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【鉄道消えても発展中】酪農が支える中標津・別海 根室交通バスで厚床支線廃線跡[史上最長片道切符の旅(93)]

2023年4月28日

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国内屈指の観光路線として人気を誇る釧網本線。標茶しべちゃ駅まではSL冬の湿原号がやってきて、釧路湿原の自然と蒸気機関車ならではのレトロな鉄道旅を楽しめます。     ここ標茶駅から ...

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標茶駅〜根室標津駅と、中標津〜厚床の2線で成り立っていた標津線。

なんとなく標茶〜厚床が本線、中標津〜根室標津が支線に見えますが、実際には標茶〜根室標津が本線、中標津〜厚床が厚床支線でした。

 

今日は標津線厚床支線を根室交通の路線バスで巡ります。

現在、廃線代替バスとして設定されているのが、中標津〜厚床駅の中標津線。なお、別海〜厚床駅については2023年9月末に廃止見込みと報道されています。

ただし、根室中標津空港〜根室を結ぶ中標津空港線で今後も中標津〜厚床駅の移動は可能。バスの本数が減るだけなので、廃線代替バスがなくなる訳ではありません。

 

それでも減便されることは事実の中標津〜厚床駅。ちょうど朝の通学時間帯に乗車することになったため、その需要も観察していきます。



おはようございます。中標津のゲストハウスushiyadoさんからのスタートです。

フリースペースは中標津町の酪農を思わせる、牛やナチュラルな自然を感じさせるデザイン。

2020年の生乳産出額は別海町、中標津町、標茶町と続いており、まさに標津線沿線の市町村が占めています。

 

鉄道が走らなくなっても人口が減少せず、発展した街並みが残る中標津町。これを支えているのは、現在でも酪農が主要産業として維持されていることです。

 

中標津駅跡に作られました、中標津交通ターミナルです。

全日空の営業所が入居しており、根室中標津空港がある町のシンボルみたく思ってしまいます。

 

乗車するのは厚床行きの根室交通中標津線です。

 

朝は各地からバスが集結するようで、頭を突っ込む形のターミナルが活用されています。

中標津の時点で乗車されていたのは、高校生の方1人だけでした。



07:25 中標津BT 発

バスターミナルを出発しまして、中心街を走ります。

中央十字街というバス停がありましたが、北海道の街では広い道に置かれたターミナルでもない「十字街」バス停の利用が多い印象です。

 

標津川へ注ぐ小さな川を渡るとともに、標津線の線路跡を乗り越えます。

 

一気に南下するのではなく、中標津町郊外のポイントを抑えていく様子。

こちらは中標津高校ですが特に乗降はありません。ここへ通学される生徒さんはおそらく別海から中標津方面と思われます。

 

また、大きな町立中標津病院もありました。

 

こちらは中標津町に本社を置く地元スーパー、東武サウスヒルズです。

マクドナルド、ドトールコーヒー、サーティーワンアイスクリーム、Right-onなど根室に無い最東端店舗は、ここに入居しています。



ここから町を外れまして、丘をどんどん下っていきます。

中標津の中心街を寄ってきましたが、乗車されているのは生徒さん1人だけ。

おそらく中標津町内に生活に必要な施設が十分備わっているため、町の外へ出る必要性が低いものと思います。

 

標津線厚床支線は、中標津駅から南西へ向かって分岐しています。

廃線跡は右側にあるのですが、ちょっと遠くて見るのは難しいです。

 

しかし、しばらくすると何となく盛り土に見える部分がありました。

 

中標津町から別海町に入りました。北方四島返還の看板が現れ、道東の果てが近いのだと実感させられます。

 

別海跨線橋で標津線を越え、廃線跡は右手から左手へ移ります。

この橋の欄干には「標津線」と書かれているらしいです。



別海町はいくつか集落が点在していますが、その一つである中春別へ。

ここには春別駅が設置されており、木材輸送が行われていたそうです。

 

中春別では生徒さん7人と生活利用者さん1人が乗ってこられました。

この路線に限らず、町内の各集落から町の中心へ通学などの需要があるのでしょう。

 

標津線は結構遠くを走っていますが、なんとなく目で辿れる範囲。

春別川には赤い橋梁が残されているそうです。

 

少しずつこちらへ近づいてきたあたり、設置されていたのが平糸駅です。

平糸のバス停では1人乗ってこられます。

 

すぐ横にきた廃線は高く盛り土されており、列車が走っていた姿を簡単に想像できます。

 

別海町中心部の端っこ、宮舞からは4人の生徒さんが乗車。

 

コープさっぽろ別海店がありまして、この建物の向こう側が標津線です。

 

別海町は全国3番目に広い面積の町という理由もありますが、人口14,000人の大きな町です。

中標津町とともに酪農で発展しており、冒頭でも触れた通り生乳生産額が日本一です。



別海駅跡に建てられた、別海町交流館ぷらとに到着。

別海町におけるバスターミナルであり、1人生徒さんが下車されました。

 

西別川を渡る所、向こうに見える標津線の橋梁は遊歩道として整備されているそうです。

 

別海高校前に到着し、ここで生徒さん11人が下車されました。

完全にここへの通学バス、中標津町から通学される方は少なく、町内の高校生がここへ集まる形です。

 

そして左手には大きな工場が現れました、こちらは雪印メグミルク別海工場です。

 

中標津と別海どちらにも工場が置かれていて、酪農地帯のすぐ近くで製品化されているルートが見えます。

 

そして、バス車内のお客さんは別海高校を過ぎるとゼロに。

厚床から別海へ通学する方がどれだけいるのか分かりませんが、空港バスにその役割も任せて大丈夫なレベルです。

 

別海からはパイロット国道と呼ばれる、国道243号を走っています。

昨日も走りました根釧台地の真ん中を貫く道路です。

 

廃線跡はここより東の風蓮湖近くまで離れたところを走っていました。



国の史跡にも指定された奥行臼駅逓で、国鉄標津線と交差します。

駅逓は明治から昭和にかけて築かれた交通機関であり、馬による輸送の拠点でした。

 

ここに設置された標津線奥行臼駅跡についても、木造駅舎が保存されています。

 

ここから標津線は右手へ移りました。

奥行臼駅周辺の廃線跡については、フットパスのツアーで歩くことができます。橋梁の上まで辿ることができて、非常に面白そう…。

 

標津線は風蓮湖周辺の湿原を貫いており、現在の釧網本線に似た景色を楽しめたのでしょうか。

 

根室市に入りまして、厚床までやってきました。

 

正面に根室本線厚床駅が待ち構えまして、終点に到着です。



08:35 厚床駅 着

中標津から厚床まで移動する需要は予想通り無く、今回観察した中では別海町内での通学が最も大きかったです。

 

駅舎の前には「標津線関連遺産群」の看板が立っていました。

標津線跡はフットパスのルートとして残されており、実際に歩くこともできます。

 

ちょうどここにフットパスのルートについて、案内されていました。

 

線路脇を歩けていたそうですがこちらは閉鎖され、普通の道路を迂回して廃線跡へ向かう形です。

 

こちらがフットパスの入口、厚床駅方面を向いています。

画面左端に根室本線の踏切があって、標津線がこちらへ別れている様子を見て取れます。

 

ここから北へ自然溢れる標津線、ぜひ歩きに来てみたいです。



厚岸駅へ戻ってきました。

路線図上では乗換路線もなく、自治体の中心駅でもないため、そこまで大きな駅ではないと感じてしまいます。

その一方で、中標津方面へのバス路線が詳しく案内されており、小さくても交通の結節点であることが表れているものです。

 

駅ピアノが設置されていたり、メッセージボードが彩られていたり、地域の方々にも大切にされている駅だと感じます。

 

ホームには旧標津線分岐駅だったことを示す看板が立てられています。

標茶駅と合わせて、標津線の記憶を今にまで伝えてくれているようです。

 

厚床駅は駅舎がある単式ホームと島式ホームを合わせた、2面3線構造。

標津線が発着していたのは2番線ホームで、根室本線の上下線に挟まれるような珍しい形でした。

 

この島式ホームは2000年夏、青春18きっぷのポスターにも採用されていたのですが、2016年春のダイヤ改正で単線化。構内踏切が撤去されて向こうのホームへは行けなくなってしまいました。

危険な要素は少しでも排除するのが鉄道会社の基本的考えですから、仕方ありませんが残念ですね…。

 

ここからは根室本線の普通列車に乗車しまして、釧路方面へ向かいます。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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