JR西日本が「気軽に鉄道の旅を楽しめる列車」として運行している、WEST EXPRESS銀河。
2022年9月〜2023年3月は、京都・大阪〜新宮の紀南ルートで走っています。
今回利用するのはファーストシート。
特急列車のグリーン車に位置づけられており、夜行運転時のためベッドに展開できるという、素晴らしい座席です。
途中停車駅では、沿線の方々からのおもてなしも!
和歌山県最東端の新宮駅から京都駅まで、特別な10時間の旅をお届けします。
WEST EXPRESS銀河紀南ルートの始発駅、和歌山県新宮駅にきました。
駅前では歓迎の幟がはためいており、和歌山県が引き込んだ特別急行列車です。
新宮駅には車両基地が併設されており、ちょうどWEST EXPRESS銀河が鋭い眼光を光らせています。
車庫から駅ホームへ入線するのに入れ替え作業が必要で、12:32一度踏切を超えて熊野市方へ出てきます。
奥の方で一度停車しまして、ここで進行方向を変えます。
そして再び踏切が閉まりまして、1番線ホームに入線です。
WEST銀河に限らず車庫から新宮駅ホームへ入る時、このように踏切を閉めて入れ替え作業を行う光景を見られます。
ちょうど紀伊勝浦駅からの特急南紀6号が出発。並んでいる様子を見ることができました。
それでは改札へ向かいます。
発車標の表示は「特急W.E銀河」と省略されたものでした。
新宮駅から京都駅まで直通する定期列車は、新宮駅6:29発特急くろしお12号京都行きのみ。新宮に宿泊していない限り、中々見られない行先です。
そして今回利用するのがファーストシート。列車名は「銀河紀南ファースト・昼」となっています。グリーン車の扱いでして、WEST銀河では新幹線との乗継割引が適用されません。
乗車券と共に有人改札の駅員さんに提示します。
新宮駅1番線ホームを発着し、柱にはフラッグが掲げられていました。
しばらくすると2番線ホームに普通列車が入線するため、ここから編成全体を撮影できるのはそれまでです。
ファーストシートの車両となっています、先頭の1号車へ乗り込みましょう。
ドア横には瑠璃紺色の車体に馴染んだマーク、よつ葉だけでなく「Firt」の文字まで入れられていました。
1番前にはフリースペースがあって、グリーン券を持った乗客のみが利用できます。
高級感のある革張りの椅子が向かい合っており、左右の窓は開けることも可能。風を取り込んで列車の走行を感じつつ、前面展望も楽しめます。
反対を向きまして、木星みたいな暖色の縞模様の向こう側に座席が並んでいます。
デッキにいるとほとんど見えなかったのに、足を踏み入れたところで座席の全貌が、パッと目に飛び込んでくる。
一瞬ですごい列車だ!とワクワク感を掻き立てられます。
今回利用するのは進行方向左側、5B座席です。
座席は向かい合っているのですが、ボックスで5AB席を利用することができます。
当初昼行便ではA席とB席別々で発売されて、相席になる可能性もあったと記憶しているのですが、昼行便でもA席は発売しない方式になっていました。これは本当にありがたいですね。
13:02 新宮駅 発
ブルートレインで使用されていた『ハイケンスのセレナーデ』のチャイムが流れまして、車掌さんによる放送がなされました。
右手には車両基地が広がっており、特急くろしお号のバリエーション豊かな車両も止まっています。
早速左手にはいきなりの見どころ、王子ヶ浜が広がります。6kmに及ぶ弓形の海岸です。
トンネルを挟んで険しい岩場もあり、非常に迫力を感じられる区間になっています。
ボックスシートの座席、真ん中にはテーブルが備わっています。
窓側のコントロールパネルにはUSB充電ポートとコンセントが2口ずつ備わっており、長時間の乗車でも安心です。
窓枠のライトは周りの傘をぼんやり灯してくれて、特に暗いところだと明かりの優しさが際立ちます。上部分が星型になっているのも、『銀河』の名にふさわしいデザイン性です。
星型のつまみを回すと、天井灯の明るさを調節できます。夜になったらこれを暗くして、夜景も見やすくなるのでしょう。
4号車のフリースペースで車内販売を行なっているそうなので、それも兼ねて車内探索。
洗面台の鏡に丸い照明が埋め込まれており、非常に顔が見やすいです。洗面器も奥に向かって坂の、鉄道車両とは思えない形状。
洋式のお手洗いが備わっていまして、寝台特急サンライズ出雲瀬戸号よりも新しさが際立ちます。
しかも着替え台まで備わっていまして、特に夜行便の時、座席利用者でもここで着替えやすいのは嬉しいです。
2号車は女性専用車両になっており、ご覧のようなリクライニングシートと、寝転がれるクシェット(ノビノビ座席)が設定されています。
貫通扉には各号社のフリースペースが案内されており、それぞれ星にちなんだ名前が付けられました。
3号車にはリクライニングシートとファミリーキャビン(3〜4人用半個室)があって、こちらはフリースペース「明星」です。海側が窓になっており、グループでも語らいやすい場所となっています。
4号車フリースペース「遊星」に来ました。
一角のカウンターでは、新宮〜串本にて車内販売『銀河熊野マルシェ』が行われています。
WEST EXPRESS銀河のグッズや、沿線自治体の特産品を販売。
ご飯物としては、めはり寿司と、銀河オリジナルくまの牛コロッケバーガーを取り扱っていました。
お酒に合うおつまみも並んでおり、鉄道旅にぴったりすぎる品揃えでした。
こちらには沿線自治体のパンフレットや、和歌山大学による「うみえるマップ」が置いてあります。
4号車は1両丸々フリースペースになっており、バーカウンター風のテーブルやベンチなどが設けられていました。
向かい合ったテーブル座席は非常に座り心地が良く、座席から足を伸ばしてここで寛ぐこともできます。
中央部分には格子状の升目を描いた、盤面が設けられています。オセロやチェスを楽しめるようにしており、駒を持ち寄って遊べるようにしているようです。
13:25 紀伊勝浦駅 着
名古屋からの特急南紀号の終着駅、紀伊勝浦駅で5分の停車時間があります。
那智の滝がある熊野那智大社の玄関口ということもあり、ここから乗車される方も多くいらっしゃいました。
こちらの発車標では「特急銀河」、非常にシンプルな表記となっています。
ここで特急くろしお5号と行き違いました。
「ようこそ那智勝浦町へ」の横断幕に見送られつつ、紀伊勝浦駅を出発です。
続いてお隣の湯川駅でも運転停車。
海が非常に近くなっていまして、ゴツゴツした平たい岩を覗き込むようです。
ここで和歌山大学きのくに線活性化プロジェクト(きの活)さんの放送が流れました。地元の方々と協力して沿線で草木の伐採活動を行い、海の景色を見やすくしてくださったそうです。
うみえるマップも製作なさっており、4号車フリースペースに設置されていました。
この通りすれ違う特急列車や海が見える時間帯を記してくださっており、いつ景色に注目するべきか非常に分かりやすいです。Google Mapに釘付けにならなくても良くて、本当にありがたいものでした。
ここでは普通列車新宮行きと行き違いました。種別幕に自転車マークが描かれていますが、サイクルトレインとして自転車を折り畳まずに持ち込むことができる列車です。
さて、銀河熊野マルシェで購入してきました。
銀河オリジナルくまの牛コロッケバーガー、紀州南高梅甘熟梅酒です。
バンズに銀河のロゴマークが刻印されており、コロッケはお芋の甘さが特徴的でした。
和歌山といえば梅、フルーティーな香りに濃厚な甘酸っぱさが素晴らしいです。
ここできの活さんから、那智勝浦町についての放送。日本一高い那智の滝、日本一の水揚げ量を誇る生マグロ、そして日本一短い川「ぶつぶつ川」が紹介されました。水源が湧水となっており、わずか13.5mしかありません。
13:42 太地駅 着
太地町は捕鯨のまちで知られており、ホーム屋根の壁面にはペイントが施されています。
1面1線の駅ですが、ここでは3分の停車とかなり余裕を持った運行です。
串本町に入りまして、ロケットの看板が現れました。こちらは日本初の民間ロケット射場、スペースポート紀伊です。小型ロケットで人工衛星を打ち上げています。
紀伊田原駅で10分ほど停車。パンダくろしおによる特急くろしお26号に追い抜かれました。
奇岩を楽しめるというカヌーが人気の、古座川を渡ります。
14:20 古座駅 着
こちらでも3分の停車。駅があるのは串本町ですが、古座川町の玄関口でもあります。
そしてしばらくすると橋杭岩が見えてきました。
紀伊大島へ向かって約850mの岩柱が列になっており、その姿が橋の杭に似ていることから名付けられています。国の名勝天然記念物にも指定されました。
14:31 串本駅 着
こちらでは30分以上の停車時間があり、買い出しに行くこともできます。
跨線橋が設置されているので、この通り上からも見下ろせました。
駅舎では特産品の販売が行われていまして、うつぼ揚煮やロケットグッズなど。
中でも人気なのが、うすかわ饅頭です。
串本駅は本州最南端の駅、あんまり実感が湧きませんが、結構凄いところに来ています。
駅前にはオークワやファミリーマートがあるので、買い出しも非常に便利です。
発車標は「銀河」というシンプルな表記、駅ごとに違うのもまた面白いところですね。
うすかわ饅頭は「橋杭岩」の形をイメージしており、名前の通り皮が薄く餡が透けています。
餡子をそのまま食べているような感覚ですが、甘さ控えめでくどさを感じません。
ここで3分ほど遅れていました、普通列車新宮行きと行き違います。
15:07 串本駅 発(3分遅れ)
販売員の方々にお見送りされまして、串本駅を発車しました。
ここから列車は北上しまして、日本最大の紀伊半島を折り返します。
しばらくすると建設中の高速道路と交差しました。
現在自動車専用道路で繋がっているのは、すさみ南ICまで。2025年春には串本ICまでの開通を目指しています。
和深駅で運転停車が行われます。
特急くろしお11号「ロケットカイロス」ラッピング車両と行き違いました。
スペースポート紀伊で打ち上げ予定の「カイロス」初号機を応援しており、車内ではロケットの紹介も放送されているそうです。
ホームに隣接して置かれた彫刻は、きのくに線のアートプロジェクト「紀の国トレイナート」の一つ。
平野功二監督が自主製作映画『たまご』のロケ地として使用したことに由来します。
15:46 周参見駅 着
背の高い駅名標が有名な、周参見駅に到着です。駅舎にはユイ・ステファニーさんによる壁画が描かれています。
こちらの観光案内所ではコーヒーを中心とした、名産品などの販売が行われていました。
やっぱり推しは銀河オリジナルブレンドの銀河ブレンドコーヒー。大人気でみなさん購入されていきます。
イートインスペースもありまして、様々な行先方向幕やサボなどが展示されていました。
と言う訳でホットコーヒーを購入。先ほど串本駅で買ったうすかわ饅頭と共にいただきます。
16:04 周参見駅 発
18分停車し、地元の方にも見送られつつ出発しました。
この辺りで海から離れまして、山の中の峠越えです。
しばらくすると遠くの方に、観覧車や大きなホテルが見えてきました。あちらがパンダのいる動物園でも有名なアドベンチャーワールドです。
16:26 白浜駅 着
その玄関口となっています、白浜駅に到着です。特急くろしおだとこの駅で乗降されるお客さんが非常に多く、半分くらいが関西〜白浜の流動になっています。
向かい側には283系オーシャンアロー車両の特急くろしお32号が停車中。幕が引っかかっており、空港マーク入りのくろしおになっていました。
紀伊新庄駅で運転停車しまして、くろしお15号と行き違い。
北陸新幹線開業で余った683系、直流化して289系として特急くろしおに転属されました。
ファーストシートと言ったらベッドにできるのが特徴、日が傾いてきたところで展開してみます。
まずはテーブル下のレバーを握り、パタンと倒していきます。
続いて背もたれ側面の取手を握って、手前側に倒すだけ。
この通り完全な水平になりました。
反対側も同様に倒せば、もう完全なベッド状態です。
両側からレースカーテンを閉めることができまして、ある程度のプライベート空間を作り出せました。
カーテンはマグネットによってパチンと留められます。しっかり足を伸ばしてこの上ない寛ぎです。
肘掛けともフラットになった設計に感動、寝っ転がっても圧迫感の少ないのがよかったです。
夜行運転時にはシーツがあって、マジックテープで貼り付けることになります。
16:48 紀伊田辺駅 着
近畿最大の面積を誇る田辺市、和歌山県の2割以上を占めています。
紀伊田辺駅からは4号車にて、田辺市のボイジャーブルーイングさんによるビールの販売が行われていました。
「ゴールド」という種類、ビールサーバーから注がれます。
足を伸ばしつつ海の景色を見ながら、よく冷えたビールをいただける、なんとも素晴らしい時間を過ごしました。
印南駅を通過する時、かえる大橋が現れます。
構造的にはアーチにする必要がなかったのですが、総事業費9億3500万円のプロジェクト。それでも可愛らしい見た目は印南町のシンボルとなっています。
雲より夕陽が降りてきまして、いよいよ日の入りが近づいてきました。乗車してから早くも4時間経っており、あっという間に時間が過ぎています。
17:23 御坊駅 着
0番線ホームからは小さな私鉄線、わずか2.7kmの紀州鉄道線が伸びています。
湾に形成された集落を結ぶようにして、印象派の空と海を走っていきました。
有田川を渡りまして、この辺りは有田みかんの栽培が盛んです。
紀伊田辺駅から複線になっていまして、パンダくろしおによる特急くろしお19号とすれ違えました。
自然溢れる景色が続いていた中、工業地が広がるようになります。
初島駅周辺にはENEOS和歌山製油所があり、線路のすぐ近くに煙突が林立していました。
向こう岸には和歌山マリーナシティがあって、ポルトヨーロッパやリゾートマンションなどが立ち並んでいます。
海南市は特に重化学工業による臨海工業地域が形成されており、立派な発電所やコンビナートが広がっています。
18:02 海南駅 着
WEST EXPRESS銀河にぴったりの空色になってきました。オレンジ色の車内も映えてきます。
ここで特急くろしお28号に追い抜かれました。
改札には銀河の描かれたブラックボードがあって、ここから外へ出ることができます。
改札前では和歌山市のFunday Bagelsさんによる出店があります。
セブンイレブンの前では、WEST EXPRESS銀河のグッズ販売も行われていました。
銀河×Fundayコラボトートバッグとベーグルのセット(1500円)を購入。
和歌山県産さつまいもベーグル、玉林園抹茶&ホワイトチョコベーグル、紀州備長炭梅ベーグルの3種類です。
18:22 海南駅 発
ここ30分で一気に暗くなり、高架駅を出発していきます。
特急くろしお21号とすれ違いました。
そして遂に県北部の県庁所在地、和歌山駅へ入線していきます。
猫のたま駅長で有名になった和歌山電鐵のホームには、水戸岡デザインのうめぼし電車もいました。
18:33 和歌山駅 着
和歌山駅の発車標は臨時の表示になっています。
隣にいた紀州路快速が先に発車していきました。ホームでは乗車されない方も含め、多くの方が記念撮影をなさっています。
18:44 和歌山駅 発
和歌山駅改札前のセブンイレブンでチキンを買ってきました。
最後に夜の旅を楽しんでいきたいと思います。
和歌山市を形成してきた紀伊川、すぐに海へ注ぐため川幅が広く、長い橋梁で繋がれています。
紀伊駅で運転停車しまして、くろしお32号に追い抜かれました。イルカを思わせる鋭い顔つきです。
パノラマグリーン車からは前面展望を楽しめます。
更に特急くろしお23号とすれ違います。この山を越えるところで、和歌山県から大阪府に入りました。
和泉砂川駅にて時間調整のため運転停車が行われます。前後の紀州路快速に挟まれているため、それらに影響を与えない運行がなされているようです。
左手奥の方には、りんくう公園の大観覧車がライトアップされており、超高層ビルのSiSりんくうタワーが見られました。
19:28 日根野駅 着
関西空港線が合流する、日根野駅に到着しました。
撮影にきていたお子さんに運転士さんがシールを渡していたりと、心温まる光景も見られます。
お隣には紀州路快速がやってきました。後ろに関空快速を連結するためしばらくの停車、追い抜かれることなくWEST EXPRESS銀河が先に出発します。
JR阪和線は大阪南部の臨海地域、泉州地区を走っていきます。
東岸和田駅で和歌山駅を先に出発した、紀州路快速を追い抜きます。
そして日本一高いビル、あべのハルカスが見えてきました。その高さは300m、大手私鉄の近鉄が総力を挙げて建設しています。
20:03 天王寺駅 着
そんなビルの麓に位置します、天王寺駅に到着しました。JRにも阪和線の行き止まり式プラットホームがあって、まさに大阪を代表するターミナル駅の一つです。
WEST銀河は大阪環状線を通過しまして、新今宮駅を通過。
奥には通天閣が見られ、駅のすぐ近くには星野リゾートが大きくそびえ立っています。
天王寺駅から大和路線へ入る、大和路快速とすれ違いました。
紀南地域のローカル線から一本の列車でこの大都会まで、もうここまで来てしまったのかという寂しさを感じてしまいます。
右手には京セラドーム大阪が見えてきました。まるい形の周りにはヒダのようなモコモコがついており、非常に個性的なデザインです。
関空特急はるかとすれ違い、キティラッピングが施された列車は外国人観光客にも大人気になっています。
USJへ続く桜島線が分岐する西九条駅を通過。
ここからは特急くろしお・はるかと同様、貨物線を走ることになっています。
野田駅ではホームがないところを通過しており、大阪環状線に並行する貨物線を走っていることがよく分かります。
そのまま高架に位置する福島駅を横目に、WEST銀河は地下へと潜っていきました。
すぐに線路が分岐していきまして、2023年春に開業を果たした大阪駅地下ホーム、うめきたホームへ入線します。
20:16 大阪駅 着
大きく窓が開く車両でここへこられるのはWEST銀河ならでは。地下駅で特徴的な冷たい空気を感じつつ、大阪駅に到着しました。
ここから先は複線になっている貨物線、特急くろしお29号とすれ違いました。
だんだん地上へと登っていきまして、ガラスの反射なく見られる夜の貨物線を堪能しました。
複々線の東海道本線と並行して淀川を渡り、振り返ると梅田のビル群が並んでいます。
20:21 新大阪 着
東海道山陽新幹線のホームと直交している、新大阪駅に到着しました。
端っこに1番線ホームに入線、おおさか東線のホームになっています。
ここからは貨物線ではなく、特急サンダーバードや新快速電車が走る東海道本線を走行。前後の列車に影響を与えないよう、急いで走っていきます。
ベッド状態にしていた座席も、元へ戻すことに。
片側だけ背もたれを展開した状態だと、伸ばした足が浮いて、これはこれで足元の開放感も感じられるのが良かったです。
一部の特急列車が停車する高槻駅、次の新快速電車は12分後なのでそれなりに余裕がありそうですが、通過していきました。
大阪と京都の府境はこちら山崎駅に存在します。遂に京都まで入ってきてしまいました。
数日前まで正円だった満月が少しずつ削られて消える姿に、長時間の旅がいつの間にか終わってしまう儚さを重ね合わせます。
向かい側からは特急サンダーバードが通過。金沢からやって来るのもあと半年もありません。
向こう町の車両基地には特急くろしおで使われる車両たちが並んでいました。
くろしお33号和歌山行きに向けて、オーシャンアローが前照灯を点けているところです。
桂川駅を通過する頃、車掌さんによるアナウンスが流れました。
WEST銀河ならではのメッセージ、最後のハイケンスのセレナーデのチャイムは完全に泣かせにかかっています。
ちょうど西大路駅を発車した前方の普通列車、こちらが追い抜きそうになりつつも、そのまま差を付けられてしまいました。
右手には東海道新幹線が颯爽と通過してきます。小さな窓から漏れ出る光が連なる流れ星のようです。
左手の京都鉄道博物館屋外には、WEST銀河と同じ117系がいました。かつては新快速専用車両として活躍し、2023年夏に博物館へ収蔵されました。
そして遂に正面に現れました京都駅、端っこの嵯峨野山陰線31番線ホームへ入線します。
黒を基調にした近代的駅舎は、WEST銀河の舞台にぴったりです。
運用上の都合ですが、行き止まり式のプラットホームで終わるというのもまた粋。紀南からの旅に終止符を打ちます。
20:53 京都駅 着
関西圏の発車標では、WEST EXPRESS銀河の表示。偶然この列車を目にした方々にも、乗ってみたいとぜひ思っていただきたいです。
特に昼夜それぞれに合わせた座席にできるファーストシート、各々の旅の楽しみ方を堪能できる魅力的な座席でした。
しかも昼行きでもボックス単位で乗車可能なのは太っ腹すぎます。
昼行便でも全く長く感じず、車窓が変わりゆく紀南ルートならでは。ぜひ何度でも乗車して岐南への旅へいらしてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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