こちらは仙台港中野埠頭、こちらに新しい鉄道車両がやってきました。
工場で完成した車両を運ぶ時は線路上を走る甲種輸送、そして船で運ぶ海上輸送があります。今回は下松市の山口県日立製作所笠戸事業所から船で運ばれ、ここに陸揚げされました。山形新幹線で走るE8系新幹線もその方法でした。
今回やってきたのは、4両の仙台市交通局南北線で走る新型車両、3000系電車です。
仙台市営地下鉄南北線は1987年に開業し、これまで1000系電車が使われてきました。
2004年から更新工事が行われており、全て更新済みの1000N系電車に変更されています。
新たな形式の車両新造は、1985年から38年ぶりです。
2024年秋よりこちらの3000系電車が導入予定、路線開業以来の新型車両となります。
2015年に開業した東西線には2000系電車が導入されており、路線を超えた車両形式の設定です。
それでは車両の様子を見られる範囲より観察してみます。
仙台市営地下鉄では一つの特徴となっている、扉部分の丸っぽい窓が特徴的です。
貫通扉が大きめになっており、断面からも日立製作所っぽさを感じます。
連結器を見てみますと、それぞれの差し込み口が丸く設置されているのが分かります。
こちらは3231の中間車両、床下から天井を繋ぐパイプっぽいものが付いていました。
製造年令和05年、HITATCHI2023の銘板が貼られています。
陸送の準備も整えられているところで、床下にはライトを点灯させる線が見られます。夜道路上を走ることになり、この線が光るのです。
続いて機能面にも着目してみましょう。
南北線は黒松駅から泉中央駅が地上区間となっていまして、窓にはUVカット加工が施されています。
ホームドアが設置されているため乗車時に路線がわかるよう、ドアの上側にラインカラーが引いてあります。
優先席のステッカーもすでに貼っており、身体内部に障害をもつ人を示すハート・プラスマークもありました。
貫通扉には引き戸の形で、扉がついています。
窓部分には支柱があるため、どうやら上から窓を開けられそうです。
乗降扉上部分には液晶ディスプレイが1枚設置されていました。
非常時線路上から乗降扉を開ける取手は、片側ではなく両方についています。
ロングシートの中に立っている棒、スタンションポールが設置されているのが見えます。
1000N系電車では7人掛け座席の真ん中にスタンションポールが設置されており、真ん中の人は股に挟んで座らないといけないという謎の構造。おそらくこれは改善されているはずです。
フルカラーLEDと思われる行先表示器も備わっています。
貫通扉のところにはマークがついていて、おそらく仙台っぽい絵柄が採用されているのでしょう。
床下には真新しいモーターなどが積まれていました。
1000N系電車では菱形だったパンタグラフですが、2000系電車と同じくシングルアームになりました。地下鉄ですが線路上ではなく、上からの給電です。
今度は3131、3231で顔の方へ回って来ました。
こちらは貫通扉にブルーシートがかかっておらず、貫通扉の広さが分かりやすいです。
運転台後ろには車椅子スペースが設けられています。
車両前面のデザインに関しては「南北線車両からの進化」「シンプルで優しい」「懐かしくて新しい」の3案からデザイン投票が行われ、「南北線車両からの進化」が48%の票を獲得して選ばれました。
3つの中でも特に近未来的印象、ブラックフェイスで角ばっているのが特徴です。
乗務員扉の前にも細い小さな窓がついており、死角をなるべく少なくする重要なところかと思います。
前面の扉は片側に寄って設置、ワイパーが2つ並んでおり、行先表示器が真ん中にはめ込まれていました。
真ん中に仙台市営地下鉄のSSマーク、ヘッドライトも鋭い形です。
先頭車の連結器は中間車とは異なる形状となっています。
泉中央寄りの車両は3631。
今回運ばれてきた4両は3131、3231、3331、そして3631です。
3431、3531が飛んでいますが、これは4両から6両に増両した時に対応するためです。
今回は新しい地下鉄車両として登場します、仙台市営地下鉄3000系電車の姿をご覧いただきました。
夜には陸送が行われていまして、11月から線路上を試運転の予定。2024年秋の営業運転開始を目指します。仙台地下鉄の新たな顔として、新型車両がどんなものになっているのか、今からその日が楽しみです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
【撮影協力:かんの さん】