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【乗り通せません】名鉄ダイヤ改正で変わるカオス列車 774列車乗車記
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中部地方唯一の大手私鉄、名古屋鉄道。愛知県と岐阜県の私鉄を吸収していき、大きな路線網を形成しました。
その中には廃止の危機に瀕する、大赤字路線もあります。やってきたのは三河地方の果て、吉良吉田駅です。
吉良吉田駅があるのは愛知県西尾市。三河湾に面しており、2011年に西尾市へ編入される以前は、幡豆郡吉良町でした。
この駅は西尾線と蒲郡線の乗り換え駅、かつては碧南駅から三河線も接続したターミナル駅です。
今回取り上げるのは廃線の危機に貧する、名鉄蒲郡線です。
西尾〜吉良吉田〜蒲郡は赤字路線であり、2017年度の赤字額は7.7億円に上ります。沿線自治体の蒲郡市と西尾市が年間2.5億円支出することでなんとか維持しています。
これだけ利用が低迷してしまった路線の現状を見てみましょう。
自動改札機を通りまして、改札内へ入ってきました。
正面にあるのが西尾線のホーム。吉良吉田始発の列車は基本的に、名古屋本線へ直通する列車です。
名鉄西尾線の西尾〜吉良吉田も名鉄蒲郡線と共に廃止議論に挙げられる区間。しかし、今回は名鉄蒲郡線にフォーカスします。
すでに自動改札を通っていますが、蒲郡線へは更にのりかえ改札口も通る必要があります。
蒲郡線では交通系ICカードを利用できないので、ここでふるいに掛けているという訳です。
そして正面に停まっている2両編成の電車。これが蒲郡線の列車です。
こちらは2022年3月より走り始めた、「にしがま号」と愛称づけられる車両です。かつて走っていた特急車両をイメージした白帯を施しています。
2面2線のホームがありますが、実際に使われているのが手前側だけです。
奥にあるのはかつて碧南方面へ伸びていた、三河線ホーム。
ディーゼルカーが発着していましたが、現在は留置線として使われています。
路線廃止のためこの先列車が走ることはありません。しかし、ここには踏切が残されていて、蒲郡線の列車が到着する時には遮断機が降ります。
この踏切は停車位置から割と近い位置にあるので、オーバーランした時に備えてです。
列車が通らない現役の踏切として、結構面白いところだったり。
吉良吉田〜碧南にはバスが走っており、廃線代替バスとなっています。
以前三河線の廃線跡を歩きましたが、特に碧南市内は公園として整備されている他、西尾市内もそのまま残っているところが多く、かなり楽しめました。
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路線図的にはちょっとおかしく見える、西尾線と蒲郡線ホームの位置関係。旅客列車が直通することはありません。
かつては3方向へ路線が分かれていたのですが、近い将来電車が来なくなってしまう可能性も高いです。
廃止の危機にある名鉄蒲郡線。早速乗車して現状を観察し、利用者が低迷した理由を探ってみましょう。
かつては構内踏切で結ばれていた、三河線ホームを後にします。
しばらくすると西尾線ホームが見えて、角度の狭いL字型をした吉良吉田駅の構造がよく分かる部分です。
かつては名古屋からの有料特急列車が直通しており、現在でも繋がっている線路は西尾線の折返し時などに使われます。
日中のためお客さんは少なめ。ワンマン運転なので1両目に集中しやすいとはいえ、2両編成に10人乗っているかどうかでした。
三河鳥羽駅で列車の行き違いが行われます。
吉良吉田駅は単式ホームなので、手前のここで交換することに。
蒲郡線は日中でも30分に1本走っており、廃線危機にある路線としては本数が多いです。その分交換可能駅も沢山設置されています
西幡豆駅、東幡豆駅、西浦駅にあった駅舎は、2021年秋に解体されました。この時には西尾市がイベントを執り行っています。
西幡豆駅の駅舎跡地には、ベンチとユニバーサルトイレがつくられました。
プラットホームと出口は構内踏切で繋がっており、スピードが出ている到着列車に轢かれないよう、右側通行になっています。
蒲郡線は海の景色も魅力的。名鉄の路線で海が見えるのは、蒲郡線と空港線と知多新線くらいです。
旧幡豆町の中心部を走り、東幡豆駅。
ここにも木造駅舎が建っていたのですが、残念ながら解体されてベンチだけになってしまいました。
光を通すオレンジ色のビニール屋根が特徴的、大手私鉄感は完全に捨てられています。
かつては特急列車も走った蒲郡線。沿線には名鉄により開発された観光地がありました。
その一つが三河湾に浮かぶ前島と沖島、それぞれ「うさぎ島」「猿島」と呼ばれています。
戦後これらの島において、名鉄が本格的に観光開発。前島には300羽のウサギやモルモットなど、沖島には猿を放し飼いにして、三河湾海上動物園を作ったのです。
東幡豆港から前島、沖島を経由して、西浦港へ定期船を運行しており、この時の玄関口が東幡豆駅でした。
しかし1978年の来客数56万人をピークにお客さんが減少、1997年に閉園してしまいます。
娯楽の多様化やバブル崩壊などの要因で、三河湾の観光産業は衰退の一途を辿ったのです。
こどもの国駅は名鉄で一番利用客が少ない駅、2019年度の乗降客数は153人/日でした。
歩いて10分ほどのところに愛知こどもの国があって、こちらは今でも営業しています。愛知県政100周年を記念し、1974年に開園しました。
特に名鉄の観光施設ではありませんが、同時に近くにあった洲崎駅を移転させ、1976年に「こどもの国」駅へ駅名を変えています。
海に突き出た半島には、西浦温泉があります。東幡豆港から出ていた名鉄の定期船は、あの場所まで結んでいました。
正直、愛知県民でもあまり馴染みの無い、西浦温泉。一方で、多くの中国人観光客がツアーで訪れる人気の場所でした。
しかし、新型コロナウイルスの影響により、西浦温泉の観光旅館「冨士見荘」が経営破綻。新型コロナによる初の経営破綻として、当時かなり取り上げられました。
蒲郡市に入りまして、最初の停車駅が西浦駅。
こちらの駅舎も取り壊されており、空き地には仮設感たっぷりのお手洗いが設置してあります。
蒲郡駅から西浦温泉へはバスが出ており、蒲郡線に並行する形で走り、西浦駅も経由します。
形原駅近くにも形原温泉があります。
このように蒲郡市には多くの温泉地があるものの、駅から離れています。蒲郡線を使うのはちょっと現実的でなく、道路交通を使う方が多いです。
三河鹿島駅はかつて交換可能な島式ホームでしたが、1961年に廃止。1968年に線形直線化が行われたので、線路の買った力はその名残が分かりません。
最後にやってきました、ライバルのJR東海道本線です。
蒲郡競艇場前駅に到着すると、真隣に三河塩津駅があります。
最初に蒲郡競艇場前駅を設置していたのは名鉄、それから20年後の1988年にJR東海も三河塩津駅を開業させました。
豊橋や岡崎からのアクセスはJR東海道本線の方が圧倒的に便利、競艇場へ行くお客さんもJRを使うようになりました。
当時既に廃線の陰りが見えていましたが、終点蒲郡駅へ向けて2000年に高架化されました。
まあ、名鉄には高架化して僅か6年で廃止になった路線もあるので…。
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JR東海道本線と完全に並走して、終点の蒲郡駅に到着しました。
大手私鉄のローカル線、30分ほどの旅でした。
お隣のJRホームは非常に明るいですが、それとちょっと対照的な名鉄ホーム。年季の入った車両が佇む姿は非常に似合っています。
名鉄の蒲郡駅に自動改札機は設置されておらず、有人改札を通ることに。
こちらはJR東海道本線の改札、特別快速まですべての種別が停車する駅で、名古屋へはほとんどの方がJRを利用します。
蒲郡〜名古屋において東海道本線が優位に立ったのは、1980年代後半からのダイヤ拡充。さらに民営化後の快速列車投入によるものです。
名古屋まで蒲郡線を使うお客さんはいなくなり、名鉄の券売機横にはもう諦めたような案内が貼られています。
名鉄蒲郡線の利用客はほとんどが路線内の移動で完結しています。こういった路線は他路線への影響が小さく、廃線にしやすいものです。
今後も残ってほしい路線の一つですが、沿線人口も減少傾向で、沿線自治体による支援がいつまで続くかも分からない状態。
抜本的な解決策も打ちづらく、状況は中々厳しいものです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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