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【四国最果ての幻路線】国鉄宿毛線 宇和島〜宿毛バスで行く
四国を横断するJR予讃線の終着駅、宇和島駅。 ローカル線の予土線が分岐し、四国を一周する鉄路のターミナル駅です。 現在では完全なる行き止まりの宇和島駅ですが、かつてはこの先にも線路を伸ば ...
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四国南東部の高知〜中村・宿毛では、特急あしずり号が走ります。
1日8往復走るうち、6.5往復は中村駅まで。終点の宿毛駅までは1.5往復と本数が少ないです。
かつては岡山や高松から宿毛を1本で結ぶ特急もあったのですが、高知駅で運行系統されるようになりました。
一旦消滅した、宿毛駅から高知を越えての特急列車。
2024年3月のダイヤ改正で、宿毛駅から高松駅の特急しまんと号が、再び走り始めました。
復活することになった四国最長特急、全区間乗ってみます。
土佐くろしお鉄道宿毛線の終着駅、宿毛駅へ来ました。
本当はこの先、予讃線の終着駅である宇和島駅まで結ばれる予定でした。
鉄道未成区間を通るバスについては、前の記事でご紹介しているので、そちらをご覧ください。
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【四国最果ての幻路線】国鉄宿毛線 宇和島〜宿毛バスで行く
四国を横断するJR予讃線の終着駅、宇和島駅。 ローカル線の予土線が分岐し、四国を一周する鉄路のターミナル駅です。 現在では完全なる行き止まりの宇和島駅ですが、かつてはこの先にも線路を伸ば ...
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1997年に開業した比較的新しい駅で、高架下には懐かしさを感じるお店が入居していました。
その反対側にあるのが、待合室とみどりの窓口です。
JRの駅ではありませんが、同じようにきっぷを買えます。
宿毛駅から高松駅まで、自由席特急券を購入。クレジットカードの利用も可能でした。
このほか自動券売機も設置されており、高松まで購入することができます。
改札内に入れるのは、列車出発時刻の15分前から。
17:59ごろ、特急あしずり7号宿毛行きが到着しました。
宿毛行きの特急列車は、この1本だけ。折り返し特急しまんと8号高松行きになります。
宿毛駅を発着する特急列車は1日1.5往復。
ほとんどの場合、普通列車で中村駅まで行って、特急列車に接続する形です。
有人改札で駅員さんにきっぷを見せまして、改札内へ。
階段を登って正面、ぷつんと途切れたレールに列車が止まっています。
右側に止まっているのが、特急しまんと8号高松行き。再び高松まで復活することになった特急列車です。
今日は2000系気動車での運行でしたが、基本的には新型2700系気動車が充当されます。今回のように、時々旧型で走ることがあるので、注意が必要です。
行き止まりを示す、土佐くろしお鉄道の駅名標。ここから四国を完全に横断していきます。
車止めが置かれた頭端式ホームでは、2005年に113km/hで衝突する事故が起きています。
当時の運転士さんに異常状態があったためとされていますが、亡くなってしまい原因はわかっていません。その後、行き止まり駅には自動列車停止装置の地上子配置が改められ、安全性が向上しています。
1997年の宿毛線開業時、中村線へ乗り入れる特急8往復中、6往復が宿毛駅発着でした。
その後、1999年に5.5往復、2003年に5往復と徐々に数を減らし、2007年には2往復へ。2010年に3往復、2012年に3.5往復と復活してきたものの、2014年に1.5往復と落ち着きました。
2019年春のダイヤ改正で、岡山駅からの特急南風13号宿毛行きが、高知行きに短縮。2022年春のダイヤ改正で高松行きの特急しまんと10号が時刻繰り上げ対象になりました。これによって、高知を越えて走る宿毛発着の特急は全廃しています。
それから2年経って宿毛駅に復活した、高知を越える四国最長特急の様子をお届けします。
自由席は先頭寄りの、2号車です。旧型2000系なので、少々古さを感じられる座席。
この車両だとコンセントが付いていない一方、新型2700系なら全席に備わっているので、長時間乗車でも安心できます。
お客さんはほとんどいらっしゃらず、宿毛駅の時点で2,3人ほど。ちょっと心配になる乗車率です。
18:24 宿毛駅 発
定刻通り、宿毛駅を出発しました。
通路上の掲示で特に「宿毛行き」を示すものは流れず、車掌さんによって窪川駅までの停車駅が案内されます。
最初の停車駅、平田駅に到着。鉄道に並行して中村宿毛道路が通っており、周辺には工業地も形成されています。
中村駅〜宿毛駅の宿毛線は国鉄分割民営化後、土佐くろしお鉄道が工事を引き継いで、1997年に完成した新しい路線。
高架線やトンネルなどで山を貫き、特急列車は最高速度120km/hで走ることができます。
有岡駅で運転停車し、普通列車と行き違い待ちを行いました。
四万十市の中心部までやってきて、ロードサイド型店舗の照明に歓迎されます。
四万十川を渡って、まもなく中村駅に到着。
土佐くろしお鉄道の車庫が併設されており、ラッピングの施された普通列車がたくさん停まっていました。
18:47 中村駅 発
中村駅からは、少なくとも10人は乗車されました。
思った以上に宿毛駅と中村駅で、特急需要の大きさが違います。これはほとんどの特急列車が中村駅発着になっている訳です。
宿毛駅を出発すると、車掌さんによって高松まで主な駅の到着時刻が案内されました。
中村〜窪川の中村線に関しては、1970年に全通した区間。国鉄中村線でしたが、分割民営化時に土佐くろしお鉄道へ移管されています。
次の停車駅は、土佐入野駅。2006年に佐賀町と大方町が合併して、黒潮町になりました。
こちらは大方町の中心駅。鯨が泳ぐ姿を見られるそうで、その看板が建てられています。
浮鞭駅を通過中、反対の特急あしずり9号と行き違いました。
トンネルに挟まれつつも、このあたりは海が非常に近い区間。
昼間なら右手に雄大な太平洋を望むことができます。
土佐佐賀駅に到着しまして、反対の普通列車と行き違い。
合併して黒潮町になったもう片方、旧佐賀町の中心駅です。
中村線の最急勾配、23‰の部分にはループ線が設けられています。
トンネルは左カーブが続きます。
山を一周することで、距離が長くなる代わりに、線路の勾配を緩和させているのです。
この線路が完全に回り切った頃、川奥信号場を通過します。
右手からJR予土線が合流。窪川から宇和島を結ぶ列車が走る路線です。
線路がバッテンを描くところが、川奥信号場。列車行き違い設備を備えているほか、土佐くろしお鉄道中村線とJR予土線の分岐点です。
こちら通過している若井駅が、JR予土線の分岐駅に位置付けられています。
19:22 窪川駅 着
窪川駅に到着しまして、土佐くろしお鉄道はここで終わり。
乗務員さんもJR四国の方へ交代されます。
駅名標もJR四国仕様に。窪川駅からJR土讃線を走破して、高松駅を目指します。
影野駅を通過しつつ、普通列車と行き違い。
ここから先は土讃線通しての最急勾配、25‰区間です。
中土佐町の代表駅になっている、土佐久礼駅に到着しました。
駅から海側へ出ると久礼大正町市場があり、活気あふれる市場で海産物が売られています。
しばらくすると、これまでとは違った眩しい光が見えてきました。須崎市の海岸沿いに形成される、工業地帯です。
19:49 須崎駅 着
ここで特急あしずり11号と行き違いました。
須崎市の沿岸部にはセメント工場があります。高知県の中でも代表的な港町で、土讃線建設時にも海からここに資材を運び、鉄路を敷設していきました。
太平洋からお別れして峠を越え、佐川駅に到着です。
連続テレビ小説小説『らんまん』の植物学者・牧野富太郎の出身地として知られます。
西佐川駅の通過時には、反対列車の行き違いと、追い抜きを同時に行っていました。
右側に須崎行きの反対列車、左側に高知行きの普通列車が止まっています。
20:15 伊野駅 着
仁淀川を渡って、伊野駅に到着。
ここから高知市を中心に走る路面電車、とさでん交通が並行します。
この辺りはどうしても本数が少ないため、並走を見るのは難しそう。
高知市に入りまして、朝倉駅に到着。須崎行きの普通列車と行き違います。
続いて旭駅にも到着です。高知市内における中規模の駅にも停まり、利便性が確保されています。
列車は2008年に連続立体交差事業が行われた、高架区間に入ります。
ライトアップされた高知城天守閣の姿も、見ることができました。
立派な高架駅になっている、高知駅に到着。
これまではここが終点でしたが、そのまま高松駅まで行くことができます。
20:29 高知駅 着
一方で、少なくとも自由席に関しては全員が下車。完全に高知駅でお客さんが入れ替わってしまいました。ちょっと寂しい…。
対面乗り換えではない3番線ホームからですが、20:37発の普通列車土佐山田行きに接続しています。
岡山行きは、19:31発の特急南風28号が最終列車。
それから1時間ほど経って、特急しまんと8号が高知駅から出る最後の特急列車です。
路面電車の軌道を真ん中に、広々とした広場。
雨で濡れている分、光の拡散する輝かしい駅前を出発です。
20:34 高知駅 発
5分ほど停車して、お客さんは自由席に7人ほど乗っておられたかと思います。
土佐一宮駅を通過した先、左側には高知運転所。
かつては高知駅に併設していたのですが、高架化に合わせてこちらへ移転しました。先日高架化された、松山駅と同じですね。
南国市の後免駅に到着。ここからは土佐くろしお鉄道もう一つの路線、ごめん・なはり線が分岐します。
高知駅21:25発が奈半利行き最終列車で、地方三セクにしては割と最終が遅い印象。
遅れていた特急南風23号と行き違いました。
続いて土佐山田駅に到着。当駅始発の高知行き普通列車を横目に、高知平野から四国山地へ挑みます。
元々少なかったお客さんですが、土佐山田駅まででほとんどの方が下車。
この時間に高知から瀬戸内方面へ出る人は少ないようで、なかなか厳しそうな状態です。
さっきまである程度街中を走っていましたが、短いトンネルとカーブが連続する、とんでもない山奥になります。
四国に2駅あるスイッチバック駅のひとつ、新改駅を通過しました。
新改駅に停まる普通列車に関しては左奥のホームへ入り、出発時には進行方向を2回変えて出発します。
そんな山奥に位置する特急停車駅、大杉駅に到着。
反対の特急南風25号と行き違いました。
引き続き四国山地を走行しまして、高知県から徳島県へ県境越えです。
大歩危駅ではお隣に、阿波池田行き普通列車が停まっていました。この特急からも接続します。
大歩危駅からしばらく、左手には渓谷の迫力ある景色を楽しめます。もう暗くなってしまったので、ちょっと分からず…。
三縄駅で運転停車し、特急南風25号と行き違いました。
21:47 阿波池田駅 着
おそらく21:35に到着した、特急剣山11号が停まっています。最後の国鉄型特急、キハ185系です。
特急剣山が走る徳島線は、お隣の佃駅から分岐します。吉野川に沿って、徳島県を横断する路線です。
土讃線は吉野川を渡ると、大きく左へカーブしながら山を登ります。
左手には三好市街を見下ろすことができて、控えめな夜景もまた綺麗です。
土讃線にはもうひとつ、スイッチバック駅があります。秘境駅としても知られる坪尻駅です。
右側には引き込み線が見えてきて、坪尻駅を発着する普通列車が進行方向を変える線路。
しばらくすると左へ見下ろすように、坪尻駅のホームを見られました。
特急はホームに面していない、本線を通過していきます。
22:11 琴平駅 着
徳島県から香川県へ県境を越え、琴平駅からは讃岐平野の市街地に入ります。
ここまで非電化区間だった土讃線も、琴平駅から電化区間です。
高松駅から電車が直通してきて、週末には寝台特急サンライズ瀬戸号が延長運転してきます。
普通列車の本数も圧倒的に増えて、金蔵寺駅で反対方向の電車と行き違い。
土讃線の起点である多度津駅に到着する頃、特急南風27号とすれ違いました。
高知駅には0:06着の、土讃線最終列車です。
多度津駅からはJR予讃線に入り、高松駅まで複線区間です。
丸亀駅を出発し、右手には日本一大きい石垣と言われる丸亀城。
ライトアップに照らされて、文字通り天空に浮かぶ城みたくなっています。
特急しまんと号は特急南風号と連結する場合もありますが、この便は特急しまんと号単体での運行。
特に宇多津駅で解結作業を行う必要もなく、すぐに出発します。
瀬戸大橋方面へ向かう線路と別れ、引き続き四国島内の予讃線を走行。
22:32 坂出駅 着
坂出駅では22:45発の快速マリンライナー70号へ接続しており、この時間からでも本州へ渡ることができます。
そのため特急しまんと8号は高松行きでありながら、宿毛・高知から本州への最終列車も兼ねているのです。
だいぶ夜遅くなって、高松運転所には多くの列車が戻ってきました。
正面には広々した頭端式ホームが現れます。
宿毛駅から4時間22分。四国最長特急は終点の高松駅に到着です。
22:46 高松駅 着
ホームの灯に照らされた、2両編成の短いディーゼル特急。
四国の果てから斜め横断して、高松駅までやってきました。
高松駅では各方面へ、最終の普通列車が接続しています。
高徳線に関しては特急うずしお号は出ているものの、普通列車でオレンジタウン駅まで行けます。
宿毛駅から高松駅を再び結ぶようになった、特急しまんと号。高松駅や坂出駅で乗り換えての岡山駅への利用者は全くいなかったと思われ、中々厳しそうに思いました。
運用的な都合の良さからも、特急の運行系統は高知駅で分断される状況が続きそうです。
とはいえ、四国に残る貴重な長距離特急。趣味的な観点からは非常に面白いと思うので、ぜひ一度乗って見てください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。