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近鉄の赤字路線を引き受けた小さな私鉄 北勢線はどう変化した?
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前回は近鉄からもらったナローゲージ路線、三岐鉄道の北勢線をご紹介しました。
終点の阿下喜駅から2kmほど歩いてきたのは、もう片方、三岐線の伊勢治田駅です…が、次の列車までかなり時間があるのでお隣まで行くことにしました。
という訳でこちらは丹生川駅。
ここには貨物鉄道博物館というのがあります。
開館日は毎月第一日曜日(1月のみ第2日曜日)。外には蒸気機関車が停まっていました。
このような博物館が作られていることからも分かる通り、三岐線は貨物の色が非常に濃い路線なのです。
丹生川駅というと愛媛県の予讃線にある壬生川駅を思い浮かべてしまいますが、こちらにも同名の駅があります。
三岐線はかなりマイナーなローカル線で、無人駅ばかりのように思います。
しかし実際には西野尻駅だけが無人駅で、他は全て有人駅です。
窓口にはどう見ても相当古いデザインのファンタの瓶が置かれていて、中にはお花が入っていました。
駅構内にも様々なお花たちが色とりどりに植えられていて、温かみのある駅です。
さて、ようやく列車がやって来ました。本数は1時間に1,2本ほどです。
さっきまでナローゲージの北勢線に乗っていたので、狭軌の車両がかなり大きく見えてしまいます。
北勢線の車内では普通に座っていてもやや窮屈。
しかしこちらは足を伸ばしたとしても、これ程スペースが余るのです。
終点である西藤原駅に向かう途中、向かい側からは国鉄の横須賀色的な色合いの列車もやって来ました。
終点の西藤原駅に到着しました。
沿線についてはここから始点の近鉄富田駅へ向かう方向でまとめてご紹介します。
西藤原駅は可愛らしい三角頭の蒸気機関車が並ぶ駅舎でした。2002年に開業した新しい駅舎になります。
駅の待合室内には窓口はもちろん、郵便局も入っていました。
ホーム構造は1面2線ですが、そのうち1線は実質使われていません。
駅には国鉄で活躍したのち、三岐鉄道の富田駅で入れ替え作業に使用されたED222機関車をはじめとして、様々な列車が保存されているのです。
それでは折り返し、近鉄富田駅に向かっていきます。
次の西野尻駅は三岐線内唯一の無人駅、プラットホームに屋根がつけられた停留所型の駅です。
列車は太平洋セメント藤原工場の中を突き進んでいきます。
静岡県の岳南電車でもこのような光景が有名ですが、それと同レベルの迫力です。
三岐鉄道は貨物列車でもっている鉄道会社であり、この太平洋セメントは欠かせません。
先ほどの太平洋セメント藤原工場からは次の東藤原駅まで専用線が伸びています。
ここからはJR四日市駅近くの太平洋セメント藤原工場出荷センターへ、セメントの貨物列車が運行されています。
更に愛知県の武豊線から伸びる衣浦臨海鉄道碧南市駅までは炭酸カルシウム、逆方向も空ではなくフライアッシュ(石炭を燃やした後の灰)を輸送しているのです。
東藤原駅の乗客数は39人、しかし2017年に改築された洋風の駅舎はかなり立派です。
それはこの駅が旅客上の利用が多くなくても、三岐鉄道から出発する貨物列車の中枢として非常に重要な役割を担うため。
駅舎内には貨物列車の入れ替え作業を行う作業員のため、宿泊所も備えています。
この路線は貨物を主体とした路線だということがはっきりと分かります。
次の伊勢治田駅には貨物列車の入れ替えなどを行うため、非常に広いヤードが広がっていました。
さっき乗車した丹生川駅まで戻って来ました。
列車はまさにローカル線として田んぼの中を走っていきます。
しかし三岐線は旅客鉄道としての面でも力を入れています。
それが北勢中央公園口駅。
1997年には100mほど移転しており、駅名の通り公園へのアクセスが向上しました。
保々駅は運転上の中枢駅になっており、反対方面の列車と行き違います。
暁学園前はその名の通り近くに学校があり、多くの生徒さんが乗車してきました。
三岐線の旅客列車は全て近鉄富田駅に入ります。
しかし貨物列車はJRへ入りますから、関西本線の富田駅へ向かう必要があるのです。
その分岐点がこちらの三岐朝明信号場。左はJR富田駅、右は近鉄富田駅へ向かいます。
三岐鉄道はJR富田駅までの路線でしたが、旅客利用の多い近鉄富田駅へ入線するため、1970年に近鉄富田駅までの連絡線が開業しました。
一時期は近鉄富田駅・JR富田駅両方に旅客列車が走ることとなったのです。
しかし1985年には富田までの旅客列車が廃止。今では貨物列車だけが左の眼下に見えている富田駅に向かいます。
お客さんを乗せた列車は近鉄富田駅に到着しました。
さて、今度は貨物列車の行く先である、富田駅まで行くことにしましょう。
近鉄富田駅からJR富田駅まで一直線で行くことはできませんが、7分ほどで着きます。
富田駅はJR関西本線の駅であり、旅客ホームは2面3線構造です。
旅客ホームは自由通路によって結ばれていますが、その奥には貨物ホームがあります。
板で塞がれた貨物ホームへの入口から撮ってみると、かなり年季の入った階段であることが見て取れました。
貨物線上には太平洋セメントの白い貨車たちが停まっているところ。
更にホーム上には駅名標も残されていました。
旅客としてはただのローカル線に見られる三岐鉄道ですが、産業の一角の貨物鉄道として大きな役割を担います。
三岐鉄道の面白さはこんなものでは無いに違いありません。
あまり馴染みのない貨物列車ですが、知れば知るほど面白いものが溢れ出て来そうです
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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