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【東日本大震災で廃線】線路の跡をバスが走る!気仙沼BRTって面白い![史上最長片道切符の旅(68)]

2022年10月19日

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東日本大震災による津波被害を大きく受けた仙石線。震災後には石巻〜仙台を1時間以内に結ぶ仙石東北ラインが開通し、その復興を思わせました。   仙石線は津波により、復旧にあたって内陸へ移転しまし ...

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おはようございます。こちらは早朝の石巻駅。

宮城県内第二の都市であり、仙石東北ラインの快速線によって仙台まで1時間以内で繋がれています。

 

石ノ森章太郎のマンガミュージアムがあり、駅舎にも何かいました。

カラスが頭に乗ってますが(笑)

 

まず乗車しますのは石巻線。ここでは陸羽東線色のキハ112形気動車が使用されていました。陸羽西線は奥の細道湯けむりラインという愛称が付けられていて、端っこにロゴマーク的なのが付いてます。

 

発車直前、駅舎側には女川駅始発の仙石東北ラインが到着しました。

マンガッタンライナーと呼ばれるラッピング列車で、仙石線にもこのような列車が走っているんですね。



0651 石巻駅 発

列車はガラガラ状態で出発していきます。通学時間帯ではありますが、2,3人程しか乗っていないです。

 

途中、小牛田駅と石巻港を結ぶ貨物列車とすれ違いました。



0711 前谷地駅 着

気仙沼線の乗換駅である、前谷地駅に到着です。この駅では多くの生徒さんが列車を待っていました。

 

前谷地の地名は、アイヌ語の「モイ(穏やかな、静かな)・ヤチ(湿地、沢)」が転じた説。箱泉寺で荒漠とした谷地だったこの土地を、「前の谷地」と呼んでいた節があるそうです。

 

さて、これから乗っていく気仙沼線。この先の柳津駅~気仙沼駅は東日本大震災によって被災し、BRTによる運行となっています。

BRTとはバス高速輸送システムのことで、バス専用道による速達性を保ち、バス停の機能向上を図ったシステムです。

 

前谷地駅~柳津駅については各駅停車の鉄道と、途中駅を通過して気仙沼へ直通するBRTの2ルートが存在します。

 

今日は各駅停車の鉄道を選択しまして、柳津駅まで向かうことにしました。

 

ホームには気仙沼線の0キロポストが立っています。



0733 前谷地駅 発

発車直前まで大勢の高校生が車内にいましたが、隣のホームに石巻行きの列車が到着すると、ほぼ全員が降りていきます。この気仙沼線の普通列車は完全に待合室代わり

 

実際に利用されているのはご覧の通り、1人しかいませんでした。

 

ちょっと不思議な駅名、のの岳駅。

箟岳ののだけ山(篦岳山)に由来していますが、難読のためか駅名はひらがな、そのために童話感が溢れています。

 

気仙沼線では唯一の交換可能駅、陸前豊里駅。立派な駅舎には産直がんばる館が入居しています。

 

日本三大急流の北上川を渡りまして、終点の柳津駅に到着です。



0756 柳津駅 着

気仙沼線の柳津駅~気仙沼駅は、東日本大震災による被災で気仙沼BRTに代わりました。あくまで仮復旧という名目で2012年より運行を開始しましたが、2020年1月31日に鉄道として廃止。鉄路復旧は断念し、今後も気仙沼BRTでの営業が決まりました。

 

鉄道が廃止されたため、柳津駅の駅名標も隣駅が消されています。

…にしても雑すぎないか?(笑)

 

柳津駅で行き止まりになっている線路の先は、バスの専用線に転用されています。

 

この日はBRT自動運転の技術実証実験のため、柳津駅からしばらくは一般道を走ることになります。

 

通常であれば、前谷地駅から来たBRTは駅舎の前を素通りして、黄色い立入禁止の表示の先を進みます。

 

2022年3月で窓口営業を終えていて、駅舎内には入れなくなっていました。

 

それではこちらのBRTで、気仙沼へ向かいます。



0812 柳津駅 発

左手に鉄道のプラットホームを見ながら、一般道へ離れていきます。

 

BRT専用軌道の上を交差。アスファルトが敷かれていて、普通の道路のように見えます。

 

しかし、横から高架橋を見ると完全に鉄道です。こういうところをバスが通っている姿も見てみたいですね。

 

陸前横山駅近くのバス停を通過しまして、だんだん山がちなところへ。



そして、陸前戸倉駅から専用軌道に入ります。

BRTのバス停は基本的に、かつて鉄道駅があったのと同じ場所に置かれています。また、雨風をしのげる上屋や待合室も整備されていて、地方のバスとしては非常に快適です。

 

専用軌道に入る直前は、このような踏切があります。これによって一般車の侵入を防いでいる訳です。

 

気仙沼線は単線だったため、バスがすれ違える幅がありません。そのため駅周辺で行き違えるように広くなっていて、信号が青になるのを待って発車します。



途中にはかつて鉄道だったことを思わせる重厚な設備がたくさんあります。

一番面白いのはトンネル。すれ違えない幅の小さいトンネルが長距離に渡って続いていて、そこを高速で走っていくのは迫力があります。

 

更に、海を横に見ながら橋を渡っていくのも、爽快感を感じられました。

 

先ほど駅周辺に行き違い設備があると言いましたが、駅間距離が長い所には途中にも広くなっているところがあります。鉄道で言う信号場みたいなものですね。

 

海に目をやると津波被害を受けたのでしょうか、かなり表面が古くなっている建物も見られました。



BRTは専用道により速達性を保ちながら、街の中心部では一般道を走り、市民にとって便利な停留所でこまめに停車できるメリットがあります。

鉄道時代はこのまままっすぐ進んでいましたが、南三陸町中心部になると一般道を走行。それまで鉄道駅が無かった場所にも停まります。

 

左手には南三陸町震災復興祈念公園が見えてきました。海抜16.5mもの津波が襲った南三陸町、震災遺構として残される旧防災対策庁舎からの防災無線では、多くの人が救われました。



南三陸町の中心駅が、志津川駅です。

プレハブの待合室になっていますが、2022年10月1日に道の駅さんさん南三陸へ移転しました。

 

次は南三陸町役場・病院前。南三陸病院の前に設置されていまして、通院にも便利です。

 

病院やベイサイドアリーナ、南三陸町役場を中心として、新たな団地が高台に作られました。

 

バスは元来た道を戻るようにして、志津川中央団地へ。こちらもより高い所で新たな街が作られました。

 

バスは再び専用道に戻るため、右へカーブ。

 

左にも道が続いているようですが、こっちをバスが走ることはありません。



2,136mに及ぶ志津川トンネルを走ります。

本格的なリアス式海岸に入っていまして、鉄道はその隙間にある僅かな港町を結ぶようにして、山の中はトンネルで貫いていきました。

 

青い鉄橋部分は震災前からのものなのでしょうか、その周りを厚いコンクリートで囲っています。

 

ちょうど清水浜駅で、反対方向のバスと行き違いました。

 

時々並行して走っているのは国道45号。道路の方は三陸海岸に沿うようにしてクネクネ曲がっています。

 

歌津駅は鉄道時代、このホーム下に駅舎がありましたが、津波で流出してしまいました。

 

1,744mに及ぶ歌津トンネルを走っていきます。バスはスピードを落とす必要も無いので、高速道路を走っているみたいなのに1車線という不思議な感覚です。



陸前港駅は1面1線の小さな駅。

その先には口が四角いトンネルがあります。気仙沼線は柳津~本吉が最後の開業区間で、1977年に全通。そのせいなのか、このような近代的に見えるトンネルがあってもおかしくありません。

 

BRTの途中駅は利用者が少ない停留所も多く、蔵内駅は1日の乗車人数が2人(2021年度)です。明らかに山の奥の方にありますが、少し歩けば港を中心とした集落があります。



陸前小泉では3人程お客さんがいらっしゃいました。

この駅もホームが築堤ごと流される被害を受けています。正面で交差しているのは、利府JCT~八戸JCTで2021年に全通した三陸沿岸道路。復興道路としても位置付けられ、早期に事業化できるよう建設が進みました。

 

津谷川橋は津波により落橋しており、この橋は架け直されています。

 

本吉駅~大谷まち駅では、一般道を走ります。

これは町の中心であるからというよりも、JR東日本が防災上の観点から鉄道のルートではなく、国道45号を走る方針を固めたからです。

 

大谷海岸駅は道の駅 大谷海岸と一体化。そこにJRのロゴがあるのは結構な違和感です。



専用道に戻ってきました。

陸前階上駅は鉄道時代の駅舎をそのまま使用しています。

 

2017年に訪れた時には、プラットホームや跨線橋も残っていました。

 

気仙沼BRT最後の専用道建設区間が、2021年12月に専用道化を果たした大谷まち駅~陸前階上駅でした。

 

岩月駅より先からは一般道を通って、気仙沼市立病院へ行く便も設定されています。

 

しかし、基本的にはそのまま専用道を通って、赤岩港駅を経由するのが基本です。

 

気仙沼の港が集まる内湾へ、新しいコンクリート橋を渡っていきます。

 

特徴的な円筒型の駅舎を持つ南気仙沼駅。かつては志津川駅や陸前高田駅もこの形でしたが、駅移転などにより現在はここだけです。

周辺には商業施設も多く集まっていて、たくさんの利用者さんがいらっしゃいます。

 

ここから気仙沼駅までは、ちょっと大回りをするようなルートをとっています。周辺の街並みを見ると、これまでよりかなり大きなところであることが分かります。

 

東新城駅と大谷まち駅が2022年3月に開業し、気仙沼BRTの建設事業は完了しました。今後は自動運転などサービス面での進化が期待されます。

 

左側からは一ノ関駅から結ばれる、大船渡線が合流してきました。

 

気仙沼駅にはキハ110形気動車が停車中。一ノ関駅への発車を待っています。

 

BRTはその奥にあるBRT乗り場へ侵入。ホームの高さ分の坂道を登りまして、バスとの段差が最小限に抑えられていました。



1001 気仙沼駅 着

確かにバスなので揺れは大きく、鉄道よりも快適性は落ちます。

それでも、沿線の方々が臨んだ交通の形であり、早くの復旧と利便性の向上が実現できたならば良かったです。

 

大船渡線の線路の行き止まりは外から見るとご覧の通り。BRTの専用道はその先段々と近づいていきます。

気仙沼駅では、バスと鉄道の同一ホーム乗り換えができるという感覚です。

 

駅舎内に入りますと、不穏なニュースが流れていました。この日は新潟福島を豪雨が襲った翌日、今度は北東北に雨雲がいるところです。

 

東北の鉄路がどんどん寸断されていく、そんな様子を目の当たりにしていました…。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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