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【最東端の鉄路】冬の花咲線&特急おおぞら絶景ローカル線乗車記(厚床〜池田)[史上最長片道切符の旅(94)]
標津線厚床支線の廃線代替バスに乗り、厚床駅へ来ました。 ホーム上には今でも標津線が分岐していたことを示す、看板が立っています。 ここから乗車するのは北海道最長の本線を持つ、 ...
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国鉄分割民営化を機に、多くの赤字ローカル線が廃止された北海道。
その中で唯一第三セクター鉄道として、存続を決めた路線がありました。それが国鉄池北線です。
根室本線池田駅から石北本線まで、道東を縦断する140kmの鉄路。北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線は、日本一長い第三セクターとして北の大地を走り抜けていました。
この路線は2006年に廃止され、それから17年が経ちました。今日は廃線代替バスを利用しまして、池田〜陸別で途中下車しつつ廃線跡をめぐります。
やってきたのはふるさと銀河線の起点駅、池田駅です。
特に北見方面の案内は残っておらず、根室本線のものばかりでした。
2面3線構造の池田駅、ふるさと銀河線の面影が残るのはあちらの島式ホームです。
跨線橋を降りてホーム端へ行きますと、3番線ホームだけ短くなっています。
ちょうど根室本線の普通列車が走っていますが、その左側は切欠ホームになっていました。ここにふるさと銀河線ホームとして、4番線が設置されていたのです。
ちなみに池田〜帯広へのJR直通列車も設定されており、3番線から発着する場合もありました。
札幌〜釧路を結ぶ特急おおぞらが、全て停車する池田駅。
駅舎の柱は赤ぶどう色に塗られていますが、ワイン製造の街としても知られています。
その開発にもかなりの困難があったようですが、いけだワイン城と呼ばれる池田町ぶどう酒研究所の様子については、また別の記事でご紹介します。
ここから乗車するのはふるさと銀河線の廃線代替バス、十勝バス帯広陸別線です。
本数としては1,2時間に1本設定されているので、北海道の地方路線バスにしては十分便利な部類だと思います。
車体は工事車両ですかってくらい、眩しい黄色をしています。
このバスは帯広から来ていまして、ふるさと銀河線の各主要駅に寄りつつ陸別駅へ向かいます。
今回はここに表示されている、本別、足寄、陸別に寄ることとしました。
PayPay等QRコード決済による支払いもできるそうで、これはかなり便利です。
13:59 池田駅前 発
乗客は僕ひとりだけのまま、池田駅を出発しました。
ふるさと銀河線が北へ分かれていた直後あたり、根室本線の上を越えます。
そして、ふるさと銀河線の廃線跡は、バス通りの右手に続くことに。
奥の方には盛り土が見えていまして、明らかに鉄道が走っていた痕跡です。
だいぶこちらへ近づいてきまして、水路に渡された煉瓦積みの小さなアーチ橋も発見。
池北線は1910年に官設鉄道網走線として、池田〜淕別が開業したのが始まり。100年の歴史を持っている訳で、それだけの古い設備が残っています。
右手へ別れる道路の先には、様舞駅がありました。
板張りホームの小さな駅で利用者が少なかったため、2000年には廃止対象になりましたが、結局2006年の廃線まで残っています。
盛り土がすぐ真横に続いていまして、本当に鉄道と同じルートを走ってくれます。
鉄橋もまだ残っており、立入禁止の柵も設けられておらず現役さながらです。
池田ICを過ぎたばかり、道東自動車道の大きな高架を潜ります。
高島駅あたりを通過。
木造駅舎は解体されたものの、駅名標を中心としたモニュメントが残されているとのことです。
雪に埋もれた盛り土の切れ目からは、コンクリートの橋台らしき構造物を発見。
ちょっとした小川を跨いでいるようですが、それも隠されています。
ここまで道道237号を北上していましたが、国道242号に入りました。
道東自動車道が見えるほどまで並行する地点、大森駅跡横を通過します。
かつて仮乗降場だった簡素なホームで、痕跡は残っていません。
池田町から本別町に入りまして、最初の集落である勇足です。
勇足駅はコミュニティセンターとしてそのまま残っています。
駅前通りとなっている停車場線の先、正面に三角屋根の白い建物が見られます。
ここまでずっと他に乗客がいなかったのですが、勇足団地前でお1人乗ってこられました。
突如見えてきた大きな建物、こちらは北海道糖業本別製糖所です。
この向こう側に南本別駅がありました。
道東自動車道は本別JCTで分岐しており、足寄方面へ伸びている自動車専用道路の下を潜ります。
ここで、初めて明らかな廃駅跡を間近に観察できました。
それがこちら、岡女堂駅です。
1995年に開業しており、三セク化後に設置した唯一の新駅になります。
ぼやけてしまいましたが、ここに隣接しているのが豆屋とかち岡女堂本家。岡女堂駅については鉄道利用促進のため、岡女堂が約3000万円を負担しています。
本別町の中心街へ入ってきまして、昭和レトロな街並みが広がっています。
鉄道廃止時には9000人いた人口も、6200人程にまで減っており、特に過疎化が深刻です。
14:42 本別 着
本別駅跡には2009年、道の駅ステラ★ほんべつが建設されました。その裏に当時のホームや跨線橋などが残されています。
木造の跨線橋は鉄道記念館として整備するため、改修工事が施されました。雪で隠れていますが、線路部分はホームと同じ高さにまで埋められています。
駅名標や信号機、踏切の看板など、当時を思わせる設備が残っていました。
国鉄池北線からの歴史もここに記されており、「本別駅」の字体もJR北海道の「利別駅」などで見られるのに似ている印象です。
この跨線橋を中心に遊歩道が整備されており、奥の方には遊具なんかも見られました。
来た道を400mほど戻りまして、やってきたのは本別川橋梁です。
1908年に建設されて、97年に渡り活躍したこの橋梁。廃線後も修復保存されて残っています。
1945年7月には本別空襲を受けて、十勝最大の戦災地に。この時に受けた弾丸の跡が、煉瓦造りの橋台に残っています。
明治期建設の鉄橋や橋台は貴重な鉄道遺産であり、ぜひ立ち寄っていただきたい場所です。
道の駅から正面の駅前通りを見ると、かなり大きな町という印象です。
真っ直ぐ続く駅前商店街、これには銀河通りという名前が付けられています。
この先の本別町国民健康保険病院、総合運動公園がある太陽の丘を中心に、太陽系に見立てている形です。
ふるさと銀河線が廃止された後、本別町ではNPO法人銀河ほんべつが設立されました。旧本別駅を再活用して、中心市街地の充実と賑わいを取り戻すことを目的にしています。
旧本別駅に利便性や地域振興観光拠点としての役割を持たせること。そして本別町の特産品及び農産物の販売事業を行うことの2点が挙げられていました。
その結果、駅跡に建設されたのが、道の駅ステラ★ほんべつ。この法人は道の駅の運営を行なっています。
鉄道がいなくなっても様々なバス路線がここに集約されており、道の駅の売り上げも年間7317万円で黒字とのこと。(2019/06/22 十勝毎日新聞)
こちらは道の駅で販売されていました、本高フィナンシェです。
本別高校の「とかち創生学」で、生徒さんが特産品を活かしたレシピ開発に取り組み、実際に商品化まで漕ぎ着けたというのに興味を惹かれました。
黒豆きなこをチョイスしましたが、きな粉の優しい風味がフィナンシェの歯ごたえともピッタリです。はちみつを加えた事で、その甘さが引き立ちます。
本別町は日本一の豆のまちと言われており、味噌や醤油、甘納豆やどら焼き等のお菓子まで様々使われています。
カントリーサインのデザインにも、豆の「元気くん」は描かれています。
15:39 本別 発
1時間程の滞在だったので、駅周辺を一通り見て回るにはちょうど良かったです。
バスには3人乗車中、本別から1人乗られました。
引き続き銀河線のすぐ横を走り、水路を越える橋台がコンクリート造りになっていたりも。
引き続き雪原の奥には、ふるさと銀河線の盛り土がハッキリと分かりました。
仙美里の集落へ入ってきました。
線路などは撤去されてバス転回場になったものの、駅舎が残る仙美里駅へ。
ふるさと創生事業の一環で1992年に建設した、コミュニティセンターを併設した新駅舎です。
現在は仙美里鉄道記念館として、ふるさと銀河線の歴史を伝えています。
利別川を渡る時には、なんとなく橋台跡らしき構造物を見られました。
左手に続いていた道東自動車道も、足寄ICで終わりを告げます。
現在、自動車専用道で繋がっていない足寄IC〜陸別小利別ICについては当面着工しないとされていましたが、2014年に陸別IC〜陸別小利別IC、2021年に足寄IC〜陸別ICの事業再開が決まりました。
足寄の中心街に入ってきまして、足寄南6条で1人下車されています。歩道には高校生が歩いており、活気付いている様子です。
16:06 足寄 着
バスが到着したのは、いかにも昔駅舎でしたよと言わんばかりの木造駅舎の目の前。
しかし、実際に足寄駅だった建物はお隣のこちらです。非常に大きな時計台が特徴的、かなり新しそうでとても廃駅には見えません。
こちらは1995年に開館した「あしょろ銀河ホール21」、足寄駅を改築するにあたって複合施設として建設されました。
中へ入りますと線路が引かれていまして、向こう側の売店へは橋が渡されています。
こちらは足寄駅を側面からの見た様子。
かつては赤く塗ったところに線路が通っており、現在は壁が作られています。
現役当時は2面2線で、行き違い可能な構造でした。
廃線になってから、売店の拡張などに使われています。
天の川を思わせるような可愛らしい駅名標、壁には当時の鉄道車両が描かれています。
ここふるさと銀河線とは関係ありませんが、足寄で行ってみたかったのが、セイコーマート足寄店です。
なんの変哲もない北海道のコンビニに見えますが、現在ではお馴染みになった、ある商品の発祥の地。
それがこちら、ホットシェフです。店内に調理スペースを設けて温かい商品を提供する、セイコーマートの代名詞的存在にもなりました。
もし失敗してもバレにくいという理由から、足寄が最初に選ばれたそうです。
バス停を前にしたこちらの、いかにも木造駅舎の建物。
こちらは足寄駅北側に復元された、旧足寄駅駅舎を模した待合所です。
コーヒー屋さんが入居していまして、昔ながらの待合室には高校生の生徒さんたちが待っていらっしゃいました。
裏側へ回ってみると、白い駅名標が立っています。
さらに下には大量の足跡が並んでいます。
足寄にはその地名にちなみ、「日本足並み会」という団体が存在します。足寄の町に足跡を残してもらおうとして始まり、足形を採取して町内の歩道へブロックを敷設しているのです。
17:14 足寄 発
ちょうど観光大型バスが来て休憩中の様子、多くの乗客が出てきていらっしゃり、かなり賑わっていました。
レトロな木造駅舎を横目に出発、下校時間帯ですがお客さんは5,6人程度です。
2019年にオープンしたばかりの、ホテルレウスアショロ横を通過します。
足寄さんのカラマツ材を使った、ぬくもり溢れる木造ホテルとのこと。ぜひ泊まってみたかったですが、今日は日本一寒いあの街に宿泊です。
下愛冠団地の中を通りまして、引き続き国道242号を北上します。
右手に現れたのは愛冠駅、縁起が良い駅名であり現在でも観光資源として駅舎が残っています。
建物の形も駅名にちなんで、王冠みたいな形です。
ふるさと銀河線がずっと沿っている、利別川を渡ります。
西一線駅、塩幌駅などホームだけが設置されていた、簡素な駅たちを通り過ぎました。
かなり日が暮れてしまいましたが、阿寒湖方面への険しい山々が見られます。
ほとんどが山で占められている足寄町、面積1,408㎢は2006年まで日本一広い市町村でした。
上利別の集落へ入りまして、2002年に閉校した上利別中学校跡を通過。
校舎はそのままに残っており、夜の廃校はどうしてもちょっと不気味に思ってしまいます。
上利別に到着、現在バス停近くにお手洗いがあるだけですが、かつて上利別駅の木造駅舎が残されていました。
しかし、2015年の暴風雨で駅舎屋根が損壊。2016年に解体されて、旧深名線沼牛駅の修繕に活用されています。
元々仮乗降場だった笹森駅近くを通過、周辺に民家は無く本当に真っ暗なところです。
大誉地駅は集落の反対側に位置し、活用方法が模索されたものの、2015年に駅舎が解体されました。
少し離れたところの薫別駅跡を過ぎ、足寄町から陸別町に入りました。
今日使っているのは、ビジットトカチパス1日券。
北海道拓殖バスと十勝バスの十勝管内全路線バスが、1500円(2022年4月現在2000円)で乗り放題となります。長距離乗るのに加えて途中下車もしたので、かなり便利に使わせていただきました。
陸別町の中心街まで来まして、終点の陸別に到着です。
17:55 陸別 着
ふるさと銀河線の廃線代替バスは全て陸別駅で分断されており、十勝バスはここまでです。
陸別町と言えば日本一寒い町。-12℃ならまだ暖かい方で、これからどんどん寒くなります。
1993年に改築された駅舎が使われており、駅事務室跡には十勝バス陸別案内所が入居しています。
2000年に道の駅となった「オーロラタウン93りくべつ」と陸別駅の複合施設でした。
2階は宿泊施設「オーロラハウス」であり、泊まることができます。
明朝、陸別の本当の寒さを体験するためにも、ここで宿泊してみることにしました。
カーテンを開けると目の前にツララが構えており、まるで世界が違います。
陸別駅の構内は保存されていまして、今でもホームへ出ることができます。
ここに止まっているのが、営業当時からの気動車CR75形気動車。
2002年にデビューしたラッピング車両「銀河鉄道999号」で、現在でも運転体験ができます。
夜には互い違いのホームが照らされており、まるで現役路線のよう。一方で線路は完全に雪で埋もれ、この時季は走れない状況です。
日本一寒い町は朝方のほうが寒くなります。一体どれだけの気温になっているか、非常に楽しみです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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