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【収支データ初公表】JR西日本の赤字ローカル路線一覧・廃止検討の今後を考察

2022年4月11日

 

JR西日本はJRグループ本州3社の中で、新型コロナウイルスにより最も厳しい状況に立たされています。

路線維持の困難なローカル線についても整理を検討しており、今回始めて路線ごとの収支が公表されました。

対象は新型コロナウイルスの影響を受ける前、2019年度の輸送密度が2000人未満だった路線、17路線・30区間です。収支率と収支は2017年度から2019年度の平均です。

用語について

収支率=運輸収入/営業費用

輸送密度…1キロ当たりの1日平均乗客数。(年間輸送人キロ/営業キロ)÷365で計算される。

営業係数…100円を稼ぐのに必要な経費。

北陸

小浜線

敦賀~東舞鶴

収支率:14.8% 収支:マイナス18.1億円 輸送密度:991人/日 営業係数:675.68

この路線は電化されているため、収支に大きな影響を与えます。輸送密度は1000人を下回っているものの、存廃議論が行われる程では無いと思われます。

ただし2021年には2割減便を行っており、効率化が図られています。

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越美北線

越前花堂~九頭竜湖

収支率:7.3% 収支:マイナス8.4億円 輸送密度:399人/日 営業係数:1369.86

この路線は現在の大糸線と同様、北陸新幹線の開業で並行在来線が第三セクターハピラインふくいへ転換されることで、飛び地路線になります。

区間の分割は行われていないものの、特に越前大野〜九頭竜湖の利用客は少なく、部分廃止も予想されます。

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大糸線

南小谷~糸魚川

収支率:3.7% 収支:マイナス5.7億円 輸送密度:102人/日 営業係数:2702.70

北陸新幹線の開業によって並行在来線が第三セクターえちごトキめき鉄道になったことで、JR西日本にとって飛び地路線です。輸送密度は非常に低く、わざわざディーゼル車両を保有するのも非常に非効率です。

JR西日本は3月から将来のあり方についての議論を自治体と開始するとニュースリリースを出しており、存廃議論と行って良いでしょう。



近畿

関西本線

亀山~加茂

収支率:14.6% 収支:マイナス14.6億円 輸送密度:1090人/日

関西本線の名前とは裏腹に、現状はキハ120が行き来するローカル線です。豪雨被害も多く、災害との関わりについても考えなければなりません。

 

紀勢本線

新宮~白浜

収支率:19.0% 収支:マイナス28.6億円 輸送密度:1085人/日

特急くろしおが走る区間であり、まだ存廃議論はされないでしょう。



兵庫県〜中国地方東部

 

山陰本線(東部)

城崎温泉~浜坂 

収支率:11.8% 収支:マイナス11.8億円 輸送密度:693 人/日

浜坂~鳥取

収支率:11.8% 収支:マイナス8.5億円 輸送密度:921人/日

輸送密度は1000を割っており、あまり目立たないが北近畿でもかなり利用客の少ないのが現実です。冬季には特急かにカニはまかぜを増便し、旅行商品も強化しているが、観光による鉄道維持はかなり困難。

 

加古川線

西脇市~谷川

収支率:6.4% 収支:マイナス2.7億円 輸送密度:321人/日

輸送密度の計算について、2019年度は厄神〜谷川でまとめていたが、2020年度より西脇市駅で分割するようになりました。

コロナ後2020年度の輸送密度は厄神〜西脇市で2435だが、西脇市〜谷川は215と実際かなり差があります。



姫新線

播磨新宮~上月

収支率:13.3% 収支:マイナス6億円 輸送密度:932人/日

上月~津山

収支率:11.3% 収支:マイナス4億円 輸送密度:413人/日

津山~中国勝山

収支率:16.4% 収支:マイナス4.1億円 輸送密度:820人/日

中国勝山~新見

収支率:7.4% 収支:マイナス3.5億円 輸送密度:306人/日

上月〜津山・中国勝山〜新見が特に厳しい数字です。

芸備線・木次線・因美線が解決した後は、ここに手が付けられると思われます。

 

播但線

和田山〜寺前

収支率:29.4% 収支:マイナス7.3億円 輸送密度:1222人/日

播但線の非電化区間が対象。特急はまかぜが走る上、それなりの利用が見られるため存廃議論は先送りでしょう。

 

因美線

東津山~智頭

収支率:5.1% 収支:マイナス3.9億円 輸送密度:179人/日

特急スーパーはくとが走る鳥取〜智頭とは対象的に、普通列車だけが走るこの区間は相当厳しい数値。いつ廃止議論がされてもおかしくない状態です。



中国山地

山陰本線(西部)

出雲市~益田

収支:22.4% 収支:マイナス34.5億円 輸送密度:1177 人/日

益田~長門市収支率:7.6% 収支:マイナス11.5億円 輸送密度:271人/日

長門市~小串・仙崎

収支率:8.3% 収支:マイナス9.5億円 輸送密度:351人/日

出雲市〜益田は特急列車も走っており、当面安心できるでしょう。

一方、それより西部はやや危険。山陰本線という日本一の長大路線ですが、区間を区切ればローカル線という実態を目の当たりにします。

 

芸備線

備中神代~東城

収支率:2.4% 収支:マイナス2億円 輸送密度:81人/日

東城~備後落合

収支率:0.4% 収支:マイナス2.6億円 輸送密度:11人/日

備後落合~備後庄原

収支率:2.4% 収支:マイナス2.6億円 輸送密度:62人/日

備後庄原~三次

収支率:11.5% 収支:マイナス2.5億円 輸送密度:381人/日

三次~下深川

収支率:14.9% 収支:マイナス13.2億円 輸送密度:888人/日

芸備線は今回の発表で最も注目された路線でしょう。

輸送密度が11という東城〜備後落合は、輸送密度100,000と言われていましたが、実際25,000。4分の1であったが当然安心できるはずがなく、鉄道で維持していることに疑問を持たざるを得ません。

芸備線は新見市・庄原市で存廃議論がされており、対応する区間は備後庄原〜備中神代です。

しかし備後庄原〜三次も安心はできず、将来的な公共交通について鉄道を活用するのか、検討しなければならない段階に入っています。



福塩線

府中~塩町

収支率:3.9% 収支:マイナス6.5億円 輸送密度:162人/日

電化もされている福山〜府中は利用客も多いですが、北部の非電化区間(府中〜塩町)は廃線になっておかしくない状態です。存廃議論に入ることが十分に考えられます。

 

木次線

宍道~出雲横田

収支率:7.6% 収支:マイナス7.2億円 輸送密度:277人/日

出雲横田~備後落合

収支率:1.5% 収支:マイナス2.7億円 輸送密度:37人/日

出雲横田〜備後落合の輸送密度は2019年度37、2020年度18で、依然として存廃議論のなされていないのが不思議に思える数字です。

観光列車奥出雲おろち号も2023年度で運行を終了。この地域を支えた観光資源も消え、鉄道ではなく地域としてもこの路線の今後は大きな課題です。

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岩徳線

岩国~櫛ヶ浜

収支率:25.4% 収支:マイナス5.4億円 輸送密度:1246人/日

ディーゼル普通列車が行き来するだけのローカル線ですが、輸送密度はそれなりに。存廃議論の本格化はまだ先でしょう。

 

山口線

宮野~津和野

収支率:17.7% 収支:マイナス8.4億円 輸送密度:678人/日

津和野~益田

収支率:14.7% 収支:マイナス5.5億円 輸送密度:535人/日

山口線は特急スーパーおき号が走る陰陽連絡線。SLやまぐち号で観光集客にも積極的です。

特急路線としては輸送密度がかなり悪いですが、存廃議論までは行かないように思います。

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小野田線

小野田~居能ほか

収支率:9.3% 収支:マイナス2億円 輸送密度:444人/日

BRT導入も検討された路線の一つですが、費用が高いことからそれは難しいという結論に。この地域は車での移動が非常に多くのシェアを占めており、鉄道はかなり厳しい状態です。

 

美祢線

厚狭~長門市

収支率:15.9% 収支:マイナス4.4億円 輸送密度:478人/日

美祢線も小野田線と同じぐらいの輸送密度。朝夕の通学需要に頼っており、今後が不安視されます。



データまとめ

赤色は存廃議論がされている線区で、黄色は輸送密度200未満の線区。JR北海道であればバス転換が本格的に検討されるレベルです。

JR西日本が西日本エリア全体に厳しい状況の路線が多くあることが分かり、今回の発表はそれを数字として明るみにしました。

今後鉄道をどのように位置づけるのか、沿線住民とともに考える切っ掛けとなることでしょう。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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