日本の大動脈をなぞるように襲った、台風2号の線状降水帯。
多くのJR線では計画運休が発表されましたが、首都圏の私鉄にも影響が出ていました。こちらは新宿駅の小田急線改札です。
小田急電鉄のシンボル的存在、ロマンスカーの路線網がこちらです。
新宿〜箱根湯本の特急はこねを幹にして、御殿場や片瀬江ノ島へも走っています。
その中で今回注目するのが、新宿駅〜御殿場駅を結ぶ特急ふじさん。なぜか行き先が途中の「秦野」になっています。
その訳は、秦野駅より先でJR御殿場線に乗り入れているため。この日、御殿場線では計画運休が行われていたため、JRへの乗り入れができなかったのです。
普段は存在しない、特急ふじさん「秦野」行き。
それでも発車標には「秦野」の表示が出されていました。
定期列車でホームウェイ号秦野行きが存在しているため、列車名と行き先を別で設定できれば、このように表示されるのでしょう。
気になったのは特急券発売状況が満席になっていること。インバウンドが戻って来たとは言え、この状況下でそんなに混雑するイメージが無いのですが…。
ホームにはMSEが入線済み、進行方向を変えるために座席を回転中です。
MSEがホームウェイ秦野行きに充当されることもあり、行先表示器も難なく「秦野」と表示しています。
唯一対応していなかったのが、ホーム上の券売機です。
ここだけは「御殿場ゆき」のままとなっていました。
購入区間についても松田駅と御殿場駅が残されたまま。
こちらを選択して「次へ」を押すと、「お取り扱いできません」となりました。
秦野駅までであれば購入できるので、わざわざ窓口対応にならずに済みます。
発車時刻10分前になると、特急券発売状況が変わりました。
「秦野行き」に対応した自動放送に続き、駅員さんが大雨の影響と詳しく案内してくださいます。
特急「ふじさん」は2018年に特急「あさぎり」から名前が変わりました。
MSEは就役15周年を迎えたということで、来年春までの1年間ヘッドマークが付けられているようです。
新宿駅頭端式ホームの先にあった、ロマンスカーカフェ。
2023年2月25日をもって閉店してしまい、新宿駅西口再開発の工事が進められています。
先頭側に来ると流線型の顔になっており、こちらの方がロマンスカーのイメージにピッタリです。
車内は2+2の座席配列です。このオシャレなデザインの車両がJR東海エリアに乗り入れるというのも、かなり魅力的なポイントだと思います。
しかし、今日はJR東海に入ることはできず、小田急線内で運行を終えてしまいます。
運転士さんが使用なさるスタフも、通常のJR直通時のものをそのまま使用しています。手前で運行を取りやめるだけなので、特に変える必要はないのでしょう。
車内チャイムに続きまして、特急ふじさん「秦野」行きの自動放送が、日本語と英語で流れます。
LED表示も英語・中国語・朝鮮語すべてに対応していました。
自動放送に続きまして、車内でもJR計画運休による運行区間短縮について、肉声放送がなされます。
ミュージックホーンを鳴らして、新宿駅を出発。
停車駅は、「新百合ヶ丘,相模大野,本厚木,秦野」と流れました。
小田急線内は通常運行となっています。
登戸駅まで複々線区間となっており、左手の緩行線を追い抜いていきます。
あちらにはホームがある一方で、特急が走っている線路にはホームが設けられていません。
多摩川を渡りまして、東京都から神奈川県に入りました。
こちらもやや増水している様子が、お分かりいただけるかと思います。
LED表示器には、特急ふじさん5,6号の御殿場〜秦野運休について流れていました。
最初の停車駅、新百合ヶ丘駅に到着。
1分程度の遅れとなっていますが、発車標下の路線図もかなり風ではためいています。こちらも秦野行きの表示です。
風雨が強まりまして、大きなガラス窓にも雨が滝のように流れます。
列車が詰まっている訳ではなさそうですが、次の相模大野駅にはゆっくりと入線。
大きな駅名標も揺れる様子からも、かなりの悪天候であることを窺い知れます。
本厚木駅停車前、相模川も河川敷まで水が押し寄せていました。
次は終点秦野に到着の自動放送が流れます。
LED表示器では、「JR御殿場線で大雨のため運休」の案内も流れていました。
ここまで順調だったものの、段々スピードも落とされていきます。
「まもなく終点秦野」と終着駅の表示に。
車掌さんによる肉声放送では、「15:00より松田ー御殿場で計画運休」「東海道本線も東京〜熱海で遅れ」とJRについての運行情報まで詳しく案内してくださいました。
秦野駅へは内側ホームに入線です。
「只今終点秦野です。」の表示が流れ続けています。
乗務員さんが1〜3号車の乗降扉を、手動で閉めていらっしゃったのが印象的でした。
ここで急行小田原行きと接続しており、通常時でも御殿場方面ではなく小田原方面への速達需要に応えています。
急行発車後の快速急行小田原行きの表示に続いて、MSEが止まっている方に「当駅止まり」が表示されていました。
まだ明るいこの時間帯、回送のMSEが秦野駅に停まっている違和感です。
1番線ホームからであれば新宿方面へ折り返すことができるのですが、2番線ホームからでは不可能です。
快速急行小田原行きに続く形で、おそらく小田原でしばらくお休みしたと思われます。
回送されたのは15:51頃、15分ほど停車していました。
特急ふじさん6号は秦野駅18:09なので、そんなに長い間ここに置いておく訳にはいかないのでしょう。
JR御殿場線が止まっても、一部区間走らせることにより、自社路線内の中距離輸送を担いました。
また、JRも予めの計画運休による混乱の縮小に努めており、それぞれ対応に違いはあっても、安定輸送に向けた判断に感謝したいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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【素材提供:かんの さん】