今日は北海道から首都圏を結ぶ、商船三井フェリーに乗船します。
苫小牧港から大洗港までを結んでおり、19時間15分かけてのゆったり船旅です。
トラックの貨物輸送を最優先に考えられていますが、今回利用する夕方便は比較的観光客含め、旅客輸送にも重点が置かれます。
そこで充当されているのが、2017年新造の「さんふらわあ ふらの」。
非常に明るく清潔な船内には、レストランや展望浴室。船室も雑魚寝から超豪華個室まで様々です。
その中で今回利用するのはコンフォート。
個室ではありませんが、カプセルホテルのようなプライベート空間で、寝台フェリーを楽しめます。
非常に長い行程ですが、船内での生活が一体どんなものなのか、お楽しみいただけたらと思います。
苫小牧フェリーターミナルの最寄駅は苫小牧駅。
札幌駅から約1時間で、普通列車なら1680円、特急列車なら2830円です。
フェリーの時間に合わせて高速バスも運行されており、こちらなら1450円となります。
苫小牧駅から直結してドンキホーテがあるので、ミスタードーナツで作業させていただきました。苫小牧駅周辺で時間を潰せるのは、この大型商業施設くらいかなと思います。
苫小牧駅からは道南バスフェリー線でフェリーターミナルへ向かいます。
駅前にはいかにもバスターミナルらしいエリアがあるのですが、老朽化のため平成27年11月で廃止されました。
バスが出発するのは駅前ロータリー、1番のりばです。駅隣接の施設に待合所を兼ねた「ココトマ」が入居しており、その目の前なので結構便利になっています。
フェリーのダイヤに合わせて運行されており、今回乗車したのは苫小牧駅16:35発、フェリーターミナル16:52着の便です。料金は250円となります。
フェリーターミナルに着きましたら、1階で受付を行います。
「川崎近海汽船」「太平洋フェリー」「商船三井フェリー」の3社が並んでいるのですが、今回利用する大洗行きさんふらわあは一番右、「商船三井フェリー」です。
予約を行なっていない場合はここで乗船手続きのため記入を行い、有人カウンターへ並ぶことになります。
今回はインターネットで予約してあるので、自動チェックイン機でQRコードをかざして発券を行うだけ。非常に簡単な手続きでした。
こちらで乗船券を兼ねたルームキー、そして乗船の案内を受け取ります。
鉄道と変わりないLEDの発車標には、大洗、仙台名古屋、八戸の表示。様々な長距離フェリーが一つのターミナルから出港する、非常にロマンを感じます。
展望デッキからは大きなフェリーの全体像を見渡せます。今回乗船する「さんふらわあ ふらの」は一番奥に停泊していました。
現在ONE PEACEとのコラボを行なっているみたいで、排気口部分にペイントが施されています。
3隻並んでいる状態でして、一番左が八戸行き川崎近海汽船「シルバープリンセス」、真ん中が仙台名古屋行きの太平洋フェリー「きそ」でした。
乗船開始は17:30より、受付階から上へ登ってすぐの1番乗船口です。
乗船中は撮影禁止と書いてあったのですが、かなり長いボーディングブリッジを渡ることになり、大きなフェリーの姿を近くで見られました。
船内に入りますと、エスカレーターで上へと登って行きます。
行き着いた先は5階であり、航行中乗客が行き来できる中で一番下の階です。
案内所や売店などがあるプロムナードとなっています。
今回利用するコンフォートは、この5階にあります。
まずはこのドアを開けて室内へ。
この通りカプセルホテルやドミトリーみたいな空間になっています。
2層になった寝台が階段を挟んで並ぶので1組。今回は階段を上った先の02番です。
2017年就航の船でかなりの清潔感、明るい印象となっています。
アメニティとしてスリッパは用意されていますが、歯ブラシやタオルは自分で持ってくるか、売店で購入する必要があります。
コンセントも一口設置されているので、電源事情は非常に安心です。
カーテンで締め切るため防音性は低いですが、ある程度のプライバシーは確保できました。テレビも備わっていまして、案内所などに置いてあるイヤホンで聴くことになります。
料金は通常時土休日のC期間で15,200円でした。
通路には貴重品を入れておくロッカーがあり、100円玉の返却方式です。
さらに冷蔵ロッカーまで備わっていまして、こちらは200円の有料。ビールなど冷えたまま置いておけるのは非常に嬉しいですね。
キッズランドとして遊べるスペースも確保されており、昼間には多くの子供達がおられました。
コインランドリー設備も整っていまして、洗濯300円、乾燥30分100円でホテルと変わりない料金です。
お手洗いは非常に清潔感あり、かなり広々しているので身支度などもできます。
まだ出港前ですが、夕食の営業を開始しているので、レストランへやってきました。
こちらは一つ上の6階。テイクアウト商品もあって、右側のソファでも食べられます。
夕食・朝食はバイキング形式で、夕食2200円、朝食1200円です。
夕食・朝食2食セットも販売されていまして、これなら2900円と500円お得になります。
バイキングとテイクアウト商品含め、券売機で食券を購入することになります。現金を忘れないようにしましょう。
営業時間は夕食18:00〜19:30、朝食7:30〜9:00、軽食11:30〜12:30です。
それでは夕食バイキングへ。
食事スペースはご覧の通り、かなり広々しています。基本的にはテーブル席が多いです。
1人だと数少ないカウンター席を優先的に使用するよう誘導されます。正面に窓があって景色もしっかり見られるので、むしろ特等席といった感じです。
早速夕食バイキングの料理をご紹介。
さんふらわあのバイキングはメニューが豊富な印象です。こちらは中華風肉炒め、手羽先黒コショウ焼き。
続いてエビにら香港焼きそば、ちゃんとエビが入っているの嬉しいですね。
かつて全国発売だったS&Bのホンコンやきそば袋麺はエリアが縮小し、今では北海道名物にもなっています。
デミグラスソースたっぷりの、ボリュームあるハンバーグ。
豚角煮まんは自分で生地に角煮を挟みます。角煮は非常に分厚くて、繊維が解けていくようなのと、トロッとした食感も最高です。
トルティーヤはお好みで具材をのせ、くるっと巻いていきます。
どうやらこの生地のことをトルティーヤって言うらしいですね。タコスやナチョスとごっちゃになります(笑)
揚げたてなのでザックザク食感のアジフライ。
自分で麺を茹でる醤油ラーメンも。メンマやネギなどのトッピングでいただきます。
オクラのネバネバサラダや、キムチ、ポテトサラダなど野菜も豊富。
ポン酢の豚しゃぶにマグロ漬けが幸せでした。
スイーツも揃っていまして、こちらはたい焼き。
さらに水まんじゅう、ガトーショコラもあります。
フルーツとしてオレンジとキウイも盛られていました。
そして注目を浴びるのがビールサーバー。1杯500円でキンキンに冷えたサッポロビールをいただけます。
バイキングになると、どうしても沢山とってきちゃいますね。
種類が色々あるのもそうですが、一つ一つが大きくてボリューミーになっています。
まもなく出港という港を目の前にして、すてきな夕食でした!
18:45 苫小牧フェリーターミナル 発
夕食を食べ終えまして、北海道は苫小牧港を出港。
国内貨物の取扱量が日本一の苫小牧、貨物港とは離れた位置ですが、その産業に支えられる街の光が見送ってくれます。
日も暮れてきまして、丸い光を灯すタワーみたいなのが見えてきました。あちらは苫小牧信号所、おそらく港において船の信号を出していると思われます。
黒煙が夕焼けを染めて行きまして、加速を続けているようです。
19:00ごろ、だいぶ苫小牧からも離れました。
苫小牧から室蘭にかけて街の明かりが連なり、夕焼けが登別の山々のシルエットを浮かび上がらせます。
クルンとした絵鞆半島の丸まった地点、地球岬かと思われる灯台が見られました。内浦湾へ突き出る先端です。
だいぶ遠くなった苫小牧のコンビナートに目を凝らしつつ、北海道をあとにします。
北海道から北東北にかけては陸地から離れるため、少々電波状況が悪くなってしまいます。ちなみにコンフォートの室内では港にいても通じません。
船室に戻ってきまして、寝ておくことにしました。
先ほど備えられていたシーツですが、掛け布団と敷布団の間に挟み込むようにして使うと思われます。
寝転がるとご覧の通り、身長170cmくらいですが全く窮屈な感じはしません。
夜食営業をしていると放送があったので、レストランへ様子を見にいってみました。居酒屋に早変わりしているみたいで楽しそう。
ちょっと夕食バイキングで満腹なので、今回はパスということに。営業時間は20:00〜20:30です。
眠っていたら時刻は22:30。
青森県右側の下北半島における太平洋側先端、尻屋崎灯台が見えてきました。早くも本州沿岸へやってきましたが、ここからが長いんですよね。
船内にはパンフレットが置いてあって、主要な見どころの通過時刻を示してくれています。次は鮫角(八戸市)、魹ヶ崎(宮古市)と続くので、ぜひ見ていきたいですね!
さて、時刻は6:20。意気込んでいましたが完全に寝てしまっていました。(オイ)
現在は三陸海岸沿岸を航行中、宮城県まで下っています。
おそらくあの建物は女川原発。東北電力は津波対策を十分に行なっていたことから、東日本大震災でも原発事故にはつながりませんでした。
そして石巻市に浮かぶ島、金華山が見えてきました。
霊場として知られる信仰の島であり、野生の鹿や猿は神の使いとして保護されています。人口5人で全員神社職員の方だそうです。
このフェリーにはなんと展望浴場も備わっています。夜は混んでいると思ったので、朝風呂へ。
浴槽は十分広く、非常に快適に過ごすことができました。揺れもかなり小さいので、酔うこともないのではと思います。
また、シャンプーリンスやボディーソープが寝台特急サンライズと同じで、親近感が湧きました。
営業時間は乗船〜22:00/6:30〜下船です。
目の前にはマッサージチェアも。ぜひこれで疲れを癒しましょう。
そのままの足で朝食バイキングへ。
焼きサバにウインナーといった、ビジネスホテルでも定番のメニュー。
冷奴、アスパラとベーコン炒めなど、家庭感溢れる品揃えでもあります。
モチモチの皮に包まれた水餃子、餡の肉汁たっぷりです。
半熟の目玉焼き、ソースや塩などそれぞれのお好みで味を整えられます。何をかけるか論争の代表例ですもんね。
そしてフライドポテトは子供達に大人気、どんどん取って行かれます。揚げたてでカリカリです。
ご飯のお供にということで、生卵に納豆。
そのほかに海苔や漬物など、とにかくバリエーションが豊富でした。
さんふらわあで人気のカレーライス。
辛いのが苦手な方でも安心の、程よいスパイシーさです。
パンも揃っていまして、食パンにシナモンロールまで。香り高い甘さのシナモンロールは特に気に入りました。
朝のサラダもたくさん種類が用意されており、健康にも良さそう。
こちらはトマトの甘さが染み渡るミネストローネ、じんわり温まります。
ヨーグルトにフルーツカクテルもあって、カップにどんどん注いじゃいます。
コーヒー飲料系のソフトドリンクも一緒にいただけました。
この通り豪華な朝食、これだけのものを船上で提供してくださるのですから、信じられません。今日一日元気の源です。
フェリーは福島県沖までやってきました。
陸地はおそらく南相馬市あたりです。ちなみに宮城県のところからずっと電波は通じているので、プロムナードに来れば全く不自由ありません。
そして9:30ごろ、うっすらと福島第一原子力発電所の建屋が見えてきました。
この日は処理水の海洋放出を始めた翌日のこと、長い廃炉作業への道のりにおける第一歩です。
もう少し南下しますと、広野火力発電所まで来ました。大きな白い煙突が3本、目立っています。
福島県最大面積を誇り、県内トップクラスの都市であるいわき市沿岸へ。
「殿上崎と久ノ浜」など、この辺りには砂浜と岩場がセットになった地形が集まっています。
薄磯海岸の海抜73mの絶壁に立つ、塩屋崎灯台が現れました。
美空ひばりが歌った「みだれ髪」ゆかりの地として、歌碑も建立されているとのことです。
さらに進んだところで、高さ59.99mのいわきマリンタワー。
いわき市市制20周年を記念して建立され、スカイデッキからは太平洋といわき市を一望できます。
レストランの他にも、買い物ができる売店があります。
営業時間は出航後〜21:30と、8:00〜12:30です。
お土産やお菓子類のほか、タオルや歯ブラシなど日用品も取り揃えていました。
レストランは料金が高くて厳しいという方でも、ここでカップ麺を買うことができます。
中でも注目してしまうのが、アイスクリーム。北海道のアイスと銘打って誘惑してきます。
目についたのがセイコーマートの北海道メロンアイスクリーム。
この滑らかな舌触りに、仄かな香りが素晴らしいです。
「来るな」を意味する「なこそ」が由来の、歌枕「勿来関」。江戸時代になってから「なこその関」を見立てて観光地化したのが、茨城県と福島県の県境に位置する「勿来」です。その海岸は勿来火力発電所が広範囲を占めています。
11:30〜12:30には軽食という名の、昼食をいただくことができます。
レギュラーメニューは、うどん、キーマカレー等。この時はONE PEACEコラボ商品として、シーフードBOX、肉肉BOXなる、遊園地や屋台で売っていそうなお弁当も販売されていました。
今回はきつねうどんをチョイス、本場讃岐うどんを使用しているとのことです。
確かにコシがあって、讃岐うどんならではの食感。油揚げもジュワジュワと味が滲み出てきて、非常に美味しかったです。
ちなみにレストランの奥側には、トラックドライバーさん専用の食堂もありました。こういった長距離フェリーも観光客の利用が増えつつありますが、メインは貨物輸送ルートの確立です。
いよいよ大洗港が近づいてきまして、陸地の建物も見やすいように。
こちらは東海原子力発電所、赤いタンクっぽいのが見つけやすいです。
さらに進んで、ひたちなか埠頭には火力発電所もあります。この船旅でいくつも見た発電所、いかに海沿いに多く設置されているかが分かります。
磯崎海岸の向こう、ひたちなか海浜公園の観覧車もひょこっと覗かせていました。
そしてアクアワールド茨城県大洗水族館の、まるっぽい建物も見えてきます。
大洗港入港が近くなり、下船準備を整えます。
お世話になった寝台からもお別れ、寝台特急を擬似体験できるような素敵な旅でした。
めんたいパークの赤い芋虫に迎えられ、大洗港へ進入。
かもめが飛び交っているような素敵な港、それを一望できる大洗マリンタワーも立っています。
遂に接岸しまして、ボーディングブリッジが伸ばされてきました。
14:00大洗港フェリーターミナル 着
下船口は乗ったときと同じ場所、今度はエスカレーターを下っていきます。
19時間に及ぶ長い船旅もあっという間。ここまでのフェリーはもう乗り物ではなく生活の場なので、時間が過ぎるのが本当に早いです。
フェリーターミナルからは、最寄の大洗駅までバスでアクセスできます。
こちらは大洗町循環バス「海遊号」の大洗サンビーチルートです。フェリーターミナル経由便は1日2本、完全にフェリー到着時刻に合わせられています。
料金は大人100円、先払いとなります。大洗港フェリーターミナルから水戸までバスもありますが、今回のルートの方が安いです。
15分で大洗駅に到着しました。この大洗町循環バス「海遊号」、大洗町じんぐりバス「なっちゃん号」は町内の観光地を数多く回っています。1日フリー乗車券も車内にて200円で販売されているので、下船後観光にもおすすめです。
大洗駅からは鹿島臨海鉄道大洗鹿島線に乗車。水戸駅までの料金は330円です。
Suicaなど交通系ICカードは利用できないので、注意が必要。有人改札で駅員さんにきっぷを見せて通ります。
スパッと切られたような顔つき、レトロな赤い列車へ乗り込みます。
こちらは大洗駅15:05発、水戸駅15:21着。水戸駅15:27発の特急ひたち18号へ対面乗り換えできて、東京駅の到着は16:42です。
北海道から関東まで時間はかかりますが、のんびりできるフェリーの旅。ぜひ選択肢の一つに加えてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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