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【中国地方ななめ横断】廃止危惧ローカル線を乗り継いで広島から鳥取へ[2021山陰・紀伊(2)]
今回舞台となる中国地方で最大の都市、広島駅前に来ています。 現在新駅舎の建設工事が行われている最中で、かつてあった駅舎は完全に姿を消してしまいました。 今日はここ広島駅から日本海側の鳥取 ...
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鳥取の鉄道アクセスに欠かせない鉄道、それは第三セクターの智頭急行線です。
大阪はスーパーはくと、岡山はスーパーいなばで結ばれており、智頭急行線が無ければこれほどの速達性は確保できなかったでしょう。
それでは智頭急行ができる以前、どのような列車で結ばれていたのでしょうか?
鳥取〜岡山については急行砂丘。鳥取から因美線を通って津山駅へ、そこから津山線を通って岡山へ至っていました。
一方関西については智頭急行に近いところを走る列車として、急行みまさかを運行。津山やさらに東側の中国勝山から姫路を結んでいました。
ちなみにこちらが現在の特急ルートです。
今日は鳥取から岡山へ行くのですが、かつての急行砂丘ルートを通ってみたいと思います。
ここからは急行砂丘の停車駅が分かりやすいよう、すべての列車が停車していた駅と一部が停車していた駅を色分けすることにします。
最初に乗車するのは鳥取駅を11:58に出発する普通列車 智頭行きです。
使用されているのは智頭急行線の車両。
この辺りでは智頭急行の車両がJRを走ったり、その逆が起こったりしています。
その場合多く車両を使ったほうが車両使用費を支払うことになるのですが、そのような手続きは面倒なもの。
そこで智頭急行の車両をJR線内で完結する列車に入れることで帳尻を合わせているのです。
鳥取駅を出ると高架上で山陰本線と別れます。
郡家駅は第三セクター若桜鉄道の乗換駅。
SLをピンクに塗ってしまったり、バイクのラッピングや昭和レトロな列車を走らせたりと面白い鉄道会社です。
若桜鉄道の次の駅は八頭高校前駅。
ここまでの運賃は100円で、日本の鉄道で一番安い初乗り運賃です。
用瀬駅は一部の砂丘が停車していました。
駅舎にはこの町で行われている流しびなの絵が描かれています。
終点の智頭駅に到着しました。
この列車は折り返し鳥取へ向かうため、多くのお客さんがホームで待っています。
引き続き因美線の列車に乗車。
今度はJR西日本のキハ120系です。
ワンマン列車なので一番後ろから景色をお届けします。
智頭急行の普通列車2本に見送られながら列車は智頭駅を発車。
しばらく智頭急行線と並走するのですが、草刈りされ度合いの違いには驚かされます。
現在の速度は22km/h。これが列車とは信じがたいかなり遅い速度になっています。
那岐駅に到着しました。
駅近くの智頭町立那岐小学校は廃校になってしまったそう。
それだけの場所に来ているのだと何だか悲しくなってしまいます。
線路端には25km/hの表示。
線路を傷めないためにかなり速度制限をかけながら走ります。
智津急行ほど長くはありませんが、途中ではトンネルも通ります。
20年ちょっと前まで急行が走っていたとはあまり思えない、木々の茂り具合です。
美作河井駅に到着。
かつては交換可能だったであろう構造の駅ですが利用客は少なく、急行砂丘も停まりませんでした。
撮影は遅れてしまいましたが、右側には転車台が残っているので是非注目してみてください。
知和駅はちょっとした秘境駅としても知られるところ。
チワワに似ているためか、とっても可愛らしい駅名。古い木造駅舎なのに親しみを持てます。
急行砂丘は智頭駅から美作加茂駅まですべて通過でした。
この駅は2面2線の交換可能駅になっています。
急行が来なくなった後の2003年に建てられた木造駅舎は非常に立派でした。
列車はいかにも地域利用に向けた棒線駅に停車していきます。
美作滝尾駅は他の木造駅舎と比べてもかなり違う雰囲気であると見て取れるのではないでしょうか。
戦前からのこの駅舎は2008年に国の登録有形文化財に指定。
映画『男はつらいよ 寅次郎紅の花』の撮影もされたそうです。
線路上は完全に草が一面に茂っています。
もはや草原に線路が置かれているかのような状況です。
高野駅は急行砂丘が停車していた訳ではありませんが、列車の廃止とともに行き違い設備が撤去。
ご覧のようにホームは残されています。
東津山駅手前で姫路からやってきた姫新線と合流します。因美線は東津山駅までで、路線的にはひと区間だけ姫新線を走ることになります。
東津山駅は中心の津山駅の隣ですが、一部だけ砂丘が停車していました。
吉井川を渡る鉄橋は両サイドになにもないのと同然。
もちろん安全なのでしょうが、ちょっとスリルがあります。
津山駅に到着しました。
津山市は岡山県第三の街。最後の昼行急行ことぶきがしぶとく残っていましたが、現在優等列車は走っていません。
そんな津山駅には急行列車の名残が残っています。
急行砂丘にはグリーン車が連結されており、グリーン車乗車口の表示が未だにありました。
また、ホーム上には駅弁屋さんか売店の跡らしいものも。
現在ホームは地下通路だけで結ばれていますが、板で塞がれた跨線橋もありました。
そんなちょっと寂しくなった津山駅ですが、今でも路線の集約地。
新見・岡山・智津・佐用の四方面へ列車が発着します。
津山線の普通列車岡山行きに乗車。
津山駅には扇形機関車庫もあって、津山まなびの鉄道館となっています。
亀甲駅に到着。この駅舎には絶対に驚かされることでしょう。
ばあ。
なんと駅名の通り、駅舎の屋根から亀が頭を出しています。
しかも目が時計になっているというカオスさです(笑)
車窓右手に注目していると誕生寺へ続く真っ直ぐな道を見ることができます。
この誕生寺駅は2021年夏の青春18きっぷポスターに採用されていました。
弓削駅は久米南町の中心駅、基本的に使用する駅舎側のホームが2番のりばになっています。
福渡駅はすべてが停車していました。
建部駅もあるのですが当時岡山市と合併する前、ここが建部町の中心駅でした。
のどかな景色が続いておりまして、急行砂丘最後の途中停車駅は金川駅、ここは一部だけが停まっていました。
うっかり眠ってしまい、気づいたときには岡山駅のひとつ手前、法界院駅でした。
この駅は津山線の中で岡山、津山を除いて最も利用客が多いです。
これは岡山大学をはじめとした学校の最寄駅であることが理由になっています。
新幹線の高架が近づいてきまして、岡山駅に到着です。
今回急行砂丘のルートを通ってみて、優等列車がいなくなった鉄路はかなり様子が変わってしまうのだと思わされました。
特に因美線の智津〜東津山はかなりのローカル区間、JR西日本の中でもトップクラスの赤字区間です。
まるで新幹線開通で特急がいなくなった三セク、それの下位互換のように楽しめました。
青春18きっぷなどで中国地方を縦断される際は、この過去に注目してみてください!
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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