早朝の新見駅に来ています。
陰陽連絡で最も重要な伯備線で、特急やくもや寝台特急サンライズ出雲も停車する駅です。
今日は朝一番の芸備線の列車に乗車しまして、終点の備後落合駅に向かいます。
途中の東城駅〜備後落合駅は、日本一輸送密度の少ない線区です。
備後落合駅には新見からは岡山支社、木次線からは米子支社、三次・備後庄原からは広島支社の列車がやって来ます。この駅を越えて各支社を直通する列車は無く、備後落合駅は完全なターミナル駅です。
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しかし、これらは全て廃止危惧路線として取り上げられています。そんな鉄路が集まる備後落合駅は、一体どんな駅なのでしょうか。
完全にぐっすり眠っていましたが、ホームに降り立つとその寒さに目を覚まされました。
柱には海抜452メートルの文字、現在の気温は6℃ほどです。
完全に朝の山中をナメてかかっていたので、長袖Tシャツに薄いウィンドブレーカーを着ているだけ。11月の始めとは言っても、厚い羽織物が必要でした。
丁度ホームには、芸備線の両方向へ向かう列車が停車中です。
まずは乗ってきた6:41発の列車が新見方面へ戻っていきます。
そして6:43発の列車も新見方面へ出発しました。
車でいらっしゃっていた方も引き上げたので、駅には1人だけになりました。
ゆっくりと駅構内を観察していきましょう。
現在立っている島式ホームの2,3番線には芸備線がやって来ます。
駅舎と接している、1番線が木次線ホームです。
2番線には、『急行ちどり(広島~米子)』の停車に合わせ、延長されたホームを見ることができます。
その部分は若干かさ上げされており、その高さの違いがはっきり分かりました。
1953年からはホームに、おでんうどんが名物の立ち食いそば屋さんがあったそう。三次市の「環翠桜」から委託したという話もされています。
おでんうどんについては、近くのドライブインおちあいにて、今でも食べられます。
駅舎と反対側には4,5,6番線の線路。
そして機関庫へ引き上げていく機走線が敷かれていました。
山に若干埋もれていますが、割と新しそうな建物は駐泊所です。
その横には石炭を積んでいた設備。
更に蒸気機関車の向きを変える転車台が残っていました。
現在は稼働していませんが、撤去されずにそのままの状態というのはなんだか嬉しいです。
ホーム上屋の柱には、昔ながらの駅名標が貼り付けられています。
その中の一つには、使われなくなった線路が転用されたものも。
アメリカのカーネギー社によるものだそうです。
また、3番線ホーム階段近くには給水管があり、蒸気機関車に水を張るのに使われていました。
続きまして、駅舎の方へ向かいます。
何やらインスタボードが立てかけられています。
ここに来る人たちにとっては、ネタとしてツイッターに乗せるのが関の山でしょう。
駅舎内には沢山の写真や垂れ幕が飾られており、やってきた人々をもてなしてくれます。
1997年まで有人駅だった備後落合駅。きっぷ売り場の他に、かつて小荷物を取り扱っていた台が残されていました。
今は駅ノートやパンフレットが置かれています。
また、ストーブが置いてあったところの床は、焦げ付いた跡が残っていました。
駅舎はあまり正面が分かりづらい印象です。
これは駅の真ん前に川が流れており、山が迫っているというスペース上、どうしようもなかったのでしょう。
駅前には車を停める場所があります。
バスによる代行がしばしば行われるのですが、その時はここからの発車です。
駅舎を出て左側には、階段を降りていく先にスペースが残されていました。
最盛期には100人以上の駅員さんがいらっしゃったという備後落合駅。ここには独身寮の他に、鉄道関係者の寝泊まり所、食堂、生活物資部などがあったとのことです。
一種の街が出来上がり、それが今では蒸発してしまっています。
三次から芸備線の列車が到着しました。
この列車からお客さんが降りてくると、ボランティアの方が観光客に向けて解説をしてくださいます。
誘導されるがまま小屋の中に入ると、最盛期の駅の様子を表した模型がありました。
駅に停車する数々の列車、急行ちどりや奥出雲おろち号など、古から現在までの歴史を十分に紹介してくださいます。
それだけでなく駅周辺で街が栄えていた様子など、目に見えて分かりました。
さらに駅舎内の写真も一枚一枚解説してくださいます。
インターネット上やパンフレットで堂々と書かれているので記しますが、この方は元国鉄機関士という永橋さん。とても丁寧に詳細までお話してくださって、とても面白かったです。
備後落合から出る木次線の朝一番の列車、9:20発の列車が到着しました。
陰陽連絡の役割が無くなってから、谷の狭間に残されたターミナル駅。
かつて栄えていたその痕跡をたどれたのは非常に面白かったです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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