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【松山〜新大阪3時間半切り】JR四国最速! 特急しおかぜ&のぞみ(四国新幹線)[2306夜行ソニック(8)]

2023年6月23日

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四国最大の都市である、愛媛県松山市。

町外れに位置するJRの駅は少々寂しい雰囲気ですが、本州は岡山と結ぶ特急列車をはじめとして優等列車が発着。国鉄分割民営化を経てJR四国になってから、限られた市場の中でかなり頑張っています。

 

まだ構想の域を出ませんが、四国新幹線を誘致しようという動きも大きなものになりつつあります。

東京まで3時間、新大阪まで1.5時間と示されており、対航空機における競争は有利なものです。

 

現在でも特急列車性能向上や、岡山駅での新幹線乗継時間短縮などによって、その所要時間を短くしています。

今回は松山〜新大阪において、最も早い乗継をご紹介します。特に利用する特急しおかぜ28号は最速達便、JR四国本気の走りにフォーカスしたいと思います。



特急しおかぜは特急南風と共に、四国初の特急列車として運行開始しました。当時はそれぞれ高松〜松山、高松〜高知を結ぶ特急列車でしたが、瀬戸大橋線が開業してからその名前は、岡山〜松山、岡山〜高知の特急に与えられています。

特急しおかぜ28号の評定速度は82.99km/h、対して特急いしづち28号の評定速度は83.91km/hです。

JR四国の特急列車としては、高松行きいしづち28号が最速となります。

 

列車は8両編成で、前寄り3両が高松行きのいしづち号、後ろ寄りが5両が岡山行きのしおかぜ号です。途中宇多津駅で切り離しが行われます。

 

夕方の運行ということで、高校生の生徒さんが沢山並んでおられました。

四国では特急通学する方もかなり多い印象。自由席1車両に20人はいらっしゃいます。

 

松山駅では高架化工事が進められています。設計ミスで半年遅れ、2024年度末完成予定です。

駅前広場にスペースが取られており、将来的な新幹線ホーム設置を見越していると思われます。



特急しおかぜ25号として入線し、折り返します。

使用される車両は銀色の車体が特徴的な8000系電車です。東南アジアっぽい雰囲気を感じるのですが、オーストラリアにはこれを基に設計した長距離電車が走っています。

この列車は1992年に営業運転を開始し、2004年から指定・グリーン座席のリニューアルが行われています。

これが再度リニューアルする計画で、塗色が新型8600系電車風のオレンジ色になります。さらに指定席全座席と自由席窓側にコンセントが設置されるそう。

2023年12月に3両編成1本が登場予定、2027年度までに年間2〜3本ペースで施工するとのことです。これは非常に楽しみですね。

 

しばらく清掃が行われたのち、扉が開きました。今回は自由席を利用します。

手前が特急しおかぜ号、奥が特急いしづち号で連結部分がここです。

 

愛媛県南部から来た特急宇和海と縦列停車し、松山駅での特急乗り継ぎが便利です。



17:37 松山駅 発

左手に未来の松山駅を見つつ、地上の松山駅を出発です。真っ白な新しいコンクリート橋ですが、1年ちょっと先に列車が走るとは信じ難いもの。

 

いくつか踏切を越えたのち線路が下がってきて、この辺りで本線と合流するようです。

 

右手にはちょうど伊予鉄道高浜線の列車が並走しました。

松山都市圏における鉄道輸送は伊予鉄道がメイン、路面電車と郊外線両方によって、地盤を固められています。JR四国は完全に長距離輸送へ特化した状況です。

 

8000系電車の試作車は160km/hを設計最高速度とし、実際に150km/hでの実験運行が行われて、基準の600m以内停止が可能でした。

しかし、実際の営業運転で高速走行は行われず、現在の最高速度は130km/hです。



貨車駅舎が使われている、堀江駅を通過。

かつては広島県呉線の仁方駅から愛媛県予讃線の堀江駅まで、仁堀連絡船が結ばれていました。利用者低迷のため1982年に廃止されており、今では本州への船が接続していた駅には見えない規模です。

 

そんな船が航行した、瀬戸内海が広がり始めました。

まだ黄色い太陽が海全体をギラギラ照らしてくれています。夏至の時季に撮影しましたが、そうでないと大部分が暗い時間帯になってしまうのです。

 

最初の停車駅は伊予北条駅。最速達便ですが、日中通過するこの駅には停まります。

松山駅でご覧頂いた通り高校生の下校時刻のため、ある程度地域間輸送も考慮しなければなりません。

 

引き続き瀬戸内海沿いを走行、国道よりは内陸ですが山の淵に線路が敷設されており、結構ギリギリの様子です。

 

太陽石油のコンビナート真横を走ります。夜でも工場夜景のようで、真っ暗な車窓の中に突然現れるのが非常に素晴らしいところです。



伊予寒川駅で特急しおかぜ17号と行き違いました。

予讃線は大部分で単線となっており、特急列車であっても行き違いを行わなければなりません。

向こうの列車は最速達便を優先して運転停車中、通過するのを待ってくれていました。

 

遠くの方に目をやると、来島海峡大橋の支柱が現れます。

瀬戸内海に浮かぶ島々を繋いで結ばれた「しまなみ海道」。あちらは本州から瀬戸内海へ踏み出した一歩です。

 

今治市街に入ると高架線を上りますが、未だに100km/h出していて驚き。こんなのもう新幹線です。



17:04 今治駅 発

松山駅で乗車されていた高校生の生徒さんは、ほとんど今治駅で下車されました。

普通列車と比べて所要時間は半分ほど、松山に下宿するより安いことを売りにした特急定期券「快てーき」も発売されています。

 

欧米の時計台みたく建つのは、愛媛県で一番高いビルの今治国際ホテルです。高さは101.7m、松山市のビル達と大差をつけています。

松山市は特に松山城周辺で、景観計画による高さ制限を設けているため、建物の高さが低めなのです。

 

今治市は四国左上に出っ張った、高縄半島に位置しています。

JR予讃線はこれに沿った海岸沿いを走るのですが、自動車専用道は松山から今治まで迂回せずに東へ向かっています。四国新幹線のルートを決める際、今治を通るか通らないかが一番大きな議論の的になりそうです。

 

旧東予市の代表駅、壬生川駅に停車。2004年に西条市へ合併されて、市の西端部に位置します。ホーム上では七夕の装飾がされていました。

 

伊予小松駅でしおかぜ19号と行き違い。やはり向こうが待ってくれていました。

あちらは2014年に投入された新型車両、8600系電車です。全席にコンセントがあったり、テーブルが広かったりメリットも多いのですが、少し揺れが大きい印象があります。

 

この辺りで右手には四国最高峰の山、石鎚山が見えるはずです。しかし山脈のようになっていて、どの山なのか車内からでは分からないのが悩み(笑)

 

大分日が落ちてきまして、水の張られた田んぼにも真っ直ぐ映っています。



伊予西条駅に到着しました。

ここには四国鉄道文化館があって、フリーゲージトレイン第二次試験車が展示されている様子を見られます。異なるレール幅に合わせて変えられる軌間可変電車、予讃線でも試験走行が行われました。

 

西条市は新幹線の父と呼ばれた、十河信二氏の出身地。東海道新幹線建設のため尽力した政治家で、世界銀行から8000万ドルを借りたことで予算をつけることができました。

まだ新幹線が通っていない四国の地ですが、ここには0系新幹線が展示されています。



伊予西条駅を出発して程なく、次の停車駅は新居浜駅です。

まもなく駅に到着しようというところ、踏切の架線は非常に高くなっています。これは新居浜太鼓祭りでお神輿が通る為、安全を考慮して電化の際、高い位置に設置したのです。

 

新居浜市周辺には臨海工業都市が形成されており、出張に来られるビジネス客も多いです。

 

平野部や海岸沿いを走ることが多かったですが、ここで山の合間へ。少し高いところから見る集落も日本の原風景という印象が非常に強いです。

 

制御付自然振子装置を備えており、車体を傾けることでカーブでも速度を落とさずに済む特急列車。この速度で曲がっていくのには驚きを隠せません。

 

伊予寒川で貨物列車を追い抜きました。四国では高松貨物ターミナル〜松山貨物駅で貨物列車が運行されています。

 

伊予三島駅に停車したところで、特急しおかぜ21号と行き違い。少し向こうが待っていましたが、上下列車到着時刻を合わせてなるべくロスを減らしています。

 

伊予三島駅がある四国中央市は製紙業が盛んなまち。大王製紙専用線が伸びていて、その拠点が予讃線に隣接しています。

 

煙をあげる製紙工場の向こう側には、今にも沈みそうな夕日が燃えていました。

 

お隣の駅で同じ四国中央市ですが、特急列車は川之江駅にも停車します。

四国新幹線ができたらどちらかに統一されて、四国中央駅などになりそうです。

 

バラスト運搬車が停まっていて、何やらラッピングされているようでした。調べてみてもちょっとよく分からなかったのですが…。

 

瀬戸内海へと沈んでいく夕日、愛媛県を出るところで見届けることになりました。

 

県境の鳥越トンネルをくぐります。非電化時代の規格のまま電化されたため、高さは僅か4,250mm。パンタグラフを折りたためる高さを考慮すると、通過できる電車が限られています。JR四国の車両でもマリンライナーは走れません。



香川県に入って最初の駅、観音寺駅を出発しました。

この辺りは線形がよく、特急しおかぜ号も130km/hで飛ばしていきます。

 

駅を通過するのもこの速度、外からもこれを体験してみたくなりますね。

 

他のしおかぜ号と停車駅はほとんど同じですが、一部停車駅の高瀬駅を通過。

 

詫間駅も一部停車駅なので、通過となります。

 

その先瀬戸内海沿いを走るのですが、小さな島へ向かって何やら橋がかかっています。

あちらは津嶋神社、毎年8月4・5日のお祭りに橋板が架けられ、向こう岸に渡れます。

 

その近くに設置されているのが、日本一営業日が短い臨時駅の津島ノ宮駅。お祭りに合わせて2日間だけ列車が止まります。

 

愛媛県よりもかなり穏やかな印象、すり鉢状の島々も特徴的です。



四国鉄道発祥の地、多度津駅に到着しました。明治22年、多度津駅を起点に丸亀〜琴平で営業を始めたのが始まりです。

高知方面へ土讃線の分岐駅ともなっており、岡山駅から特急南風、高松駅から特急しまんとが走ります。

 

ここでも特急しおかぜ23号と行き違い。ここから先の予讃線は複線区間になるので、すれ違いを気にする必要はなくなります。

 

高架線を登ってきまして、丸亀駅に到着。

丸亀市は香川県第二の都市で、丸亀城の城下町として栄えました。丸亀城は日本一小さな天守閣、日本一大きな石垣のお城として知られます。



宇多津駅に到着しました。

ここからは本州方面へ向かう、本四備讃線が分岐します。ここまで一緒に連結していた、特急いしづち28号高松行きとお別れです。

 

発車標を見てみると、このように別列車として扱われています。

 

先に出発するのは前方の特急いしづち高松行きです。

間違えてしおかぜ号に乗ってしまい、「ちぎられた〜!」と慌ててらっしゃるお客さんも。発車前に気づいて宇多津駅で待てたのが幸いでした。



宇多津駅を出発し、いよいよ四国を脱出します。

ちょうど岡山からの特急南風23号が来ました。これから四国山地を越えて高知へ向かいます。

この2700系気動車もJR四国の本気を見せてくれる気動車特急で、非常に面白い列車。いつも乗ってみたくなる好きな列車の一つです。

 

このまま真っ直ぐ進むと高松方面へ行ってしまいます。左へ分岐するポイントに従って、岡山方面へ。

 

車窓右手では線路が三角形を描いています。

今走っているのが、岡山〜高知・松山。左から奥に向かうのが、岡山〜高松。奥から右へ向かうのが、高松〜高知・松山を結ぶ線路です。

 

岡山〜高松を結ぶ線路と合流しまして、瀬戸大橋へ入ります。

 

ちょうど暗くなってくれたおかげで、工場夜景も楽しめました。サンライズ瀬戸号に高松から乗ると、真っ暗な個室からキラキラ輝く工業地帯をみられて素晴らしいところです。

 

この瀬戸大橋は将来的に、今走っている線路の外側を新幹線が通る構造で作られています。橋やトンネルにスペースが空けられており、在来線と新幹線が並走できる訳です。

 

現在新幹線やその構造物が瀬戸大橋に載っていないため、バランスを保つため所々重しが載せられています。

 

この穏やかな瀬戸内海を高速鉄道が走ってくれたら…とどうしても思ってしまいますね。

 

海上の鉄橋を走ると騒音が大きくなります。沿線に住民の方が住んでおられる場所もあるため、速度制限をかけられる区間も存在します。



本州に渡って最初の駅、児島駅に到着です。

向かいには貨物列車が待っていました。ここでJR四国からJR西日本の乗務員さんに交代されます。

 

児島駅までは最高速度120km/hでしたが、130km/hへ引き上げられます。

 

本四備讃線は茶屋町駅で終わり、宇野線に入ります。

まだ瀬戸大橋が架けられていなかった時代、宇野線の終着駅である宇野駅から高松駅に連絡船が運行されていました。宇野駅は四国への玄関口そのものでしたが、その役割を終えてちょっと寂しさが残る駅です。

 

茶屋町駅から先、宇野線は単線になります。四国方面を行き来する特急だけでなく、マリンライナーや岡山都市圏で通勤電車が集結するこの区間。本数が制限されて混雑が問題になっていました。

 

そこで久々原駅手前から早島駅にかけて、2009年に複線化が行われました。

 

ここを狙って反対方向の列車とすれ違っており、ダイヤの成約を抑えています。

 

宇野線は全線複線化を目指していましたが、周囲に建物が迫っており、用地買収が困難で不可能という判断に。

一部区間でも複線化すれば、かなり効果があると見込まれて、現在の形に落ち着いています。

 

左手より山陽新幹線の高架橋が見えてきました。

四国新幹線ができたらこのあたりで並行、または合流して新幹線ホームへ入線するのでしょう。

 

瀬戸大橋のシンボルと思っている、マリンライナーがお隣に停車中。松山から最速でやってきた特急しおかぜ号は、2時間35分で岡山駅に到着です。



20:12 岡山駅 着

こちらは特急いしづちがいなくなった貫通面、のっぺりしていて無表情です。

 

2004年にリニューアルされた指定席は「S-Seat」と呼ばれており、難燃木材製座席になりました。

今後更にリニューアルされるのも、本当に楽しみですね。

 

この時岡山駅中央改札前で不審物が見つかっており、こちらの改札は使えなくなっていました。

かわりに地下改札を使うよう案内がされています。特に列車運行に支障は無かったようです。



それでは山陽新幹線に乗り換え、新大阪駅へ向かいましょう。

特急しおかぜ号からは8分の乗り換え、乗り換え改札があるのでよほど余裕はあるかと思います。

 

東京行き新幹線最終から1本前、のぞみ62号東京行きに乗車します。

 

充当されていたのは頬骨に線の入った、N700Sでした。

 

金色に輝くロゴマーク、特別感がありすぎてカッコいいですね。

 

非常に明るい車内に、スピード感を連想させる縞を貴重にしたデザイン。新幹線のスタイリッシュさを至るところで感じさせます。



20:20 岡山駅 発

やっぱり在来線特急と新幹線を比べるのは酷、加速の滑らかさから全く違います。

 

もうすぐ聞けなくなる『AMBITIOUS JAPAN!』の車内チャイムに続き、安心感のあるいつもの自動放送へ。

四国に新幹線が来た頃、N700Sはいるのでしょうか…?

 

発車から5分も経っていないのに、290km/hに至る加速力。ものすごい技術が詰め込まれています。

 

相生駅を通過した辺り、車内販売の方がいらっしゃったのでアイスを購入。山陽新幹線の車内販売はのぞみ号だけで絶滅寸前、いつも応援のため買うことにしています。

とは言っても四国に新幹線が来る頃には、絶対に無くなっているでしょう。

 

ビルの隙間から白鷺城が顔をのぞかせています、姫路城チャレンジ成功です。

 

20:51、新神戸駅に到着。

すべての列車が停まる駅ですが、通過線や待避線は無いため高頻度でやってくる新幹線を裁かなくてはなりません。

 

六甲山の山をトンネルで抜け、大阪の街が広がり始めました。松山から最速乗り継ぎを無事に終え、新大阪駅に到着です。



21:04 新大阪駅 着

松山駅からの所要時間は3時間27分

間に岡山駅での乗り換え時間8分を挟みましたが、かなりスムーズな乗り継ぎで来られました。

 

JR四国では貴重な電化区間において、特急しおかぜは本気の走りの最たるものを見せてくれました。

 

それでも戦前から使われる在来線の線路では、いくら車両性能を向上させても限界があるもの。

いつか新幹線が通って一本で結ばれる日を待ち遠しく思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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