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朝日が昇りだいぶ明るくなった頃、こちらは北陸地方の玄関口とも言える敦賀駅です。
北陸本線の特急が数多く停車し、来年には北陸新幹線の終着駅になります。
今回乗車するのは、敦賀から若狭湾沿いを走り東舞鶴までを結ぶ小浜線です。その中でも朝一番の6:16発東舞鶴行き普通列車をご紹介します。
2023年春のダイヤ改正で誕生した、小浜線から舞鶴線へ直通し、福知山駅まで至る列車です。
小浜線は2003年に電化された路線で、当時から活躍していたのが125系電車です。
6時前になって、1番線ホームに普通東舞鶴行きが到着。電化当初は113系なども走っていましたが、現在はこの125系電車に統一されています。
方向幕には東舞鶴と表示されており、あくまで小浜線内で完結する普通列車として扱われています。
実際にはそのまま福知山まで行のですが、それが分かるのはこの先ということに。
今回は2両編成での運行になりますが、この車両は電車にも関わらず両方に運転台が備えられた、1両の電車です。
通常電車は短くとも2両1組ですが、電化ローカル線に投入すべく、1両編成でも運行できるようにしています。
現行では2扉ですが、真ん中部分には将来3扉に変えられるよう、スペースが空けられています。
この座席部分についてはボックスシートで挟まれ、常時利用可能な補助椅子を備えました。
6:16 敦賀駅 発
お隣のホームには小浜駅5:10発の、敦賀行き普通列車が到着したところ。こちらも単線の小浜線へ向かって出発、乗客は区画が半分くらい埋まった状態です。
左側には非常に長いプラットーホームの北陸本線と、立派な北陸新幹線の高架橋が続きます。この先は新幹線の車両基地へ繋がっており、敦賀まで延伸すると活躍の場に。
しばらく北陸本線と一緒に走っていましたが、小浜線は右手へ分岐していきます。
次の停車駅は西敦賀駅。駅の手前では、北陸本線のループ線がここまで張り出している様子を見られます。
右手には港町として栄えてきた、敦賀の市街地が広がっていました。
カーブの続く山道を過ぎまして佐田トンネルへ。
これによって越えている関峠が、敦賀市から美浜町の境界です。
ちらっと若狭湾が顔を覗かせてきました。リアス式海岸の代表例とも言える若狭湾、しばらくはやや離れたところから海を眺める形です。
小浜線沿線といえば、原子力発電所が並ぶ地帯です。美浜駅近くには関西電力原子力事業本部があり、敦賀からここまで小浜線で通勤される方も多くなっています。
気山駅の近くに美方高校があり、生徒さんがゾロゾロ降りて行かれました。
リアス式海岸が作り出した凹凸に水が入り込んでできた、三方五湖が広がります。僅かに見えるのがその一つ、菅湖です。
三方駅の若狭町観光案内にも、三方五湖について紹介されていました。海と繋がる汽水湖ですが、それぞれ塩分濃度が異なるため、住む魚も変わっているそう。
十村駅にて3分ほど停車し、反対方向の列車と行き違いました。
西舞鶴駅を5:25に出発した列車で、ひと区間ですが舞鶴線から小浜線へ正式に直通している唯一の列車です。
上中駅からは小浜線と湖西線を繋ぐ、西日本JRバス若江線が走っています。鉄道路線と組み合わせて乗車券を購入できる、唯一の路線バスです。
北陸新幹線は敦賀から小浜を経由して京都に至るルートが選ばれました。小浜市内の新幹線駅については、東小浜駅に設置予定です。
現在はそのお隣に位置する、小浜駅が中心駅。小浜線内でも主要駅に位置付けられます。
小浜線はJR西日本が収支状況を公表した赤字路線に含まれており、2019年〜21年度の平均の輸送密度は輸送密度779(人/日)、電化路線のため赤字額は15.9億円とかなり大きいです。
コロナ禍でJR西日本が特に厳しい状況だった頃、2021年秋には2割減便されて窓口も閉鎖されました。
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ここで反対方向の列車と行き違い。それでも平日朝には多くの高校生が通学に利用します。
駅構内にはレンガ積みの給水塔があったりと、1922年に全通した路線の歴史を知ることができます。
トンネルを抜けると、勢浜駅の手前では若狭湾がすぐ近くに広がりました。だいぶ長い間内陸を走っていたので、久しぶりの海の景色です。
木造駅舎が残る加斗駅には、床屋さんが入居しています。駅名の「加斗」と「カット」を掛けていると静かな話題になった事も。
加斗〜若狭本郷は小浜線の中で、最も海の景色を綺麗に見られる区間です。
山の縁を走っていて落石危険があるためか、ここでは25km/h制限をかけられます。まるで狙ったかのように、海沿いのところで観光列車さながら徐行してくれるので、じっくり景色を楽しむことができます。
青戸の大橋が大島半島へ渡されており、ここから超遠まわりだった陸路ルートが短縮されました。
おおい町の中心駅、若狭本郷駅に到着。
1990年の国際花と緑の博覧会で展示されていた、「風車の駅」を移築した駅舎を用いています。
そこで保存されているのが、1880年北海道の幌内鉄道で運転された、蒸気機関車「義経号」です。
国際花と緑の博覧会で「風車の駅」と「山の駅」の間を走りましたが、「風車の駅」がここへ移転したため、一緒に来ました。
かなり新しそうな駅舎である、若狭高浜駅。
2階に喫茶店が入居しており、駅周辺にはスーパーマーケットがあり栄えています。すぐ近くが高浜町役場であり、完全な中心部に駅が立地していることに。
もっと海が迫る山のところには高浜原発があり、送電線によって結ばれていました。
福井県内最後の駅が、ここ青郷駅です。
トンネルにより峠を越えまして、福井県から京都府に入ります。
京都府舞鶴市に入りました。
小浜線単独駅としては、松尾寺駅が京都府内唯一の駅になっています。
高架線へ登ってきまして、舞鶴市街地が広がっています。
新日本海フェリー舞鶴港や海上自衛隊、赤煉瓦パークなどがこちら側です。
8:13 東舞鶴駅 着
この車両はそのまま福知山行きになるのですが、列車番号が変わっており別列車として運行します。
43分の停車中も旅客は自由に出入りできて、ホーム上でも「利用の方は車内でお待ち下さい」と放送が流れていました。
方向幕については、到着した時点で既に福知山行きへ変わっていました。
また、舞鶴線ではなくさらに先、山陰線の表示が出ています。
ここで、特急まいづる4号京都行きと接続しています。
向かいからは、舞鶴線の普通列車東舞鶴行きが到着しました。
こちらは福知山駅からきており、小浜線を経由して敦賀まで直通する列車。いわば今回ご紹介している列車の反対方向バージョンです。
こちらの列車も東舞鶴駅で系統分離していますが、実際には敦賀まで直通します。停車中に方向幕が敦賀へ変更されました。
東舞鶴駅では、小浜線と舞鶴線の方向別にホーム上の停車位置を変えています。
いつもならここに示されている通りなのですが、この時間帯は小浜線の列車が舞鶴線停車位置、舞鶴線の列車が小浜線停車位置に停まっている、あべこべ現象が発生していました。
そのため駅員さんがホーム上に立っておられ、お客さん一人一人に案内していらっしゃいます。
一足早く敦賀行き普通列車が先の出発です。
8:56 東舞鶴駅 発
43分間停車した後、東舞鶴駅を発車します。
見た限りだと小浜線から舞鶴線へそのまま乗っておられた方は、いらっしゃいませんでした。
山を越えた後、西舞鶴駅に到着。
舞鶴の街はこの山を挟んで両方に広がっており、西側の方は漁港になっています。それぞれ役割が異なる港町が形成されており、非常に面白い特徴を見られました。
西舞鶴駅は京都丹後鉄道宮舞線の乗り換え駅です。ここから天橋立方面へ路線が結ばれています。
そして西舞鶴駅の車庫には特急ひだ号で活躍した、キハ85系が停車中です。
1編成目が回送されてきた翌日にも見に来ましたが、あれから部品取り用と言われる2編成目が並んでいます。
どのような改造を施して走るのか、非常に楽しみです。
そんな京都丹後鉄道宮舞線が、北へ向かって離れていきました。
真倉駅で舞鶴線の普通列車と行き違い。敦賀でも見られる223系電車が戻ってきます。
丘の上に広がる綾部工業団地には、カルビーや日東薬品など、名だたる企業の工場が立っていました。
舞鶴線を走破しまして、綾部駅に到着。
路線の形状的には東舞鶴駅で分割しなくても、小浜線と同じ路線に思ってしまいます。
ここからは山陰本線へ入線、東浜駅まで複線になっているため、一時的に反対方面の上り線に入ります。
次は終点の福知山駅というところ、運賃表を見てみると敦賀駅から福知山駅まで全体の駅名が表示されていました。
右手には福知山市のシンボルとも言える、福知山城の天守閣が現れます。
明智光秀が築城しており、福知山にも停まる特急こうのとりで、黄色い明智光秀ラッピングの編成も走っています。
そんな特急こうのとりが走る福知山線は尼崎駅より北上しており、ここで左手より合流してきます。
あと少しで兵庫県という京都府の縁、今度こそ終点の福知山駅に到着です。
09:37 福知山駅 着
2006年まで福知山に来ていたという125系電車、その時代を全く知らない身としてはかなりの違和感です。
敦賀から3時間21分かけて福知山へやってきまして、絶対的な乗換関所と思っていた東舞鶴駅をそのまま越えられたのは、非常に面白い体験でした。
列車は回送列車として発車。
この125系電車は日中福知山〜東舞鶴を往復する運用に就くのですが、そのために必要な小浜線からの車両送り込みを兼ねて、今回ご紹介した実質直通列車が運行されていたのでした。
早朝1本だけ運行されるご紹介した列車。敦賀で宿泊された際はぜひ乗ってみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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