに乗ろうという西三河のお客さんがいます。
また、名古屋駅から南紀やしなのに長距離乗車する場合、乗り継ぎ割引の制度により、新幹線に乗車した方が安いということがあります。
以上のように新幹線を利用した方がお得という場合に利用する方がいらっしゃるようです。
後編では実際に三河安城駅をご覧に入れてご紹介します。
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三河安城駅はいらないのか?駅を観察して必要性を見る [安城市民が三河安城駅を解説(後編)]
この記事は後編です。前編はこちら↓ 三河安城駅を見てみる 新幹線駅はどうなっているのか 新大阪方面のこだまが入線。 ホームの端っこには屋根がありません。東海道新幹線の駅でホームに屋根がない部分があるの ...
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今回もご覧いただき、ありがとうございました。