泉北高速鉄道線は堺市の中百舌鳥駅から和泉市の和泉中央駅までを結ぶ路線です。
列車は南海電鉄高野線と相互直通運転を行っており、泉北ニュータウンから大阪市中心部への通勤・通学路線になっています。
2023年8月8日、泉北高速鉄道に新型通勤車両の9300系がデビューしました。
なんば駅まで相互直通の運用も初便から開始。南海と深い関わりのある準大手私鉄の通勤電車をご覧ください。
大阪ミナミのターミナル駅、南海なんば駅に来ました。
9300系電車の営業運行初列車は、和泉中央駅11:07発区間急行なんば行き。
そちらには間に合わなかったため、折り返し11:47発区間急行和泉中央行きに乗車します。
和泉中央〜なんばは所要時間30分ほどで、かなり短め。
阪急梅田駅に続いて国内2番目の規模を誇る頭端式ホーム、9面8線の端っこに位置する、2番線ホームへ入線しました。
上部の行先表示は「泉北和泉中央」と表記されており、泉北高速鉄道への直通がこれで分かります。
左下には9300系デビューの記念プレートが掲示されていました。
車体外観は、かなりシンプルなデザインです。
既存通勤車両に採用されているアイボリーを引き継ぎ、ラインカラーのブルーを引いています。
小田急の通勤電車みたいという意見も聞かれました。
アイボリーで塗られている鋼製の車体は乗務員扉の辺りまで、それより後ろはステンレス製となっていました。
斜めに入ったブルーのカットにはスピード感があり、窓下に「SEMBOKU」と書かれています。
横部分の行先方向幕にも「泉北和泉中央」と書かれており、こちらは「泉北」の部分がロゴに似せたフォントです。
車両連結部の転落防止幌には、互い違いのものが採用されています。
今回導入されたのは、4両×2編成の計8両です。近畿車輛により製造されました。
白色を少しくすませたイメージのアイボリーには古さを感じますが、黒い部分やガラス面がピカピカなので、一つの車両でギャップがはっきりしています。
車両の形は南海8300系と同じです。
それでは車内へ入りましょう。
泉北高速鉄道のロゴマークが小さく貼られたドアの向こう、木目調で阪急っぽさを感じます。
液晶ディスプレイ式の車内案内表示器も新しいものが導入され、日英中韓の4ヶ国語で案内されていました。
なんば駅を発車しました。
自動放送が流れまして、泉北ニュータウン方面とまで案内されます。
レトロさを感じさせる車内から、治安の悪いイメージのあるエリアを眺めました。
液晶ディスプレイでは乗り換え案内もされます。南海の路線マークはめちゃ分かりやすいんですよね。
それでは車内を見てみましょう。
座席シートはこれまでの通勤車両と同様の色合いですが、濃淡の異なる2色を交互に配置するデザインが初めて採用されました。ウレタンクッションが使われた座面は、結構しっかりしていた印象です。
内装には木目調が用いられており、落ち着きとやすらぎの空間を演出したとのこと。この辺りに阪急に似たオシャレさを感じました。
吊り革にも茶色が使われており、デザインの統一性が図られています。
9300系電車のコンセプトは「やさしさ」です。
色合いを中心とした車内の雰囲気からもそれを感じられましたが、機能面にも現れています。
1両あたり4扉の通勤車両ですが、各扉周辺には「少しスペースを広げています」と書かれた多目的スペースが確保されていました。
その数も結構多い印象で、キャリーバックなど荷物を持っている方でも安心です。
これとは別で優先座席付近には、車いす・ベビーカースペースも確保されています。
確かにこういったスペースに立ち客が集中することもよくみられるため、分けたのは良かったかなと思いました。
優先座席は黄色のモケット、床面に大きく表示されています。
連結部貫通扉はかなり大きなガラス窓、明るい光を取り込んでくれます。
理由は分かりませんが、先頭車両には優先座席がかなり多くなっていました。
先頭車両の前面展望へ来ました。
なかもず駅を通過したところで、南海高野線から泉北高速鉄道へ入ります。会社境界駅ですが、区間急行は通過です。
前面展望も3面全てがガラス張りになっており、非常に見やすかったです。
機器類の知識は明るくないのですが、運転台は通常とそんなに変わりないかと思います。
運転台の右側には時刻と車内情報を表示するディスプレイが縦に並んでいました。
高速走行中のスピードメーターはご覧の通りで、針式のものが採用されています。
このように各車両の状況もここでまとめて見ることができます。
9300系電車デビューにあたっては、環境にも配慮していることがアピールされていました。
運転台がある車両についている走行音モーター、遮音性が高い全閉内扇型主電動機を採用しており、騒音を低減するそうです。
エネルギー効率の高い機器を導入しており、消費電力を減らします。
車内照明や前照灯といった全ての明かりには、LEDを採用されました。
さらに窓には複層ガラスを採用していて、保温・遮熱性を高められています。これによって空調にかかる電力も抑えられているはずです。
また、窓をスライド式で開けることもできます。
最近の窓ガラスはUVカットガラスを採用することも増えていますが、こちらではブラインドが残されていました。
終点の和泉中央駅に到着です。
中百舌鳥駅から先の全駅に停車してきました。駅ナンバリングも路線内で付されています。
この列車は折り返し、準急なんば行きになります。
爽やかな風を思わせる青色の駅名標、ピカピカのステンレスが新型車両だと主張してきました。
一方でこの落ち着いた車内空間は見慣れたもので、通勤電車としてもかなり良質です。
泉北高速鉄道、そしてニュータウンの新たな顔として、これからも活躍し続けることを期待したいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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