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【原発事故から復旧】常磐線普通列車で行く福島・宮城[史上最長片道切符の旅(65)]

2022年10月11日

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水郡線で長いローカル線の旅を楽しんだ後は、水戸駅で常磐線に乗り換えます。

 

13:10 水戸駅 発

常磐線は特急ひたちも走る幹線ですが、常磐線ではありません。あくまでも東北本線から分かれているという立ち位置ですね。

 

水戸駅からは第三セクター、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線が分岐しています。1985年開業の新しい路線で、臨時駅の鹿島サッカースタジアム駅から水戸駅までを結ぶ路線です。

 

大甕駅からは2005年廃止の日立電鉄線廃線跡を活用した、ひたちBRTが発着しています。

 

ちょうど専用道を走るバスと並走してくれました。



日立駅に到着。

コンコースや駅舎から海が見える駅として、非常に有名です。奥にはカフェが入居しているので、一面ガラス張りのところから太平洋を見渡せます。

 

常磐線は茨城県の北端を走行中。太平洋の景色はあまり望めません。

 

10両編成で運行されている常磐線。

昼間の先頭車両では全くお客さんがいませんが、朝夕には水戸〜日立で特に混雑を見せます。

 

茨城県から福島県に入りまして、トンネルを抜けます。

 

その先の勿来なこそ海岸沿いは、常磐線の中で特に海の景色が素晴らしいところです。穏やかで透明度の高い海水が打ち付けています。

 

泉駅からは貨物線の福島臨海鉄道が分岐しています。さらに東邦亜鉛専用線が伸びていまして、ここから群馬県の安中市まで貨物列車が走ります。



14:37 いわき駅 着

いわき市の人口は35万人で、東北地方では2番目に人口が多い都市です。

 

常磐線は東日本大震災と福島第一原発事故の影響で、2020年春に全線復旧したばかり。

現在は品川〜仙台を結ぶ特急ひたちが走っています。

 

復旧した区間も普通列車を乗り継ぎまして、その様子を見ていきましょう。



15:19 いわき駅 発

いわき駅には「赤電」と呼ばれる、ちょっとくすんだ赤色で塗られたE531系電車が停まっていました。

現在は青色のイメージが強い常磐線ですが、かつては赤色の電車が走っていたそう。勝田車両センターの60周年を記念し、期間限定で復活させたのです。

 

広野駅辺りから、東日本大震災の影響を受けたことが、今でもはっきりと分かるエリアに入ります。

駅前には復興整備事業のひとつとされ、清水建設が設計・施工だけでなくビル運営も手掛けている、広野みらいオフィスが立っていました。

 

Jヴィレッジ駅は2019年に臨時駅として開業、翌年には常設駅へ格上げされました。

Jヴィレッジはサッカー向けのナショナルトレーニングセンター。震災後は原発事故の対応拠点でしたが、徐々に活動を再開していきました。

 

竜田駅は2020年に橋上駅舎が完成したばかり。

部分部分が透明になっている自由通路では、町の「柚子」「杉」「やまゆり」「鮭」をデザインに取り入れています。

 

沿線を見ていると工事車両を頻繁に見られまして、かなり重々しい感じです。

 

富岡駅は東日本大震災と津波で全壊したため、震災前より100mほど北に移転しています。

 

常磐線で最後の復旧区間となったのは、富岡〜浪江駅です。ここから列車は帰還困難区域へと入ります。

 

夜ノ森はサクラやツツジが非常に有名で、春には多くの方が訪れます。

古くからの木造駅舎が残っていたのですが、老朽化と放射線量が下がらない可能性から、旧駅舎をモデルにした新たな駅舎が立てられました。

 

大野駅は、福島第一原子力発電所の最寄り駅です。駅からどこか行ける場所はほとんど無く、路線だけ復旧したという感じ。

 

除染されているのは線路脇と駅周辺だけで、復興への道のりはまだまだ遠いのですね。

 

大野駅〜双葉駅は複線化されていましたが、上り線の敷地にはアスファルトが敷かれています。これは列車が停まってしまった時の避難道で、除染作業が行われている場所を歩けるようにした措置です。

周辺の一般道が自由に使えない状態のため、このような対処がとられています。

 

山の向こう側には福島第一原発があって、そこから送電線が伸びています。

 

双葉駅にはコミュニティーセンターが併設。

2面2線だった駅ですが、単線化により1面1線のシンプルな構造に変わりました。

 

2022年8月30日に、双葉駅周辺の特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。双葉町は長い間自治体全域で避難指示が出ており、人口0人の状態が続いていましたが、震災から11年以上経ってようやく居住できる町になりました。

 

人の営みが無くなってしまい、どこか空っぽで不気味な雰囲気が漂う沿線。この町にはどんな未来が待っているのでしょう…?

 

浪江駅はこの辺りで珍しく、昔からのコンクリート駅舎が残っていました。帰宅困難区域は過ぎていて、周辺にはお店もあります。

 

小高駅にはランプ小屋が残っていました。

 

16:38 原ノ町駅 着

かなり駅構内も広くなっていて、常磐線の中心的な駅です。



16:40 原ノ町駅 発

ここからは仙台行きの普通列車に乗車。急に車両からも東北感が表れました。

 

単線のため行き違いも頻繁で、仙台からの特急ひたちも来ます。

 

相馬駅は瓦屋根の駅舎が残されているそうで、今でも雰囲気ある建物です。その荘厳さから東北の駅百選にも選ばれています。



常磐線はこの先海沿いを走っていましたが、新地〜浜吉田駅で内陸側へ新線に付け替えられています。

坂元駅から宮城県に入りました。

海の近くにあった旧坂元駅は、駅舎は完全に流出してホームもえぐれるほどの、大きな被害を受けています。

 

新たな駅は高架駅に変わりまして、駅前にはコンビニなども出店していました。

 

線路は付け替えられたのは、この先浜吉田駅までです。

 

白河から岩沼へ掛けて流れてきた、阿武隈川を渡ります。

 

山陰に太陽が隠れていく中、東京から来た東北本線が合流しました。



17:50 岩沼駅 着

常磐線は総延長343.7kmで、日本一長い本線ではないJR路線。今回は水戸から先の部分だけでしたが、その長さを十分に感じさせられました。

 

岩沼市は仙台市のベットタウンであり、昭和から続けて人口は増加傾向です。

 

18:27 岩沼駅 発

仙台駅を目の前にして、今日は東北本線を南下。

 

19:28 福島駅 着

2022年3月初旬まで続けてきた、史上最長片道切符の旅は一旦福島駅で中断します。次回からは2022年8月に再開した様子をお届けします。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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今日は2022年8月3日。夏休みになりまして、史上最長片道切符の旅が再開です。 福島駅の東口に掲げられている駅名看板は、書道家の高橋卓也さんによる書をケヤキ板に掘ったもの。 震災と原発事故から復興し、 ...

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