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長野県第二の都市、新宿から特急あずさ号の終点としても知られる、松本駅に来ています。
今日は12月15日の金曜日。平日ですが、臨時快速列車が運行されました。
その名も「アラカルトトレイン中央」。
2023年9月23日開催の「ダイヤ作成講座~臨時列車設定編~」で、参加者とJR社員が一緒に企画した臨時列車が、通常列車として運行される事になったのです。
通常の旅客列車は入らない線路を走ったり、貨物駅の中に入るなど貴重な体験。ちょっとマニアックな列車ではありますが、普段では通れない線路の様子をお届けします。
発車標では、「アラカルトトレイン中央」としっかり表記されていました。
「アラカルト」とはコース料理に対し、客が好みで一品料理を選び、それを組み合わせてオーダーする料理のこと。
今回の列車はダイヤ作成講座で作られたので、この名前になったものと思われます。
10:04、1番線ホームにアラカルトトレイン中央が入線しました。
松本〜白馬を中心に運行される、「リゾートビューふるさと」の車両が使われます。快速列車なので青春18きっぷでの乗車も可能です。
使用されているのはHB-E300形気動車。次世代型気動車で、「リゾートビューふるさと」から「リゾートしらかみ」や「海里」などへ広がっていきました。
行き先方向幕には、「快速全車指定 上諏訪」が表示されています。
2両編成となっていまして、今回は先頭の1号車へ。
連結部に一番近い座席には、長野県のキャラクター「アルクマ」が座っていました。
快適なリクライニング座席で、1席に大きな窓1枚が割り当てられています。
座席部分には少し段差があり、景色を見下ろしやすくなりました。
車内表示器もアラカルトトレイン中央に対応しており、そのまま流れています。
一番前にはフリースペースの展望室が備えられており、ソファや腰掛けが設けられています。
運転席にはタブレットがあり、今回特別な場所に停車する南松本駅と塩尻大門が記されていました。
10:18 松本駅 発
しばらくするとエンジン音が響き、チャイムに続き車内放送が流れてきました。
最初の見どころポイントは南松本駅、その詳細が紹介されています。
新宿駅からやって来た、E353系特急あずさ号とすれ違いました。
篠ノ井線を南下して1つ目の駅、まもなく南松本駅に停車します。
南松本駅は第二次世界大戦中の1944年、軍需輸送の拠点として設置された駅です。JR東日本の旅客駅ですが、甲信地域最大の貨物ターミナルという役割が非常に大きくなっています。
貨物用の線路として、上り1・上り2・下り1・下り2の上下2本ずつが設けられています。
今回この列車は、上り1番の線路に停車することとなります。
プラットホームが面しない線路、通常旅客列車が走らないところをゆっくり進んでいきます。
機関車や貨車がいる中、旅客列車は気まずそうに通りすぎ、ここで停車しました。
左側には「ECO POWERブルーサンダー」と命名されている、EH200形電気機関車が停まっています。
5分ほど停車したのち、南松本駅を出発。
出発合図はJR貨物南松本係員の方から出されています。
南松本駅を出るとすぐにポイントがあって、本線へ出ました。
車内の案内放送などもされ、松本まで乗り入れているJR東海の普通列車とすれ違います。
車掌さんがきっぷの拝見に回られまして、ここできっぷを入れられる記念乗車証をいただきました。
続いての停車場所は、塩尻大門です。
中央本線は東京駅〜名古屋駅を結ぶ路線。路線開通時、二大都市間を直接結ぶ線路上に、塩尻駅が設けられていました。しかし、これでは名古屋〜長野を結ぶ列車が塩尻駅で進行方向を変えなければなりません。
そこで1902年に現在の場所へ塩尻駅が移転し、東京・名古屋から松本・長野方面への列車が進行方向を変えず走れるようになりました。
現在でも東京から名古屋を直接結ぶ線路が残っているものの、JR東日本とJR東海の乗務員交代のため塩尻駅を通らなければならず、旅客列車は走っていません。
塩尻大門は1902年に塩尻駅が現在地へ移転するまで、街の玄関口として機能していた旧駅跡地です。
1〜7番線が残っており、貨物列車の待避線の役割を担っています。団体列車ではなく、今回のような一般旅客列車が入るのは珍しいそう。
まずはJR東日本とJR東海の境界駅、塩尻駅を通過します。
通過するのは、ホームにぶどう畑があることでも知られる3番線でした。
通過後に右手へ離れていくのは、名古屋方面の中央西線。
この列車は塩尻大門が位置する、中央東線の新宿寄りへ向かいます。
右側にゴチャゴチャした線路が増えてきて、こちらが塩尻大門です。
ポイントを越えて本線から離れつつ、右側の線路へ入っていきます。
今回入線したのは、1〜7番線のうち7番でした。
停車位置から見上げると、各線上に信号機が設置されています。
旅客駅としては役割を終えても、この規模感からして重要な拠点だと知らしめられるところです。
タブレット画面がスクロールされまして、塩尻大門についてもこの通り記載されています。
向かいから中央東線を走る、みどり湖経由塩尻方面の普通列車がやってきました。これでどこが本線なのか一目瞭然です。
8分ほどの停車時間を終えて、塩尻大門を出発します。
今度は、JR東日本の塩尻駅係員より、車掌さんへ出発合図が出されたとのこと。
まずはポイントを越えまして、左側の3本の線路がまとめられました。
中央本線には新線と旧線の2つルートがあって、塩尻駅はその分岐駅。
塩尻大門からも2つのルートを選択でき、今回は新線へ行くので左側へ。
新線の本線上に入りまして、旧線は右手へどんどん離れていきました。
新線ルートは特急あずさ号なども走る、主要なルートです。
唯一の途中停車駅、みどり湖駅でドアが開きます。
ここでは1分ほどの停車。Xでダイヤ作成に参加したらしい方のポストを拝見したら、ここに停車させることを結構拘ったみたいです。
リゾートビューふるさとがみどり湖駅に停まる、確かに違和感を感じさせられます。
1982年に開通した新線、その核を成すのが全長5,994mの塩嶺トンネルです。
明治期では技術的側面もあって遠回りになりましたが、工事技術が発達して山をまっすぐ貫きます。
トンネルを抜けても盆地に形成された住宅街の中、立派な高架線が堂々と走ります。
先ほど分かれた旧線は、ここで合流してきました。
新線と旧線、東側の分岐駅である岡谷駅を通過します。
基本的に複線化されている中央東線、ここから暫くの間は単線区間となります。
戦闘に展望室があるからこその眺望、高架線から視界を広く見下ろすことができます。
下諏訪駅を通過しまして、右手には諏訪湖が見られます。
線路から少し距離感があるものの、穏やかな波が目に焼き付けられるよう。
そして終点の上諏訪駅に到着。前面展望のモニターは表示されていませんでしたが、LEDの表示器はかなり対応しています。
11:08 上諏訪駅 着
昔ながらの太丸文字で書かれた駅名板、スタイリッシュな観光列車とのギャップが強いです。
この列車は上諏訪駅で折り返し、アラカルトトレイン中央松本行きになります。
こちらには乗りませんが、今度は旧線周りの辰野経由で運行するようです。
改札内にある足湯でゆったり、鉄道ファンにとって上諏訪で一番の名所かもしれません。
旅行商品かと思うくらいマニアックな内容でしたが、普段では通れない線路を開拓するようで、非常に楽しませていただきました。
ダイヤ作成体験がこうして現実の列車になるとは、とてつもないロマン。またこのような列車が走ってくれることを期待したいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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