いすみ鉄道 千葉

【房総半島横断】大赤字ローカル線・いすみ鉄道には何かある?

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千葉県のアイデンティティの9割を占めるであろう房総半島、小湊鐵道といすみ鉄道によって横断鉄道が維持されています。

しかし沿線の過疎化やレジャーの多様化による観光客減少の影響を受け、特にいすみ鉄道は全国的にも厳しい赤字ローカル線です。

 

2006年度には1億2700万円もの赤字で、2008年から2年間の収支検証期間の結果次第で存廃を決める方針まで立てられました。公募により民間から社長を選び、観光客流入に力を入れたことで収支状況を改善、現在まで存続しています。

 

2011年には急行型気動車キハ28を取り入れ、観光列車として走らせます。全般検査の必要性や車両老朽化により、2022年11月をもって引退しました。

 

鉄道ファンに頼った形ではなく、普通列車に乗車しまして、単純なローカル線としてのいすみ鉄道の魅力をお伝えできればと思います。



いすみ鉄道は国鉄木原線として開業しました。

国鉄民営化後、1988年にJR木原線からいすみ鉄道いすみ線に引き継がれています。

 

そのためJR東日本といすみ鉄道は一体の駅舎ですが、改札は分離されています。直通運転なども行っていません。

 

海岸沿いを行くJR外房線から分かれ、いすみ鉄道は内陸へカーブしました。

 

大原駅から2kmほどで西大原駅に到着。いすみ市街の西端ですが、自転車や車なら大原駅でも十分近いので利用者は少ないです。

 

列車は早速ひとつ山を越えます。いすみ鉄道が走る地域は房総丘陵の北端で、ボコボコとした山があちこちに点在しています。大きな山地があってトンネルで貫くのではないので、景色が色々変わるのが面白いところです。



上総東駅は三セク転換時に交換可能な構造となったため、今停まっている2番線ホームが新しめです。

行き違った列車はいすみ300型、あちらはセミクロスシートとなっています。

 

春には桜並木に変わるという、いすみ市新田野桜街道の横を走行。水鏡に映る列車と桜を一緒に撮れる撮影地としても知られます。

 

ホームに待合室が立つだけの簡単な構造、駅名標だけは昔ながらのまま塗り直されていました。

 

鉄橋で夷隅川を渡ります。漢字で書くとこうなるんですね。ひらがなの方が親しみやすさも感じられるので、市名も会社名もこれで良かったと思います。



国吉駅は旧夷隅町の中心部にあたります。

ここでは久留里線で活躍したキハ30形と、いすみ200型が保存されていました。本来いすみ鉄道の前身、国鉄木原線は久留里線と繋がり更津と原を結ぶ予定でした。

これらの車両が隣り合っているのも、その鉄路が結ばれたみたいで良いですね。

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2009年に駅舎がリニューアルしていて、商工会館と合築になっています。売店「VALLEY WINDS」があったのですが2019年に閉店。ムーミングッズ専門店としても知られていました。

 

夷隅町の中心部だったため、駅周辺は当然のように栄えています。

 

いすみ鉄道といえば菜の花を連想しますが、ここはGoogleマップでも菜の花スポットとして表示されている場所。小高くなっているため、菜の花の上を列車が走っているように見えるそうです。

 

上総中川駅から30分くらい歩いたところには、いすみポッポの丘があります。いすみ鉄道、北陸鉄道、銚子電鉄の車両をカフェとして利用、その他多くの車両を保存している博物館です。



ほとんどが開業当初から設置された、いすみ線の駅。

その中で一際新しいのが、城見ヶ丘駅です。2008年に開業したばかりで、丁度いすみ鉄道再生会議が定めた終始検証期間の2年と重なります。

 

おおたきショッピングプラザ・オリブが見えており、買い物客の利用を見込んでいます。さらに、ここには東京への高速バスが2時間に1本発着するバス停があります。

 

1996年に駅周辺の船子城見ケ丘団地の分譲を開始。大多喜城が見える事から名付けられ、順調に売約も進み人気だったようです。

 

いすみ鉄道は国鉄木原線として1930年に開業しており、夷隅川を渡る鉄橋もかなり年季が入っています。



途中では一番大きな駅、本社もある大多喜駅に到着です。

大多喜高校の最寄り駅で、いすみ鉄道は特に大原〜大多喜の通学需用を担います。

 

「城をイメージした駅舎でガス採掘発祥の地の記念ガス灯のある駅」という理由で、関東の駅百選にも選ばれました。

 

車両基地の真横には立派な大手門が構えています。

 

大多喜駅を出発して夷隅川を渡る時には、シンボルの大多喜城が見られました。山の上にそびえる天守閣は、房総半島の真ん中からこの地域を見守っています。

 

小谷松駅はテレビ番組でリメイクされて、待合室内には菜の花の絵が飾られています。更に紫陽花と絡めた撮影地でも人気です。



東総元駅のホームには、大きな桜の木が植わっています。

駅舎内にはおみくじが設置されており、沢山の方が回しに来ます。駅舎も窓が桜型にくり抜かれていますが、この駅舎は2007年「テレビチャンピオン2」で製作されたものです。

 

ものすごく蛇行している夷隅川、鉄道はなるべく川沿いを走りますが、直線で行きたいという考えもあるので所々山を切り拓いて線路が敷設されました。

 

そんな中にあるのが久我原駅。この駅は東京から一番近い秘境駅と言われます。

 

カーブを描きながら夷隅川を渡っており、周辺には民家の集まる様子が広がります。

 

水色に塗られた駅舎が特徴的な総元駅です。かつては機回し線もあった重要な駅で、その跡地には桜が植えられています。

 

西畑駅の待合所は、和風庭園でお茶を楽しめそうな見た目です。

 

最後に鉄橋を渡る時には、かなりの山奥。終点に近づくに連れて自然深くなっていきます。



いすみ鉄道の終点となる、上総中野駅に到着です。

小湊鐵道といすみ鉄道の境界駅ですが、無人駅で大きな駅ではありません。

 

国鉄木原線は、ここから久留里線へ繋がる予定でした。

結局房総半島を横断する鉄道はいすみ鉄道と小湊鐵道に。また一部線路は繋がっているものの定期直通列車は存在しません。

 

小さな鉄道会社がバトンを渡し、この大きな半島を貫きます。ローカル鉄道でありながらそれぞれに面白さがあって、ぜひ沢山の方に来てほしい場所です。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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