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【絶景の若狭湾】車窓で楽しむ小浜線/減便報道のローカル線乗車記[鳥取・福井ローカル(14)]

2021年5月27日

 

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こちらは北陸の玄関口、敦賀駅です。

近い将来、北陸新幹線と北陸特急の乗換駅として大きな機能を持つことになります。

 

敦賀駅からは福井県の嶺南地区を走るローカル線、小浜線も発着します。

 

小浜線は北陸から山陰を京都を経由せずに行くことができる路線。

戦前、日本の玄関口であった敦賀と、日本海随一の軍港であった舞鶴を結ぶ路線として機能していました。

 

しかし現在列車の本数は1時間に1本程度のローカル線となっています。

更に福井新聞はJR西日本が小浜線の列車本数の半分を減便すると報道しました。

 

今回は若狭湾が見られ、観光にも便利な小浜線に乗車していきます。

小浜線で使用されている車両は125系電車です。

2扉ですが中央部には将来的に3扉にできるスペースが存在。

 

車内から見てみると補助椅子の配置などからも、それが分かります。

 

乗車した列車は通勤・通学時間帯の最後の列車ですが、座席の半分くらいにお客さんを乗せて走っていきます。

8:15、列車は敦賀駅を出発しました。

北陸新幹線の高架から離れていきます。

 

左手には山を緩やかに走るために作られた、北陸本線のループ線が見えます。

 

そして右側には敦賀の街が広がっていました。

 

次の西敦賀駅はそんな山中にあり、扉が開くと雨によって強まった緑の香りが車内に入ってきます。

 

あちらは小浜線と同じようなところを走る、舞鶴若狭自動車道です。小浜線にとって大きなライバルです。



粟野駅で反対方面の列車と行き違い。

あちらには立ち客が数人程度いる様子でした。



列車は海から離れており、敦賀半島の付け根あたりを走っていました。

山の区間を出てくると、ようやく若狭湾を見られます。

 

こちらは有人駅の美浜駅。ここでは通勤客を始めとして6割程度が下車していきました。

 

この方達が向かうのは関西電力の原子力事業本部です。

鉄道だけでなく大型バスで通勤する方も多く見られました。

 

美浜駅はコンクリート造りの平屋駅舎、観光案内所も入居しています。

 

小浜線には利用客と比較して有人駅が多いですが、2030年までに11駅中10駅を無人化、中心の小浜駅のみどりの窓口も廃止する計画です。

 



オンライン授業を受け終えたので、再び列車に乗って東舞鶴方面へ。

通勤時間と比べたら利用客は当然減っていますが、1両目は半分程度、2両目は3,4人乗っているくらいでした。

 

途中駅には新しい住宅が並んでおり、宅地開発が進んでいる様子です。

 

右手遠くに見えてくるのは若狭湾ではなく、三方五湖です。

 

ラムサール条約にも登録されているそうで、それぞれの水色が微妙に違って見えます。



列車は上中駅に到着。

重要伝統的建造物群保存地区にも指定される鯖街道の宿場町、熊川宿もあります。

駅舎は橋上駅舎でエレベーターも設置された大きな駅です。

 

かつてここから湖西線の近江今津駅まで結ぶ、若江線が計画されていました。

これは小浜から京都へ行くのに敦賀を経由するか、舞鶴を経由する必要があるためです。

 

そこで近江今津駅までの鉄路を整備することで、京都へのアクセスを向上させようとしました。

 

しかし今となっては小浜を経由して京都へ向かう高速鉄道、北陸新幹線の計画が現実に。

ある意味、若江線は思ってもみない高規格で実現することとなりました。

 

ポコっと田んぼの端に土が盛られているのは十善の森古墳。

鍵穴型の前方後円墳で、70m近くの長さがあります。

 

列車は80km/h以上出し、ワチャワチャと揺れながら走っていきます。

小浜線の最高速度は85km/h、しかし揺れとしてはかなりのものです。



右手に見られました、学校らしき建物が気になります。

あちらは中々立派な校舎ですが、小浜市立小浜三郷小学校。

てっきり私立かと思っていましたが、かなりの立派さに驚きです。



現在走っている小浜市と言ったら、オバマ前大統領と名前が同じということで話題になったことがありました。

線路のすぐ横には大統領というパチンコ屋さんがあります。

 

線内最大の駅、小浜駅に到着しました。ここでは16分の停車です。

 

三角屋根が特徴の平屋の駅舎。朱色の駅名が国鉄らしさを醸し出します。

小浜市は人口2.9万人、嶺南の中心として重要な街です。



ここ、小浜駅からは湖西線近江今津駅へ向かうJRバスが発車します。

これこそ先ほどお話した、上中駅と近江今津駅を結ぶ若江線です。

 

日本で唯一、自動車線の切符を購入できます。

 

また小浜駅には1918年に作られた給水塔が立っています。

それほど高さはありませんが、非常に歴史を感じさせるものです。

 

小浜線は日露戦争後、日本海側に必要な鉄道として本格的に建設がされました。

元々は敦鶴とんかく線でしたが、小浜市の議員が権力を持っていたことから小浜線になっています。

 

列車は小浜駅を出発しました。

 

常光寺の参道を横切り、トンネルへ。

 

そしてトンネルを抜けると青い小浜湾が広がりました。



小浜湾は左の大島半島と右の内外海半島に囲まれています。

海岸から1km離れたところに小さく浮かんでいるのは蒼島。

本来ならここに棲むはずのない暖地性植物が多く生えているため、ここ蒼島はそれらの北限になっているという重要な地点。天然記念物にも指定されています。

 

列車は加斗駅に到着。

この駅には床屋さんが入っているという珍しい駅。

駅名の加斗(かと)カットを掛けているとも言われます。

 

元々この床屋さんは駅前にあったのですが、平成7年に大家さんとの契約が切れて閉店。

しかしJR西日本がお願いして駅舎の中に開店し、切符の販売もしています。

 

小浜線の中で海が最も綺麗に見えるのは加斗〜若狭本郷の区間になります。

ここでは20km/h以下でかなり徐行してくれて、この景色をじっくり眺められます。

 

列車は小浜市からおおい町へ。

関西電力による超大型シアターが人気のエルガイアおおい、道の駅 うみんぴあ大飯などの建物が立ち並んでいました。

 

こちらの赤い橋は大島半島の先端へ渡す青戸の大橋です。

 

若狭本郷駅はおおい町唯一の駅になります。

1990年に大阪で行われました『国際花と緑の博覧会』、この駅舎はそこで展示されていた『風車の駅』を移築したものです。

 

駅前停まっているSLは博覧会で走ったドリーム・エキスプレス義経号のレプリカ。

本物の国鉄7100系蒸気機関車は京都鉄道博物館にあるそうです。

 

若狭和田駅は南国風の駅舎、駅前になっています。

 

若狭高浜駅は2面3線という大きな駅の構造。

 

かつて急行列車も来ていた重要な小浜線、その名残をそこにも感じられました。

 

右手に見えているのは若狭富士とも呼ばれる青葉山です。

京都府との県境に位置する山の麓に向かって走っていきます。

 

国道27号線には福井県の終わりを示す看板がありました。

 

県境にあたるトンネルを抜けて京都府へ。

小浜線唯一の京都府市内の途中駅が松尾寺になります。

 

舞鶴市街の中を高架線へ登り、東舞鶴駅に到着しました。

 

福井県の中でも少々行きづらい嶺南のリアス海岸の地域。そこを走る小浜線から見える景色は非常に釘付けになるものでした。

 

しかし利用客はたしかに少なく、多少の減便は避けられないように思います。

 

今度来るときは途中で下車し、観光での利用もしていきたいです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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