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【国鉄復刻塗装キハ183系】まるで変態連結!2両だけ復刻した特急大雪が面白い[花たびそうや(6)]
北海道の特急列車はほぼ全てが札幌駅を起点に発着します。その中で、稚内への特急サロベツと網走への特急大雪は、旭川からの発着です。 これから特急大雪で網走に向かいます。高架ホームを上がっていくとそこにいた ...
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まだ山奥にはわずかに雪が残っているのにもかかわらず、早朝5時には空が完全に青く照らされています。
ここはオホーツクの玄関口、網走駅です。
今回乗車するのは特急オホーツク2号札幌行き。
改札が始まるのを10分以上待ち続けていると、列車が車庫から入線してきました。
今回は自由席の4号車、一番端っこの座席を確保しました。
この座席では後面展望・前面展望を楽しむことができるのです。
これまで自由席で早い者勝ちだった4号車17番AB席ですが、7月1日より指定席のかぶりつきシートとして販売されます。
石北本線の特急大雪/オホーツクには、キハ183系が使用されています。
JR北海道は最近キハ183系関連のイベントを積極的に行っているところです。
幕デザインは1980年代のヘッドマークを再現。
ゲーム「オホーツクに消ゆ」とのコラボ企画の一環です。
更に水色の車体も2両塗り替えられ、復刻塗装として走っています。
朱色と赤の帯が引かれたこの塗装は、1986年デビュー時の塗装に復刻したものです。
それでは網走から札幌まで5時間23分、特急オホーツクの旅が始まります。
5:56 網走駅 発
座席を回転させまして、まずは後面展望から。
車掌さんはグリーン車両にいらっしゃるので、目が合って気まずくならないのも安心できます。
走行距離が長い上、3ヶ国語の自動放送が流れるため非常に長い放送が流れます。
進行方向右手には網走湖が見えてきました。
もともと海だったところが、砂の堆積によって湖になる海跡湖です。
網走湖にはボートがあり、その最寄駅は呼人駅。
その語源はアイヌ語の「ヨピト」(それを捨て去った沼)で、呼人半島によって網走湖と別れている沼のことを示しています。
女満別駅に到着。
女満別町でしたが2006年に東藻琴村と合併し、大空町として新たに誕生しました。
女満別空港は右側の森の上にあります。
木に隠れて飛行場は全く見えません。
女満別空港〜美幌では自動車専用道路の美幌バイパスが延びています。
全区間通行無料で、空港アクセスにも役立っています。
美幌駅からは1985年春に廃止された、相生線が分岐。
津別町を経由して北見相生駅まで伸びた路線で、釧路への延伸を目指していました。
美幌駅あたりから高校生の生徒さんも通学のために乗車されていました。
特急で通学するのも地方ではよく見られる光景です。
緋牛内駅を通過。
2019年に廃止された夕張支線鹿ノ谷駅の駅ノートが行方不明になったことがあるのですが、それが見つかった駅です。
列車は常呂川を渡ります。
オホーツク海側では最大の河川で、サケも遡上する一級河川です。
柏陽駅は日本最北・最東の高架駅。北海道北見柏陽高等学校から名付けられました。
住宅街が広がっており、街の中を駆け抜けていくのは都市らしさを感じられます。
北見駅の隣には貨物コンテナが並んでいます。
ここはタマネギの国内需要の約4割を生産する大産地です。
毎年8月から翌年の4月まで北見〜旭川を毎日1往復する貨物列車「タマネギ列車」が走っています。
向こうのホームには網走行きの普通列車が停車中。
先頭にはキハ400系気動車の復刻塗装したキハ40が連結されていました。キハ400は急行宗谷で活躍していた車両です。
女満別や美幌からここへ通学される生徒さんが降りていかれまして、北見駅での乗降は盛んになります。
北見市の人口は約12万人、駅周辺には新しい建物が立ち並び、活気ある街という印象です。
北見駅を出発すると、都市トンネルである北見トンネルへ潜っていきます。
山があるわけでは無く、都市部の地下に向かって走るトンネルです。
列車は険しい山の中を前に、広々とした畑の中を駆け抜けていきます。
留辺蘂駅に到着。
留辺蘂町は2006年に北見市と合併し、北見市は北海道で最も広い自治体となりました。
列車は金華信号場を通過します。
駅としては2016年春に廃止されています。常紋トンネル慰霊碑の最寄り駅でもあり、その看板が残されていました。
ここでは普通列車と行き違いました。
2017年に廃止された常紋信号場跡を通過。
配線はスイッチバック方式になっており、急勾配での発進ができない列車のために設置されました。
その直後、列車はタコ部屋労働で掘削されたことで有名な、常紋トンネルに入ります。
常紋トンネルには厳しい労働環境のため監督の指示に従わなかった労働者が、見せしめに人柱として立てられたという話が言い伝えられていました。
1968年に十勝沖地震が発生してトンネル壁面の改修工事が行われると、頭蓋骨に損傷のある人骨が発見され、その話は本当であることが明らかになったのです。
トンネルの全長は507mなので、ものすごく長いという訳ではありません。これを掘削するのに多くの犠牲が払われたことが思われ、悲しい記憶として考えさせられます。
遠軽駅に入りまして、生田原駅に到着します。
生田原温泉ホテルノースキングという立派なホテルもありました。
駅舎には遠軽町生田原図書館と遠軽町生田原オホーツク文学館が入居しています。
この列車は復刻塗装編成ということもあり、沿線では多くの撮り鉄さんがいらっしゃいました。朝早くからお疲れさまです。
もはや夏らしい鮮やかな自然の中、湧別川を渡ります。
進行方向左手に瞰望岩が見えると、遠軽駅に到着です。
旭川からきた線路が近づいてきました。特急オホーツクは遠軽駅で進行方向が変わります。
遠軽駅からはかつて名寄本線が伸びていました。
先に結ばれたのは網走から湧別方面の線路で、旭川からの石北本線は峠の難所があったため、後から結ばれたのです。
名寄本線は1989年に廃止され、現在はスイッチバックの構造だけが残されています。
行灯式乗り場案内の一番下には『紋別・名寄方面』の表記が残っていました。
ここからは復刻塗装のされていない、青色が先頭になります。
3分ほど停車しまして、7:44に遠軽駅を出発。
ホーム上の自動販売機でお菓子程度なら買うことができます。
今度はこちらが先頭になりまして、右側の線路に入ります。
右手には湧別川ダムが見えてきます。
大正時代から設置されているそうで、かなり歴史のある発電所です。
丸瀬布駅に到着。
丸瀬布森林公園いこいの森では、森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」が動態保存されていたりと、なかなか面白そうなところです。
この辺りにはかつて「白滝」と付く駅が続き、白滝シリーズと呼ばれていました。
それらの一部は信号場として残っています。
こちらは下白滝信号場を通過中、冬には除雪する方の詰所となるよう、駅舎も解体されていません。
正面に見えているのは大雪山国立公園の山々。上の方に積もる真っ白な冬の光景を楽しめます。
白滝シリーズとして唯一となってしまった白滝駅に到着。一部の特急は通過しますが、2人ほど乗られてきました。
次の上川駅までの駅間距離は、在来線で日本一長い37.3kmです。普通列車であっても次の駅まで40分近くかかります。
途中にはたくさんの信号場が設置されています。
こちらは2001年に廃駅となった奥白滝信号場。近くには白滝PAがあります。
石北本線で最長の4kmにも渡る石北トンネルで、石北峠を越えていきます。
トンネルを抜けて通過している上越信号場は標高634 m、現存する北海道の停車場では最も高い位置です。
石北本線と交差するように、旭川紋別自動車道がはるか上空を貫いていました。
ポイントはスノーシェッドで囲われており、雪が詰まって動けなくならないようにしています。
標高が高く日の当たらない部分には、まだ雪がたくさん残っていました。
2001年に駅から降格された、中越信号場を通過します。
上川駅に到着しました。
高梨沙羅選手の故郷として有名で、峡谷の美しい層雲峡の玄関口でもあります。
安足間駅で運転停車が行われます。
ここで札幌駅から来た特急オホーツク1号と行き違いました。
特急は停車しない愛別町の中心駅、愛別駅を通過します。
旭山動物園の最寄り駅であり、2021年春に廃止された 北日ノ出駅跡を通過。
コンクリート小屋の待合室が寂しく立っていた、雰囲気ある駅でした。
右側から宗谷本線と合流していきます。
その先すぐの新旭川駅が、乗換駅として設定されている駅です。
高架線に入りまして、北海道第二の都市部を走行。
旭川四条駅で普通上川行きのDECMOとすれ違いました。
かなりゆっくりとしたスピードで旭川駅へ入線して行きます。
白い鉄筋が枝葉を伸ばすようにして、屋根を支えるのが特徴的な、旭川駅に到着です。
ここで運転士さんが交代されます。
横には10時ちょうどに出発するライラック16号が停車中でした。
9:47旭川駅を出発
ここまで停まってきた駅前とは比べ物にならないほどの大都会、立派な建物が立ち並んでいます。
その先では北海道で一番の長さを誇る石狩川を渡りました。
近文駅手前で特急ライラック5号とすれ違います。
札幌〜旭川を走る特急ライラック・カムイの表定速度は96.5km/hで、在来線の表定速度において日本4位に輝きます。
トンネルを抜けて2021年春に廃止された伊納駅跡を通過します。近くの北海道旭川北都商業高校が2011年に閉校したことで、利用者が激減しました。
4kmにわたる神居トンネルを走行。
函館本線は川沿いを走る神居古潭駅を経由していたのですが、1969年にこのトンネルが開通して速達化を達成しました。
正面に見えているのは留萌、増毛周辺の山々です。
石狩との境には陸の孤島と言われる雄冬峠があり、その厳しさを感じさせられます。
深川駅手前で特急カムイ7号とすれ違い。
札幌〜旭川ではライラックとカムイ2種類の特急が走っています。
特急カムイにはグリーン車の代わりに指定席uシートがあり、全席にコンセントが備えられた非常におすすめできる座席です。
深川駅に到着。
鉄道で残されている留萌本線の他、JR北海道バスによって運行される深名線も乗換案内されます。
妹背牛駅には2022年4月28日より、オリジナルの駅名標が設置されました。
国際大会も開催できるカーリング場があることから、ストーンの形をしており、牛の顔が立体的に描かれたデザインです。
5月の中旬で菜の花畑は満開!明るい黄色が春の訪れを知らせてくれます。
左からは北海道で本線が最長の路線、根室本線が合流してきました。
その乗換駅がここ、滝川駅です。
滝川駅を出てすぐ右手には、たきかわスカイパークがあります。
ここは日本初の本格的航空公園、グライダーの体験飛行までできます。
その直後、空知川を渡ります。
アイヌ語の「ソー・ラㇷ゚チ・ペッ」(滝が幾重にもかかる川)から来ており、滝川はこの意訳から名付けられてました。
列車はお隣の砂川駅を通過。
特急ライラック・カムイは停車するものの、特急オホーツク2号は通過します。
オホーツク2号が出た13分後に特急ライラック16号が発車しますから、それほど頻繁に停まる必要もないのでしょう。
同じく美唄駅も通過してしまいます。
光珠内駅の手前には日本一の直線道路を示す碑が立っていました。
直線区間は滝川市新町から美唄市光珠内まで29.2kmに及びます。
岩見沢は国鉄が指定した12の鉄道の町に選ばれています。
1882年に全通した、北海道内で最古の鉄道である幌内鉄道でも主要駅として開業。
幌内線や、万字線など石炭輸送に大きく貢献したターミナル駅です。
日本最後のSL路線として知られる室蘭本線は、しばらくの間函館本線と並走します。
岩見沢は貨物輸送の全盛期からは衰退していますが、その名残は今でも知ることができます。
渡っている夕張川はその名の通り、夕張市より流れる石狩川水系の支流です。
江別駅は特急がすべて通過してしまいますが、札幌のベッドタウンとして発展しています。
2011年に高架化された野幌駅を通過。
JR北海道の姉妹鉄道であるデンマーク国鉄と、共同で駅舎がデザインされました。
「ひかり」をテーマにしており、江別市の木であるナナカマドをイメージしたレッドカラーが特徴的です。
1日あたり乗客(2019年度)は江別駅が3619人、野幌駅は6402人です。
江別市は全国の推移と比較して人口増加地区であり、どちらかの特急停車が要望されています。
この辺りは石狩平野なのですが、線路の左右だけ防雪林で囲われています。
野幌〜森林公園で、特急ライラック13号とすれ違いました。
快速エアポートが走る千歳線が上からやってきました。
両側から挟まれるようにして、ここからは線路が並び始めます。
左側には札幌貨物ターミナルが見えてきました。
本州からの出版物が多く到着しており、北海道で迅速な販売が行われています。
その近くにあるのが千歳線の列車だけが停車する、平和駅です。函館本線にはホームがありません。
千歳線との乗換駅は白石駅となっています。
ここは道内唯一の複々線となっており、特急同士や快速エアポートとの並走を楽しんだりもできる区間です。
雪に強い北海道の名車を作り続けてきた、苗穂を通過します。
2018年には苗穂駅の新駅舎が開業し、マンションが立ち並ぶ新たなまちづくりが行われています。
列車は道内最大のターミナル、札幌駅に到着です。
まるで車庫の中に入るようにして、四角い箱へと吸い込まれていきます。
周りには高いビルが立っており、都市規模の大きさを実感させられるところです。
早朝の網走から昼前の札幌駅まで、全く飽きることなく楽しめました。
石北特急がこんなにも人気を集める理由が分かった気がします。
前面展望というのは、この先景色はどうなっているのだろうというワクワク感を一番に感じられる特等席です。
7月からは4号車17番AB席含め指定席化によって座席が確約されますから、是非頑張って確保してみてください。
特急オホーツクは11:31、回送列車として出発します。
10分ほど撮影できますからご参考までに。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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