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【幻の白山駅】新幹線車両基地のIRいしかわ鉄道新駅 西松任駅の現状

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北陸新幹線敦賀延伸に伴い、北陸本線(金沢〜大聖寺)は第三セクターIRいしかわ鉄道に移管されます。

これと同時に加賀笠間駅〜松任駅間に新駅、西松任駅が開業します。

 

新幹線開業に伴い在来線特急が走らなくなると、並行在来線の主な役割は都市間輸送から、地域間輸送へ移ります。

その施策の一つとして、三セク転換後に新駅が設置されるのはよくあることです。

 

しかし、西松任駅は近くに新幹線の白山総合車両基地があったことも関わり、新幹線駅の設置も計画されていました。

そんなエリアにできる新たな駅、西松任駅の姿とかつての新幹線駅設置計画も併せてご紹介します。



まずやって来ましたのは、白山市の代表駅である松任駅です。

既にIRいしかわ鉄道仕様の駅名標に交換されており、下のラインが青色ではなく水色になっています。

 

左上のIRいしかわ鉄道ロゴマークが隠されているほか、お隣の加賀笠間駅もシールに。

この下に新駅「西松任駅」が隠されているのでしょう。

 

この駅には停車本数が少ないながらも、上下7本ずつ特急列車が停車します。

上には乗車位置案内の札が吊るされていました。

 

コンコースの番線表記なども、北陸線が上から貼られている、IRいしかわ鉄道仕様です。



改札を出てきまして、こちらは松任駅周辺の地図。

駅北側にはかつて、金沢総合車両所がありました。かつて松任工場として機能したほか、車両検査も行った場所です。

 

しかし、2024年春の北陸新幹線敦賀延伸や、並行在来線の第三セクター鉄道移管に伴い、金沢総合車両所は金沢車両区へ改組。こちらは閉鎖することになりました。

 

あばら骨みたいに次々別れていく線路、それぞれの先で検査等行なっていたのでしょう。

既に背骨の線路が取り外されており、踏切部分が舗装されて道路になっています。

 

それではIRいしかわ鉄道の新駅、西松任駅まで向かいましょう。



北陸本線・北陸新幹線の高架橋沿いを、西へ歩きます。

こちらは県道186号との交差地点、一番左が北陸新幹線の本線、真ん中が白山総合車両所への回送線、一番右の地上線が北陸本線です。

 

松任駅から西へ200mくらいの地点で、回送線が分岐。車両基地へ向かって地上へ降りていくのです。

 

さらに西へ進みまして、車両基地の下をくぐるアンダーパスへ。



まずは西松任駅の、金沢方面側の駅舎へ向かいます。

ちょうど潜りきったところで、北陸本線を特急サンダーバード号が通過していきました。

如何にも新しく作られた住宅地の中、交差点の先に西松任駅が現れました。

 

開業を1週間後に控えて、駅周辺では照明などの設置工事が行われているところです。

 

左側に駅舎が設けられまして、階段とエレベーターを備えた跨線橋が、各ホーム同士を繋いでいます。

白山の雪をイメージさせられる、白を基調にしたデザインです。

 

西松任駅の出口には愛称がつけられており、金沢方面ホーム側の今立っている方が日本海口、反対側が白山口です。

 

駅名は既に見ることができ、白い布で隠されているものの、IRいしかわ鉄道のロゴマークが浮き出ていました。

 

駅舎はそれほど高さが無い平屋造り。大部分がガラス張りになっています。

 

北鉄バス千代野線が西松任駅に乗り入れるため、専用バス乗り場が、駅舎目の前に設置してありました。

 

駅舎内に目を凝らすと、どうやら簡易ICOCA改札機らしきものが見えました。

自動券売機と多目的トイレが入るとのことです。

 

先ほどの北鉄バスとは別に、バス停車場所が設けられています。白山市コミュニティバス「めぐーる」も西松任駅に乗り入れるとのことなので、こちらに停まるのかもしれません。

奥にはかなりの台数停められそうな駐輪場。駅周辺には県内最大のニュータウンである千代野ニュータウンもあり、西松任駅は1日約1,870人の利用を見込んでいます。



IRいしかわ鉄道の西松任駅が開設される事になった訳ですが、それ以前には北陸新幹線駅も設置する計画がありました。

2011年、白山駅整備促進・まちづくり推進市民会議が設立。白山総合車両所への回送線に旅客列車を走らせる計画と、在来線駅も設ける構想を提案していました。前者に関しては博多南線と同様のものを想像いただければ分かりやすいでしょう。

 

2013年、大阪方面への延伸を考慮すると回送線の活用は難しいことから、北陸新幹線本線上に新幹線駅を設置する計画に変更。

2016年、与党整備新幹線建設プロジェクトチーム福井駅先行開業等検討委員会で、石川県知事が白山新駅の整備について議論が交わされました。

 

しかし、金沢駅から15kmと近く、7年8ヶ月の短い工期、建設費約100〜150億円の点から、国土交通省は駅設置に難色を示します。

その後も白山駅に新幹線が停車することによるダイヤ制約など問題が多く、2017年3月に与党プロジェクトチーム検討委員会は、白山駅設置見送りを決定。北陸新幹線白山駅建設期成同盟会も翌月、新駅設置を正式に断念し、会の解散を決めました。

 

一方で在来線駅については、2020年2月に白山市地域公共交通協議会が設置計画を了承。2021年に北陸信越運輸局が新駅設置を認可し、JR西日本に設計を委託して、3年の工期で駅建設が進められました。

新駅整備には、鉄道・運輸機構や地方公共団体の補助金も財源にされています。



西松任駅の設置は、白山市松任北安田南部地区土地区画整理事業と連携しています。

西松任駅日本海口のすぐ近くには、ショッピングセンター「イータウン白山」があります。

 

こちらは北陸地方のスーパーマーケット「アイビス」を核とした商業施設です。クスリのアオキや喫茶店などが入っています。

 

隣の無印良品白山北安田は、北陸地方最大の売り場面積を誇ります。

 

「白山市コミュニティバスめぐーる」が発着しており、これが西松任駅も経由するように。

駅開業前は松任駅から、これで来るのもおすすめです。



今度は違う角度から、西松任駅へ近づきます。

日本海口より東側の線路沿いには、遊歩道のある公園が整備されていました。

開業翌日には桜の記念植樹が行われるとのことで、数年後には240mに渡って、列車内から桜を楽しめる地帯になるそうです。

 

こちらの遊歩道へは駅舎から直接階段で降りられ、住宅街へ出やすいようになっています。

 

駅を正面に見て左側には、駐車場も用意されています。

 

日本海口を西側から。駅までの送迎車が多いと予想されるのか、屋根もしっかりついています。

 

ここから新しい駅名標を見られました。

どうやらテレビ局の方が、取材に来られているようです。

 

相対式ホームの2面2線構造、手前側が金沢方面、奥側が小松方面です。

 

線路越しに白山口の駅舎を見られまして、あちらも駅名が既に取り付けられていました。

 

2番線ホーム小松・福井方面の看板が設置されています。最大6両編成の列車が止まれるとのことです。

 

改札は地上にあるため自由通路ではなく、各ホームからどちらの出口にも出られます。

 

少し前まで田んぼだったようですが、この通り駅周辺には新しい住宅街が形成されています。

 

ちょうど白山総合車両所より、金沢方面へ回送新幹線が発車していきました。



本当は日本海口から白山口へは、西松任駅すぐ近くに踏切があるのですが、冬季閉鎖期間の看板が立っていたので回り込みます。

本当に突如として新幹線車両基地が現れており、なんとも異質な雰囲気です。

一方で車両基地は土地代を考えると、ターミナル駅との近さと地下の低さのバランスが取れるところが良いので、田んぼだらけなのは当然かもしれません。

 

夕方の本数が増える時間帯になって、また新幹線が金沢方面へ出ていきました。

 

車両基地の線路下を潜りまして、西松任駅へ。

 

先ほど線路越しに見ていた、白山口の駅舎がこちらになります。すぐお隣には北陸新幹線の高架橋。

 

駅舎内は白山をイメージして、木目調にしているようです。

正面には簡易ICOCA改札機も見ることができますが、自動券売機はこちらに無く、日本海口のみとのこと。

 

向かい側に見られるのが、日本海口に面する1番線ホーム金沢方面です。

 

立入禁止ではない公道ですが、こちらでは工事作業も行われていたので、あまり滞在せずに戻ります。



再び歩きまして、松任駅へ戻ってきました。

県内2番目の人口を誇る白山市にとっては、やはり新幹線駅を設置して優等列車を残したかったものと思います。

一方で、駅設置による建設費増加に対して需要がそれほど大きくないのも現実で、金沢駅との近さを考えても設置されないのが妥当に感じました。

 

一方で、在来線駅を新たに設置して公共交通の利便性向上が図られたのは、良い第二のスタートを切れると思います。

 

お隣のハピラインふくいでも2025年春に「しきぶ駅」を設置予定。北陸本線の新たな姿に注目が集まります。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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