新大阪〜博多を結ぶ山陽新幹線では、かつて「ひかりレールスター」という列車が多く走っていました。
伊丹〜福岡の航空機に対抗すべく、2000年にデビュー。
最高速度285km/hにスピードアップし、のぞみ号から逃げ切ることで所要時間を短縮したのです。
しかし、2011年に九州新幹線が全線開通。ひかりレールスターの役割は、九州新幹線直通の「さくら」に引き継がれました。
ひかりレールスターとして活躍した700系レールスターの車両は、ほとんどが山陽新幹線内のこだま号で活躍しています。
それから年々本数を減らし、現在残っているのは新下関駅6:11発の「ひかり590号岡山行き」1本だけです。
そんな中、2024年7月13日限りではありますが、新大阪駅〜博多駅で臨時ひかりレールスター691号が設定されました。
しかも驚くべきは停車駅の少なさ。新神戸、岡山、広島、新山口、小倉、博多のみで、のぞみ号と言っても良いレベルです。
久しぶりに復活した、博多行きの下りひかりレールスター。
久々に本領を発揮する勇姿を見てみましょう。
やってきたのは新大阪駅の20番線ホーム。
東海道山陽九州新幹線が終結する新幹線ホームの中で、一番端っこに位置します。
後続のさくら号と比べても、停車駅の少なさが際立ちます。
ひかりレールスターを置き換えた、さくら号も顔負けです。
新大阪駅に停車している時点では、側面の行き先表示が「博多」とだけ示されていました。
11:47 新大阪駅 発
こだま号やさくら号が中心に発着するホームより、博多駅へ向けて出発です。
車両基地を見渡しながら、おそらくタブレット端末から流している自動放送が流れました。
読み上げソフトっぽいカタコトな喋り方です。
新大阪出発時点では、車内表示器も全く流れていませんでした。
しかし、次の新神戸駅に停車中。
車内表示器で文字が流れ始めました。
列車名で「レールスター」を示すとき、このようなロゴマークを流してくれます。
一方で、途中停車駅に関しては小倉駅が省かれていました。忘れられたのぞみ停車駅…。
11:59 新神戸駅 発
その後は700系レールスターの最高速度285km/hに向け、ぐんぐん加速。
神戸の山中をトンネルで貫いた後は、西明石駅を通過しました。
ひかり号が全て停車する姫路駅ですが、今回の臨時ひかりレールスターは通過。
しかも退避中のこだま号、ハローキティー新幹線を追い抜いてしまいました。
一昔前は、500系ののぞみ号と700系のひかりレールスターは、山陽新幹線の2トップで活躍していました。現在ではN700系による置き換えに伴い、どちらも各駅停車の顔です。
車内表示器で通過駅を示してくれるのはいつものこと。
しかし、700系レールスターが途中駅を通過すること自体珍しくなった今、この駅名を見られるだけで特別です。
さらに、姫路駅通過案内の直後には、「Rail Starただ今の速度は285km/hです。」。
東海道新幹線開通直後、車内のメーターが200km/hを超えるたびに歓声が湧いていたというエピソードを思い出します。
続いて相生駅を通過。現在ひかりレールスターが走っているのは新下関〜岡山で、このあたりは車両こそ同じでも、ひかりレールスターとして走ることすらありません。
定期列車として走る1日1本のひかりレールスターでは、「まもなく終点岡山です」と表示されます。この便だとこの駅は途中駅なので、終点との表記はありません。
12:33 岡山駅 発
岡山駅発車後にも、新大阪駅と同様の自動放送が流れました。
眼下には機関車の止まる車両基地が広がります。
伯備線と交差した先、新倉敷を通過。
700系レールスターがほとんど通らない、途中駅の通過線を引き続き駆け抜けます。
広島県に入りまして、県内第二の都市でのぞみ号が一部停車する福山駅を通過。
トンネルで山を潜り抜けると、新尾道駅を通過しました。
程なくして三原駅も通過します。
峠道もある山中を貫き、新幹線単独駅の東広島駅を通過。
13:12 広島駅 着
新しい駅ビルが姿を現しつつある、広島駅に到着です。
残る途中停車駅は、新山口駅と小倉駅。この少なさには本当に驚かされます。
新大阪駅〜博多駅で指定券を取ろうとしたところ、窓側は全部埋まっているくらいの混雑度。
しかし多くの方は広島駅で降りられまして、ジャパンレールパス利用の外国人観光客の方が占めているようでした。
次の通過駅は新岩国駅。ここで再びあの光景が見られます。
新岩国駅で停車中のこだま号を追い抜き!レールスターがレールスターを追い抜きます。
700系レールスターは基本的に各駅停車こだま号に充当されるため、このような光景はほぼ見られません。
最高速度285km/hとして走り続けてきたレールスターですが、周南コンビナートが見えてくると速度を落とします。
通過するのは一部のぞみ号が停車する徳山駅。
ここにはカーブがあるため、全列車が速度制限を受けています。
13:45 新山口駅 着
本州最後の停車駅となります、新山口駅に到着。
3色LEDでもしっかり、「ひかりレールスター」の表示がありました。
次の停車駅は小倉駅ですが、完全に忘れ去られています。
この時点で「終点博多」が案内されました。
山陽新幹線で唯一、こだま号しか止まらない厚狭駅を通過。
1日1本残っている定期ひかりレールスターも、ほぼ各駅停車なのに厚狭駅だけ通過します。
そして本州最後の新幹線駅、新下関駅を通過。
ここから先は再び、普段ひかりレールスターが走らない区間になります。
新関門トンネルに入りまして、本州から九州へ上陸。
赤い観覧車が見えてきて、北九州市の街並みが広がります。
14:05 小倉駅 着
結局車内表示器では、小倉の文字を見ることはありませんでした。
ひかりレールスターの車内放送を聞きながら、眼下には特急ソニックの姿が。
この体験ももしかしたら、これが最後になるかもしれません。
新大阪駅から2時間36分で、終点の博多駅に到着。
最高速度300km/hを出すことは無かったとはいえ、のぞみ号と同じような走りを体験できました。
これだけの距離疾走し続けたひかりレールスターは、山陽新幹線の終着駅に到着です。
14:23 博多駅 着
新大阪駅では「博多」だけだった行先表示器ですが、ここでは「ひかり博多」を示してくれています。
ひかりレールスターが九州のターミナル駅まで来た証です。
博多南線の案内がされている発車標に、「ひかりレールスター 当駅止」の文字。
これもめったに見られなくなってしまいました。
1日限りでかつての勇姿を示してくれた、ひかりレールスター。
いつか迎える引退の日までに、再びこのような列車が走ることを期待したいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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