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【原発事故から復旧】常磐線普通列車で行く福島・宮城[史上最長片道切符の旅(65)]
水郡線で長いローカル線の旅を楽しんだ後は、水戸駅で常磐線に乗り換えます。 13:10 水戸駅 発 常磐線は特急ひたちも走る幹線ですが、常磐本線ではありません。あくまでも東北本線から分かれ ...
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今日は2022年8月3日。夏休みになりまして、史上最長片道切符の旅が再開です。
福島駅の東口に掲げられている駅名看板は、書道家の高橋卓也さんによる書をケヤキ板に掘ったもの。
震災と原発事故から復興し、未来に向かう福島に幸福が訪れてほしいという思いが込められています。
これから乗車するのは、東北新幹線です。史上最長片道切符ルートでは3回目、そして最後の新幹線しようとなります。
この東北新幹線はルート形成の上で、非常に重要な地点です。
1982年6月23日、東北新幹線の大宮~盛岡が開業しました。
史上最長片道切符のルートを実現できたのは、この開業日から呉市~松山市の仁堀連絡船の運航最終日となる6月30日までの7日間だけだったのです。
当時は200系新幹線が走る、出来立てホヤホヤの新幹線だったんですよね。
福島駅には停車しない、はやぶさ号H5系新幹線が颯爽と通過。当時は青函トンネルすら無く、青森~函館を結ぶ連絡船しかありませんでした。
13:13 福島駅 発
福島から仙台まで自由席に乗車。東北本線だと1時間かかるところを、25分で結びます。
福島駅からは山形新幹線が分岐しており、つばさ号が走る地上の奥羽本線へと降りていく様子が分かります。
この合流する線路は単線で建設されており、東北新幹線をまたぐため、山形での遅れが東日本の新幹線全体に波及するボトルネックでした。そのため、現在はもう一本アプローチ線を建設する工事が進められています。
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東北新幹線は東北本線の真横を走っていて、桑折駅を通過する時はまるで在来線の特急専用ホームを通過しているみたいです。
その後は県境の国見峠をトンネルで貫きます。
トンネルを抜けると新幹線の事業用車両が見られました。白石市内で新幹線の線路から分岐し、引き込み線になっています。
白石蔵王駅を通過。
白石市内の新幹線駅は白石駅ではなく、800mくらい離れた位置に単独駅として設置されました。
このため仙台~福島において東北本線と東北新幹線は別線扱いになっており、今回のようなルート設定が可能です。
東北本線は白石川に沿って蛇行を続けますが、東北新幹線はまっすぐ山を貫きます。
仙台市内に入ると東北本線が近づいてきまして、共に名取川を渡りました。
まるで夕方のようで不気味な空模様。仙台周辺はそうでもありませんでしたが、この日は東北地方で大雨が降っていたのです。
仙台駅の前後では大きく蛇行する扇形となっており、急カーブをして仙台駅に向かいます。
直線を基本とする新幹線建設では、まっすぐ進んで長町駅や仙台貨物ターミナル近くに駅を設置することも考えられました。
しかし、地元の人々や国鉄は市街地中心部に仙台駅に設置することを望んだため、蛇行をしてでも仙台駅に東北新幹線が来ることになります。
仙台駅は全ての列車が停車し通過列車は無いため、速度を落とす必要があるカーブがあっても、問題にはなりません。
13:38 仙台駅 着
E2系新幹線から東北地方一番の大都市に降り立ちました。
一時期秋田新幹線も運転見合わせしていて、一部のこまち号が盛岡行きになっていました。
この時はまだ東北地方の鉄路を、あんな豪雨が襲うとは知らなかったのです…。
まもなく仙台七夕まつりが始まろうという時季、仙台駅のコンコースには七夕飾りがありました。新型コロナにより3年ぶりの開催、おおいに賑わいをみせたようです。
仙台駅のペデストリアンデッキは14,000㎡で、日本一の規模とされています。1971年に作られており、駅周辺の広々とした道路の上を張り巡らせた歩行者にやさしい空中歩道です。
仙台駅からは数多くの路線が分岐しています。その中でルートに選ばれているのが、仙石線です。
仙石線はあおば通・仙台~石巻駅を結ぶ路線で、仙台~石巻駅は1928年に開通しています。
あおば通駅~陸前原ノ町駅は2000年に地下化されたほか、東日本大震災後は陸前小野駅~陸前大塚駅が内陸部に移設されました。この移設区間については、次回の記事で歩いていく様子をお届けしたいと思います。
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仙石線のホームは地下深くにありまして、長い長いエスカレーターで潜っていきます。
せっかくなので起点の、あおば通駅からスタートです。あおば通駅は仙石線の地下化と共に、2000年に開業しました。
使用されるのは205系電車。さわやかなブルーのラインが特徴です。
14:28 あおば通駅 発
仙台駅までは僅か0.5km、JRで一番駅間距離が短い区間の一つです。
宮城野原駅は東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地、宮城球場の最寄り駅です。
2000年に地下化された、あおば通~陸前原ノ町駅は、3.2kmに及ぶ仙台トンネルを走って来ました。
旧線は地上を蛇行する線形だったそうで、スピードも出せず踏切の閉まっている時間も長く、交通渋滞が問題になっていました。
列車はその後地上区間へ。史上最長片道ルートではここを歩かないといけないと思うのですが、新線で代替させてもらいます。
仙台車両センター宮城野派出所がありまして、宮城野運輸区が仙石線全体の管理を行います。
その近くにある福田町駅にて、運転士さんの交代がされました。
中野栄駅の近くには仙台港がありまして、苫小牧、名古屋までを結ぶ太平洋フェリーに乗ることができます。
観覧車もある三井アウトレットパーク等、大規模商業施設が広がっています。
多賀城駅では緑色の列車と行き違いました。これはロングシートとしてもクロスシートとしても使用できる、2WAYシート車です。
この編成は車両ごとに沿線市町にちなんだラインカラーで、カラフルな編成となっています。
駅近くには多賀城公園がありまして、春には桜が満開になります。
本塩釜駅は高架駅ですが、東日本大震災の時には1階が津波で浸水しています。
塩釜市はお寿司屋さんが日本一多い町と言われており、列車化からは大きな港をすぐそこに見られました。
東塩釜駅を過ぎると、仙石線は単線区間に入ります。
沿線風景も山の中という感じになりまして、これまでの街中とははっきり様相が変わりました。
東北本線はトンネルで突っ切る一方、仙石線はトンネルがありながらグネグネとした路線です。
この区間では東北本線と仙石線がところどころで並走し、より高い所を走る東北本線から仙石線の駅を見下ろすことができる場合もあります。
これだけ並走していながら、乗換駅が無いというのも面白いポイント。
右手すぐ横には海が見られました。一番大きな島は岩井島、たくさんの島々が点在しています。
そんな海をゆっくり眺める暇もなく、すぐに山の中へ。僅かな隙間から見られる程度になってしまいます。
松島海岸駅に到着。ここはもちろん日本三景に数えられる松島観光の玄関口です。
松島海岸駅を過ぎると、仙石線・東北本線接続線が合流してきます。
東北本線の仙台駅から仙石線へ直通し、仙台から石巻を結ぶ快速列車が走ります。この運転系統は仙石東北ラインです。
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しかし東日本大震災によって仙石線が大きな被害を受け、復興事業と同時に建設が行われました。電化方式の違いについては、ディーゼル車両を使用することで対処しています。
この辺りで乗り換えが出来なかった東北本線と仙石線。仙石東北ラインができる前はここ高城町駅と、東北本線松島駅の間を15分くらい歩く人もいたそうです。
その後、海沿いを走る仙石線。
しかし津波被害を大きく受けたため、陸前大塚~陸前小野駅間は内陸寄りの新線で運転再開しました。
15:23 陸前大塚駅 着
次回は震災遺構としても残る仙石線旧線を歩いていきます。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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