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【新時代D&S列車デビュー!】新観光列車かんぱち・いちろくの旅 水戸岡デザインじゃない!?[2404かんぱちいちろく(2)]

2024年4月26日

JR九州といえば観光列車、そんなイメージを作り上げたのが「D&S(デザイン&ストーリー)列車」です。

その先駆けとなったのが、1989年にデビューした特急「ゆふいんの森」。

JR九州の車両や建物のデザインを担当してきた水戸岡鋭治さんが、初めて関わった列車です。

 

そんな特急「ゆふいんの森」が走る久大本線に、本日新たなD&S列車「かんぱち・いちろく」がデビューしました。

 

こちらのデザインを担当したのは水戸岡鋭治さんではなく、鹿児島の建築デザイン会社IFOO(イフー)。これまでのD&S列車と比べて、一体どう変わっているのでしょうか。

 

沿線風景や食事も含め、「ゆふ高原線」を走る新たなD&S列車の旅をお楽しみください。

 

まずは始発駅となっております、別府駅に来ました。

通常の特急列車や新幹線と異なり、インターネットサイトでの予約。

メールに届いた最終行程表を駅員さんのいる改札で提示して、改札内へ入ります。

 

料金はソファ席・BOX席が18,000円/人、畳個室が23,000円/人です。

2人用BOX席は1人で利用することも可能ですが、追加で10,000円必要となります。

 

博多→由布院・別府のかんぱち号は、月・水・土。

別府・由布院→博多のいちろく号は、火・金・日の運行です。

 

かんぱち・いちろくの由来は、久大本線に大きく関わった麻生勘八と衛藤一六です。

 

今回乗車する営業初列車は、別府・由布院→博多の特急「いちろく」。

衛藤一六は久大本線敷設を実現すべく、当時の鉄道院総裁である後藤新平に陳情。20年以上の努力の末、1929年に全通を実現しました。

 

10:30、大分方より別府駅3番のりばへ入線してきました。

ホーム端では式典が行われており、配布された旗を振って沢山の方がお出迎えなさっています。

 

列車外観は艶のある黒が基調。この輝く車体に沿線の景色が映ることで、車両全体で雄大な風景を表現するとのことです。

 

36ぷらす3のキハ47形バージョンみたいな雰囲気が漂っており、行先方向幕には「かんぱち・いちろく」の文字が掲げられていました。

 

真ん中のロゴマークは、由布岳をモチーフにした「冠」が数字の「八」を表現。数字の「一」を6つ集めて「六」を表しました。「八」と「六」の文字を重ねると、列車コンセプトである「風土」にも見える隠しもあります。

 

文字を使ってデザインする点は、水戸岡鋭治さんに通づるものが。

 

くねくねと曲がったゴールドラインは、久大本線の路線図。

特に由布院駅のところには、マークが記されていました。

 

上下には駅名によるエッジラインが描かれています。

この部分はちょっと鉄オタ的要素が強くなるので、興味の無い方は飛ばしていただければと思いますが、「かんぱち・いちろく」は「JR九州2R形気動車」という新しい区分の車両です。

 

かんぱち・いちろくはキハ47形2両の間に、キハ125形

1両を差し込んで、3両編成を構成しています。

 

先頭車は国鉄車、中間車はJR車と作られた時代も違うので、中間車だけ凹んだ凸凹編成と言うのも面白いポイント。

 

1,3号車のキハ47形は、肥薩線で走った「いさぶろう・しんぺい」を改造したものです。「かんぱち・いちろく」の列車名が路線ゆかりの人名になったのは、種車である「いさぶろう・しんぺい」の歴史を残すためかもしれません。

 

1号車は元キハ47の2R-16。「2R」は「二人のロマンスカー」を意味しており、車号は衛藤一六から付けられました。

 

2号車はキハ125-24を改造した2R-80、杉のテーブルが約8m(7.88m)であることからです。なんかこれはこじつけ感凄いですが(笑)

 

3号車は元キハ47の2R-38。麻生観八が八鹿酒造の3代目であることからです。

 

列車停車位置案内が新たに貼られまして、こちらは「2R」でなく「47+125」と記されていました。

 

これまでD&S列車のデザインを担当していた水戸岡鋭治さんですが、JR北海道ニュースリリースにて、2026年春デビュー予定の「赤い星青い星」が最後の仕事とされています。

水戸岡さんはご高齢で、JR九州から手を引きつつもあり、かなり現実味が高そうです。

 

車両デザインを担当したIFFOは鹿児島の建築デザイン会社で、鹿児島市内では高級民泊施設「萌蘖(ほうげつ)」を運営しています。

JR九州と連携してローカル線の駅を活用したまちづくり事業に取り組む「にぎわいパートナー」に認定されており、霧島神宮駅の駅舎改装を担当しました。

 

JR九州の古宮社長によると、IFFOの社長から鉄道車両のデザインもやりたいという話があったとのこと。

建築デザイン会社によってデザインされた、新しい観光列車。その車内へ潜入しましょう。

 

個室のお客さんが先に案内された後、10:52頃車内へ。

ドアステップの向こうにはオリジナルのマットが敷かれていました。

JR四国などの観光列車でもよく見られる、特別感の演出です。

 

今回利用するのは3号車、客室とデッキの境には長い暖簾が掛けられており、派手っぽい絵が描かれていました。

 

3号車は福岡・久留米エリアの風土をモチーフに、雄大な平野や山々を想起させるデザインです。

緑色と福岡県章に用いられる青をベースにした空間となっています。

 

今回は2人で乗車するため、2人用BOX席へ。

窓へ向かって90°の座席が向かい合っており、座り心地も良く寛げる空間となっています。

 

窓枠には各座席ごとに異なる、作品が掛けられていました。

 

テーブルには福岡県産の杉を用いています。

 

テーブルに向かって左側側面には、コンセントが備わっています。

結構見つけづらいですが、5時間に及ぶ旅の中でかなりありがたいです。

 

進行方向左側の、4人用区画がこちら。

座る部分とテーブルが倍になっただけで、大きくデザインは変わりません。

 

車端部には畳個室が設けられており、グループでゆったり寛ぐことができます。靴を脱いで入る36ぷらす3と同じような形で、4〜6人で利用可能です。

 

11:00 別府駅 発

出発式が終わったホーム先端ではJR九州の職員さんはじめ、多くの方がお見送りしてくださいました。

 

しばらくすると、特急ゆふとすれ違い。

JR九州のコーポレートカラーである燃えるような赤で、かんぱち・いちろくの落ち着いた雰囲気とは一線を画しています。

 

しばらくすると進行方向左手には、別府湾の雄大な海の景色が広がります。

日豊本線の中でも特に景色の良い区間となっており、特急ソニックで最後に注目してしまうところです。

 

ところで今いるのは2号車。

「ラウンジ 杉」と名付けられた、共用スペースのみの車両です。こちらは由布院・日田の風土をモチーフにデザインされています。

 

樹齢250年の杉を使った一枚板カウンターを配置し、こちらはビュッフェを兼ね備えています。食事や飲み物を楽しむことができるそうなので、これは楽しみ!

 

ドリンクの販売開始は11:35、そのほかは11:55からでしたが、ショーウィンドウは既に見ることができました。

 

日田杉を用いた木箱や枡、そのほか列車グッズなど、さまざま取り揃えていました。

 

床面だけでなく、カウンター下の壁面部分までカーペット張りになっています。

 

カウンターの端にはミラーサイネージが設置されています。

この後走行中、列車紹介などの映像が流れていました。

 

天井は日田の底霧をイメージしており、天領地だった日田の自然を再現しているとのことです。

 

3号車寄りに設置されているこちらは、ビュッフェで販売されているUCCコーヒー(ホット/アイス)のコーヒーメーカーとなります。

 

まもなく大分駅に到着するところで、青いソニックとすれ違い。

 

大分駅到着時には、子供達が盛大なお出迎えをしてくださいました。

 

2R-16は特急いちろくでは最後部、特急かんぱちで先頭となります。

列車名と先頭車両が逆という、ちょっと不思議な状態に。

 

大分駅での停車時間中に、1号車の様子をご覧いただきましょう。

こちらは竹細工をモチーフにした暖簾です。

 

大分・別府エリアの風土をモチーフに、火山や温泉を想起させる赤基調のデザインで、大分県旗の色もイメージしているそうです。

並んでいるのは2〜3人用のソファ席、大分県産の杉テーブルを配置しています。1号車と3号車で産地が異なるこだわりです。

 

端には5〜6名用BOX席と、3号車にもあった畳個室が設けられていました。

 

1号車デッキへ戻ってきまして、客室入口の暖簾向かい側には、乾燥地帯の砂でできた建物みたいな絵が描かれていました。

 

こちらにも1区画だけ3〜4名用BOX席があって、デッキにある客室というちょっとした特別感。

 

11:22 大分駅 発

児童の方のほかJR九州新入社員の方にもお見送りされまして、大分駅を出発しました。

大分駅発車後、停車駅やビュッフェ営業開始時間についての案内が行われます。

 

南大分駅で、黄色い普通列車とすれ違い。

こちらがキハ125形気動車でして、今いるビュッフェになったのと同じ車両です。

 

3号車デッキに備わっている、お手洗いなどの設備を見てみます。

いかにもカフェに似たデザイン性の色合いで、お手洗いっぽさを感じさせない存在感です。

 

こちらは男性小用お手洗い。茶色の木目調をベースにした壁面で、水戸岡デザインで多い白色とは反対です。

 

地元の陶器を使っていたりするのでしょうか、手洗い場は縁が水色になっていました。

 

今度は男女共用のお手洗いへ。

洗面台単体の設備は無いので、こちらの手洗い場が大きめの鏡があったりします。

 

ウォシュレット付きの洋式お手洗いで、国鉄車両のお手洗いから大きく生まれ変わっていました。

 

正面にはおそらく、麻生勘八と衛藤一六が久大本線を結ぶイラスト。

「2人のロマンスカー」を意味する2R形気動車にピッタリです。

 

こちらにはおむつ交換台やベビーチェアも備わっているので、お子さん連れでも安心できます。

 

荷物棚も備わっており、キャリーバック含め大きな荷物も固定できます。

 

座席近くに衣紋掛けが無かったので、服を掛けるクローゼットはこちらになります。

 

12時前になりまして、各座席に食事が運ばれ始めてきました。

二つ折りになっているテーブルを手前に開きまして、お食事の準備。

 

閉じた状態では「いちろく・かんぱち」のロゴマークでしたが、開くと車内モケットに用いられている柄のコップ置き場所になっていました。

 

6つ折りにされたランチョンマットの右端には、「かんぱち・いちろく」のロゴマークが。

割り箸や記念乗車証、シールなども置いてありました。

 

運行曜日によって担当されるお店が異なりますが、金曜日は裏舌鼓(リゼッコ)さんによる和食「オモテナシ箱」です。

 

お重は日田の林業会社トライウッドさんによるもので、日田杉が用いられています。

上段には姫島の車海老艶煮、湯布院サーモン八鹿酒粕西京焼きなど、大分各地の名物が詰まっています。

 

下段も大分県産のものばかり。右上はいかのメンチカツで、初めて聞いた組み合わせです。

 

あおさ味噌汁もいただくことができます。

飲み物は付いていないので、ビュッフェで購入しておいた方が良いかもしれません。

 

こちらは佐伯 鮑の柔らか煮。アワビを食べるのは初めてでしたが、こんなに歯応えある貝があるとは驚きました。

 

今回のメニューは、こちらになります。

 

久大本線は由布院駅へ向かって、突然カーブを始めます。

このルートを実現したのは衛藤一六、博多→別府の特急「いちろく」の由来です。

1925年に湯平駅〜北由布駅(現・由布院駅)が開通したのですが、線路をカーブさせて北由布・南由布両村を通すよう働きかけました。

現在の由布院発展の礎であり、「一六曲がり」と呼ばれています。

 

乗車駅となっている、由布院駅に到着しました。

営業運行初日の今日は、地元の子供達とJR九州新入社員の方が、各駅でお出迎えしてくださるようです。

 

ホーム上では、おそらく車掌産が停止位置を確認するためのシールを貼る、印が付けられているところでした。運行初便ならではの光景です。

 

シックな色合いの由布院駅に、真っ黒な「いちろく・かんぱち」の荘厳さが似合います。

 

由布院駅では、特急ゆふいんの森と行き違い。到着後まもなく発車のため外から見ることはできませんが、D&S列車の初代と最新が並ぶ光景を見られるのは良いですね。

 

新入社員の方々には、シャボン玉と共にお見送りされて由布院駅を出発。

 

特急ゆふいんの森の車掌さんも、手を振ってくださいました。

 

この辺りでは由布岳を見ることができ、カーブの多い線形ゆえ様々な表情を見せてくれます。

 

通過する恵良駅の近くには麻生勘八が再興した、八鹿酒造(大分県九重町)があります。

 

まもなく豊後森駅で運転停車のため、速度を落とし始めます。

こちらには旧豊後森機関庫があり、ここまで越えてきた峠に備えるべく機関車が収まっていました。

米軍の機銃掃射を受けた過去があって、必要なくなってからその姿のまま残されています。

 

進行方向左手には、伐株山が見られます。

昔ここには大きな木があって、切り倒してしまい街の発展へ繋がった伝説が存在し、放送でもその紹介が行われていました。

 

おもてなし駅となっている、天ヶ瀬駅で9分間の停車。

突如ホームには赤いはっぴを着たひょっとこ。

あまがせ温泉まつりにもいらっしゃる、塚田ひょっとこです。

 

こちらでもシャボン玉に迎えられまして、JR九州新入社員の方々がいらっしゃいました。

 

保育園の園児の方々も、歌を披露してくださいます。

 

ホーム上では温泉卵や、かりんとうの販売もありました。

 

駅前には天ヶ瀬温泉の手湯・足湯があり、お湯につけると文字が浮き出る「湯みくじ」も販売しているとのこと。

ちょっと9分では短く、特に今日は初日でホームで身動きが取れなかったので、今後体験しやすくなると良いですね。

 

園児の方が出発式として合図をしてくださり、天ヶ瀬駅を出発です。

 

2号車の杉ビュッフェへ来まして、お買い物を。

こちらがビュッフェで購入できるメニューになります。

 

オリジナルグッズやお土産もたくさん。マスキングテープなど人気そうです。

 

衛藤一六ゆかりということで、八鹿吟醸(桃)吟醸酒を選択。

豊後牛とろとろ煮込み〜大分の酒粕クラッカー添え〜と共にいただきます。

 

こちらは、ソルベッチdoうきはのジェラート。

KANROKU DOLCHE〜牛乳ジェラート 岩下粒あん添え〜と、季節のジェラートです。季節のジェラートは、カラメルりんごアイスでした。

 

こちらの日本酒は口当たりが非常に滑らかで、全くきつさを感じさせません。

 

本当に「とろとろ」な豊後牛。お肉の繊維が解けていくようで、日本酒と一緒にいただける幸せです。

 

撮影の都合上20分も置いていたら溶けてしまいましたが、牛乳ジェラートと粒あんを一緒に。

名古屋出身なので、その組み合わせにはどこか懐かしさを感じました。

 

日田駅では乗降できませんが、こちらでも園児の方がお出迎えしてくださいました。

長距離乗ってもらうためには仕方ないとはいえ、日田駅くらいなら降りることができても良さそうなものですが…。

 

ドアが開かない運転停車でありながら、運行開始記念出発式が行われていました。

 

おもてなし駅となっています、うきは駅に到着。

うきは市は筑後川と耳納連山に囲まれ、フルーツを楽しめる街として知られます。

 

どら焼きや最中など、和菓子などを買うこともできました。

 

ちょうど跨線橋で真上から撮れたのですが、真ん中の車両だけ一回り小さいのを、お分かりいただけるでしょうか。

 

14:28 うきは駅 発

こちらでは20分ほど停車していたので、ホーム上での販売なども十分活用できそうです。

 

14:57 久留米駅 着

久留米駅は降車駅に指定されており、こちらで降りることもできます。

逆に乗ることはできないので、発車標にその表示が出ていました。

 

長崎本線との分岐駅である、鳥栖駅にて運転停車。さすがにこの駅を通過することはできないみたいです。

 

基山駅で運転停車が行われ、特急みどり号に追い抜かれました。特急が特急を待避する光景です。

 

ラウンジ 杉でのビュッフェ営業は、久留米駅発車直後の15時まで。

15:15より、旅の振り返りとしてミラーサイネージにて映像が流れます。

アテンダントの方が「かんぱち・いちろく」のテーマでもある、五感で感じられるゆふ高原線の風土の紹介をしてくださいました。

 

こちらの振り返りが終わると、金平糖をいただけます。

 

また、座席ではJR九州新入社員の方によるメッセージが添えられた、記念カードもいただけました。

 

2号車の1号車寄りの乗務員室近くには、記念乗車スタンプが設置されています。

間違えてかんぱちのところに押しましたが、3つ重ね押しすることで絵が完成します。ふたつ星4047にもありましたね。

 

二日市駅で運転停車が行われ、いよいよ福岡市の中心部へ。

 

新幹線が姿を現すと、いよいよ終点の博多駅に到着です。

 

15:47 博多駅 着

別府駅から博多駅まで4時間47分。IFOOさんによるデザインの車内空間に包まれた新D&S列車が終わりました。

 

食事の提供や駅でのおもてなし等のバランスを考慮しても、5時間という所要時間もちょうど良かったと思います。

名残惜しさが強すぎず、かなりの満足感を得られました。

 

初めてD&S列車の走った久大本線にデビューした、新たなD&S列車。これがJR九州の新たな観光列車の幕開けかもしれず、それに立ち会えたことが良かったです。

かなり満足度の高い列車だと思いますので、ぜひ博多・由布院・大分へ旅行の際は利用してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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