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【高規格すぎるローカル線】工業地域へ貨物を繋げ!短いのに面白すぎる鹿島線の理由

2023年1月31日

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チーバくんの頭のてっぺんに位置する、千葉県香取市の中心駅。成田線の佐原駅に来ています。

水郷の商家町は、栃木、川越と共に小江戸三市に数えられており、駅舎も和風に整えられました。

 

正確な日本地図を作り上げたことで有名な、測量家・伊能忠敬ゆかりの地でもあります。

忠敬が入婿した伊能家は、当時から水運業で発展していた佐原で、大きな経済力を持っていました。村をまとめる自治でも大きく活躍し、地図を作っただけではありません。

 

今回取り上げるのは、佐原駅の0番線ホームから出発する路線、JR鹿島線です。

 

2021年春に新型車両E131系電車が投入され、ワンマン運転が始まっています。

 

鹿島線は香取〜鹿島サッカースタジアムを結ぶ17.4kmの路線です。

かなり短いローカル線に見えますが実際足を運ぶと、地図だけでは分からない立派さに驚かされました。



佐原駅から2両編成の電車で出発です。

鹿島線の列車は、佐原〜香取のひと区間だけJR成田線に乗り入れており、運行上の路線始発駅は佐原駅です。

 

左手には利根川沿いに位置する、道の駅水の郷さわらが見えています。近くに観光船の乗り場があって、湿地に生息するバードウォッチングも楽しめます。



鹿島線の分岐駅となる、香取駅がこちらです。

香取を名乗ってはいますが、香取市の中心駅はやはり先程の佐原駅です。

1931年の駅開業当初は香取町だったのですが、1951年に誕生した佐原市へ。その後2006年の合併で香取市になったことで、紛らわしい現在の状況が生まれました。

 

成田線はそのまま銚子方面へ向かうところ、鹿島線は北へ向かいます。

 

最初に渡るのは、日本一の流域面積を誇る利根川です。千葉県と茨城県は大抵この川が県境なのですが、ここだけは千葉県香取市がツノみたいに突き出ています。

 

ここは「水郷佐原」と呼ばれており、湿地帯もある軟弱な地盤です。

 

鹿島線は路線の半分以上が橋梁や高架が占めているのですが、この地盤に対応するためです。

一方で障害物が無いところに高架線を建設しているので、風に弱く強風で運休になることもあります。

 

十二橋駅周辺に至っては、水路を使った船による移動が主流だった地域です。この駅は当時の佐原市長が要望したことにより、開業しました。



鹿島線が開業したのは1970年で比較的新しい方、一体なぜ建設されたのでしょうか。

現在鹿嶋市の臨海部には、鹿島臨海工業地域が広がっています。

戦前から用地確保はされていたのですが、戦後になって計画が本格化。鹿島線と鹿島臨海鉄道は、工業地域発展のために建設されたのです。

現在でもこれら路線では貨物列車が運行されており、その役割を担っています。

 

これだけ立派な線路なのでスピードをかなり出せそうですが、鹿島線の最高速度は85km/h止まりです。

 

日本で二番目の面積を誇る湖、霞ヶ浦から流れ出る常陸利根川を渡ると、千葉県から茨城県に入りました。



潮来いたこ駅のある潮来市も水運で栄えた街です。

ホームは11両編成にも対応しているという、かなりの長さ。貨物列車の行違いも可能な有効長がとられています。

 

市内には国定公園にも指定された水郷潮来あやめ園があり、特に6月には多くの観光客が訪れます。

 

少し山を切り拓いた所になりまして、ようやくローカル線らしい森の中を走る鉄道です。

 

ひとつ丘を越えまして、延方駅に到着。こちらも潮来駅と並ぶ行違い可能な高架駅です。

 

今渡っているのは川ではなく、霞ヶ浦と並ぶ湖、北浦です。先程の延方駅は北浦周辺の観光において玄関口となっており、バスも発着しています。

 

全長1236mに及ぶ北浦橋梁は、一体いつまで続くんだと思わされるもの。『千と千尋の神隠し』みたいな世界です。



終点の鹿島神宮には、ジェイアールバス関東の高速バスかしま号が停まっていました。

ここ鹿島線には1975年から、東京〜鹿島神宮を結ぶ特急あやめが走っていました。

しかし、東関東自動車道の潮来IC開通によってJRまでも高速バスへシフト。2015年に定期運行を終了し、現在は季節運行になっています。

 

全国に点在する鹿島神社ですが、近くにある鹿島神宮はその総本山です。鹿嶋市の中心駅となっており、駅前ロータリーの屋根なんかも神社風のデザインに見えます。



鹿島線はもうひと区間、鹿島サッカースタジアム駅までです。

ここからは第三セクター鹿島臨海鉄道大洗鹿島線に乗り換えます。

 

JRの路線でありながら全て鹿島臨海鉄道による運行で、JRの車両で乗り通すことはできません。

運行系統は鹿島神宮駅で完全に分離されているのです。

 

また、大洗鹿島線は全線非電化のため、この車両はディーゼル車での運行となっています。上に架線が設けられているのは、鹿島サッカースタジアム駅までです。

 

カーブしつつ住宅街を抜けますと、鹿島臨海鉄道鹿島臨港線が近づいてきました。こちらは鹿島臨海工業地域へ向かう貨物線用路線です。

 

ちょうど鹿島サッカースタジアム駅には、鹿島臨港線へ向かう貨物列車がいました。

 

鹿島サッカースタジアム駅は、鹿島線から鹿島臨港線が分かれる北鹿島駅という貨物駅でした。

1993年にJリーグが開幕したことで、近くの鹿島サッカースタジアムへの旅客需用が見込めるため、試合開催時だけの臨時旅客駅として開業したのです。

 

貨物輸送を軸に建設された鉄道路線、それに伴う高規格路線の立派な姿は頼もしいです。

ローカル線でイメージするものとのギャップも大きく、非常に楽しめる路線でした。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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