鉄道部分がタダになるきっぷ『徳島好きっぷ』で南海フェリーに乗船[四国沖縄(1)]
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こちらは徳島県南部、阿波海南駅です。
徳島駅から海岸沿いに南へ伸びる牟岐線。この駅はその終着駅であり、第三セクター阿佐海岸鉄道の始点にもなっています。
しかし牟岐線と阿佐海岸鉄道の境界は2020年11月まで1駅先の海部駅、ここが終着駅になったのはつい最近のことです。
このような変化が生まれたのは阿佐海岸鉄道が世界初の乗り物、DMVの運行をスタートさせようとしているためです。
今回はそれに伴う工事や試運転の様子を見ていきます。
DMVとはDual Mode Vehicleの略称。
鉄道線路上と道路上の双方を走ることができる乗り物です。
DMVには鉄道の車輪と車のタイヤが付いていて、それぞれの車輪に切り替えなければなりません。
その切り替え地点が阿波海南駅に作られた阿波海南信号場。
道路と線路が同じ高さで繋がっているこちらの構造物でした。
DMVと普通鉄道の信号システムの違いなどによって切り離されてしまった線路。
その代わり、DMVはバスとして街からお客さんを乗せ、そのまま線路へ入ることができるようになりました。
切り替え地点の手前には緑色の四角で囲ったところがあり、これが阿波海南駅のDMVの乗り場です。
ホームからも駅の外からもバリアフリーで行けるようになっています。
DMVの工事のため、阿佐海岸鉄道は代行バスによる運行がなされています。
使用されているのはこちらの路線バスの車両。
基本的に運賃は鉄道と同じですが、隣の海部駅までは0円という不思議な運賃表です。
さて、今度はお隣の海部駅へ向かって歩いていたところ、鉄道の走る音が聞こえてきました。
これはDMVが試運転で走っているということ!
大急ぎで阿波海南駅へ戻り、なんとか追いつきました。
切り替え地点へと入り、鉄道の車輪を上げて車のタイヤを降ろします。
DMVは街へ向けて出発しました。
さて、DMVを見送った後は再び海部駅へ向かって歩きます。
長い長いこの橋は撮影ポイントになりそうです。
制限速度も鉄道の白い四角に黒い文字ではなく、道路標識の赤い丸に青文字で立っていました。
海部駅に到着しました。
ここが元々のJR牟岐線と阿佐海岸鉄道の境です。
高架駅に加えて駅のすぐ近くに住宅が立ち並んでいるため、道路から線路の高さまで車両を上げるのは難しくなっています。
DMVのために阿波海南駅へ境界駅が変更されたのはそのような経緯です。
海部駅でしばらく滞在していると、試運転のDMVが戻ってきました。
高架ホームから近くで見たいものですが、残念ながら立入禁止。下からちょっと見るしかありません。
さて、今度は代行バスに乗車します。
平日の昼間とあって利用者はごく僅かです。
阿佐海岸鉄道は高架線で直線的に進みますが、道路は山に沿ってくねくねと走ります。
線内唯一の有人駅で本社があったりする宍喰駅に到着。
阿佐海岸鉄道の中心的機能を持っています。
海にも近い港町らしくなってきて、徳島県から高知県に入ります。
終点の甲浦駅に到着しました。
この駅は高架の終着駅となっていて、上にはホームが見られます。
終着駅ながらここから新しそうな高架が繋がっていて…
これは駅舎を巻き取るようにしてスロープが作られています。
高架の終着駅である甲浦駅、DMVの構想時ここから道路へ車両を降ろすのは無理ではないかと一部で言われていました。
しかし駅舎の周りに急なループ線を作ることでそれを可能にしたのです。
待合室を兼ねた駅舎周辺は現在使用中止。
その代わりにエアコンも効いたプレハブの小屋が建てられており、代行バスや路線バスの待合所として使用できます。
またまた試運転車両がやってきて、高架上の切り替え地点でバスとなりました。
急勾配をゆっくりと降りてきます。
緑の四角のバス乗り場は地上に作られています。
海部駅と同様、現在ホームへ行くことができない甲浦駅ですが、乗降場所を地上に統一。ホームに当たる場所は鉄道への切り替え地点に過ぎず、乗降できないと考えられます。
しばらく滞在していると、再びDMVがやって来ました。
緑の四角の前でしばらく停車した後、かなり急なスロープをぐんぐん上ります。
ここで切り替え地点となり、鉄道の車輪を降ろします。
その後は鉄道らしいカタンカタンとした音を立て、走っていきました。
DMVの車両は1台1億円とされており、かなりの投資金額です。
また、車輪の上げ下げが行われる前輪パーツ「車輪アーム」の脆弱性が問題となり、DMVのデビューは東京五輪・パラ前から今年中へと延期されることになりました。
ここからは路線バスで室戸岬の方向へ向かいます。
DMV実現後は甲浦から先室戸岬へ直通するとも言われています。
阿佐海岸鉄道だけでなく、この地域一帯の期待を背負うDMV。
収支面でそれが成功するのは非常に難しいことですが、少なくとも多くの人が訪れるきっかけになって貰えれば嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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