宇都宮ライトレール 栃木

【なぜ整備?】芳賀・宇都宮LRT(宇都宮ライトレール)の運行理由・路線図・建設費など解説

 

近年、都市交通として注目を浴びている、LRT(Light Rail Transit)。高速輸送に長けた路面電車を導入し、自動車台数を減らすことで渋滞を緩和、車ではなく公共交通機関を軸にした都市計画を進めます。

その成功例としてよく挙げられるのが、富山ライトレールです。2020年には富山地方鉄道の軌道線と接続し、同社に吸収合併しました。

 

しかし、富山ライトレールは元々JR富山港線だった路線を転用しています。

LRTにしたことで確かに潜在需要を起こしましたが、元々あった線路を活用したことで建設費を抑えており、タイミングが良かったためとも言えます。

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そんな中でゼロから線路を敷設し、2023年秋に開業するLRTがあります。それが、芳賀・宇都宮LRT(宇都宮ライトレール)です。

 

それまで路面電車がなかった都市に敷設されるのは、高岡市で1948年に走り始めた現在の万葉線以来、実に75年ぶりです。

芳賀・宇都宮LRTとはどんな路線なのか、何故この路面電車ができるのか、問題点や今後の展望などを見ていきます。



運営方式

芳賀・宇都宮LRTは、宇都宮ライトレール株式会社が運行を担い、線路や駅を自治体が保有する上下分離方式です。

また、宇都宮ライトレール株式会社は第三セクター会社で、宇都宮40.8%、芳賀町10.2%、計51%の株を自治体が保有しています。

民間部分は、とちぎライトレール支援持株会22.80%、関東自動車11%、足利銀行5%、栃木銀行5%、東武鉄道 4%の出資です。



運行ルート・停留所

宇都宮駅を出発後、鬼怒通りの中央部分に併用軌道を設けています。

 

ショッピングモール ベルモールを過ぎると高架橋により、専用軌道に入ります。

 

平石駅は2面4線構造となっており、緩急接続が可能な構造です。芳賀・宇都宮LRTでは路面電車の快速運転が行われるのも特徴になります。

 

ここから分岐した先、近くに車両基地と本社が設けられています。

 

路面電車にしては非常に立派な橋で鬼怒川を渡り、芳賀町に入ると併用軌道で工業団地に寄っていく形です。



使用車両

車両はHU300形電車、LIGHTLINE(ライトライン)という愛称です。

「HU」はHaga、Utsunomiya、「300」は3車体連接であることから付けられています。

ライトラインの由来は、宇都宮市の代名詞「雷都」と、「Light(LRTの一部)」。そして道筋を示す「LINE」を組み合わせられました。

開業時は全線において最高速度40 km/hで運行。将来的には軌道法上の特別認可を受け、併用軌道で50km/h、専用軌道で70 km/hに引き上げる計画。車両は70km/hで運行可能です。

 

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また、現在は全く現実味を帯びていませんが、JRや東武に直通できるよう狭軌1067mm規格です。普通鉄道と路面電車の直通運転については、えちぜん鉄道と福井鉄道の例があります。



なぜLRTを整備?

宇都宮市での新交通システム導入については、1987年から話に挙がっていました。

宇都宮市の東には、キヤノンを中心とした宇都宮清原工業団地、本田を中心とした芳賀工業団地があります。それぞれに通勤バスが運行されている上、自動車料も多く、渋滞が頻発するようになったのです。

これを解消するために公共交通機関を整備しようとし、2001年にLRTを導入する方針を固めました。

これから高齢化が進む上で、公共交通機関の役割は重要になります。免許返納後でも移動ができる、車に頼らない都市を作り上げていきます。



膨張した建設費

問題視されているのが、大きく膨れ上がった建設費です。2014年には458億円だった建設費が、2021年には684億円と1.5倍に。

内訳として、軟弱地盤の改良工事などで102億円、労務資材価格の高騰などで35億円、歩道のバリアフリー化・車両の仕様変更などで46億円、地下埋設物(電力ケーブル・ガス管など)の移設費で35億円。差し引き191億円の増額となっています。

これによって費用便益費(事業が社会に及ぼす効果を金額に換算した「総便益」を、建設費含めた「総費用」で割った値)も小さくなります。この値は1を超えれば効果があるとされています。

2014年時点の建設費458億円で算出された費用便益比は、30年間で1.07、50年間で1.30でした。建設費の増加はどれだけの影響を与えるのでしょうか。

また、長年車社会が続いてきた宇都宮市。需要予測では利用者の70%以上が自家用車から転移すると見込まれていますが、本当にこれだけ利用者が来てくれるのか、不安材料です。



今後の展望

宇都宮ライトレールは西側への延伸構想もあり、最終的には大谷を目指す方針です。今回の開業区間はあくまで優先開業区間であり、これが成功しなければさらなる延伸は厳しいでしょう。

 

また、線路がない状態から軌道を敷設して路面電車を走らせた、芳賀・宇都宮LRTが成功したならば、LRTを導入しようという他の都市も生まれるかもしれません。宇都宮はLRTの未来を背負っていると言っても過言ではないのです。

ぜひ、多くの市民に利用される公共交通機関になることを、期待したいです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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