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【普通列車7時間の乗車記】上諏訪発豊橋行きで飯田線を走破![史上最長片道切符の旅(57)]

2022年8月14日

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今回のルート

上諏訪〜豊橋

おはようございます。うっすら雪が積もる上諏訪駅です。

JR東日本エリアの中央東線ですが、JR東海の313系が停車中。一人だけオレンジ色で目立っています。

 

今回乗車するのは飯田線を走破する、普通列車豊橋行きです。乗車時間は6時間54分、その所要時間は豊橋駅14:42発 岡谷駅21:37着の6時間55分に次いで、全国トップクラスです。

 

これから始まる約7時間の普通列車の旅、ぜひお楽しみください。

もっと詳しく
【全駅紹介】飯田線最長列車で12時間!上諏訪発豊橋行き往復の旅

こちらは朝の中央本線上諏訪駅。 新宿~松本を結ぶ特急あずさ全てが停車する主要駅で、諏訪大社や諏訪湖など観光地が集積するこの地域の玄関口です。   駅舎内ではたくさんの風鈴が吊るされており、ま ...

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9:22 上諏訪駅 発

飯田線に乗り入れることもある、長野色の211系電車を横目に出発します。

 

上諏訪駅手前の普門寺信号場〜岡谷駅は単線区間のため、駅舎側の線路が集まってきました。

 

左手には建物の向こう、僅かに諏訪湖を見ることができます。道路もあって線路用地の確保が難しいためか、特急あずさが走りながら複線化が現在までなされていません。

 

下諏訪駅にて特急あずさ16号と行き違いました。

 

諏訪湖を迂回するように沿って、岡谷駅に到着。

 

 

中央本線は、ここで二手に分かれます。

(Nard.tech ‧ | contributions| uploads - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=58208417による)

1983年に塩嶺トンネルが開通し、今回は旧線の辰野支線を経由します。

 

松本行きの普通列車が後ろから追いかけてきました。

 

あちらが先に発車し始めると、313系も追いかけるようにして出発。

 

高架線を走っていったはずですが、見えなくなってしまいました。通る線路が別なので、追突することはありません。

 

川岸駅ではこの列車のように飯田線へ直通する列車が多く発着しており、運用上もはや飯田線の駅のような扱いです。



辰野駅に到着しました。

かつては中央線特急が停車していましたが、新線開通で特急が通らなくなり、今では広い構内を残すのみです。

 

ここで乗務員さんは、JR東日本からJR東海の方に交代します。

 

反対方向の列車と行き違いまして、岡谷駅を出発。中央本線から飯田線に入ります。

 

次の宮木駅も辰野町の中心部にも近く、駅周辺は栄えていました。

 

飯田線は左手は赤石山脈、右手は木曽山脈に挟まれた、天竜川沿いに走ります。

 

右手の木曽山脈は粉雪をまぶしたようで、春の訪れを感じさせてくれました。

 

飯田線の路線距離は、194.6km。沢駅には190キロポストが刺さっており、まだまだです。



伊那松島駅構内には、伊那松島運輸区があります。

中部天竜〜辰野駅という広範囲で乗務しており、飯田線北部の運行を担う中心地です。

 

ちょうどここで乗務員さんが交代。上諏訪〜辰野、辰野〜伊那松島と、結構頻繁にも感じます。

 

向かい側からは当駅止まりの回送列車が出発していきました。北側の車両基地へと引き上げていくのでしょう。

 

南箕輪村の中心駅は北殿駅。飯田線は交換可能駅が高密度で設定されている様子です。

 

こちらは久しぶりの主要駅、伊那北駅はビジネスホテルが隣接しています。

近くには伊那北高校、上伊那農業高校があって、通学需要が大きいです。



伊那北駅から0.9km、伊那市駅まで市街地が続いています。

かつて駅そば屋さんが駅弁販売を行っていましたが、現在ではキヨスク共に撤退しています。

こちらは伊那市の中心駅ですが、伊那北駅と双子のようです。

 

国道153号に沿ったショッピングセンター・アピタの裏を通っていきました。

 

沢渡さわんど駅の駅舎は2020年に完成したばかり、多角形の小さな駅舎にくり抜かれた丸窓が可愛らしいです。



沢渡〜赤木駅間には、JR最急勾配区間があります。

奥の方には急に登っている部分が見えますが、周囲には住宅があってあまりそれっぽくないです。

 

右下には40‰の勾配標がありました。最急勾配と言えば碓氷峠の66.7‰ですが、軽井沢〜横川駅間が廃止されてここがJR最急勾配に。

それでもかなり数字を落としており、碓氷峠の厳しさを改めて感じさせられました。

 

登っている途中でちょっとした山に入り、カーブしながら進んでいきます。

赤木駅の標高は637m、沢渡駅は614mでその差は23mです。駅間距離は3kmなので、角度が均一の坂道だった場合7.6‰になります。

40‰の部分はかなり突出しており、その他は緩やかであると感じられました。



宮田駅は宮田村中心部にほど近いです。

ここで列車の行き違い。反対から来ているのはオレンジと緑の帯を巻いた、213系電車です。

 

駒ヶ根駅の一番端っこホームに入線。中央アルプス方面への登山客が多く利用します。

 

左側で頭を出しているのが、おそらく甲斐駒ヶ岳。あちらは南アルプスの山です。

 

伊那福岡駅は駒ヶ根工業高校の最寄り駅。簡易的でありながら待合室も新しくなっています。

 

丸い石で埋まっている中田切川を渡りまして、奥には中央アルプスの山々。

 

飯田線は飯田駅より南側の秘境区間が注目されがちですが、この辺りの景色は本当に素晴らしいものです。

 

飯島町の中心駅、飯島駅は自治体管理の簡易委託駅。

駅周辺はかなり整備されていて、新しい住宅地が広がっています。

 

七久保駅からは日本石油伊那油槽所へ分岐する専用線が伸びており、名古屋からの貨物列車が来ていました。

 

ここまでは停留所から格上げされた駅でも、少なくとも1日20人程度乗車人員がいたのですが、伊那田島駅は一桁に。駅周辺には田畑や果樹園が広がります。

 

上片桐駅からも日本セメント上片桐サービスステーションへ専用線が伸びていたのですが、1996年の貨物列車廃止により無くなってしまいました。

 

松川町の中心駅、伊那大島駅にて反対方向の列車と行き違い。多くのコミュニティバスが発着し、交通の中枢を担っています。

 

市田駅は高森町の中心駅で、1969年からのコンクリート駅舎。タイル貼りで高度経済成長期を感じさせる古さです。



路線名ともなっています、飯田市に入りました。

飯田工業高校の最寄り駅でしたが、統合のために利用者が半減。現在は、飯田OIDE長姫高校という公立高校とは思えない高校になりました。

駅近くには長野市や甲府市で有名な善光寺の中でも最初の地、元善光寺があります。



伊那上郷〜元善光寺間ではリニア中央新幹線が交差し、その地点に長野県駅が設置される予定です。

飯田線と乗り換えられるよう新駅設置の可能性もあります。

伊那上郷駅からはたくさんの高校生が乗車してきました。

飯田高校、飯田女子高校の最寄り駅で、名前からして飯田市の中で大きな高校の生徒さんが利用します。



ここ、伊那上郷〜下山村駅の線形は、飯田駅を経由するためΩカーブになっています。

(地理院地図を改変)

そのため、伊那上郷駅で降りても下山村駅まで走れば、同じ列車に追いつくことができるそう。

下山村ダッシュと呼ばれており、ある意味イベント的なものです。

 

飯田駅に到着しました。上諏訪駅から3時間、まだ折り返し地点にも至っていません。

飯田〜豊橋駅では特急伊那路が発着しています。

 

ただし、飯田から東京方面へは圧倒的に高速バスが便利。一方でリニア中央新幹線が開業すれば、本数によりますがその構図は大きく変わるでしょう。

 

鼎駅は下伊那農業高校、そして先程触れた飯田OIDE長姫高校の最寄り駅です。

 

かなえという駅名から、有人駅時代には合格祈願の入場券が販売されていました。現在は無人化され、飯田駅にて鼎〜桜町駅の乗車券を購入すると、台紙がプレゼントされるとのことです。

 

伊那上郷駅から走れば間に合う、下山村駅に到着しました。ここを走ってみるの、やってみたいですね。

 

伊那八幡駅周辺には市立病院や短期大学があって、まだ市街地が続いている様子です。

 

時又〜天竜峡駅では2001年、治水のため線路付替え工事が行われています。

 

川路駅は何度も水害で水に浸かり、旧駅周辺には民家がなかったそうです。



天竜峡駅に到着しました。

駅周辺には国指定名勝「天竜峡」があって、遊歩道や展望台から迫力ある景色を楽しめます。

 

ここから中部天竜駅までは飯田線の代名詞、秘境駅のオンパレードです。

 

最初の停車駅は千代駅です。駅の上には数軒の民家、ホームの目の前には畑があって、程よい秘境感といったところ。

 

次の金野駅は飯田線内でもトップクラスの秘境度を誇ります。

 

天竜川ライン下りは天竜峡港から唐笠港まで。迫力ある急流と景観を楽しめます。

 

唐笠駅は川の向かい側、峰竜太の故郷である下條村への最寄り駅です。

 

門島駅周辺には泰阜ダムと発電所を見られました。

 

山の中を走っていると、再び秘境駅。こちらはコンクリートの絶壁が特徴的な田本駅です。

奥に見える岩が落ちてきそうですが、コンクリートでガッチリ固められています。

 

天竜峡駅から先でも高校生の生徒さんがいらっしゃいます。泰阜村の中心、温田駅では10人くらい生徒さんが降りていかれました。

 

天竜川の渓谷が美しいところにも、秘境駅が存在。

為栗してぐり’駅からは対岸の集落へ吊り橋を渡ることになります。



天龍村の中心駅、平岡駅に到着しました。

駅舎と一体化した龍泉閣さんには、レストランや宿があります。夜から朝にかけて、列車が発着する様子を見られます。

 

再び渓谷沿いを走り始め、小さな集落ごとにある小さな駅に停車していきました。

 

どうやら橋を直している様子、川を挟んで集落が成り立っており、重要なインフラです。

 

伊那小沢駅で行き違った列車は、313系のボックスシート車両。ワンマンに対応しており、電化されたローカル線を中心に投入されます。

 

長野県最後に位置するのが中井侍駅。秘境駅でありながら、急斜面に向かってお茶畑が広がっていて人の営みがあります。



次の停車駅は飯田線で一番の秘境駅、小和田駅です。

小幌駅、尾盛駅に次ぐ秘境駅とされており、飯田線を代表するような素晴らしい駅になっています。

 

皇后陛下の旧姓が小和田であることにちなみ、ご成婚の際には水窪地区で募集した一組が、小和田駅前で結婚式を行いました。

 

駅舎の無い秘境駅が多い中で、ここは駅舎がそのまま。まさに古民家のような雰囲気を漂わせていて、とても素晴らしいです。

 

トンネルを抜けた先は大嵐駅。駅舎は東京駅をモデルにしています。所在地は浜松市天竜区ですが、向こうには豊根村の歓迎看板が。

 

これは、駅正面にある鷹巣橋を渡ると愛知県豊根村富山地区のため。浜松市側にはトンネルを抜けた先、夏焼集落があります。

2005年11月に豊根村に合併されましたが、この地域は元々富山村で、同年10月の人口は218人。離島を除く日本一人口の少ない自治体でした。

 

飯田線は佐久間ダム建設による線路水没のため、1955年に新線へ付け替えられました。

大嵐駅を出発するとすぐに東へ向かい、大原トンネルに入ります。

 

トンネルを抜けた先、新線付け替えによって生まれた水窪駅に到着。旧水窪町の中心地で、特急伊那路も停車します。



向市場〜城西駅には、わたらずの鉄橋と言われる第6水窪橋梁があります。

鉄橋は天竜川を渡って、集落のある右岸へ。

 

しかし、集落の縁をなぞるようにして鉄橋は続きます。

 

そのまま元々の左岸へ戻ってしまいました。

元々は左岸の山を向皆外トンネルで抜ける予定だったのですが、トンネル壁面の剥離や地山全体が水窪川に向かって滑り始めたことで放棄。代わりに鉄橋で迂回することにしたのです。



トンネルを抜けまして、佐久間駅に到着。

ここから飯田線は従来の線路に戻ります。

 

天竜川を渡るところでは、佐久間発電所を見られました。



浜松市天竜区の中心地、中部天竜駅に到着です。

全国屈指の秘境区間はここで終えることになりますが、まだ十分険しい山を楽しめます。

 

この駅には佐久間レールパークがあって、プラレールやNゲージなど模型の他、飯田線の車両を展示していたそう。現在は名古屋市臨海部のリニア鉄道館へ移転しています。

 

列車は引き続き浜松市内を走ります。

浦川駅周辺は大きな集落が広がっており、小野田セメントの貯蔵施設へ専用線が伸びていたことも。

 

絶対に読めない出馬いずんま駅を最後に、愛知県へ入ります。



飯田線は愛知県の奥三河地区を走ります。

東栄駅は花祭の象徴、榊鬼をモデルにした駅舎です。建物内にはカフェが入居しています。

 

集落の片隅に作った停留所、という感じの駅も。

 

2022年5月に落石で不通となった三河槙原〜湯谷温泉駅。ここ三河槙原駅で足止めされていた213系から部品が盗まれ、静岡県の高校教師が捕まったことは記憶に新しいです。

 

湯谷温泉駅周辺には昔ながらのレトロな温泉街が広がっています。特急伊那路も停車する駅です。

 

天竜川から豊川に水系が変わっており、林の向こうには宇連川の流れを見ます。

 

三河大野駅の貨物ホームらしきところには、たくさんの木材が積まれていました。豊富な自然でこれだけ木が生えており、もちろん林業が盛んな地域です。



本長篠駅からは鳳来寺方面へ、豊橋鉄道田口線が分岐していた過去があります。

乗り換え路線があっただけの規模を思わせる、古くからの歴史を感じさせる駅舎です。

 

次の長篠城駅は長篠の戦いにちなんで、お城風の待合所になっています。織田信長が初めて鉄砲を用いた戦いとして有名です。

 

大海駅をすぎると、新東名高速道路の下をくぐります。

 

新城ICの近くということで道の駅もっくる新城があり、東京〜大阪を結ぶバスがここで発着します。

 

道の駅へは、三河東郷駅が最寄り駅です。

豊橋〜東京のアクセスにおいて、飯田線で三河東郷駅まで来て、道の駅からはバスに乗るというルートもあります。



蔵のような大きい駅舎を持つ新城駅。

新城市は東三河地方において広大な面積を有しますが、山が大半を占めます。

 

上諏訪から来た313系も、遂に夕陽が照らすようになりました。

 

三河一宮駅は木造駅舎が残されており、なかなかの年季が入っています。板張りも木目が引き立っていて素敵でした。



豊川〜豊橋駅は15分に1本列車が出ており、それなりの高頻度運転です。

近代的な橋上駅舎、そういえば飯田線で唯一の気がします。

 

さらに、名鉄豊川線の豊川稲荷駅と乗り換えも可能。名古屋方面へは名鉄の方が便利です。

 

今度は名鉄名古屋本線が合流してきました。

JR飯田線と名鉄名古屋本線は、平井信号場〜豊橋駅において線路を共用しています。そのため、名鉄特急とJRが複線をすれ違うという状況も。

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また、この列車は下地駅、船町駅を通過。豊橋〜豊川を往復する列車が停まるため、この2駅については1本/30分に本数が半減します。

 

東海道本線、東海道新幹線の線路とも並走してきて、ついに豊橋駅に到着です。



16:16 豊橋駅 着

広大な駅が見えてきまして、6時間54分に及ぶ行程に終止符が打たれました。

 

1本の列車として長時間に渡る列車ですが、毎日丸一日列車に乗り続けている人にとっては、全く長く感じませんでした。

 

飯田線自体に景色の変化があり、非常に面白い路線で楽しみが尽きません。ぜひその魅力を体感していただければと思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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