【まもなく引退】キハ183系で行く夜の特急大雪3号 旭川〜網走乗車記
だんだん暗くなっている旭川駅前。 北海道は日の入りが早く、17時前でも結構な暗さ。全体的に曇っていることが多いため、あまり夕陽らしさもありません。 コンコース壁面のプレート ...
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札幌から特急オホーツク/大雪の終着駅となっている網走駅、駅前の東横インに宿泊しています。
当日予約したのですが駅側の高層階にあたり、トレインビューも素晴らしいところでした。車庫と駅を行き来する列車の様子を暖かいところから楽しめるVIPルームです。
網走駅は、峠越えを含み特急が走る石北本線と、多くの観光客が利用する釧網本線の境界。今回は唯一オホーツク海沿いを走る鉄道路線、釧網本線に乗車します。
知床半島の北側は流氷が流れ着く南の端、冬の間は観光列車の流氷物語号が走ります。
さらに、釧網本線は駅舎にレストランや喫茶店が入居する、グルメ路線とも言われます。これら釧網本線の魅力を目一杯楽しめる、モデルコースをご紹介します。
流氷物語号ダイヤなど
時刻表
網走→知床斜里
1号 網走9:52発-北浜10:04着/10:14発-浜小清水10:24発-知床斜里10:42着
3号 網走12:45発-北浜12:58着/13:08発-浜小清水13:17発-知床斜里13:35着
知床斜里駅→網走駅
2号 知床斜里11:30発-浜小清水11:47着/12:07発-北浜12:16発-網走12:30着
4号 知床斜里13:48発-浜小清水14:04着/14:24発-北浜14:34発-網走14:46着
運行日
2023年1月28日(土)〜2月26日(日)の毎日
オホーツク海側のボックス席が指定席となっており、指定席利用の場合は乗車券のほかに530円の指定席券が必要。自由席であれば乗車券のみで利用可能です。
ボックス座席の真ん中にはテーブルが備えられており、車内でも快適に過ごせます。
使用車両はキハ40、北海道の恵みシリーズ「道北 流氷の恵み」「道東 森の恵み」の2両編成です。
1980年代のテレビゲーム「オホーツクに消ゆ」とコラボしており、ヘッドマークや行き先方向板に装飾が施されています。
車内販売
1号車のロングシートスペースは、車内販売と大きな荷物の置き場となっています。
ここでは、まめドレーヌと記念乗車証を購入。
基本的にグッズ系が多くなっており、乗車時間が短いので食べ物系は少なめです。
流氷物語1号は9:52に網走駅を出発。
ホーム上では運転士さんや作業員さんが、手を振ってお見送りしてくださいました。
網走市街地を見下ろしてトンネルを抜けると、網走港の横を走ります。船が陸揚げされているのは、流氷で傷つけられるのを防ぐためです。
そして段々とオホーツク海が近づいてきました。流氷接岸とまでは行きませんが、結氷した様子が非常に美しいです。
この便に関しては自由席で既に混雑していたので、運転席越しに。これはこれで良いものです。
進行方向右手には、藻琴湖へ急なS字を描く川も。
最初の停車駅は北浜駅です。
木造駅舎の横には展望台があって、オホーツク海沿いに停まる列車の景色を楽しめます。釧網本線の中でも名高い駅で、観光客がたくさん集まっていました。
知床斜里方面の流氷物語号は、北浜駅で10分ほど停車時間があります。是非列車から降りて、オホーツク海と列車を写真に収めていただきたいところです。
北浜駅は後ほど下車するので、今回はとりあえずパパっと様子を見るだけに。
ここからもしばらく、結氷したオホーツク海の様子を眺められます。
車内を回る観光ボランティアの方からは、記念品としてラゲッジタグを頂きました。
道の駅 葉菜野花(小清水 [浜小清水駅]
10:23 浜小清水 着
終点の一歩手前、浜小清水駅で下車しました。
ホーム上にはシマエナガの雪像と、氷漬けになった海の幸が展示されています。
蟹やお魚など本物が埋め込まれていて、スノードーム的なオシャレさがあります。
浜小清水駅は、道の駅葉菜野花(小清水と完全に一体化した建物です。地元の名産物を楽しむのにうってつけ。
小清水町はじゃがいもが多く生産されるところ、こちらはそれを使った「小清水とろり」です。カリカリのタルトに、カスタードとスイートポテトの二層が舌触り滑らかです。
建物外からは葉菜野花展望台へ上がれて、晴れていれば右側に知床連山が見られるそうです。
10:50 浜小清水駅 発
後続の釧路行き快速しれとこ摩周号がやってきました。
次に訪れる駅は流氷物語号が停まらないので、ここで乗り継ぐ必要があるのです。
浜小清水駅からしばらくは、海からお別れすることになりました。
ラーメン喫茶えきばしゃ [止別駅]
10:56 止別駅 着
浜小清水駅のお隣、止別駅で下車しました。なんてこと無いローカル線の駅に見えますが、この場所こそ釧網本線がグルメ路線と言われる要素のひとつです。
レトロな木造駅舎は1925年の開業当時からのもの、ここにはラーメン喫茶「えきばしゃ」さんが入居しています。
駅舎内には重厚感あるだるまストーブ、ベンチの向かいにはお店の扉があります。
開店は11時のところでして、ちょうど駅前に幟が立てられました。
店内はなんてこと無い、昔ながらの喫茶店という印象。
ただし建物が密接していない駅舎だからこそ、自然光が差し込んで明るい雰囲気です。
「駅長らーめん」と「ツーらーめん」が人気の2品で、他にも北海道らしいラーメンが色々あります。
ラーメン以外にも小清水町のじゃがいもを推した、でんぷん団子やじゃがいも街道が揃っていました。
今回はやっぱり定番として、ツーらーめんを注文。
山盛りの白髪ねぎが特徴的で、肉厚のチャーシューも隠れるほどです。この「2種類の具」と「ラーメン通」を掛けてこの名前が付けられています。
シャキシャキ食感のネギに、さっぱりとした塩ラーメンのスープ。流氷により極寒の気候ですが、そこからラーメンへ逃げ込むと幸せがいっぱいです。
真横には雪の積もったホーム。ここで列車を迎えたいところですが、次の列車に乗らないといけません。
あまり時間はありませんでしたが、列車の時刻にも気遣ってくださり5分ほどで提供していただきました。
ラーメンきっさ えきばしゃ
住所:北海道斜里郡小清水町字止別
電話:0152-67-2152
営業時間:11時00分~19時00分(ラストオーダー18時30分)
定休日:不定休
11:22 止別駅 発
食べ終わる頃には地元のお客さんで賑わい始めました。この周辺の方々は、ラーメンを食べることを「駅に行く」と言うそうです。駅とラーメン喫茶の結びつきがそれだけ強いということ。
今度は網走行きの快速しれとこ摩周号に乗車しました。小清水町の砂州へ差し掛かります。
再びオホーツク海へ戻ってきまして、先程足を下ろした北浜駅へ向かいます。
停車場 [北浜駅]
11:37 北浜駅 発
降り立ったらすぐに展望台へ。海沿いにキハ54の真っ赤なラインが映えます。
そんな目立つはずの赤色すら巻き上げる雪に隠れ、真っ白な世界へ消えていきました。
流氷が見える駅として全国的に珍しい駅。木造駅舎も素晴らしく、国内に限らず映画のロケ地となって中国人観光客が多く訪れます。
名刺やきっぷが大量に貼られて、ここに来た証が刻まれています。
さて、この駅舎にも「停車場」という喫茶店があり、ぜひ紹介しようと思っていたところ。が、あまりにも寂しくて嫌な予感…。
「定 休 日」
毎週火曜日はお休みみたいです。皆さん大いに笑って気をつけてください。
椅子や網棚などは旧型客車のものを再利用しており、タブレットなど鉄道関連のグッズも並んでいます。
ハンバーグやラーメン、シーフードカレーなど、オホーツク海を眺めながらランチを楽しめます。これはぜひリベンジしたいところです。
停車場
住所:北海道網走市北浜無番地 JR北浜駅内
電話:0152-46-2410
営業時間:11時00分~18時00分(ラストオーダー17時30分)
定休日:火曜日
知床斜里から網走へ戻る流氷物語号を撮るため、展望台へ。
切り裂くような冷たい風に煽られていると、網走バス小清水線がやって来ました。
網走駅前11:35発北浜駅前12:01着(※土休日運休)なので、撮影にはちょうどよい便です。
流氷物語2号が到着。停車位置的に網走方面の方が綺麗に撮れます。
北浜駅で10分停まるのは知床斜里行きで、網走行きはすぐに発車していきました。
数分片方の手袋を外していたら、もう完全に手の感覚が無くなりました。セイコーマートで飲み物を買えて本当に感謝…。
北浜駅には観光バスが乗りつけまして、団体のお客さんでいっぱいになりました。
網走駅で折り返してきた、流氷物語3号が到着です。
遠くの雪の中から汽笛を鳴らしてきて、ノスタルジックな雰囲気がたまりません。
13:08 北浜駅 発
流氷物語3号に乗車、今度は指定席に来ました。
向かいの方はビールを持ち込んでおられて、これまた最高の列車旅に違いありません。
浜小清水駅から先、暫くの間はオホーツク海からお別れ。動物の足跡を探したり、とつぜん現れるエゾシカを見つけたりします。
止別駅を通過してしばらくすると、オホーツク海の景色が復活。
さっきよりもやや遠いですが、こちらの方が白く流氷感を感じられました。これでも流氷ではないのですが、透明感ある青色と白く固まっている様子が幻想的です。
海上には盛り上がっているところがあるのですが、これは北風に運ばれた流氷と、陸地側の氷がぶつかっている場所だそう。もうすぐそこまで来ており、流氷接岸の手前と言えます。
13:35 知床斜里駅 着
知床半島への観光の玄関口となる、知床斜里駅に到着です。北浜駅〜知床斜里駅で旅行商品として利用される方も多い印象でした。
2008年に竣工した新駅舎はカラマツ集成材を使用、細長くくり抜かれた採光部が特徴的です。日本独自の感性「木漏れ日」を連想させます。
流氷物語4号乗車記
ここですぐ折返しまして、流氷物語4号に乗車。観光列車としての旅をご紹介します。この便に関しては比較的空いている方なので、指定席も取りやすいです。
13:48 知床斜里駅 発
先程より余裕ある車内、JRの方々にお見送りされて出発します。
斜里町の名前は、渡っている斜里川河口を示す、「葦」のアイヌ語に由来すると言われています。江戸時代の末期には津軽藩士が送られており、斜里町と弘前市は友好都市です。
いきなり見下ろす形で現れるのが、凍りついたオホーツク海です。
一口に海が白くなっていると言っても、氷が割れて模様が浮き上がっているのか、氷上に雪が積もっているのか、色々な要素があわさって幻想的な全体の景色が出来上がっています。
氷の上にはオジロワシが乗っていました。
海が凍っている時は氷の間を狙って獲物を取るため、氷の上で休んだり食事を取ったりします。
このあたりでは徐行してくださって、気の済む限りオホーツク海を望むことができました。
流れ着いた流氷と陸地側の氷がぶつかった部分も、切り立った山脈のようです。
段々と雪が舞ってくる中、小動物の足跡もそこらじゅうを駆けていました。
ラーメンを食べた止別駅を通過、「冷たい川」のアイヌ語が由来です。
釧網本線は小清水町の端を通っているのですが、止別駅からは中心街へ向けて北見鉄道が伸びていました。
開業からわずか9年、1939年に廃止されておりその跡はほとんど残っていません。
森の中でしばらくだったオホーツク海ですが、止別川を渡るときには少しだけ顔を出してくれました。
網走行きの便では、浜小清水駅で20分の停車時間があります。
小清水町はじゃがいもの他に、北海道が生産量99%を占める甜菜の産地でもあります。
砂糖の原料として知られますが、すりおろしてご飯にかけたり、ステーキと一緒に食べることもあるそうです。
停車中、先程も訪れた道の駅で買い物ができます。今度は温かいものを。
ここで人気なのが、なんだこりゃスティック(650円)。
知床のたこ柔か煮、網走の揚げかまぼこエビ、小清水の揚げ芋と3つの名物を楽しめます。
じっくり煮込まれたタコに、チリチリと食感が残るほど香りの立つエビ。スイートポテトのように甘い揚げ芋という素敵な組み合わせでした。
小清水町にはアウトドアブランド、モンベルの直営店があります。会員に情報を届けられるフレンドタウンになっており、アウトドアの街としてモンベルと連携しているところです。
20分間のお買い物を終えまして、浜小清水駅を出発。
可愛らしい被り物をして、お見送りしてくださいました。あの鮭は本物をずっと乾燥させているそうです…。
ここからしばらくは、左手の景色に注目するところ。
陸側には濤沸湖がありますが、これは海流が運んだ土砂による砂州が海と区切られた海跡湖です。釧網本線は地盤が悪く線路敷設に不向きでありながら、この砂州上を走っています。
国定公園にもなっている原生花園には、ハマナスやエゾスカシユリが咲きます。
人の手がほとんど加わっていないのに、エゾキスゲによる黄色い絨毯が広がる、今とは全く違った釧網本線を楽しめるはずです。
その先、濤沸湖はラムサール条約に指定されており、オジロワシ、オオワシなど絶滅危惧種の鳥たちもやってきます。
北浜駅からは大勢乗ってこられまして、かなり立ち客も出る状況に。完全に団体客に左右される列車です。
現在海は結氷と言われる、海の水が凍っている状態。
流氷とは海上を流れ漂っている氷のことで、沖から流れ着いてきます。
その密着度が低いと滞留せずに沖へ流れて行ってしまうため、一晩どころか2,3時間でその状況が変わるそう。かなり運要素の強い自然現象です。
網走の中心街へと戻ってきました。網走駅は元々市街地寄りにあったのですが、現在の位置へ移転したため市役所や大通りなどから離れています。
それでもビジネスホテルが立ち並ぶ網走駅前の方が、見慣れた景色ってものです。
14:46 網走駅 着
冬のオホーツクに現れる厳しい自然、ぬくぬく温まって途中降り立ちながら楽しめる観光列車はその特等席です。
昔ながらの落ち着いた雰囲気を持つ駅舎での食事、各地のグルメを堪能できるのも非常に大きな魅力でした。
ぜひ冬の北海道へお越しの際は、ここでの鉄道の旅をオススメします。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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