時刻は21時過ぎ、お仕事を終えた方々で溢れる時間帯の大阪駅です。
新快速電車の発車時刻が近づくにつれて、ホーム上はお客さんでいっぱいに。特急顔負けの速さで京阪神を結び、ライバルの私鉄と一線を画します。
そんな混雑する新快速電車の中、大阪〜草津・米原で運行されているのが通勤特急びわこエクスプレスです。
2024年春のダイヤ改正で列車名が「らくラクびわこ」に変更されます。通勤特急を全て「らくラク」にすることで、利用者の定着を図っているものと思われます。
運行本数は朝1本と、夜2本の1.5往復運転。停車駅は新快速とほぼ変わらず、快適な車内空間を提供するのに振り切っています。
以前ご紹介しました特急びわこエクスプレス2号草津行きは、電化区間しか走らないのに、ディーゼル特急が使用されるという珍しい運行が見られます。
これは特急はまかぜ号で使用されるキハ189系の間合い運用であるためです。
今回乗車するのは、びわこエクスプレス4号。1・4号ではサンダーバード号の683系電車の間合い運用となっています。
米原駅まで683系電車が琵琶湖線を走り、新快速と同様に停車していく姿をお楽しみください。
21:25ごろ、大阪駅10番線ホームに回送列車として入線してきました。
こちら683系電車は向こうの11番線ホームから発車することがほとんどで、このホームにいるのは割と珍しかったりします。
種別が「通勤特急」と案内されており、びわこエクスプレスを根付かせるためのちょっとした努力に思われます。
お隣には通勤特急の6分先に出発する、新快速米原行きが到着です。やはり帰宅ラッシュとあって行列ができており、かなりの混雑が見られます。
一方で通勤特急びわこエクスプレスには余裕があり、座席とゆったりできる空間的な快適性は非常に高いものでしょう。
種別については幕式ですが、行き先はLED式。
『見て!琵琶湖が踊っているよ」のコピペみたく、琵琶湖が浮遊しているようです。
列車は9両編成で自由席は無く、2021年春より全車指定席になりました。
サンダーバードでは5,6号車が自由席なので、珍しそうな6号車をチョイスします。
1号車はグリーン車となっており、一般的な特急列車と同じようにグリーン券が発売されています。
JR西日本では標準的な座席、リクライニングも十分倒れて、背面テーブルとインアームテーブル両方が備わっています。
コンセントは車両端の座席のみ、充電したい方は一番前か一番後ろの座席を選びましょう。
今回はJ-WESTカードのチケットレス商品を利用して1,450円、通常料金より500円ほど安いです。
683系電車の車内表示器では1日2回だけしか見られない、びわこエクスプレスの表示。自動放送まで流れていました。
21:36 大阪駅 発
やはり10番線ホームから特急が出発するのは新鮮です。
左手にはヨドバシカメラから始まる、梅田地区の夜景がキラキラ輝いていました。
新大阪駅に到着、奥には特急くろしお33号和歌山行きが停車中です。
引退も噂されるオーシャンアローでの運行で、大阪〜和歌山の通勤特急を兼ねています。
新大阪駅を発車した後で、停車駅などの案内が流れました。新快速電車とほぼ同じ、違うのは高槻駅と能登川駅を通過するところだけです。
このとおり高槻駅を通過、これによって特急と新快速の遠近分離を図っています。
かなり距離が離れていますが、一筋の阪急電車と並走。あちらは停車駅が多いようで、こちらの特急が追い抜いていきました。
大阪府から京都府に入ったところで、阪急本線はすぐ左側へ。
さっき見たのと違う列車ですが普通列車がいて、ぴったりくっついて走ってくれました。
向日町の車両基地では、特急サンダーバードを筆頭とした列車たちがお休み中です。
ここは日本最長の複々線区間となっていまして、お互い走行中に普通列車を追い抜きます。
22:05、京都駅に到着。
予想通りではありましたが、大阪・新大阪〜京都の利用者がメイン。半分くらいのお客さんはここで降りられました。
自由席と勘違いして乗車されている外国人観光客の方も見られますが、結局ジャパンレールパスのお客さんなので、車掌さんが端末で処理なさっていました。
こちらは京都駅0番線ホームから発車する、最後の特急列車です。サンダーバード号もはるか号も最終列車が出発しています。
東海道新幹線なら米原駅まですぐ行けてしまいますが、通勤特急としてなるべく需要を拾うべく、ぽつぽつ停まってお客さんを降ろしていきます。
トンネルを抜けて山科駅に到着。
1日何十本も特急サンダーバード(683系電車)が通過しますが、683系電車が停まるのは通勤特急びわこエクスプレスだけです。
特急サンダーバード号が走る湖西線は山科駅から分岐。
一方で特急びわこエクスプレスは引き続きJR琵琶湖線(東海道本線)を走るため、683系電車がJR琵琶湖線を走る珍しい光景となります。
この辺りから各駅の発車標は、「通勤特急」が「通特」で略されていました。
次の停車駅は滋賀県の県庁所在地、大津駅です。
特急はるか・特急びわこエクスプレスが停車しますが、県庁所在地の駅としては少々影が薄くなってしまっています。
次は石山駅に停車。京阪石山坂本線の京阪石山駅へ乗り換えられます。
工場集積地として発展を遂げ、新快速停車駅の地位に立ちました。
南草津駅は2021年春から、特急びわこエクスプレスの停車駅に追加されました。
草津駅に次いで滋賀県で2番目に利用者が多い駅、マンションが林立しており、立命館大学びわこ・くさつキャンパスの最寄駅としても機能します。
そして、次の草津駅は滋賀県で最も利用者が多い駅です。
大津駅にも停車していなかった、大阪発着の特急ひだ号も停まります。
草津線柘植行きの最終列車、23:05発柘植行きに乗り換えられます。
西明石から続いている複々線は草津駅で終わり、ここからは複線です。
守山駅では京都駅以来、到着ホームが左側になりました。
ここまで新快速と同様の駅に停車していましたが、この6号車だけでもそれぞれ1,2人は降りて行かれています。停車駅が多く設定されているのも、十分意味がありそうです。
新快速の行き先としてもよく見る、野洲駅に到着しました。
これは近くに車両基地があることも関係しています。
野洲駅〜米原駅を走る昼行特急列車は、特急びわこエクスプレスと特急ひだ号だけになってしまいましたが、かつては米原発着の特急はるか号も存在していました。残念ながらコロナ禍によって運休のまま、最東端でも野洲発着に運行区間が短縮されています。
滋賀県のちょうど真ん中、近江八幡駅に到着です。
近江鉄道への乗り換え駅でもあり、滋賀県内を走るローカル線たちのターミナル駅となります。
新快速電車が停車する能登川駅ですが、特急びわこエクスプレスは通過しました。久しぶりに新快速との僅かな違いをここで見られます。
そしてこの号車には、ほとんどお客さんがいらっしゃらなくなりました。
残る停車駅は彦根駅と米原駅。流石に快適性を考慮しても、東海道新幹線の方がコスパが良いと判断する方が多いのでしょうか。
琵琶湖線の最高速度は130km/h、ここでもそれに近い速度での運行を見せてくれました。
琵琶湖の東側では主要都市、彦根駅に到着です。
江戸時代には東海道から北陸への分岐点としても栄えました。
鉄道開業後は米原駅がその分岐点となったため、交通の要衝はお隣の街へ役割を譲ることに。
そしてついに終点米原駅に到着。北陸浪漫のチャイムに続き、乗換案内含め放送が流れました。大阪駅からは1時間25分、特急での長い帰宅を終えます。
23:01 米原駅 着
米原駅に到着すると、幕が回送まで回転されます。
回送列車として留置線へ引き上げられ、翌日の特急びわこエクスプレス1号大阪行きの運用に就くようです。
お隣には23:08発の普通列車敦賀行きが停車中、この時間からでも敦賀への足が確保されています。
まるで米原駅に特急サンダーバード号が停車しているようで、やはり683系電車がここにいるのは特別な違和感です。
新快速とほとんど変わらない特急で行く、深夜のJR琵琶湖線。
通勤特急としての利便性だけでなく、鉄道ファンとしてはこれで琵琶湖線を走る面白さを堪能してみたいところです。
接続している22:09発普通列車大垣行きに乗車してお別れ。垂井の快活CLUBに宿泊しました。
到着後も米原、大垣、敦賀辺りに宿泊できるので、もし機会があればいつもと違った特急サンダーバード車両の旅を体験してみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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