大阪駅〜金沢駅を結ぶ特急サンダーバード。北陸新幹線敦賀延伸に伴い、運行区間が敦賀駅までに短縮します。
敦賀駅を通過するサンダーバード37号は表定速度(平均速度)106.3km/h、国内最速の特急列車として君臨しました。
その一方、同じサンダーバードでも、停車駅のパターンが多いことでも知られています。
今回ご紹介するのは、一番停車駅が多いサンダーバード7号。サンダーバードが停まる駅には全て停車します。
大阪駅から金沢駅までどれだけ時間が掛かるのか、速さだけではないサンダーバードの旅です。
特急サンダーバード号が出発する、特別感のある11番線ホームへ。
ちょうど1日1本だけ、大阪駅から高山駅を結ぶ特急ひだ25号がいるところでした。
こちらは2023年春のダイヤ改正で、新型車両HC85系へ置き換えられました。「金沢行き」の乗車位置案内と合わせられたのは、この1年だけだったことになります。
特急ひだ25号が出発しまして、次がお目当ての特急サンダーバード7号金沢行きです。
途中停車駅の案内を見てみると高槻駅のほか、湖西線内の堅田駅、近江今津駅に停まるとのこと。
さらに終点の金沢駅直前、松任駅にも停まります。
ちなみに次の特急サンダーバード9号は、敦賀駅を通過する最速達型の停車パターン。途中駅に降りたい人の需要を、7号がカバーしている形です。
出発時刻の3分前、8:07にようやく入線してきました。
683系12両編成での運行、一番停車駅の多い特急サンダーバード7号です。
金沢行きのサンダーバード表示を見られるのは、残り1週間。
9年間馴染んでいたこの光景も、いよいよ終わりを迎えます。
8:10 大阪駅 発
途中停車駅の放送は新大阪駅発車後、この時点では簡単な放送に留められています。
特急こうのとり1号とすれ違いましたが、水色ラインのくろしお編成を連結した、俗に「くろのとり」と呼ばれる編成です。
東海道・山陽新幹線の乗り換え駅である新大阪駅に到着。今回敦賀駅まで延伸する北陸新幹線は、最終的に新大阪駅へ来る予定です。
新大阪駅では金沢駅を5:35に出た、始発の特急サンダーバード2号とすれ違いました。
次の停車駅は高槻駅なのですが、車内表示器はなぜか「京都」を示しています。毎日走っているので、流石に対応しているはずですが…。
8:14 新大阪駅 発
新大阪駅を発車すると自動放送が流れ、長い長い途中停車駅が案内されました。
特急サンダーバード7号の停車駅は、新大阪, 高槻, 京都, 堅田, 近江今津, 敦賀, 武生, 鯖江, 福井, 芦原温泉, 加賀温泉, 小松, 松任, 金沢です。
しばらくすると、特急くろしお号の回送列車と並走。
すぐ引退しそうなオーシャンアロー車両で、まもなく廃止される金沢行き特急の放送を聞きながらという、非常に贅沢な時でした。
日本一の長さを誇る複々線区間で、新快速線を走る特急サンダーバード。普通列車を追い抜いていきます。
最高速度は130km/h、停車駅が多いと言っても、しっかりスピードは出していました。
8:25 高槻駅 着
京都〜新大阪は新快速電車と同じ停車駅、高槻駅に停まりました。
車内表示器では新大阪駅にいることになっていますが、ちゃんと高槻駅で停まっています。
発車標にも、サンダーバード金沢行きの文字を見られました。
少々おかしかった車内表示器ですが、なぜか最速達型の「京都の次は福井」のパターンになっていました。
このサンダーバードは逆に、一番停車駅が多いはずですが…。
向日町の車両基地を通過。
特急サンダーバードは大阪駅に着くと、北方貨物線を通って新大阪駅近くの網干総合車両所宮原支所、またはこちらの吹田総合車両所京都支所へ回送されます。
再びサンダーバード号とすれ違いつつ、京都駅に到着です。
8:41 京都駅 発
大阪駅11番線ホームと同じように、特別なホームである京都駅0番線ホームから発車。
この車両には外国人観光客の方がグループで乗られ、非常に賑やかになりました。
次は福井とか案内されていますが、こちらは敦賀駅どころか湖西線内にも停車する便です。
山科駅を通過し、東海道本線から湖西線に入りました。
特急サンダーバードにとって、湖西線は北陸への短絡線的な立ち位置です。
しかし、朝夕時間帯の一部列車は、線内の途中駅にも停まります。
8:56 堅田駅 着
停車駅のひとつが堅田駅。駅近くには琵琶湖大橋が架かっており、湖を挟んで東海道側と一体的に街が形成されています。
さらに北上しまして、関西でも行き先として見ることがある近江舞子駅は通過。普通列車を追い抜きました。
9:15 近江今津駅 着
湖西線内もう一つの停車駅が近江今津駅、高島市の代表駅です。
近江今津駅からは小浜方面へ、西日本JRバスの若江線が出ています。こちらは敦賀を経由せずに関西から小浜を短絡できるルートで、鉄道で結ぶはずだった未成線です。
近江今津駅で接続する9:25発のバスに乗れば、小浜駅10:25着となり、敦賀駅からJR小浜線に乗り換えるよりも便利です。
水色のラインカラーをした駅名標を低速で見る、50本あるサンダーバードの中で比較的数少ない体験になります。
踏切がひとつもない高規格路線、湖西線はまもなく終わりです。右手からは北陸本線が近づいてきました。
湖西線と北陸本線の分岐駅となっている、近江塩津駅を通過。路線分岐駅であるものの、特急は一本も停まりません。
立体交差区間を過ぎまして、湖西線から北陸本線の線路へ移りました。
滋賀県から福井県に入り、北陸新幹線の車両基地が見えてきます。
大阪方面のサンダーバードからは、車両基地に停まっているW7系新幹線を見られます。
現在敦賀駅を発着する特急列車は地上ホームを発着しますが、新幹線敦賀延伸後は新幹線高架下の特急専用ホームを発着するように。
地上ホームから出る特急列車は、小浜線観光列車はなあかり号だけです。
9:38 敦賀駅 発
ここで乗務員さんが交代されまして、3番線ホームを発車。上には乗車位置案内がたくさん吊られており、特急街道らしさを知らしめられます。
巨大な新幹線駅舎を見ていたら、681系の特急サンダーバード号とすれ違いました。
敦賀駅を出発すると、列車は北陸トンネルへ。
ここから先は北陸新幹線敦賀延伸後、特急が一本も走らなくなる区間。第三セクター鉄道ハピラインふくいへ転換されます。
トンネル内はau回線以外、携帯電話の電波が通じなくなります。
ハピラインふくいになってから整備されるとは考えづらく、今後も繋がらないままでしょう。
9:58 武生駅 着
敦賀駅からは、特急停車駅として見覚えがあるのではと思われる駅が続きます。この駅には新幹線が来ませんが、武生駅もしっかり停車。
ここで車内表示器を見てみると、停車駅が正しく表示されるようになっていました。おそらく敦賀駅で交代した車掌さんが、修正してくださったのでしょう。
日本有数の長編成を誇る特急サンダーバード、最後部車両に乗っていると先頭まで全く無理なく見られます。
10:03 鯖江駅 着
隣駅ですが、鯖江駅もまた特急停車駅です。
武生駅がある越前市内には、新幹線単独駅の越前たけふ駅が設置される一方、鯖江市には新幹線駅が設けられません。
メガネの街として全国的に知られる鯖江市ですが、優等列車の停まる駅が一切無くなってしまいます。
右手からは北陸新幹線の高架橋が近づいてきました。
1面2線というシンプルな構造によって、新たに誕生する日本一小さい新幹線駅。県庁所在地の福井駅です。
10:11 福井駅 着
敦賀駅を通過する最速達型の特急サンダーバード号含め、全ての列車が停車します。
大阪から福井で乗車される方がかなり多く、敦賀駅での分断により関西との結びつきが弱まりそうに思われるところです。
しばらくすると新幹線高架下に、えちぜん鉄道の車両基地が広がります。
2023年7月から運行開始した恐竜列車が停まっており、サンダーバード号と時を共にしたのは8ヶ月だけです。
10:23 芦原温泉駅 着
こちらも新幹線駅が設置される駅、ちょうど名古屋行きの特急しらさぎ6号とすれ違いました。
列車は福井県から石川県に入りました。
現在通過している大聖寺駅には、特急しらさぎ号2本と、特急おはようエクスプレス・おやすみエクスプレスの計4本だけ特急が停まります。
今乗車している特急サンダーバード7号が、唯一通過する特急停車駅です。
10:34 加賀温泉駅 着
そのお隣が、新幹線駅の設置される加賀温泉駅です。片山津温泉、山代温泉、山中温泉などを総称して呼ばれる、加賀温泉郷の玄関口になります。
現在でも4本だけ特急が停まる大聖寺駅と、現在通過している動橋駅では、特急停車をめぐり熾烈な争いがありました。
その解決策として取られたのが、両駅の間にあった作見駅を特急停車駅にする案。1970年に特急停車駅となり加賀温泉駅へ駅名改称がなされ、遂には新幹線駅にまで成り上がります。
10:42 小松駅 着
こちらも新幹線駅が設置されます、小松駅です。
市内には小松空港があり、北陸新幹線金沢延伸前は東京から金沢への足として、現在より重きを置かれていました。
駅名標のJRマークが隠されており、新幹線敦賀延伸後に経営移管する、IRいしかわ鉄道への引き継ぎ準備が進んでいます。
白山市に入りまして、金沢延伸時から使用されている白山総合車両所が見えてきました。
こちらは白山市立高速鉄道ビジターセンター、2024年3月13日にオープンし、館内デッキからは車両所を一望できるそうです。
敦賀駅からの停車駅には特に珍しさを感じませんでしたが、終点の金沢駅到着するのを前に、最後の途中停車駅があります。
それが白山市の代表駅、松任駅です。
この駅には特急しらさぎ・サンダーバード合わせて、上下共に7本ずつ停車しています。
白山市は石川県第二のまちですが、金沢駅が近いこともあり特急停車本数が少なめです。
10:54 松任駅 発
元々は松任市であり、2006年に周辺自治体と合併して白山市に。それまで県内2番目のまちは小松市でした。
普段なら松任市を通過している時に北陸ロマンが流れるくらいですが、この便は松任駅に停車していたため、車掌さんによる乗り換え案内も早口に感じました。
遂に在来線特急で大阪から来られなくなる、終点の金沢駅に到着です。
11:02 金沢駅 着
大阪駅からの所要時間は2時間52分。今回ご紹介したサンダーバード7号は、停車駅こそ一番多い一方、所要時間最長ではありません。
所要時間が一番長いのは、以前記事にしているサンダーバード4号大阪行きで、所要時間は2時間59分。高槻駅は通過するので、今回の途中停車駅より1駅少なくなっています。
ちなみに北陸新幹線敦賀延伸後も、特急サンダーバード7号の大阪〜敦賀の停車駅は、現在と変わらず。
さらに敦賀駅で接続する新幹線つるぎ8号は各駅停車で、今と同じような状況が引き継がれます。
敦賀駅を通過しつつのサンダーバードはもちろんですが、逆にサンダーバードの旅を少しでも長く楽しみたい方にとっては、今回の便もおすすめです。
サンダーバードが金沢からいなくなるまで1週間。
残り僅かの時間になりますが、列車によって異なる最後の姿を、ぜひ目に焼き付けておきたいところです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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