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【四国最果ての幻路線】国鉄宿毛線 宇和島〜宿毛バスで行く

2024年7月31日

四国を横断するJR予讃線の終着駅、宇和島駅。

ローカル線の予土線が分岐し、四国を一周する鉄路のターミナル駅です。

 

現在では完全なる行き止まりの宇和島駅ですが、かつてはこの先にも線路を伸ばす予定でした。

 

愛媛・高知両県では、国鉄予土線と国鉄中村線が早い時期に建設されました。

 

四万十川沿いの山中を走る予土線に対し、宇和海に沿って計画されたのが、「国鉄宿毛線」。

愛媛県八幡浜から宇和島を経て、高知県中村に至る路線とされました。

中村〜宿毛に関しては、1997年に第三セクター土佐くろしお鉄道宿毛線として開業。

その一方で宇和島〜宿毛は、国鉄再建法施行の段階で工事未着工、そのまま計画は立ち消え未成線になりました。

 

結局実現することのなかった、国鉄宿毛線。一方でそれを再現するかの如く、宇和島駅〜宿毛駅には路線バスが運行されています。

車止めの先へ伸びるはずだった、幻の鉄路を走ってみましょう。



宇和島市と言ったら、宇和島風鯛めし。

食にほとんど興味が無い自分も、宇和島に来たら食べてしまいます。

鯛のお刺身と卵を絡めた、あまりに豪華な卵かけご飯です。最後の晩餐にはこれを選びたいくらい。

 

ヤシの木に沿って、宇和島駅へ戻ってきました。

これは1964年頃、街路樹として植えられたのが始まり。

南国の雰囲気を味わってもらい、観光客に宇和島の印象として残してもらうことが狙いだったそうです。

 

宿毛行きのバスは、1番のりばからの出発。

特急宇和海から接続しており、1,2時間に1本程度と、地方の路線バスながら相当頑張って走らせている事が分かります。

 

こちらが宿毛駅前まで連れて行ってくれる、宇和島自動車のバスです。

 

1929年に、宇和島運輸の子会社である第二宇和島自働車が、宇和島自動車を合併。1947年に宇和島自動車は独立し、宇和島運輸との間に資本関係はありません。

バスに描かれた「宇」のマークが宇和島運輸フェリーと似ていたので、てっきり子会社かと思っていましたが、過去の繋がりのため似ているそうです。



15:15 宇和島駅 発

他にお客さんは4名ほど。県境を越えて宿毛へ至る未成線の旅が始まります。

 

駅前大通を走りつつ、宇和島城の足元に位置する宇和島バスセンターへ。

バスは建物に頭を向けて、突っ込む形で停車します。

 

宇和島市は城下町として栄えたこともあり、宇和島城周辺が中心部。

愛媛県西部の代表都市に位置付けられます。

 

ちょうどすれ違ったのは、2024年3月に運行開始したばかりのEVバス。

まん丸のライトが可愛らしく、落ち着いたグレーのラインとのミスマッチが面白いです。

 

市立宇和島病院のロータリーまで入って経由しており、通院のお客さんの足を担っています。

 

県立宇和島東高校沿いを通過。時間帯によっては高校生の生徒さんもこのバスを利用されるのでしょうか。

このバスは路線バスなので引き続き下道を走りますが、正面には宇和島南ICが現れます。

 

川之江JCTからJR予讃線に沿うようにして伸びる、松山自動車道のインターチェンジです。

 

国道56号を走っていると、ロードサイド型店舗が現れました。

駅周辺には少ないですが、宇和島にも見慣れた全国チェーン店があるんですね。

 

入江に形成された宇和島市で一番大きな町並みが終わり、バスは松尾トンネルへ。

 

2005年に宇和島市と合併した旧津島町。宇和島自動車若松出張所が入居する、若松停留所に停まります。

 

現在自動車専用道が開通しているのは、ここ津島若松ICまで。

この先も未成に終わった鉄道の雪辱を果たすようにして、津島道路、宿毛内海道路の計画が進んでいます。

 

とんでもなくレトロなAコープがあったりと、戦後間もない頃を見ているようです。



そして遂にバスは、海沿いまでやってきました。

もし鉄道が開通していたら、おそらく三陸鉄道リアス線のイメージ。

ほとんどがトンネル区間で、ところどころ山と山に橋渡された区間から、入江の街並みを見られたのでしょう。

 

まるで海の上に板を張って街を作っているような、離島の港町みたいです。



鳥越トンネルに入りまして、山を越えます。

短いトンネルではありますが、ここが市町境。宇和島市から愛南町へ入りました。

 

トンネルを抜けると枝分かれした道に寄って、再び国道56号へ復帰。

道路看板にもある通り、引き続き宿毛方面へ向かいます。

 

そしてこちらには、「愛南町」の文字が現れました。

愛南町は2004年、御荘町、一本松町、城辺町、西海町、内海村が合併して誕生した町です。そのため旧村名の「内海」も書かれています。

 

引き続き、宇和海に沿って複雑な地形を走行中。

 

旧内海村の中心部に入り、内海海水浴場、須ノ川公園キャンプ場周辺を通過。

この近くにある町立内海中学校は2024年3月に閉校し、撮影した頃は最後の卒業生を輩出した直後だったはずです。

 

雨で少々霞んでいたこともあり、非常に幻想的な車窓。

おそらく鉄道が開業していても、このような景色をところどころ眺められたでしょう。

 

入江に形成された街同士、トンネルでショートカットするような道のりです。

 

旧内海村の中心部は柏地域。ここに位置する愛南町DE・あ・い・21は、図書館や多目的ホールなどが入る、公民館的な施設です。

 

周辺には、何軒か旅館や民宿なども並んでいました。

 

桜の彩りを見せる山を横目に、次なる集落へ走ります。

愛南町の中心部、旧御荘町のエリアです。

 

ファミリーレストランのジョイフルまで現れました。

ジョイフルってかなり田舎の地域でもあって、本当に驚かされるところ。

 

八幡神社のある丁字路で国道から逸れ、細い道へと入ります。

 

このあたりには旅館などがあったり、昔からの街並みが残っていました。

 

かなり建物が密集しており、鉄道駅ができていたらもう少し外れたところにあったでしょう。

 

旧御荘町役場は、愛南町御荘支所になっています。

 

その近くには愛南町で唯一の高校、県立南宇和高校があります。

 

おそらく町内では一番大きなショッピングセンター、瀬戸内でよく見るフジ南宇和店です。



川を渡り、愛南町役場がある城辺町に入りました。

昔ながらの旅館やスナックなどを目の前に、城辺バスセンターに到着です。

 

ここで驚いたのが、バスターミナルを示す看板。

城辺「駅」と書かれています。

かつて国鉄バスがここへ来ており、自動車駅として扱われていたため。例えば城辺から宇和島まで国鉄バス、宇和島から高松へ鉄道に乗るような、連絡乗車券なども販売されていたそうです。

 

建物もフェリーターミナルのようで、無機質な感じでした。

 

再び国道へ戻りましたが、バスはトンネルを避けて迂回路へ。

 

こちらにも港を中心とした集落があるので、路線バスはここへ住まわれている方の足になっています。

都市間の短絡というより、それぞれの地区から需要を拾う、路線バスならではの光景です。



山を越えて、旧一本松町に入りました。

ロータリーまでは入らなくとも、愛南町国保一本松病院には、一本松病院前のバス停が設けられています。

 

中心部から少々外れ、一本松温泉あけぼの荘に到着。

宿泊もできて、第三セクター鉄道として開業していたら、こういうところに駅が作られそうです。

 

いよいよバスは、愛媛県から高知県へ。

川の向こう側は高知県宿毛市になっており、上を通っている国道56号は既に県境を越えています。

 

バスもまた篠川を渡り、高知県へ入りました。

 

蛇行する川に沿って走った後、トンネルへ。

 

これを抜ければ直接、宿毛の街へ出てきました。

 

そしてついに現れました、土佐くろしお鉄道宿毛線の高架橋です。

 

宇和島駅から2時間近く、宿毛駅に到着しました。



17:09 宿毛駅着

宿毛駅まで乗っていた人は他におらず、宇和島から愛南町や、愛南町内の需要がメインといった印象です。

 

本来は宿毛線の途中駅になるはずだった、宿毛駅。

宿毛線の建設当初は、宇和島駅を起点に宿毛駅54k000m〜中村駅78k134mとして進められましたが、工事再開時の1987年に宿毛駅を起点として、0キロ地点になりました。

 

本数は少ないですが特急列車も走っており、1本は高松駅までの特急しまんと号。

 

2024年春のダイヤ改正で復活した、四国最長特急列車です。

 

土佐くろしお鉄道として、なんとか宿毛まで伸ばされた線路。行き止まりになったホームが、もうこの先へ鉄道が走ることはないことを示します。

 

それでもかつては、鉄道が走ることを夢見た、四国最果ての地。ぜひ路線バスでそのあとを辿ってみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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