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【特急かいじ高尾行き】運休中の中央線 代行輸送バスで高尾・八王子駅を観察[2310長野(7)]
2024年度末以降導入を目指している、中央線快速のグリーン車サービス。 これに向けた線路切替工事に伴い、立川駅〜大月駅で19:20頃から終電で減便や運休が発生しました。 八王子〜高尾駅ではこの時間帯に ...
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茨城県南部には高度経済成長期に形成された、鹿島臨海工業地域があります。
開発の一環で鉄道が敷設され、それがJR鹿島線と鹿島臨海鉄道です。鹿島臨海鉄道には水戸~鹿島サッカースタジアム駅の大洗鹿島線、鹿島サッカースタジアム~奥野谷浜の鹿島臨港線があります。
今回注目するのは鹿島臨港線。通常は旅客列車が走っておらず、貨物専用線として活躍する路線です。
そんな中、特別に旅客列車が運行されまして、神栖駅まで往復することが出来ました。人口9万人の工業都市である神栖市に、1日限りでやってきた旅客列車。いったいどんな路線なのでしょうか。
まずやってきたのは佐原駅、JR鹿島線に乗車します。
0番線ホームからの出発で、水玉模様が特徴のE131系電車です。
鹿島線は香取駅~鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ路線ですが、成田線に乗り入れて中心駅の佐原駅から発着します。
また、旅客列車はすべて鹿島神宮駅までの運行。終着駅の鹿島サッカースタジアム駅まで直接行く列車はありません。
JR鹿島線は1970年に開業した新しい路線。ほとんどが高架線か鉄橋の高規格路線でして、中には田んぼの中にぽつんと佇む十二橋駅もあります。
かつて東京〜鹿島神宮には特急あやめ号が走っていましたが、高速バスの整備により廃止。
それでも水郷潮来あやめまつりの時期には、新宿~鹿島神宮の臨時特急が運行されています。
普通列車は2両編成ですが、潮来駅は特急に対応して230mの非常に長いプラットホームとなっています。
最高速度は85km/h、これだけの高規格路線にしてはちょっと遅めです。
行き違いが可能な延方駅を発車したところ、複線区間と勘違いするほど有効長が長くなっています。
これは全長の長い貨物列車が走るためであり、それらでも行き違いできるようにしているのです。
全長1236mに及ぶ北浦橋梁を渡りまして、終点の鹿島神宮駅に到着です。
鹿嶋市の中心駅である鹿島神宮駅。ここはまだJR鹿島線の途中駅です。
しかし、ここからは鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の列車に乗り換えます。
鹿島神宮駅~鹿島サッカースタジアム駅はJR線なのに、全て鹿島臨海鉄道による運行。JRの車両で乗り通すことはできません。
それでも鹿島臨海鉄道の案内では、しっかり鹿島サッカースタジアム駅までJRの表記です。
2分ほどの乗り換えで、鹿島神宮駅を出発しました。
鹿島神宮駅から先を走る旅客列車は、全てディーゼル車両。しかし、頭上には架線が張られています。
これは電気機関車が引っ張る貨物列車が走るため、鹿島サッカースタジアム駅までは電化されているのです。
トンネルもやや縦長になっていまして、架線を張るだけの高さがあります。
トンネルを抜けますと、写真左側に鹿島臨港線が現れました。こちらが今回主役の貨物専用線になります。
JR鹿島線、大洗鹿島線、鹿島臨港線の3路線が集結する、鹿島サッカースタジアム駅で下車します。
鹿島臨海鉄道の路線は全て非電化路線となっており、ここから先は架線も張られていません。水戸駅へ向かって出発していきました。
JR東日本の駅ですが、やって来る旅客列車は鹿島臨海鉄道だけ。何とも不思議な駅です。
また、この鹿島サッカースタジアム駅は基本的に、試合開催時のみに営業する臨時駅です。3方向へ路線が分かれる上、会社境界駅が臨時駅というのは中々珍しい場所になります。
今日は鹿嶋まつり開催のための営業で、出口付近では改札が行われていました。
番線表示の案内でも分かる通り、会社境界駅となっています。
鹿島サッカースタジアム駅は元々北鹿島駅で、1970年に鹿島臨港線の貨物駅として開業しました。
その後、国鉄鹿島線と大洗鹿島線が開通し、鹿島神宮駅まで旅客輸送を行う都合で、事実上旅客扱いをした時期も存在します。
そしてカシマサッカースタジアムの建設が決まり、1993年に鹿島サッカースタジアム駅へ改称。サッカーの試合開催時営業する臨時旅客駅となったのでした。
鹿島臨港線の特別列車に乗車するべく、乗車券販売の列に並びます。
30分ほど並びまして、無事購入できました。
乗車券はD型硬券と言われる、長細いタイプの厚紙です。料金は往復500円という、とてつもない破格でした。
ホームには2両編成の臨時列車が停車しています。
鹿島サッカースタジアム駅で、旅客列車が折り返すというのも珍しいです。
乗車の列に並んでいたら、鹿島神宮行きの普通列車と行き違いました。
運行本数は1時間に1本程度で、臨時列車は定期列車のダイヤに影響を与えないよう運行されます。
改札を抜けまして、プラットホームへ来ました。
車両としてはいつも通りですが、特別運行の臨時旅客列車に乗車します。
通常であれば運賃表になっている料金箱の頭上には、「臨時」の表記です。
青信号が灯りまして、鹿島サッカースタジアム駅を出発。
大洗鹿島線の定期旅客列車であればこのまままっすぐ、鹿島神宮駅へ向かうはずですが、ポイントを越えて左側へ。
先程通ってきた大洗鹿島線を右に見つつ、だんだんと離れていきました。
国道51号鹿嶋バイパスの下をくぐるため、植物に囲まれます。
その後は貨物線のイメージとはちょっと違う、一軒家の住宅街を抜けていきました。
山の中の切り通しに線路が敷設され、左右には森が迫っています。
斜面はコンクリートによって固められており、その中を貫くようでした。
農道を越えるべく、やや高い位置のコンクリート橋を渡ります。
そして正面には鹿島臨海工業地域の、クレーンが見えてきました。
貨物線で最高速度45km/hと低いこともあり、遮断器や警報機のない第4種踏切も採用されています。
カーブして本格的な埋め立て地域へ。右手にはリサイクルセンターが見えています。
ここで鹿嶋駅から神栖市に入りました。
ワンブロック挟んで鹿嶋バイパスが並行していることもあり、運送会社の営業所やスーパーホテルが見られます。
大きな倉庫のすぐ隣を走り、まさに貨物線の雰囲気が出てきました。
全長19.2kmの鹿島臨港線、その半分くらいのところでATSが鳴り始めます。
キンコンキンコンという音を聞きつつ、列車の目的地である神栖駅に到着です。
鹿島臨海鉄道において、貨物取扱の拠点となっている神栖駅。
コンテナが見え始めたと思ったら、広大な駅構内が広がり始めます。
そして見えてきたのが、鹿島臨海鉄道KRD64形ディーゼル機関車です。薄水色の車体が貨物鉄道らしい、質素な雰囲気を醸し出していました。
貨物駅の端っこには、人が降りれそうなホームが見えています。
かつて鹿島神宮駅〜神栖駅〜鹿島港南駅では、1978〜83年に旅客営業を行なっていました。
これは鹿島港から成田空港への燃料輸送について、パイプラインの敷設が遅れたため、鹿島臨海鉄道の貨物列車で輸送する見返りで運行されたものです。
神栖駅構内に停車しまして折り返しのため、運転士さんが後ろ寄りへ移動されました。真横には1979年に製造されたKRD型ディーゼル機関車がいます。
14:40、折り返し準備のために鹿島サッカースタジアム寄りへ少し移動しました。
旅客輸送を行なっていた終着駅、鹿島港南駅の駅名標が立っています。
旅客時代のホームには、神栖駅の駅名標。隣駅は鹿島神宮駅と鹿島港南駅です。
貨物駅の構内での移動で、ここで数分の停車。機関車や貨物の様子をじっくり見られます。
今回の旅客運行は往復のみで、神栖駅で下車することはできません。ここで旅客ホームに接する線路に注目してみると…
かなりぐねぐねと曲がっていて、とても列車が走ることができそうにありません。
これは東日本大震災の液状化現状に伴うもの。旅客運行を行っていないため、そのまま放置されているのです。
14:46 神栖駅 発
10分ほどの滞在で神栖駅を出発。ディーゼル機関車より職員さんがお見送りしてくださいます。
今は入れないままとなっている旅客ホームへの線路を正面に、鹿島臨港線を戻って行きました。
神栖市から鹿嶋市へ戻った頃、分岐器を見られます。ここにはかつて居切駅がありました。
1970年に貨物駅として開業したものの、貨物列車は発着せず。1978年から旅客営業を開始して、3ヶ月で廃止されました。
GoogleMapに線路が描かれていないところを、鉄道で走っている違和感。幻の線路上を走っているみたいです。
森に囲まれながら住宅街を通り抜けて行きます。
ポイントで大洗鹿島線と合流し、鹿島サッカースタジアム駅に到着です。
今回乗車しました、鹿島臨港線のスタフがこちら。これから神栖駅へ回送されていきます。
列車は鹿島サッカースタジアムを出発。
ポイントを越えまして、鹿島臨港線へ入っていく様子を外から観察します。
いつもと違う線路へ入っていく、その特別感を外からも見られました。
普段では楽しめない貨物線、旅客線同士を短絡するようなものではなく、完全な貨物鉄道に乗れたのが非常に面白かったです。
またこのような機会が作られることを期待したいですし、その際には是非みなさん乗られてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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