九州新幹線西九州ルート、いわゆる長崎新幹線は、2022年秋に武雄温泉~長崎で開業する予定です。
現在佐賀県がフル規格による新幹線建設に対して反対しており、県内の建設の目途は立っていません。
そんな中話題になっているのが、佐賀空港を経由する別のルート。
どうしてそのようなものが考えられたのか、そしてどのようなメリットがあるのかご紹介します。
現在博多駅~長崎駅は特急かもめで結ばれています。
カーブの多い長崎本線ですが、振り子式の885系を利用し、2時間かからないくらいで走っているところです。
2022年秋には九州新幹線西九州ルートの武雄温泉~長崎が開業し、列車名の『かもめ』は新幹線の列車名に引き継がれます。
博多から長崎へは武雄温泉駅まで在来線特急の『リレーかもめ』、そこから新幹線に乗り換えです。
本来ならば佐賀県内も新幹線を建設したいのですが、その場合並行在来線の維持や、在来線特急が廃止されます。
博多からの距離が短い佐賀県としては新幹線の建設費用を出してもメリットがほとんどないというのが現実なのです。
そこで考えられているのが、佐賀平野の南部を通るルートです。
九州新幹線 筑後船小屋駅から西九州ルートを分岐。佐賀空港を経由して武雄温泉へ向かいます。
これまで考えられてきたルートではほとんどが長崎本線と並行しており、JR九州は長崎本線を完全な自社保有にすることは無くなります。
武雄温泉~長崎に関しても2022年の開業時に自治体が線路などの設備を維持する、上下分離方式に転換されるのです。
しかし佐賀空港を経由するルートであれば、新幹線は長崎本線から離れたところを走ります。
これなら博多から佐賀への在来線特急は存続され、在来線もJR九州が完全に保有すると考えているようです。
このルートのメリットは国際空港である佐賀空港からの観光が便利になることです。
空港から直接長崎、佐世保、武雄温泉へ観光客を流すことができ、佐賀空港の立ち位置もかなり高まることでしょう。
また、このルートでは佐賀市の都市圏を取りこぼすことにはなりますが、そこへ向けた在来線特急を残したならば佐賀県としても納得できるものになりそうです。
その一方で、有明海の軟弱な地盤に新幹線の高架を立てられるのかという問題があります。
また従来よりも遠回りとなるため、現在28分とされている時間短縮効果は更に少なくなってしまうようです。
他にもJR九州としては従来のルートなら設定する必要がなかった、佐賀駅に向けた在来線特急を存続させる必要が出てきてしまいます。
この問題はすべての人にとって最良のものにするのは、かなり難しいことでしょう。しかし一定の妥協点を見つけるのに、このルートの考慮は妙案に思います。
九州地方の地図イラスト:Frame illustより
佐賀県の地図イラスト:Frame illustより
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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