【高速バスと比較】名古屋〜富山2時間35分 特急しらさぎ+新幹線最速乗り継ぎの終電に乗ってみた[2024ダイヤ改正(19)]
2015年春に北陸新幹線が長野〜富山で開業するまで、名古屋から北陸を結ぶ特急しらさぎ号は名古屋・米原〜富山で運行していました。 北陸新幹線金沢延伸に伴い、特急しらさぎ号は全て金沢止まりに。名古屋から富 ...
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北陸新幹線金沢延伸に伴い、北陸本線から経営移管された、あいの風とやま鉄道。
沿線に美しい白山が見られ、観光列車「一万三千尺物語」が走っています。
通常は富山駅〜泊駅での運行なのですが、今回はえちごトキめき鉄道へ乗り入れる、年1回限りの特別運行「一万三千尺春物語」。
えちごトキめき鉄道の観光列車である、雪月花と相互乗入します。
今回は特別運行の「一万三千尺物語」と「雪月花」両方に乗車。普段走らない区間を走る、特別な観光列車の姿をお届けします。
車内で提供される富山の海の幸も含め、ぜひお楽しみください。
まずは旅の始発駅、富山駅に来ました。
一万三千尺物語は、インターネットや電話で予約可能です。有人改札を入ったところの、特設カウンターで受付を行います。
料金は大人16,500円・小人8000円。通常便でも同じ料金です。
10:35、泊駅方にある車両基地より入線してきました、一万三千尺物語です。
標高3000mの立山連峰を象った水色の稜線、赤いラインは朝日に色づく立山と富山湾をイメージし、深海1000mの富山湾は深い青色で塗られています。
お手洗いで窓の無い部分には、ヘッドマークと同じ金縁のシンボルが。こちらでも立山連峰が輝いています。
2号車は厨房・売店になっており、厨房部分の扉や窓は閉じられています。
こちらで作られた素敵な料理が、車内で振舞われるのです。
この車両はJR西日本より譲渡された、413系電車です。
トップナンバーの3両を改造し、観光列車として2019年に運行開始しました。
国鉄車両の荘厳さを和らげるかのようなデザインで、これからの観光列車の旅をワクワクさせてくれます。
運転室には、あいの風とやま鉄道のキャラクター「あいの助」がいました。
あいの風に包みこまれるホトトギスをモチーフにしており、万葉集で何度も詠まれた鳥であることに因むそうです。
それでは今回過ごすことになります、1号車の車内へ入りましょう。
1号車にはカウンター席含め、2人用、4人用ボックスシートと、バリエーション豊かな座席が並びます。
天井やテーブルに使われているのは、ひみ里山杉です。
一万三千尺物語のデザイン設計は、「プリフィクス」と「五割一分」のユニット。
プリフィクスは富山市出身の編集者、藤井大輔さんが中心の編集プロダクション。割一分は1972年富山で設立され、建築設計や家具販売など、広告・アートディレクションを行っています。
今回は3人で利用するため、4人用テーブルへ。
まずはウェルカムドリンク、「幻の瀧 柚子スパークリング」をいただきます。
大きな窓のブラインドには、外観と同じく朝日に照らされたような、立山連峰の姿が。
列車名の「一万三千尺物語」は、立山連峰から富山湾の高低差が4000mで、尺貫法に直すと一万三千尺であることが由来。その高さ分富山の魅力がギュッと詰まった列車になっているのです。
10:55 富山駅 発
駅員さん方もお見送りしてくださいまして、富山駅を出発しました。
富山地方鉄道や北陸新幹線と共に、富山県を東へ。
年1回の特別な一万三千尺物語は、7人のアテンダントさん方と走り出しました。
この時3月下旬に差し掛かっていましたが、少し前まで雪がちらついていたそう。車両基地にはラッセル車両がいました。
また、いつも一万三千尺物語が置かれているところに横断幕があって、職員さんがお見送りしてくださいました。
一万三千尺物語の食事は、富山湾鮨コースと越中懐石コースの2種類。今回は富山湾鮨コースです。
最初に来たのは茶碗蒸し。いつものような馴染みある、優しい味です。
テーブルに置かれていた箸置きとコースターは、持って帰って良いとのこと。
ちゃんとしたグッズにすら見えますが、これを持ち帰れるとはかなり嬉しいですね。
滑川駅あたりで、富山地方鉄道と並走。絵に書いたようなレトロ電車が停まっています。
そして左手には富山湾も顔を覗かせてきました。
早月川では、かなりスピードを落として徐行。立山連峰まで7つの橋を一度に見られます。
早月川の河川敷では、魚津市の方々が大勢手を振ってくださいました。
ここで遂に、楽しみにしていたお寿司です!
2段になっており、車内で握られたとは思えないクオリティの高さ。
富山県鮨商生活衛生同業組合さんによる、オリジナルの8貫です。梅貝、氷見ぶり、紅ズワイガニ、昆布〆、白海老、甘海老、烏賊、めじマグロ(右から順)になります。
海老はわざわざ飾り切りされた切込みで、特に白海老の歯ごたえと甘さが幸せすぎました。
握り以外に、氷見ぶりやマグロのお造り。お刺身がとろけるってこういうことかと。
白エビの揚げ物も、サクサクしていてとっても美味しかったです。
魚津城跡の魚津市に入りました。
魚津城跡に建てられた廃校の小学校屋上からは、たくさんの幟を振ってのお見送り。
伊予灘ものがたりの大洲城を連想させます。
かつて特急サンダーバードも1往復来ていた、魚津駅でもお出迎えです。
黒部市に入って生地駅周辺には、ファスナーで有名なYKKの工場が集積しています。
YKKはYoshida Kogyo Kabushikigaishaの略で、創業者の吉田忠雄さんは魚津市出身です。
黒部川のトラス橋を渡っているところ、なんと鉄橋の上で停車までしてくださいました。
水流との境目に、平べったく丸い部分が見えるかと思いますが、あちらは橋梁が架け替えられる前の橋台跡。それが今でも残っているんですね。
やや霧がかっていた立山連峰ですが、徐々に晴れてきてその姿を見られるようになりました。
これから糸魚川へ向かうにあたって、越えなければならない山も目の前にそびえます。
列車は泊駅を通過しました。
この駅は、あいの風とやま鉄道とえちごトキめき鉄道の、運用上の境界駅。大抵の列車はここで乗り換えが必要です。
旅客列車で泊駅を通過できるのは、かなり珍しい体験となります。
また、通常の一万三千尺物語は泊駅で折り返し。
普段この列車が走らない区間へ入り、富山湾もすぐ左へ広がるようになりました。
この先新潟県内に掛けて、トンネル区間も多くなります。
食事が終わりまして、最後に上生菓子とコーヒーをいただきます。
コーヒー、緑茶、紅茶から選べますが、コーヒーはYKKがブラジルの農園で栽培した豆で淹れているそう。
富山市の引網香月堂さんによる、上生菓子をいただきます。桜がほのかに薫る餡で、しっとりした味わいです。
越中宮崎駅を通過しまして、遂にえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインへ突入。
その先で富山県から新潟県へ、県境を越えました。
新潟県に入って最初の駅、市振駅に到着です。
ホーム向かい側には、既に雪月花が停車済み。
雪月花・一万三千尺物語の相互乗入を記念した横断幕が掲げられていました。
11:56 市振駅 着
こうして日本海側の観光列車が並んでくれる、年1回限りの機会です。
鉄道ファンの方々もたくさん写真を撮られていました。
ホーム上ではプレゼント交換を行うイベントも。
あいの風とやま鉄道のアテンダントさんが、雪月花の手提げをお持ちになっています。
ひと足早く雪月花が発車。
後ほどこの折り返し便に乗車するので、その様子もまたブログ記事にてご紹介します。
雪月花が出て4分後にこちらも出発するので、車内へ戻ってきました。
こちらは厨房と販売カウンターがある、2号車です。
山側に通路が寄っていて、細長いガラス窓から厨房の様子を見学できます。
ここでお寿司を握ってくださり、素敵な料理が提供されたのですね。
厨房の入口には暖簾が掛かっていて、まさにお寿司屋さんが車内にあるのを再現しています。
12:07 市振駅 発
ちょうど、えちごトキめき鉄道の気動車とすれ違い。
基本的に、あいの風とやま鉄道とすれ違うことはありません。
2号車には販売カウンターが設けられていて、グッズ販売を行っています。
上には日本酒の瓶がずらりと並んでおり、日本酒バー的な雰囲気。
カウンター向かいの一角には、写真スポットやスタンプ台なども。
レストラン列車なので、お手洗いや洗面台まで設けられているのが安心です。
列車は日本海ひすいラインの中でも海が近い、親不知海岸へ。
海の上に高速道路が通っている、非常に珍しいところです。
おそらく、この北陸自動車道をトンネルで通してしまうと5000m以上になり、危険物を積載したトラックが通れなくなるため、海上を渡したと思われます。
えちごトキめき鉄道に入ると、一気にトンネルが多くなります。
この暗いトンネルで木のぬくもりを感じられる、穏やかな社内の雰囲気がまた良いんですよね。
トンネルとトンネルの間には日本海、どれだけ険しいところを走っているのか突きつけられます。
そんな場所でも観光列車ののんびりした時間に身を任せていればよいのですから、気楽なものです。
そんな観光列車の旅も終りが近づき、右手には黒姫山が見えています。
最後に、あいの風とやま鉄道とえちごトキめき鉄道両社より、ポストカードやキーホルダーなど素敵なプレゼントを頂きました。ありがとうございます。
遂に北陸新幹線の立派な駅舎が姿を現し、終点の糸魚川駅に到着。1時間33分の旅に幕を下ろしました
12:28 糸魚川駅 着
糸魚川駅に一万三千尺物語が来る特別な日とあって、ホーム上では盛大なお出迎え。
えちごトキめき鉄道の着ぐるみ、トキテツくんもいました。
あいの助はぬいぐるみですが、トキテツくんは人が入れる大きさなんですね。
北陸本線ではなくなったこの区間も、貨物列車にとっては日本海縦貫線とされる幹線ネットワーク。
北海道と大阪を結ぶ物流の大動脈です。
特急街道では無くなった一方で、富山の良さを詰め込んだ素敵な観光列車が走るようになりました。
時には会社の境界も越える、特別な運航に立ち会えたのも良かったです。
通常便の富山〜泊でも十分楽しめるはずですし、そちらも乗ってみたくなります。
特に車内とは思えない、ハイクオリティの料理には満足すること間違いなし。富山へお越しの際はぜひ乗車してみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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