1874年5月11日に関西初の鉄道として開業した、神戸〜大阪。
これを記念してJR西日本の客車列車である、サロンカーなにわが運行。網干総合車両所見学ツアーが行われました。
格式高い欧風客車列車は、大阪駅からそのまま網干総合車両所まで連れて行ってくれます。
廃車が近いスカイブルーの103系電車R1編成は、車内へ入ることもできました。
関西の鉄道発祥を記念した特別なツアーを、是非お楽しみください。
大阪駅の日本旅行Tis大阪支店で受付しまして、こちらが今回の乗車票です。
通常のきっぷと同じような乗車船で、有人改札を通ることになります。
記念乗車証には大阪→網干総合車両所の座席が書かれており、硬券の指定席券のようです。
列車は3番線ホームに到着、シンプルに「団体」との表示になっています。
8:02、エンジン音と発電機の振動を轟かせながら、DD51ディーゼル機関車がサロンカーなにわを引き連れてきました。
列車は5両編成、三ノ宮方に到着です。
今回は5号車の座席が割り当てられたので、こちら最後部から後面展望も堪能しやすくなっています。
昭和のレトロ喫茶店の看板みたいな、「サロンカー」の文字。
車内には3列の座席が互い違いに配置されており、レースの掛けられた座席は落ち着いた高級感を醸し出していました。
8:04 大阪駅 発
大阪駅での停車時間は2分ほど。じりじりとスピードを上げていく客車列車ならではの加速で、関西最大のターミナル駅を出発しました。
淀川を渡るとハイケンスのセレナーデのチャイムが流れ、有名な車掌さんによって案内放送が流れます。
今回は神戸〜大阪鉄道150周年記念ということで、その歴史と沿線の車窓を落ち着いた口調で案内してくださいました。
西宮駅では、ホームが無い1番線で停車します。
ここで後続の新快速電車に追い抜かれました。
神戸市に入りまして、阪急電車と並走しつつ快速電車とすれ違い。
関西における外国との玄関口だった神戸について、鉄道開業当時の様子を含め解説してくださいました。
ここで列車は三ノ宮駅を通過。神戸市の代表駅でほぼ全ての列車が停車し、定期列車で通過するのは寝台特急サンライズ出雲・瀬戸ぐらいです。
神戸〜大阪鉄道開業当時、三ノ宮駅は現在の元町駅がある位置に設けられていました。
1931年に三ノ宮駅は現在の位置へ移転し、神戸市の中心部として再整備。駅跡地に元町駅が設置されたのは、1934年のことです。
続いて関西最古の終着駅である、神戸駅を通過。
神戸市の代表駅は三ノ宮駅へ移りましたが、東海道本線と山陽本線の境界駅。神戸港で海外への船と接続するように、150年前鉄道が開通したのです。
先程こちらからの景色を少々ご覧にいれましたが、最後部には展望室が備わっています。
木製の扉とステンドグラスが、異質な雰囲気を一層掻き立てていました。
展望室にはとんでもなくフカフカのソファが並び、後ろへ流れる景色を広く見渡すことができます。
今回のツアー特製のボードも、立てかけられていました。
山陽本線はいよいよ海沿いへ。
画面右側には美しい瀬戸内海を見ることができ、淡路島へ架かる明石海峡大橋まで美しい車窓が続きます。
結ばれたカーテンと窓枠、ヘッドマークが良い額縁になっていました。
明石海峡大橋は舞子駅を通過した先、橋より西側からの方が全体を捉えることができます。
下には電車線が通っており、ちょうど並走してくれました。
山側には日本の標準時子午線が通っている、明石市立天文科学館。
1884年に本初子午線がイギリスのグリニッジ天文台に定められてから140年、日本の時間を刻む基準の地になっています。
サロンカーなにわは御着駅で運転停車。
複々線区間は西明石駅で終わっており、ここで新快速電車に再び追い抜かれました。
東姫路駅手前の市川を渡っていると、右手奥には姫路城を見られます。
姫路駅が近くなると建物に隠れてしまうので、この辺りが天守閣を収められるポイントです。
姫路駅に到着するところ、奥にはAシート付の新快速電車が停車中。また、ちょうどお隣のホームから、播州赤穂行き普通列車が出発するところでした。
姫路駅を出るとまもなく目的地、網干総合車両所が隣接する網干駅に到着です。
まっすぐ進めば、ホームがある網干駅3番線へ入れます。しかし、サロンカーなにわはポイントを越えて4番線へ。
3番線から敦賀行き新快速電車が出発すると、ホームの無い線路に停まっていることがよく分かります。
サロンカーなにわは、貨物列車が通過する山陽本線から外れ、網干総合車両所の入出庫線へ。
続いて網干総合車両所内の、洗浄線1番線に到着します。
途中には2台洗浄機があり、そこそこのスピードでその中を通過。
列車を洗うことはありませんが、旅客を乗せてこの中を走るのは非常に珍しいこと。
緑色のブラシをはっきり捉えられ、車の洗車機よりダイナミックさを感じられました。
10:08、洗浄線1番線に到着。グレーチングの上へ降り立ちました。
列車を降りてしばらくは、撮影禁止エリアです。
スタッフの方に誘導していただき、網干総合車両所の内部へやってきました。
今回は3時間ほど、車両所内を見学させていただけます。
目玉の一つになっていたのが、103系電車の展示。
和田岬線で活躍したスカイブルーと、播但線で活躍するワインレッドが並びます。
とここで、サロンカーなにわが洗浄線1番線から留置線へやって来ました。
お隣の223系電車と機関車の頭を、ピッタリ揃えてくださいます。
そのあと最後部車両へ、クモヤ145形が連結されました。
クモヤ145形に引っ張られ、DD51機関車と客車の連結が外されます。
帰りは網干総合車両所から大阪駅へ運転するので、DD51機関車を反対側へ付け替えなければなりません。そのため一旦客車を別の場所へ移動。
DD51機関車も留置線から移動しまして、行きと反対側へ連結する作業へ移るようです。
今回の網干総合車両所見学では、103系R1編成の車内へ入ることもできました。
兵庫駅〜和田岬駅の和田岬支線で走っていた、103系電車R1編成。
2001年の電化後から2023年春のダイヤ改正まで活躍していました。こちらの塗装はスカイブルー(青22号)で、京浜東北線の印象が強い方も多いと思われます。
少々汚れた壁面に、バネっぽい弾力感のあるロングシート座席。
この通勤電車には、古い地下鉄車両みたいな無機質さを感じます。
いろんなメーターが取り付けられた運転台は、モニター化された最近の電車と全く異なり、電車も機械の一つなんだと知らしめてくれます。
6両編成のうち4両は車両連結部に窓がついており、車内からスカイブルーを見ることができました。
モハ103など車両の情報が、国鉄時代からのフォントで描かれています。
日本国有鉄道と川崎重工の銘板も、近くで見ることができました。
103系の車内から103系を完全なる隣で見るのも、今では経験しづらくなりました。
車両基地ということで、床下も間近で観察できます。
こちらは連結部。網干総合車両所明石支所を示す、「近アカ」が書かれていました。
103系電車の見学を終えまして、再び留置線へ戻って来ました。
今度は客車が手前側に来ており、DD51機関車が奥に。あとは機関車と客車を連結すれば終わりのようです。
列車の横には、反射式後部標識が置かれていました。後部列車の前照灯で列車最後部を認識できるので、多くの電車に備わっている、赤色尾灯の代わりになっています。
停車中の客車ですが、床下からは発電機の振動が響きます。
サロンカーなにわは、14系客車を高砂工場で改造して誕生しました。
そのため、宇都宮の富士重工で製造され、国鉄高砂工場で改造したことが示してあります。
前方にはDD51ディーゼル機関車がいて、今度は5号車側へ連結されることに。
ヘッドマークはしっかり凹凸があって、かなり作り込まれているのが見て取れます。
13:53 網干総合車両所 発
洗浄線1番線へ来まして、再びサロンカーなにわに乗車。
職員さんにお見送りしていただき、大阪駅へ向けて出発です。
今度は割とゆっくりめに、洗浄機の中を通っていきました。
一旦停止したのち、入出庫線から網干駅4番線へ。ちょうど特急スーパーはくとを先に通過させました。
行きでも停車した網干駅4番線にて、Aシートを連結した225系電車とすれ違い。
網干駅を発車してポイントを越え、山陽本線上り線に入りました。
その後は通常通り走っていき、御着駅で運転停車。
こちらで行きと同様、新快速電車に追い抜かれました。団体列車ならではの道を譲る余裕感です。
西明石駅を通過しまして、再び複々線区間へ。
午後から雨が降ってしまいましたが、明石海峡大橋も綺麗に見られます。
舞子駅でちょうど交差するのですが、完全に見上げることができるのも展望室ならでは。
神戸駅を通過しまして、150年前からある鉄路へ。
現在では平日朝しか使われていない1番線ホームですが、かつて東京からの特急燕など格式高い特急列車が発着していました。
快速にピッタリ張り付きつつ、三ノ宮駅を通過していきます。
摩耶駅で運転停車し、新快速電車に追い抜かれました。
10分ほど停まっており、次は大阪駅です。
ハイケンスのセレナーデのチャイムが流れまして、大阪駅到着最後の放送。
ちょうど北方貨物線を特急サンダーバード号が通過し、ちょうど宮原支所へ回送されていく所でした。
最後に淀川を渡り、奥には梅田のビル群。少々錆びたトラス橋とディーゼル機関車が似合います。
遂に大屋根に迎えられ、大阪駅へ戻ってきました。
北陸特急を始めとし、かつては寝台特急も多く発着した、特別な11番線ホームに到着です。
この格式高い客車列車は、やっぱりこの11番線ホームがお似合い。
大阪駅には多くの鉄道ファンが待っており、サロンカーなにわはこの人気です。
これだけ注目されている列車に乗れたことに加え、車両基地へ直接入っていく特別運行。
鉄道開業150周年という節目を感じられ、非常に面白かったです。
ちなみに今回の網干総合車両所ツアーは、サロンカーなにわだけでなく、225系Aシート編成で入線するツアーもありました。
1時間ほど経ちまして、その225系Aシート編成が到着。
Aシートは普段他の車両と連結されるため、この編成の顔を見ることはほとんどありません。
横から見ても、Aシートに何の車両も連結されていない、非常に貴重な光景となりました。
リクライニングシートでありながら、行先表示器が1号車なのも珍しいです。
最後はちょっと鉄道ファンの方向けの濃いものでしたが、貴重な姿にご満足いただけたら嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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