2023年7月21日、岡山地区で長きに渡り活躍した、国鉄117系電車の定期運行が終了しました。
岡山駅改札周辺には、最終運行について掲示されており、古い電車だからこその愛着を感じる最終日でした。
ラストランは岡山駅に22:42着。
非常に穏やかなお見送りで、すぐに回送されていきます。岡山地区での31年間、お疲れ様でした。
そして本日2023年7月22日、岡山・備後エリアに新型車両227系500番台がデビューします。
愛称は“Urara(うらら)、営業運転初列車に乗りまして、出発式から車内の様子までご覧いただきます。
昨日は117系電車のラストランを表示していた画面。
今日は新型車両Uraraデビューのお祝いムードでした。
発車標でもUraraデビューについて繰り返し表示されており、新たな列車のお出迎えが整っています。
岡山駅1番線ホームは賑やかな音楽が流れており、おそらくJR西日本の社員さんによるもの。
新幹線の高架近くで暗いホームを、キラキラ輝く銀色の車体が照らしてきます。
ホーム先端部では出発式が行われていました。テープカット等も準備されています。
デザインコンセプトは「豊穏の彩」。『「豊穏」とは豊饒と穏和からなる造語で、岡山・備後エリアの豊かで穏やかな気候・風土を表現してい』るとのことです。(https://www.jr-furusato.jp/train/urara/より引用)
車体のシンボルカラーは「豊穏のピンク」。沿線の「岡山の桃、福山のバラ、尾道の桜」の象徴として採り入れられました。
帯状のグラデーションラインは、太陽の恵みや穏やかさを表現しており、 既存車両の黄色と「サンライナー」の暖色帯を継承したそうです。
「JR CITY NETWORK OKAYAMA」のロゴマークには、カラフルなラインカラーが用いられていました。
「Urara(うらら)」はTwitterへの応募1200件から選ばれたものです。特に岡山の桃のイメージにぴったりのネーミングに思います。
運行エリアは、山陽本線(岡山~三原)、宇野みなと線(茶屋町~宇野)、瀬戸大橋線(岡山~児島)、伯備線(倉敷~総社)です。
運行区間や線区は順次拡大するとのことで、岡山以西や、伯備線の備中高梁あたりも走るようになるのではと思います。
営業初列車の運行に選ばれたのは、普通列車総社行き。山陽本線を走り、倉敷駅から伯備線に入ります。
それでは早速車内へ入ります。
押しボタン式の半自動ドアとなっており、1車両あたり3つの扉には、押しボタンが設置されています。
もちろん内側には閉めるボタンも設置されているので、車内空調を効率よく効かせることができます。
ここで気になったのは、各ドア周辺で斜めに貼り付けられていた、金属板のようなもの。
おそらく将来的なワンマン化を考慮しており、ここにカメラが設置されるのでしょう。
かなり混雑していたので、車内のご紹介は終点到着後にも分けることにします。
この列車は227系500番台、近畿車輛で製造された車両です。
丸い吊り革は1800mm、1700mm、1624mmの3段階の高さで設置されていて、全てオレンジ色になります。
車椅子スペースが1編成(2両・3両)あたり2ヶ所に設置されており、結構多い印象です。
さらに車内犯罪抑止対策として、車内防犯カメラも設置されました。
それでは10:40、Urara営業初列車は岡山駅を出発です。
JR西日本岡山支社の「くまなく・たびにゃん」を着た社員さんまでいらっしゃいました。
ホームでは鉄道ファンに限らず、大勢の方がカメラを構えていました。岡山・備前エリアの新たな顔として見送られます。
岡山貨物ターミナルを通過している頃、車掌さんによって新型車両についての放送がされました。この新しく快適な車両は多くの方に受け入れられるに違いありません。
片方ずつのドア上にはLED表示器が設置されており、「まもなく北長瀬です」「北長瀬」が日英で流れました。
岡山駅を中心とした山陽本線はかなり混雑する区間。広い車内空間はこれに対応したものと思います。
また優先座席部分の吊り革については、低めで紐部分が緑色です。
中庄駅を出発したところから、運転台も絡めて後面展望へ。
速度計等はディスプレイ表示に統一されています。
この先ポイントを通るため制限がかけられているように思いますが、ここでは70km/hちょっと出していました。
どうやらこれは切り替えできるようで、一番左に表示されていた圧力計(?)が真ん中に来たり。
いろんなボタンが並んでいるのを真ん中に移したり、それぞれ運転士さんのやりやすいようにできるのでしょうか。
この列車は伯備線へ直通するため、ポイントを越えて山陽本線と立体交差します。
倉敷駅に到着しました。ここでかなり多くの方が下車されます。
岡山県内第二の都市。美観地区をモチーフにした、なまこ壁ホームから大勢の方に見送られます。
まっすぐ進む山陽本線から別れまして、伯備線に入りました。
このUraraの運行区間は山陽本線三原駅まで伸びており、広島県も走ることになります。
山陽新幹線の立派な鉄橋と立体交差、残念ながらタイミング的に新幹線からのお見送りはありませんでした。
高梁川沿いにカーブが連続する伯備線内、速度は60km/hくらいです。
井原鉄道の乗り換え駅、清音駅に到着です。
高架線で立体交差してきており、複線の伯備線に挟まれる形で真ん中にいます。
井原鉄道は乗換と車掌さんによる放送はされましたが、ドア上のLED表示では案内されていませんでした。
ここでちょうど、新旧伯備線普通列車同士のすれ違いです。
伯備線内を走ったのはふた区間、終点の総社駅に到着です。
LEDでも終点と表示されています。一方で同じJR線でも、桃太郎線(吉備線)乗り換えの表示はありませんでした。
お客さんが少なくなったところで、先ほど見られなかった車内の部分を。
座席モケットは京阪神と変わりなく、JR西日本の近郊電車の形を踏襲しています。
今回重要視されたドア付近ですが、補助席が一歩引いた形で、広々しているのがお分かりいただけます。
1編成に1つ備えられている、多目的お手洗い。
目の前に車椅子スペースがあって、入りやすいよう丸みを帯びた扉です。
車椅子にも対応する広々した室内。水洗操作はタッチセンサーではなく押しボタン式です。
使用中の場合はドア付近だけでなく、壁面にもライトが点灯します。
連結部分は通り抜けができて、運転席も見られます。
運転台正面に2台、右手袖部に1台のタッチパネル液晶モニターが設置されています。
ATS-SWだけでなくATS-Pを搭載しているため、上郡駅以東のおそらく姫路駅までの運行を想定していると思われます。
乗務員扉横には半自動ドア放送のボタンもあって、ボタンを押してドアを開けるよう促す放送が流れるのでしょう。
総社駅のホームに降り立つと、駅員さんがUraraの横断幕と旗を持っていらっしゃいました。
駅名が入っており、総社駅オリジナルのもの。一番最初の終着駅に選ばれました。
ドア連結部分には「近畿車輛2023年」と貼ってあり、Newly Debutedにふさわしいピカピカの銘板です。
ちょうどここで特急やくも号が追い抜いていきました。こちらも273系電車への置き換えが決まっており、共存する期間は短いはずです。
列車は折り返し岡山行き普通列車として、まもなく発車します。
ミュージックホーンを鳴らして出発しようとしたところ、またしても特急やくも号とすれ違いました。
40年選手同士岡山駅を発着していた117系がいなくなっても、新入りの仲間を歓迎しているようです。
【音量注意】
もう一度ミュージックホーンを鳴らし、岡山駅へ出発です。Urara(うらら)の名にぴったりの、穏やかな幕開けになりました。
UraraとRedwingが結ばれて、227で繋がる山陽本線。
「せとうち」に似合いすぎてるよ! pic.twitter.com/h8jbTTSeyH— パスケース (@Pass_Case) July 22, 2023
既に広島地区では、Redwingの愛称で親しまれる227系が投入されています。
この後Uraraは三原駅でRedwingと隣り合い、227形で繋がる新しい山陽本線の姿を見せてくれました。
きっと何十年も岡山の鉄路を走る新型車両。ぜひ優しく明るい列車に乗りに、岡山駅まで来てみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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