国内最後の定期夜行列車となった、寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号。
東京〜高松・琴平と東京〜出雲市を結んでおり、今では鉄道ファンに限らず多くの方に人気の列車となっています。
そんな寝台特急サンライズを堪能するため、7連泊してみることにしました。
サンライズの車両「285系電車」に乗り続けますが、瀬戸・出雲や方向を組み合わせて、全て異なる列車です。それぞれから見られる違った風景や、個室をはじめとした設備をご紹介できればと思います。
サンライズ号で東京〜高松・出雲市を行ったり来たりする訳ですが、全て異なる列車で一週間を過ごせるのは、臨時サンライズ出雲が設定される最繁忙期のみ。
8月6日21:50に東京駅を出発するサンライズ瀬戸号高松行きでスタート!と思っていたのですが…
前日の8月5日、東海道線大船駅付近で電車と電柱が接触したことにより、サンライズ号は東京駅で足止め。翌日6日も上下列車共に運転取りやめになってしまいました。
運休は非常に残念ではありますが、この事故により負傷、冷房の効かない中車内で過ごされた方のことを考えると、本当になんでもないことです。
翌日のサンライズ号まで運休になった理由は、積み込まれているリネンが足りない、固定された運用から逸脱してしまうなどが考えられます。
営業列車としては運休になりましたが、サンライズの車両は東京から高松・出雲市まで回送されることに。こちらを追いかけるようにして高松駅へ向かうことで、東京〜高松を乗車した代わりにしたいと思います。
こちらは18時ごろの京都駅、サンライズ号は米原駅手前の醒ヶ井駅でしばらく止まっているようです。
それまでは昼間の静岡県・愛知県をかなり飛ばして走っていたようで、沿線で撮影された様子が出回っていました。
京都駅からは数分程度遅れていた新快速電車に乗車、東京方面へ戻るようにして草津駅に来ました。
醒ヶ井駅でしばらく停車していたのは、特急ひだ36号大阪行きを先に行かせるためだったとのこと。サンライズ号はこの後に続いて回送されてきます。
2023年春から新型車両HC85系での運行となった、特急ひだ号が草津駅に到着。普段は2両編成での運行ですが、今日は日曜日でお客さんが多いのか、4両編成でした。
先ほどの発車標の表示とは順序が異なりますが、先に草津駅始発の新快速姫路行きが米原方より入線、そのまま発車していきました。
さらに19:12発の普通姫路行きも発車しようというところで、3番線を列車通過の放送が流れました。
丸っぽく黄色いライトが近づいてきますと、穏やかな顔が現れました。寝台特急サンライズ号です。
東京から白昼の東海道を走ってきまして、遂には日も暮れています。
普段ではあり得ない、営業列車が駅に止まっている夕方の草津駅を通過しました。
東海道本線は草津駅から複々線になっているため、サンライズは普通列車が草津駅に入るのを待っていたのでしょう。
ここからは普通列車を追い抜いても問題なく、草津川跡をくぐるトンネルへ並走していきました。
これを追いかけるため、新快速播州赤穂行きに乗車。
どこかで追い抜けるかは分かりませんが、とりあえず京都駅までは向かいます。
新快速はかなり速度を落としてから京都駅に入線。
京都駅停車中、左側に何か見覚えのある丸いライトがあるなと思ったら、サンライズでした。
外から撮影された動画を見ると、どうやらこの新快速とともに並走して入線していたようです。車内からは気づけなかったのですが、おそらく入線時にスピードを落としていたのは、サンライズがいたからでしょう。
サンライズは京都駅で2,3分ほど停車、この新快速に道を譲りました。
そんなに急ぐ必要はないため、向日町の車両基地に入ってから深夜に回送されるのではという説もあったので、東海道新幹線には乗らず新快速で情報収集しつつ西へ向かうことにしました。
しかし、高槻駅の発車標にはNot in Service(回送)の表示があり、後ろを走っていることが確実になります。
次の新大阪駅で下車しまして、通過する様子を見ることにしました。
大阪駅まで行ってもよかったのですが、新大阪駅から北方貨物線を走る可能性も残されています。その線路は大阪駅を通らないため、大阪駅ホームで待っていたらサンライズの姿を見られません。
しかし、9番線ホームの発車標に「回送」と表示されたことで、このまま大阪駅を通る、通常の東海道本線を走っていくと分かりました。
程なくして新大阪駅を通過してきました。
サンライズが大幅に遅れると、新大阪駅で降ろされて新幹線に振り替えられることもあります。
闇に消えて行くテールライト、引き続き追いかけましょう。
後続の新快速姫路行きに乗車します。
山陽新幹線で追いかけても、新神戸駅からでは三ノ宮駅通過に間に合わず、こだま号の西明石駅到着より新快速の方が速かったためです。
淀川を渡りまして、大阪駅に到着。
新大阪駅を通過したサンライズはここで30秒ほど止まっていたそうですが、すぐに西へ発車して行ってしまいました。
三ノ宮駅も通過していたようで、新快速からどんどん距離を離されてしまいます。
どこかで追い抜けるかと思いましたが、回送列車なので途中停車する必要もありません。
加えて毎日長距離を高速走行している、車両性能の高さを思い知らされました。
終点の姫路駅に到着です。
ちなみにサンライズの後に続いて、トワイライトエクスプレス瑞風も下関へ向かっていたみたい。おそらく一番下に表示されている回送がそれでしょう。
瑞風の通過も見てみたかったですが、岡山駅まで新幹線に乗らなければなりません。こだま871号岡山行きに乗車します。
22時過ぎ、サンライズは三石駅あたりで停車し、特急スーパーいなば12号岡山行きに道を譲っているようです。
岡山駅に到着、これでサンライズを追い抜きました。解結後、それぞれ高松・出雲市へ向かう様子を見にいきましょう。
岡山駅では今日の寝台特急サンライズ運休について放送が流れていました。
また、改札前のディスプレイでも運転取り止めの案内がされています。
発車標にも時々流れていましたが、新型車両Uraraや観光列車の広告が基本でした。
本来ならサンライズは4番線ホームで連結を終え、東京方面へ発車していたはず。
それにしても寝台特急が一本いないだけで、このホームはかなり静かです。
22:35、山陽本線を回送されてきたサンライズが現れました。
入線は8番線、普段東京方面から来るのと同じホームです。
行先表示は当然ながら回送、デッキの灯りは落とされているようです。
室内はまだ清掃が行われていないため、そのままの状態です。
通路については明かりが灯ったままのようですね。
ここで解結作業が行われまして、それぞれ高松と出雲市へ向かいます。
本来夜に行われるのは連結のはず。
暗い中での解結は珍しい…と言いたいところですが、冬なら日が昇っていないうちに解結するため、見ようと思えば見られます。
それにしても、いつもなら大勢の方がここに集まって見学されていますが、今日は人がまばら。コロナ禍辺りはこれぐらいだったのでしょうか。
先に出発するのはサンライズ瀬戸号にあたる方、22:42に高松へ向かって発車しました。
いつの間にかJR西日本の走行位置案内にも表示されており、寝台特急サンライズとして出ています。前日分として考えれば、実質16時間遅れくらいってことですよね。
22:44、出雲号にあたる後寄り編成も発車しました。
遅れていたマリンライナー68号の到着を待っていたようです。
後続の23:12発快速マリンライナー高松行きは、2両編成での運行。
発車20分前の時点でかなりの混雑。
おそらくサンライズの追い抜きは難しそうですし、次の便に乗って高松運転所で停車中の様子を撮影することにしました。
23:43発の快速マリンライナー75号高松行きに乗車します。
一つだけポツンと残っているのがまた良いですね。
以前はさらに遅い岡山駅0:12発マリンライナー77号があって、一時期は日本一遅くまで走る終電だったのですが、2022年春のダイヤ改正で繰り上げられました。
せっかく深夜のマリンライナーに乗るので、前面から景色を眺めてみることにしました。
チケットレスなら470円で、指定席の正規料金よりも安いです。なお、指定グリーン席なので青春18きっぷでは乗れないため、この点はお気をつけて。
瀬戸大橋線内は単線区間も多いため、反対方向の列車が岡山駅に到着するのを待ってから出発です。
途中では四国から本州へ向かう貨物列車とすれ違いました。
宇野方面へ線路が分かれる、茶屋町駅に到着。
7月にデビューした227系500番台「Urara(うらら)」が止まっており、宇野線にも充当されています。
最終のマリンライナーから接続しており、これが宇野線の最終列車です。
児島駅でJR西日本からJR四国管内へ、乗務員さんも交代されました。
数本のトンネルを抜けまして、瀬戸大橋を渡ります。
しばらくすると四国の光が見え始めてきました。瀬戸大橋から見下ろす埋立地の工場夜景は、かなり魅力的な景色の一つです。
この夜景についてはまた明日、高松駅から東京駅へ乗車する際、ぜひ楽しみにしておきたいと思います。
四国へ上陸後、真っ暗なデルタ線を抜け、高松に向かう予讃線へ。
鬼無駅の先には高松貨物ターミナル駅、四国桃太郎貨物駅という愛称も付いています。
香西駅を通過後は右手に注目、上下線を挟むようにして高松運転所が位置します。
そこには岡山駅で見送ったサンライズがいました。
本来ならこの時間、東海道山陽本線を駆け抜けているはず。ここを留守にしていなければなりません。
終点の高松駅に到着、今日の営業列車はこれで終わりとなりました。
高松駅から高松運転所までは2kmちょっと、最後に30分ほど歩いてサンライズを見に行きましょう。
近くにはマンションや住宅街が並ぶ、高松運転所です。
北側からはちゃんとサンライズの姿を拝むことができました。
と、ここで突然ミュージックホーンが鳴りまして、奥からマリンライナーが飛び出してきました。
こんな時間でも鳴らすのかと驚くとともに、今から高松駅へ向かうのかと疑問にも…。
サンライズからは少しモーター音も聞こえています。
壁があったり、手前に8600系特急電車が止まっていたため直接見ることはできませんでしたが、タンクの入れ替えをしていそうな水の音も聞こえました。
残念ながら今回は乗れなかったものの、その運行の難しさを思い知らされました。
それでも運行を続けてくださっていることに、ますます感謝の気持ちが強まったように思います。
最初が欠けて7列車連続で乗車することは叶いませんでしたが、明日から6泊7日お世話になります。
一週間のサンライズ旅路、是非お楽しみいただければ幸いです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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