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【まもなく引退】キハ183系で行く夜の特急大雪3号 旭川〜網走乗車記

 

だんだん暗くなっている旭川駅前。

北海道は日の入りが早く、17時前でも結構な暗さ。全体的に曇っていることが多いため、あまり夕陽らしさもありません。

 

コンコース壁面のプレートには、沢山の名前が刻まれています。

旭川駅に名前を刻むプロジェクトとして、工事に寄付した方々の名前が入っているのです。

 

ぬくもりを感じる高架駅から乗車するのは、網走行きの特急大雪です。

 

景色もやや暗めの特急大雪、2023年春のダイヤ改正で撤退する183系気動車の旅になります。

 

車体の古傷は厳しい気候に耐えてきたと伝え、長老のような風格を感じさせられるものです。



発車20分前の時点で、既に3番線ホームに停車中。

旭川駅時点の先頭は1号車、こちら側は指定席です。

 

ハイデッカーグリーンの並ぶ2号車は、半分くらいが窓の無い塗り壁状に。

 

ここには何があるのかというと、調理スペース跡と折りたたみの椅子です。

かつて長距離列車ではここで料理が提供されており、お客さんが収納された椅子を開いて待っていました。

現在はJRによる車内販売が無いため、予め買って乗り込みましょう。

 

3号車は枕カバーがついている、1〜9番が指定席です。リニューアル座席と言われる肉厚の座席が並んでいます。

 

4号車は自由席なのですが、一番端っこの17番AB席はかぶりつきシートとして指定席となっています。進行方向が変わる遠軽駅までは後面展望、遠軽から先は前面展望を楽しめます。

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4号車自由席については、昔ながらの座席。

好きなところでリクライニングを止められるフリーストップ式、背面テーブルや前の座席下へ足を伸ばせるなど、現在の特急座席の基礎です。



札幌駅からの特急ライラックが到着。

札幌発着の特急オホーツクは2往復だけの設定で、残りの2往復は旭川発着の特急大雪です。そのため札幌〜旭川を結ぶ特急ライラックからの対面乗換で対応しています。

 

17:05 旭川駅 発(10分遅れ)

宗谷本線からの遅延列車を待っており、発車ベルをかなりの長時間鳴らし続けていました。

ようやく扉を閉めまして、目の前に忠別川が流れる自然いっぱいの景色が流れ出します。

 

左側ばかり栄えていた旭川市街地も右手に広がり始め、旭川四条駅周辺の高架線を通過しました。

 

電化設備が分岐していく宗谷本線側に離れていきます。車両基地が向こう側にあり、特急ライラック等の住処にもなっているのです。

 

もうかなり暗くなっており、景色を楽しむには厳しいものがあります。向こうは旭山動物園の方向となっており、大雪山などが位置します。

 

途中、普通列車だけが停まる駅を次々通過。

このあたりは建物もしっかりした駅となっており、周辺にもある程度街の灯りが分かりました。

 

ちょうど右側を並走していたのは、JR貨物コンテナを載せたトラック。札幌などに来た貨物コンテナを各地に運んでいるところでしょう。

ここ石北本線でも季節運行ですが、北見の玉ねぎを輸送するタマネギ列車と愛称付けられた貨物列車が走ります。



上川駅に到着。

芸術作品のような真っ白のホーム屋根が照らされ、夜の背景に浮き出ているのが素敵です。

 

3番線ホームには旭川へ向かう、DECMOがギラギラ輝いて待っています。

旭川〜上川は1,2時間に1本あって本数が多めです。それにしてもこれが多いとなっているのが凄いですね…(笑)

 

このあたりから、旭川紋別自動車道と並走します。ここを走る高速バスは石北本線の完全なるライバルです。

 

2001年に駅としては廃止になった、中越信号場を通過。この駅には石北本線全通碑があるそうです。

 

ポイントが雪で凍りつかないよう囲われているスノーシェッドでは、車両が反射しており、疾走している様子がよく分かります。

 

列車の行き違いができる、上越信号場を通過。

真っ暗な車窓の中にも、突如として鉄道運行のために必要な建物があります。かつては駅だったのですが信号場に降格しており、もはや人が住んでいるのかすら分からない状態です。

 

4,329mに及ぶ石北トンネルで、北見国へと入ります。札幌から網走の鉄路は、石北峠区間がなかなか開通しませんでした。そのため駅舎と馬を備える駅逓所を置き、馬によって輸送ルートが確立されていました。

 

この便は通過しますが、特急も停まる白滝駅。

 

久しぶりに街灯のある集落を駅周辺に見ました。

 

完全に真っ暗な山中でしたが、オレンジ色に照らされた旭川紋別自動車道が見えます。

この後で、丸瀬布駅に到着。かつては武利意森林鉄道という国の森林鉄道があって、今でも雨宮21号という蒸気機関車が走っています。



もうすぐ遠軽駅というところ、右手から線路が近づいてきます。

同じ石北本線の線路であり、遠軽駅は行き止まりで進行方向を変える構造です。

 

かつては紋別方面への名寄本線が繋がっていたため、石北本線は進行方向を変える必要が出てきました。

 

ロビーは1枚窓なので、信じられないほどの結露。これを拭って夜の景色を見るのもまた良いのです。

 

遠軽駅より先は左側の景色から再出発です。遠軽町は人口1.8万人の町、面積が広いこともあってそれなりに大きな街が形成されています。

 

安国駅では特急オホーツク4号と行き違い、261系ラベンダー編成での運行でした。



生田原駅を出ると、タコ部屋労働で有名な常紋トンネルへ。

掘削は厳しい労働環境であり、働けなくなった労働者が人柱として立てられたと言い伝えられていました。

1968年の十勝沖地震で壁面の改修工事が行われると、頭蓋骨に損傷がある人骨が発見されて、それが本当だったと分かったのです。石北本線の中では心霊スポットとして有名になっていますが、哀しい歴史として記憶に残したいところ。

 

その先にある常紋信号場はスイッチバック配線、仮乗降場として運用されていた時には多くの鉄道ファンが訪れていたそうです。

 

これらの難所を含め、2006年まで留辺蘂町だったエリア。その中心駅がここ留辺蘂駅です。

 

合併に伴い北海道で一番広い市町村となった北見市街地へ。線路が都市交通の阻害にならないよう地下に建設された、北見トンネルへ潜っていきました。



石北本線で最大、人口11万人を有する北見市です。

北見駅前の明るさもこれまでと段違いであり、ホテルや銀行など大きな建物が多い印象。

 

終点の網走駅より沢山のお客さんが降りていかれ、それだけの都市圏であることが分かります。

 

この先では高架橋によって、ロードサイド店舗も多い市街地を駆け抜けます。

 

日本最北の高架駅、柏陽駅を通過しました。柏陽高校から付けられており、北見工業大学の最寄り駅でもあります。



北見市から美幌町に入り、網走川を渡ると市街地になります。

かつては貨物の引込線もあった、甜菜の精糖工場が見えてきました。真っ白なタンクのようなものがはっきりと照らされています。

 

美幌駅ではキハ40の普通列車と行き違いました。

 

ここからは北見相生駅へ南下する、相生線が伸びていました。これは駅舎に面する1番船ホームから発車していたのですが、路線廃止に伴い現在は島式ホームの1面2線です。

 

木が沢山生えていて直接見ることはできませんが、女満別空港横を通過します。女満別〜札幌でも航空便が設定されていて、これもまた特急のライバルです。



大空町の中心駅となる、女満別駅に到着。

図書館や喫茶店が入居している大きな駅舎、1990年に完成した北国風のデザインです。

 

完全に真っ暗ではありますが、網走湖沿いを走っていきます。

 

最後に網走駅到着の放送、オルゴールによるアルプスの牧場に終わる歴史を感じました。



20:49 網走駅 着(11分遅れ)

車窓がほとんど真っ暗だからこそ、町に入った時光が目立って、市街地や信号場が浮き出ます。

そしてこの路線がいかに自然溢れる場所を走っていたのかよく分かりました。

 

深いエンジン音も特徴的、2023年春の引退前にぜひ乗ってみてほしいです。

 

網走駅に到着すると、これから車庫へ引き上げてしまいます。

 

そこで駅舎を出まして、左へ曲がり進みます。

そこで見られる、車庫へ引き上げていく様子もまた一興です。

 

この日は駅目の前の東横インに宿泊したのですが、網走駅が目の前に。

 

復刻塗装が引き連れた特急オホーツクの様子も分かりました。トレインビューとしてもかなりオススメです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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