京急では通勤・帰宅時間帯に合わせて、座席指定ウィングサービスを備えた列車が運行されています。
ライナー列車のようなもので、満員電車を避けて快適に移動可能。使用されるのは「Le Ciel」、ロングシートとクロスシートを切り替えられる車両です。
平日朝夕にはそれぞれ「モーニング・ウィング号」「イブニング・ウィング号」、土休日でも一部車両を指定席にする「ウィング・シート」として走ります。
イブニング・ウィング 14 号・16 号は,従来の8両編成での運行から「快特」の後ろに連結(4両:Le Ciel トイレ付)して運行する形態に変更し,「金沢文庫行」として運転(14 号:品川駅 20:58 発・16 号:同駅 21:19 発)いたします。
2023年11月25日にダイヤ改正が行われ、イブニング・ウィング14号・16号の運行形態が変更。
「イブニング・ウィング号」は一本の電車として運行されるのが基本ですが、この2列車は快速特急に連結して走るのです。
しかし、ウィング号と快速特急の停車駅は異なるため、ウィング号は通過する駅を快速特急のために停車。他にもこの特殊な運行により、駅での案内も大々的に行われます。
ダイヤ改正によって生まれた、不思議なイブニング・ウィング号。実際に乗車してその詳細をお届けします。
やってきたのはイブニング・ウィング号の始発駅、品川駅です。
品川駅におけるウィング号の乗車ホームは、基本的に3番線。コンコースの看板にもしっかり書き込まれています。
しかし、快速特急に連結して運行する14号と16号は、品川駅1番線からの発車。
ダイヤ改正後初めての金曜日とあって、駅員さんも質問されるお客さんに案内なさっていました。
座席指定券「Wing Ticket」は、京急のインターネット予約サービス「KQuick」でチケットレス購入が可能です。
料金は300円で、かなり低価格で利用できます。
品川駅1番線ホームは名鉄名古屋駅のように、列車種別ごとに乗車列が決められています。
JRとの乗り換え改札と面しているので、乗り換えは非常に便利です。
イブニング・ウィング14号はこちらの発車標で上から2番目。快速特急三崎口行きに連結されます。
前8両が快速特急、後4両がイブニング・ウィング14号です。
あくまで快速特急三崎口行きに座席指定Wing号が連結しているという扱いで、「後4両は座席指定Wing号です。」と付記されているのみでした。
見づらくて申し訳ないですが停車駅案内についても、イブニング・ウィング14号が停車しない「京急蒲田」「京急川崎」「横浜」、「金沢八景」より先が光っています。
ホーム上でもイブニング・ウィング14号利用者に向けて、駅員さんがボードを持って立っていらっしゃいました。
車内では快速特急からWing号への移動ができない上、京急蒲田、京急川崎、横浜ではWing号の扉は開きません。せっかくWing Ticketを買ったのに快速特急の車両に乗ってしまうと、Wing号車両の座席へ到達できないまま上大岡駅まで到達してしまい、300円が無駄になってしまいます。
奥の方へ進みますと、イブニング・ウィング14号へ乗車される方の列が作れられていました。
20:55、当駅始発の快速三崎口行きが8両編成で到着です。
こちらはロングシートで通常の通勤電車となっています。
続きまして20:57、快速特急の後ろにWing号が4両編成で到着。
ここで連結しまして、まるで快速特急に引っ張ってもらうように走っていきます。
乗車できるのは3、4号車の扉からで、1、2号車の扉は開きません。
そのため、1、2号車のお客さんは車内で移動する形になります。
この面倒を考えると3、4号車の座席の方が人気になりそうです。
扉あたりのお客さんが多くなるため乗車に時間が掛かってしまいますが、1分遅れで品川駅を出発しました。
こここからWing号の扉は、上大岡駅まで開きません。
20:58 品川駅 発
ここで快速特急とは別で、Wing号の放送が流れてきました。次は上大岡の表示になっています。
ここで乗車した扉の正面を見てみると、「イブニング・ウィング号 この車両は3号車」という張り紙がありました。
一方で、車内の液晶ディスプレイでは「11号車」と表示されています。これは快速特急の8両に連結しているため、8号車から続く形で11号車になっているのです。
しかし、Wing Ticketで指定された座席では3号車。座席指定券の号車と車内ディスプレイで表示されている号車が異なる現象が起きています。
おそらくその混乱を防ぐためでしょう。
10号車と表示されているところにもWing号2号車にも、扉に紙を貼る対応が取られていました。
ちなみに、2号車には多目的お手洗いが備わっています。大手私鉄の通勤電車でお手洗いがあるのは、結構珍しい印象です。
中を覗いてみますと、かなり広々していました。
JRの普通車お手洗いと同じような形です。
今回は座席に注目できませんでしたが、各座席足元と座席下のコンセントを利用できます。
また、ロングシートにもなるため、リクライニングはできません。
列車は快速特急の停車駅、京急蒲田駅に到着しました。
Wing号の停車駅には含まれていないので、ドアチャイムは鳴るもののドアは開きません。
快速特急の車両だけドアが開き、お客さんの扱いを行います。
ホーム上で駅員さんが十分案内してくださっているためか、こちらで間違って並んでいる方はいらっしゃいませんでした。
京急蒲田駅を出発しても、快速特急側はこの混雑です。
余裕を持って必ず座れるWing号との対比、特に一番先頭の座席に座っていたら気まずいかもしれません。
続きまして、京急川崎駅に到着しました。
こちらの駅も快速特急のための停車であり、Wing号の扉は開きません。
発車標ではWing号について全く触れないようにしており、両数も8両編成。後ろの4両は幽霊扱いです。
県庁所在地でなくても人口150万人の政令指定都市、東西に広い面積を有しています。
列車は100km/h超えの速度での走行。
通常のWing号では前後に快速特急がいるため速度を抑えられたりするのですが、この列車は連結しており同じ列車なので、その必要がありません。
これによりイブニング・ウィング14,16号は停車駅が多いのにも関わらず、品川〜金沢文庫38分で所要時間が一番短いです。
この辺りではJRとの併走区間、グリーン車を備えた東海道線とぴったりくっつきます。
神奈川新町駅で退避する列車を追い抜き、真っ直ぐの線路を貫いていきました。
ちなみにWing号の液晶ディスプレイは、まだ京急川崎駅の手前。全く変わらないままで固定されています。
神奈川県最大の都市、横浜駅に到着です。
誰もが認める大都市ですが、ここでも扉は開きません。
横浜駅で乗降するお客さんを区別して混雑を緩和すべく、通勤特急では横浜駅をスルーすることが結構あります。
快速特急は扉が開くので、かなりお客さんの入れ替わりが見られました。
いよいよWing号も最初の停車駅、上大岡駅に到着です。
実に30分ぶりに扉が開き、半分くらいのお客さんが降りて行かれました。
座席指定されているのは上大岡駅までで、ここから先は座席指定席券なしで乗車可能。Wing号車両にも乗車券のみで乗ることができます。
発車標の両数も12両になっていました。
次は終点、金沢文庫駅となります。
一方で前方に連結している8両の快速特急は三崎口行き。この先も運転し続けます。
上大岡駅発車後と金沢文庫駅到着前、自動放送で「後ろ4両は金沢文庫止まり」との案内がなされました。
車掌さんによる肉声放送でも、前寄り8両へ移動するよう流れます。
当然ながら、全てのお客さんが降りていかれることになります。
21:36 金沢文庫駅 着
これから三崎口駅まで乗車される方は、前より車両へ移動されることに。
後ろ4両は間違って乗車されないよう、すぐに扉が閉められました。
快速特急三崎口行きは、連結を外しながらすぐの発車です。
停車時間はわずかになっているため、8号車はかなりの混雑でした。
21:38、Wing号も割とすぐに出発。
三崎口方にある車両基地へ引き込まれていきました。
しばらくホーム上にいたら、向かい側に京急イエローハッピートレインが来ました。
京急といえば赤色ですが、その中で特に目立つ黄色。見られたらラッキーと言われる、ドクターイエロー的な立ち位置です。
しばらくすると21:54、車両基地の方面からWing号車両が回送列車として入線。しばらく停車したのち、上大岡方面へ発車していきました。
今回乗車したイブニング・ウィング14号の折り返しかと思いましたが、列車番号を見ると異なるもの。
しばらく滞在していましたが、その車両は来なかったので、おそらく車両基地で一夜を過ごして翌日の運行に就くものと思われます。
続いてイブニング・ウィング16号を連結している、快速特急三崎口行きが入線してきました。
こちらも同じく、後ろ4両のWing号車両は金沢文庫駅止まり。
前寄り8両の快速特急三崎口へ乗り換えて来られます。
こちらも同様に連結を外しながら、すぐの発車。続いてWing号車両も車両基地へ引き上げられます。
今回はダイヤ改正で誕生した、特別なイブニング・ウィング14号を号を紹介しました。
異なる種別の列車を連結して走らせることにより、慣れるまではちょっと複雑。それでもライナー列車としては十分快適なものですから、是非利用してみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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