新幹線駅は途中駅であっても、ある程度大きな街に作られることがほとんどです。
基礎自治体で言えば多くが市、地方では町に設置されることも。
しかし、ここ福島県には日本国内で唯一「村」の新幹線駅が存在します。村にある新幹線駅とは一体どんなところなのでしょうか?
ホームは1,4番線のりばで構成され、相対式ホームの2面2線構造。
中央に通過線が設けられていて、速達列車が駆け抜けていきます。
柱にはシールなのか書いてあるのか、直接駅名が記されていました。国鉄時代のホーロー駅名標にも用いられてそうな、隅丸ゴシックに見えます。
ホーム上には水飲み場が置かれていて、壁面には200系新幹線を連想させるカラーリングのライン。1982年開業当時からの歴史を感じさせます。
飲料水については看板も、神社の境内にありそうな見た目。背後のエレベーターとの落差が凄いです。
1944年この地に磐城西郷信号場が開設され、1959年に磐城西郷駅へ昇格しました。
1982年の東北新幹線開通に伴い、新白河駅に駅名変更。
現在ではいかにも白河市にありそうな駅名ですが、実際は大半が西郷村に位置しています。
ホームから見下ろしたところに「ゆりのき通り」があるのですが、この辺りが境界です。右側が西郷村、左側が白河市になります。
ここより奥のホーム、4両分くらいが白河市でしょうか。駅の所在地は西郷市ですが、駅名変更時に新白河西郷駅などにはならず、完全に白河市の駅と化しています。
コンコースには白河関のモニュメントが置かれていました。
関東地方と東北地方の境界であり、東北の玄関口として昔から重要な関所でした。
構内では白河口の戦いなど、その歴史について紹介されており、写真の白河小峰城は東北本線白河駅の目の前です。
「駅の美術館」と称されるブースでは、白河市の自然を中心に写真で観光面での魅力が伝えられていました。市内には日本最古の公園と言われる、南湖公園もあります。
この駅は東北本線の乗換駅でもあります。
東北本線においても、新白河駅はかなり重要な立ち位置です。新幹線と同じような自動改札で乗り換えます。
一部の列車が停まる5番線は、使用されない時は半分締め切りみたいな扱いです。
跨線橋を渡った先の6,7番ホームが基本的に使用され、8番ホームは小さく記されている通り重要ではなく、降車専用ホームになります。
さらに、6,7番線も通常と異なっており、左側に集約されています。
階段を下りて手前側が7番ホーム、奥が8番ホームとなっているのです。
そして中央部にはコンクリートの壁が作られて、線路も途切れています。どうしてこのような構造が生まれたのでしょうか?
2018年、これより南側の黒磯駅構内が直流化され、直流電化と交流電化の境目が黒磯〜高久駅間に移設されました。これによって交流電車が黒磯駅へ入れなくなったので、手前の新白河駅で物理的に行き止まりにしたのです。
発車に使用するホームは、基本的に6,7番ホームの1面に集約されています。
手前に停車しているのは交直両用、奥には郡山・福島から来た交流車両が到着です。
駅名標も完全に、東北本線がここから始まるかのような表記でした。運行系統考えたらそうなりますよね。
改札を出て駅舎内に戻ってきました。
新幹線改札はもちろん自動改札ですが、在来線側は有人改札でした。Suicaエリアも黒磯までです。
NewDaysやラーメン屋さんが出店していて、特に青春18きっぷシーズンにはここで休憩される方も。
他にお土産屋さんがありまして、駅弁販売も行っています。
こちらは新幹線側の正面出口(東口)です。黄味がかった一色の駅舎で、やっぱりそこまで遊び心は無い…。
駅前には東京第一ホテル新白河が立っており、白河駅から水郡線の磐城棚倉を結んだ白棚線バスもここに寄ります。途中廃線跡をバス専用道として走り、日本初のBRTと言われることも。
反対の高原口(西口)は、主要幹線の途中駅感が漂います。
白河の宿場町などをイメージしたのか、半分焦げ茶に三角屋根が特徴的です。
こちらの駅前には、西郷村まちおこしセンターがあります。これまで白河ばかり目にしていたのに、初めて西郷を見たかもしれません。
東海道新幹線には全駅ある東横インですが、東北新幹線は基本的に主要駅のみ。新白河駅前には出店していました。
レンタカー各社もありまして、こちら側にはオリックスレンタカー、日産レンタカー、タイムズ。トヨタレンタリース、ニッポンレンタカーは反対側でした。
在来線には場外馬券売り場のJRAウインズ新白河が面していて、いつも在来線で来る時この建物が目に付きます。
村にある新幹線駅と言うと、もっと山奥にあって駅周辺は寂れている…そんなのを想像してしまいます。
一方、こちらは完全に白河市の玄関口とも化しており、乗り換え先の在来線でも運行上の境界として重要な駅です。
利用することは何度かありましたが、改めて駅に注目してみると、その立派さには驚かされます。
「村にある」という決まり文句とのギャップを楽しませてもらいました。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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