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【人口36万人の地下鉄】昔の東京メトロ再現 長野電鉄の地下区間が凄い![2310長野(3)]

2023年11月10日

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長野市から温泉に入るニホンザルで人気の湯田中温泉まで結ぶ地方私鉄、長野電鉄長野線。

長野市中心部は地下化されており、首都圏で活躍した地下鉄車両が走ることから、長野の地下鉄と言われます。

 

1981年に地下線へ切り替えられ、各駅は昭和から時が止まっているかのような空間です。

地上線の様子と合わせて各駅を訪問しつつ、「人口36万人地方都市の地下鉄」をお楽しみいただけたらと思います。



長野電鉄長野駅は、善光寺口から地下へ潜ったところにあります。

その入口はガラス張りで非常に近代的、とてもこの下に時が止まった空間があるとは思えません。

 

しかし、改札前まで進んでみるとこの通り。

黒ずんだ床にベンチが並んでおり、補修された天井などに時代の変化を伝えられます。

 

さらに、改札前では地元農家さんによる野菜まで売られているのです。しかも長野市という地方都市らしく、結構な方が購入されているのも印象的。

 

自動改札は導入されておらず、荘厳なラッチが並ぶ有人改札です。昭和の日本を映したテープ映像がここに見られます。

 

長野駅への入口はいくつかあって、他のところは結構古め。昔ながらの地下駅という印象です。



現在の地下区間を含む長野~本郷間、1926年から1928年にかけて、元々は地上に複線で敷設されていました。

しかしモータリゼーションの進行に伴い、踏切での渋滞が問題に。そこで連続立体交差事業が行われました。

 

高架化よりも地下化の方が高額になりますが、長野市は線路跡を道路にしようと考え、地下化を選択。

この建設には道路特定財源から賄われており、規模の小さい地方私鉄の長野電鉄でも、地下路線を整備できたのです。

 

地上駅時代の長野駅があったのは、デイリーヤマザキやピンク色の「地酒」の看板が掛かっているあたり。

東急百貨店の右側に長野大通りがあり、その地下を長野線が走ります。



それでは改札へ入っていきましょう。

使用するのは長電フリー乗車券。大人2070円で、長野〜湯田中(1190円)を往復するだけで元が取れます。

 

列車ごとの改札が行われており、手のひらサイズのきっぷを提示して改札内へ。

 

階段を降りると正面には、頭端式の地下ホームが広がっていました。大都市ではよく見る建物内のターミナル駅、2面3線のコンパクトさはちょっと珍しいです。

 

こちらに並んでいるのが、東急電車から譲渡された8500系電車です。

 

地下駅のため避難経路がこのように示されており、改札とは逆方向の湯田中寄りにも非常階段が設けてあります。

このような地下線を走る鉄道車両では、前方または後方に貫通扉が必要。この図にも示されている通り、避難梯子を掛けて脱出します。

 

しかし、小田急HiSEのゆけむり号では、貫通扉がありません。

この長野線では地下区間が1.5kmであること、トンネルが大きめで避難しやすいことから、非貫通型車両の運行が認められているのです。

 

そしてこちらが湯田中方にあります、避難用の階段です。

 

普段はこちらを登ることができず、なんだか不気味な空間。特に車両火災などが発生した時には、こちらを登っていくことになります。

 

それではここから続く地下路線、進んでいきましょう。



列車は長野駅を出発、地下区間では反射防止のため、運転席真後ろのカーテンが降ろされています。

ピロロンというチャイムから始まり、自動放送が流れました。

 

お隣の市役所前駅に到着。長野駅から僅か0.4kmしか離れておらず、私鉄らしい駅間距離です。

 

そして列車がいなくなった後の冷たい空間、地下化された1981年より前ではないかと錯覚する古さです。

 

駅名標も非常にシンプル、英語表記が大文字だけなのも特徴的です。

 

ホームの両端に階段があり、こちらはかつて使用された南口へ上がります。

 

南口は2021年3月をもって閉鎖されたばかり。非常時の避難用設備として残されています。

 

こちらに関しては少し前まで使われていたので、広告看板も見られました。

 

改札がある北口への階段に向かって、広くなっているホーム。地下の閉塞感を和らげてくれます。

 

改札を出てきまして、やはりこちらも大きな改札が設けられています。

 

改札正面には十字看板が設置されており、こちらも中から照らしてくるレトロなものです。



地上へ上がりまして、こちらが使用停止した南口です。

真っ白にされた看板だけが真新しく、歩道に突如現れた謎の出口と化しています。

 

シャッターだけは閉じられており、終電案内等も白く塗ってありました。非常時にはここを開けて、脱出できるようになります。

 

次の列車は30分後なので、お隣の駅まで歩きます。

市役所駅〜権堂駅の間には緑町駅もあったのですが、1945年に休止。地下化に伴い完全に廃止されました。



市役所駅から0.6km、権堂駅に到着です。

中央分離帯には時計台のモニュメントがあって、まさに駅前っぽさを感じられました。

 

ここがまさに廃線跡を転用した長野大通り、真下を長野線が走っています。

 

権堂通りとの交差地点になっており、アーケードが形成されていました。

長野駅から善光寺を結ぶ中央通りと、新しい長野大通りと交差する重要な通りです。

 

この辺りの新しい建物に目をやると、長野電鉄の文字が見られます。

 

長野グランドシネマズに隣接する立体駐車場にも、長電の文字。

長野電鉄は鉄道外事業として不動産にも力を入れており、まさにこの駐車場にも営業所が入っています。



地下への階段を降りまして、権堂駅へ。

現在は「綿半」を核店舗にした権堂ウエストプラザになっていますが、元々はイトーヨーカドー長野店でした。

 

地下通路と店舗入口は繋がっており、都会の駅という印象が強まります。

 

改札上には、長野電鉄不動産部の広告が掲げられています。紺地に蛍光色をまとった、非常にはっきりした色合いです。

 

権堂駅はA特急含め、全ての列車が停車する主要駅です。プラットホームもどことなく広めです。

 

やってきたのは東京メトロ03系として活躍した、長野電鉄3000系電車。柱の色ともマッチして、丸ノ内線みたいです。



こちら善光寺下駅が、最後の地下駅になります。

名前の通り善光寺の最寄り駅。ただし多くの方は長野駅からバスを利用されます。

 

時計みたいな丸い温度計が掛かっていて、温度は15℃とひんやりです。

 

改札を出ると長野線沿線風景の、壁画が描かれていました。

 

コカ・コーラベンチに手書きセブンイレブン。こちらにはスノーモンキーが走っています。

 

反対側にはゆけむり号の姿も。普段は特急列車全て通過の駅ですが、善光寺御開帳開催中には日中のA特急が停まります。



ここから長野線と地上の長野大通りは、右へカーブしていきます。

駅近くにあったフィットネスクラブ。「ながでんスイミングスクール長野」とあり、こちらも長野電鉄が関わっているようです。

 

ここまで長野線の真上を通っていた長野大通りですが、長野線は右へ、長野大通りは左へ分かれます。

 

長野線の地上を辿ってみると、長野建設社員駐車場にたどり着きました。形からして明らかに地上線の廃線跡です。

 

その先ですぐに線路が現れ、地下線はここで終わりとなります。

 

このまま登っていきまして、ここから先は昭和初期に全通した古くからの区間。長野市中心部への足であり、多くの旅行者を運ぶ路線として活躍し続けています。

 

地方都市に突如現れる地下鉄道。首都圏からタイムスリップしたような空間をぜひお楽しみください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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