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【廃線保存鉄道の成功例】高千穂あまてらす鉄道 スーパーカート乗車記[2307南阿蘇再開(7)]
九州横断鉄道を目指して建設された、国鉄高千穂線。 高森の異常出水事故により建設は断念され、国鉄分割民営化で第三セクター高千穂鉄道として残されました。 日本一高いところを走る鉄道橋の高千穂橋梁に、トロッ ...
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宮崎県の人気観光地となっている高千穂、県北部の延岡駅からは高千穂駅までは、かつて高千穂鉄道が走っていました。
こちらは2023年夏に熊本地震から全線復旧を果たした南阿蘇鉄道と繋がり、九州横断鉄道になる予定だったのです。
結局県境部分の鉄路は開業せずに計画消滅、さらに高千穂鉄道は台風で大きな被害を受け、2008年に全線廃止されました。
現在は高千穂駅から高千穂鉄橋までの約5.1km、高千穂あまてらす鉄道としてトロッコが走っています。
前回の記事で高千穂あまてらす鉄道のトロッコを楽しませていただきましたが、ここから宮崎交通の路線バスで延岡駅まで行ってみることに。
鉄道を代替しているこちらのバスに乗って、高千穂鉄道の跡にも注目します。
高千穂駅より路線バスに乗車。ほとんどの方は自家用車や長距離バスで来られます。
同じトロッコに乗っていた鉄道ファンらしい同業者さんも、こちらに乗車していました。やっぱり志を同じにするオタクは、路線バスの方が好きだったりします。
国道218号を走っており、トンネルの中へ。
高千穂鉄道の線路は進行方向右手にありますが、標高差があるためか線路は確認できませんでした。
トンネルを抜けると、目の前にはトロッコ列車が走る線路が現れます。
鉄道ではなく遊具扱いなので、遊園地のジェットコースターのレールを潜っているようなもんです。
高千穂駅から2本のトンネルを貫いた高千穂あまてらす鉄道、お隣の天岩戸駅周辺の鉄橋が見られました。
そしてその先にありますのが高千穂橋梁、高さ105mで当時日本一高い鉄橋でした。
トロッコから見られた独特なアーチ橋の雲海橋より、その姿をしっかり捉えることができました。
しばらく高千穂橋梁を眺めていたら、まさかまさかトロッコがちょうどやってきました。橋の上で停車してくれまして、そこで絶景を堪能されるのでしょう。
高千穂あまてらす鉄道はここで折り返していますが、今後はお隣の日之影町まで走行する計画も。最終的には延岡駅まで、鉄道としての復活をかけているとのことです。
バスの正面には正面には、高千穂日之影道路の大平山トンネルが見えてきました。
2021年8月には日之影深角ICから平底交差点までの2,3kmも開通。延長5.1kmのバイパス線が出来上がりました。
高規格道路は鉄道で言えば新幹線、都市間移動に適した道路となっています。
一方で路線バスは各集落からの輸送を担うため、引き続き国道218号でカーブの連続する道路を走ります。
山の斜面でも農業が行われており、傾きの穏やかな棚田が広がっていました。
おそらく等高線に沿って平たい土地を形成するため、魚の切り身みたいな形の田んぼを沢山見られるのが、非常に面白いです。
右手には2000年に五ヶ瀬川で架けられた、天翔(てんしょう)大橋が見えてきます。
アーチススパン260mはコンクリート橋として国内最大、水面からの高さ143mも日本一とのことです。
この辺り、もっと川に近い県道237号沿いに、深角駅跡があります。
そして高千穂日之影線道路のバイパス線の終わりと合流しました。
国道から少し外れまして、日之影町国民健康保険病院へ。路線バスは必ずと言って良いほど、病院を経由します。また、2021年に新築移転した日之影町役場も近いです。
日之影町の廃線跡を見るべく、青雲橋で下車しました。
高千穂〜延岡を結ぶ路線バスには旧道経由とバイパス経由の2種類あり、今回乗ったバスはバイパス経由。
せっかくなら廃線跡に近い旧道経由に乗りたかったので、ここで降りて日之影温泉駅の跡地まで歩き、そこからバスで延岡駅へ行こうという完璧な作戦です。
交差点には日之影町役場、日之影温泉駅の標識が立っています。
鉄道駅としては廃止されているので、英語表記が「Sta.」ではなく「Eki」になっていました。
日之影温泉駅までは、ヘアピンカーブが連続する急勾配。
こんな山道の上空を貫くのが、バイパス線の青雲橋です、あの高さからここまで下ったと思うと、どれだけ山なのか思い知らされます。
木陰から民家がぽつぽつと生まれる頃、何やらオレンジ色の鉄橋が現れました。
こちらが高千穂鉄道の鉄橋、バスを降りた辺りから穏やかにトンネルで下ってきています。
オレンジ色の塗装も落ちておらず、見た目には列車がいつ走ってきても不思議ではありません。
主要ルートとして活躍している青雲橋の下、廃止されてしまった鉄道橋。今後ここまでトロッコが来てくれたら非常に嬉しい限りです。
この谷を作り出した五ヶ瀬川まで到達し、これ沿いに昔ながら日之影町の街並みが形成されています。
この通り商店なども立ち並んでおり、昭和時代まで勝手に連れてこられたようです。
先ほどの橋梁から山を貫いてきた高千穂鉄道、道路を交差して高架から降りていきます。
バス停から歩くこと40分ほど、日之影温泉駅に到着しました。
廃止になった駅舎と温泉施設が一体化しており、2階に温泉があります。
1階は物販コーナーになっていて、道の駅みたいな施設です。
そして駅舎に隣接しているのが、日之影町TR列車の宿。
高千穂鉄道の車両2両を簡易宿泊施設として活用しており、鉄道車両に泊まれちゃいます。
外観は完全に鉄道車両のままで、今にも動き出しそうです。
車内は宿泊施設仕様に改修されているものの、運転席や荷棚などは残されているとのこと。
この駅も台風で被災しており、ネットで調べると土砂が流入して路盤が流出し、枕木が剥き出しになった写真などが出てきます。
黄色い点字ブロックが敷かれ、駅名標の立ったホームさながらの構造も残っていました。
駅構内の線路跡地にはブロックが敷き詰められ、足湯スペースができています。
本当はここに宿泊したかったのですが、予約しようとして満室だったので断念。必ずやリベンジしてご紹介できればと思います。
さて、そろそろ日之影駅前に旧道経由のバスがやってくる頃。
延岡駅までバスから廃線を見ようと思っていたのですが、中々やってきません。ここで時刻表を見てみると…
「当所での乗降は行なっておりません」の表記。
どうやら大雨で県道237号が被災し、路線バス含め大型車が通行制限を受けているそう。
旧道経由のバス含めバイパス経由での運行になり、ここからバスに乗れなくなってしまったのでした。
これにより、旧道経由のバスでも崎ノ原〜星山の停留所に止まれなくなっています。
2023年11月現在も旧道経由便はバイパス経由で運行中。温泉までは町営のすまいるバスで行く必要があります。
完璧な計画とか言ってましたけど…残念でしたあ(煽)
どうしようもないので、バイパス経由の路線バスに乗るべく、来た道を戻ることに。
今度はもっとキツイ登り坂、夏の猛暑に襲われながらも何とか歩き続けます。
高千穂からやってきた路線バスに間に合い、無事に延岡へ行くことができました。
青雲橋からはさっきまでいた、日之影温泉駅周辺の集落を眺められました。
鉄道はこの下の方を走り、地域間の輸送に務めていたのです。
終点の延岡駅に到着です。
この日は早朝からずっと撮影だったので、流石に眠ってしまいました。
こちらは翌日撮影したものですが、高千穂鉄道は奥の駅舎北側に設けられたホームから発着していました。
新駅舎になって現在ではその跡も無くなってしまっています。
廃線を活用したトロッコが注目される、高千穂あまてらす鉄道。これから日之影方面へ区間が伸びることも期待できます。
列車の宿や日之影温泉駅より先の廃線跡など、まだまだ見きれなかったところが多いので、ぜひまたリベンジを果たしたいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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